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ついに来た! 「Fallout 4」ファーストインプレッション

鮮やかに描かれる新しいウェイストランド。今作の大きなテーマは“世界の再建”!?

12月17日発売予定

価格:
7,980円(税別、通常版)
16,800円(税別、Pip-Boyエディション

 ついに待ち望んだこの日がやってきた。「Fallout 4」を触れる日が。「Fallout 4」は核戦争で崩壊し、200年以上が経過した世界「ウェイストランド」をさまようオープンワールドRPGだ。「Fallout 3」ではワシントンDC、「Fallout: New Vegas」ではラスベガス周辺が舞台となっていたが、今作はボストン周辺となる。

 今回は11月29日に開催された「Fallout 4を日本最速試遊!完成発表会」の内容を体験できたので、その感触をレポートしたい。筆者にとってもウェイストランドを再び思いっきり旅できるのはものすごくうれしい。今回はあくまで序盤であるが、その“幸せ”はやはり格別だった。なお、序盤の展開に言及するので「前知識を入れたくない」という人は注意して欲しい。

【Fallout 4 - Launch Trailer】

序盤からクライマックス、パワーアーマー対デスクロー!!

 現在ベセスダは、意図的に“「Fallout 4」の主人公は何者なのか?”という情報を制限している。体験会でもゲームのオープニングは隠されていた。この隠されたオープニング部分は、衝撃的でググっとゲームに引き込まれる要素であることだけは語っておこう。

 プレーヤーキャラクターはVault111の“唯一の生き残り”として、核戦争後200年が経過した世界に降り立つ。主人公にとって外の世界は全くの未知の世界である。木々の多くは枯れ、もしくは放射能の影響か歪んでしまっている。建物は錆び、倒壊しており、道路のアスファルトもボロボロだ。そして、そこかしこで恐ろしい形に変異した野生動物たちが襲いかかってくる。そう、私達は“あの”ウェイストランドに帰ってきたのである!

キャラクター作成画面。性別や人種はもちろん、目元や傷跡など細かく各項目も変更できる
色鮮やかな世界。前作までとはライティングが大きく変わっている
相棒・ドッグミートとの出会い。彼は非常に役に立つパートナーだ
人々を守るプレストン・ガービー。彼を助けて、レイダー達と戦うことに
パワーアーマーを着込んでデスクローと戦う。いきなりクライマックス級の戦いが体験できる!

 「Fallout 3」、「Fallout: New Vegas」をプレイした人にとって、まず心奪われるのは「Fallout 4」のウェイストランドの美しさだろう。空のかすみ具合や、水の透明さ、日の光の当たったところの色の鮮やかさ……すべてがくっきりと見える。これまでのウェイストランドは全てが灰色に見える世界だったが、本作の世界は崩壊しながらも美しさも併せ持っている。この色鮮やかな世界はこれまでのファンに衝撃をもたらすこと間違いなしだ。

 今作が「Fallout」初挑戦というプレーヤーにとっては世界は非常に危険に感じるだろう。敵に攻撃されたり、水に入ったり、さらには体力を回復させようとして食べ物を食べても最大体力値を減らす放射能が体を蝕む。敵と戦う武器は用意されているが序盤は弾数の少なさが不安を煽る。

 初挑戦のプレーヤーは最初は敵に攻撃を当てるのも苦労するだろう。「Fallout 4」ではFPSの感覚で敵を撃つことも可能だが、初期の武器やスキルが低いためか、攻撃は当たりにくい。しかし、本作ならではのシステム「V.A.T.S.(Vault-Tec Assisted Targeting System)」を使うと時間の流れが一時的にゆっくりになり、部位攻撃が可能になる。

 コマンド式RPGのような感覚で戦えるようになるので、FPSやアクションゲームが苦手な人にも楽しめる。ぜひ「V.A.T.S.」での戦いの楽しさを体験して欲しい。シリーズのプレーヤーにとっては「Fallout 4」での敵キャラクターの動きも注目である。AIが強化され、敵は物陰に隠れたり死角を狙ってくるのだ。だからこそステルスを使いこなしたり、スコープ付きの遠距離武器を用意したりと、戦いに凝る要素が増している。

 それでは、序盤の展開を語っていこう。「Fallout 4」ではまずあるキャラクターの助言で最初の街「コンコード」へ向かうこととなる。この道中で出会うのが「ドッグミート」という犬のパートナーである。「Fallout 3」でも犬のパートナーに出会えたが戦いで倒れるとそのまま死んでしまうので、生き残らせるのが非常に難しく、連れ歩くのが難しかった。しかし「Fallout 4」では倒れても一定時間で復活してくれるので心強い相棒となってくれる。さらに敵を引きずり倒す戦い方、アイテムが隠されている場所も見つけてくれるという特殊能力まで持っている。他にどんなパートナーが出てくれるのかもとても楽しみだ。

 そして荒野で人を襲うならず者達「レイダー」との戦いを経て、プレストン・ガービーという戦士が守る一団に合流する展開となっていく。レイダーとの戦いでは、「V.A.T.S.」の使い勝手や、敵AIの優秀さと共に、「表現」の違いも見ることができた。今作では海外版と同じように人体の部位破壊の表現がある。筆者は、「Fallout 3」でのコアプレーヤーを招いた体験会ではゲームを進めずにずっと表現の違いをチェックしていた人が印象に残っているが、「Fallout 4」ではそういったユーザーにも安心の仕様となっている。

 会話シーンの進化も特筆したいところだ。今作では会話シーンになるとカメラが3人称に切り替わる。プレーヤーキャラクターも積極的にしゃべり、表情や仕草も豊かだ。各キャラクターのモデリングや質感も向上しており、映画やドラマを見ているように、感情も揺さぶられる。前作をプレイした人ならあらゆるところでその進化にうならされるだろう。

 今回の体験範囲での目玉は「パワーアーマー対デスクロー」だ。ブラザーフッド達が使っていた動力付きの鎧をこんな序盤から着ることができるのである! 「Fallout 4」のパワーアーマーはロボットのような扱いで、動かすためには燃料電池である“フュージョンコア”が必要となる。プレーヤーはガービーの依頼を受け、コアを見つけてパワーアーマーに装着、さらにヘリに備え付けたミニガン(ガトリングガン)を装備し、デスクローに立ち向かうのだ。

 パワーアーマーは、体の後部が開きプレーヤーはこれを着込むというか、乗り込むような形で装着する。乗り込むとインターフェイスが変わり、HPなどの数値や方向などがパワーアーマーでのメーター表示となる。ロボット好きにはグッとくる演出だ。これまでゲーム中盤以降でなければ手に入らなかったパワーアーマーを使い、最強クラスの敵デスクローといきなり戦えるのが楽しい。ミニガンを撃ちまくってもデスクローは強い。かなりの手に汗を握る戦いが体験できる。

 体験会の内容はここまでとなる。ここまででも新しいウェイストランドの美しさと厳しさ、強化されたパートナーシステム、より臨場感を感じさせる演出と様々な要素を体験でき、本当にあらゆるところで驚かされた。

 本作のボリュームは標準のプレイで100時間を越えるという。これにさらに多彩なやりこみ要素や成長システムが加わっており、ひたすらこの世界に没頭できる。やり込み要素でもある成長システムや生産要素も少しだけ触れることができたので、こちらも紹介したい。

「Fallout 4」は何もかもが失われた世界で“創り出す”楽しさを持ったゲームだ!

 それでは、「Fallout 4」ならではの成長システムと、生産要素「ワークショップ」に触れていきたい。「Fallout 4」でも能力値であるS.P.E.C.I.A.L.(Strength、Perception、Endurance、Charisma、Intelligence、Agility、Luck)と、特殊能力Perksが存在する。これらはレベルアップしたポイントを消費することで上げられる。今作では“スキル”が存在せず、能力値とPerksによってキャラクターの方向性が決まっていく。

 Perksは能力値にひもづけられている。Strengthの数値が高いと近接攻撃に使えるPerksが取りやすくなるなど、戦闘やステルスなどプレイの方向性を考えて取得していくことになるだろう。

今作では様々な生産設備を利用できる。写真はオープニング画面だが、実は生産設備が集中している場所なのだ。今作が生産要素に力を入れているのがわかるシーンだ
武器のカスタマイズ。威力や射程距離、反動などを調整できる。がらくたを分解してパーツに変えるのだ
E3の映像ではパワーアーマーが空を飛んでいた。こういった改造も可能になるのだろうか?
廃墟と化したこの世界にどんな世界を再建していくかが、今作の大きなテーマだ

 「Fallout 4」では序盤にパワーアーマーやプラズマライフルなども登場する。さらに後述する生産要素「ワークショップ」での強化もできるため、これまで以上に多彩なプレイスタイルで遊べそうである。ただし、パワーアーマーを常時着用するためにフュージョンコアを積極的に探すなどリソースの確保も重要となるようで、これらを確保を常に考えるなどのプレイも求められそうだ。

 そして本作の目玉である生産要素も紹介しよう。「Fallout 4」では特定の場所で「ワークショップ」を使って生産活動ができる。アーマーや武器のアタッチメントを作るのはもちろん、“家”そのものを作ることができる。E3などで発表済みのファクトとして、“街”すら作れるようになるという。現時点では想像もつかない、どんなものになるのだろうか。

 序盤ではほんの少ししか見れなかったが、建物に関しては、ベットや壁、ドアまで作れるようである。理想の我が家だけでなく、旅先で出会った人々と街が作れたりするのだろうか、夢が膨らむ。前作でも入植しようとする人々や、村があり、レイダーやスーパーミュータントの襲撃に耐えながら生きていこうとしている人々がいた。「Fallout 4」では彼らと共に生きるような選択肢も提示されるのだろうか。

 家を建てるための材料になるのが「廃材」なところも面白い。朽ちた家や、壊れたバスタブなどを分解し、新しいものに作り直せるのだ。これまでは廃墟を前にしても何もできなかったが、「Fallout 4」ではこれらを整理し文明復興に貢献できるのが楽しい。ただしこの世界は危険に満ちている。街の住人を危機からいかに守るか? こういったイベントも大いに期待したい。

 もう1つ、武器やアーマーに関しても今作は“生産”が重要な意味を持っている。前作までの武器は“使いつぶす”ものだった。どんなに強力な武器でも使うと耐久度が減り、性能が下がっていく。このとき、例えばリボルバーが弱くなれば同じリボルバーを材料にして修理をしていた。強い武器を維持するために、他の武器をつぶしていく。前時代の遺物を次々と消費していくのが、前作までの世界だった。

 しかし、「Fallout 4」ではアイテムの耐久度という概念がなくなり、修理ではなく、積極的にパーツをつけ、“改造”して強化していくこととなる。家と同じように、今作は新しいものを自分の手で生み出していくのである。

 そして武器やアーマーの改造は“Junk(がらくた)”だ。おもちゃの車やタイプライター、ガラスのコップなどが銃のストックや、アーマーの強化パーツの材料となる。これまでのシリーズではこういったがらくたは商人に売るしかなく、中盤以降は無視されていた。しかし「Fallout 4」ではこれらのがらくたは大事な資源なのだ。

 「Fallout 4」はグラフィックスの進化、ストーリーやキャラクター表現、よりエキサイティングな戦闘が楽しめるゲームシステムなど、“正当”な進化を遂げつつ、“廃墟から新しいものを創り出す”という、全く新しい方向性を打ち出したゲームとなった。このポイントこそ、ユーザーを最も驚かせるところだろう。本作のウェイストランドは滅び行く世界ではなく、“再生”しようとする世界なのである。

 今回触れたのはほんの数時間。それだけでも「Fallout 4」が前作からのフィードバックを受け、より素晴らしく進化しているのがわかった。ここにストーリーが加わるのだ。現在は伏せているプレーヤーの立ち位置、そして展開する物語は、大きな衝撃を与えてくれるだろう。その後のストーリーもとても気になる。本当に発売日が楽しみだ。

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(勝田哲也)