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【必見! エンタメ特報】「ゾンビ・ガール」 蘇る元カノほど怖いものなし
「グレムリン」のジョー・ダンテ監督作! 貪欲な元カノ・ゾンビが恐怖のコメディ
(2015/10/24 00:00)
ジョー・ダンテと言えば、「ピラニア」や「グレムリン」を監督したことで有名な映画監督だ。
世界で大ヒットを収めた「グレムリン」(1984年)は今もなお人気が高く、最近ではマスコット的存在の「ギズモ」がユニクロTシャツの1デザインになったり、スマホゲームになったりと、公開から30年以上を経た今でも印象的なSF映画となっている。
その後は前作から悪ふざけ路線を大幅に拡大させた「グレムリン2 新・種・誕・生」(1990年)、意思を持ったオモチャ軍隊の戦争を描いた「スモール・ソルジャーズ」(1998年)、カートゥーンと実写を融合させた「ルーニー・テューンズ」映画の第2弾「ルーニー・テューンズ:バック・イン・アクション」(2003年)などのメジャー作品を監督しているが、2009年の「ザ・ホール」以降は音沙汰がなかった。
そんなジョー・ダンテ監督であるが、久々の監督作品「ゾンビ・ガール」がこの10月24日より日本で上映される。
なお本作はヒューマントラストシネマ渋谷とシネ・リーブル梅田で開催される特集上映「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション」での1作品となっている。期間は10月30日まで。上映スケジュールが決まっているので、詳細は公式サイトをご覧いただきたい。
「ゾンビ・ガール」は、原題を「Burying the EX」(元カノ/カレを埋めろ)とするゾンビホラーコメディ。怪奇、ホラーの映画やグッズが趣味で、将来はホラーグッズショップを持ちたいと考えている主人公のマックス(アントン・イェルチン)は、「エコに関するブログを書いて世界を救うの」という謎の仕事をしている美女のエヴリン(アシュリー・グリーン)と付き合っている。
一旦は「ずっと一緒にいよう」と誓い合う仲だったのだが、趣味や生活面で噛み合わないことが増え、さらに怒ると手がつけられなくなるエヴリンにマックスは手を焼く。将来を案じたマックスは別れを切り出そうとするが、その矢先にエヴリンは交通事故で死んでしまう。
マックスは傷心の日々を過ごすが、立ち直るために出かけたホラー映画の上映で趣味の合うオリヴィア(アレクサンドラ・ダダリオ)と出会う。2人はすぐに意気投合し、そのまま結ばれればめでたし……なのだが、当然そうはならない。
実はマックスとエヴリンが「ずっと一緒にいよう」と誓ったその時、その願いは悪魔の人形に聞き入れられていた。願いが叶えられた結果、埋葬されたはずのエヴリンは息を吹き返し、生ける屍として再びマックスへ愛を求めるのだった。
ゾンビと言えば意思を失ってただ血肉を求めてさまようというイメージだが、本作のエヴリンはピンピンしている。心臓が止まり体が腐っている以外はむしろ生前よりも活き活きとしていて、マックスと再会するなりセックスしようとする貪欲ぶりが非常に怖い。
いくら美人でもゾンビなので、ぐいぐい寄ってくるだけで恐怖感がハンパではない。抱きついてきて首筋をちゅっちゅする愛情表現も、ゾンビにされればこれ以上恐ろしいことはない。疲労度が高まっていくマックスに対し、それでも健気にマックスを見続けるエヴリンは、「マックス エヴリン」と2人の名前をチョコチップで書いたパンケーキを作るなど、重すぎる愛で迫ってくる。
一方あまり詳細を話されていないオリヴィアはマックスが「元カノとヨリを戻したのでは」と疑っているし、エヴリンはなかなか振り向いてくれないマックスに「あなたも死んだらずっと幸せよね」と殺そうとしてくるし、いよいよマックスの進退は極まる……。
全体としては、元カノに付きまとわれる恐怖をゾンビを介して表現したコメディなのだが、そのゾンビ要素があることで先の展開が見えず、話を上手く運んでいるのが良くできている点だと言える。下らないのだが、その下らなさはB級コメディ好きの筆者的には好みの映画であった。
ちなみにこんな映画でもゴア描写はしっかりあって、この辺りはジョー・ダンテの悪趣味ワールドが垣間見える。次回作は一体いつになるのだろうという感じではあるのだが、いちファンとして監督作は今後もぜひチェックしていきたい。