ニュース
【必見! エンタメ特報】この40年は濃密だった! 映画「ビデオゲーム THE MOVIE」
ゲーマー感涙のオープニング! 未来も見据えるゲームドキュメンタリー
(2015/5/23 00:00)
日々新しいタイトルが生産され続けるゲーム。市場規模としてもここ10年で急激に成長しており、世界を巻き込んだ一大産業となっているのはGAME Watch読者ならご存知のとおりだろう。
ゲームの進化は現在進行形で続いているが、ここにひとつ楔を打ち込み、ゲーム文化40年の歴史を振り返るドキュメンタリー映画「ビデオゲーム THE MOVIE」が、新宿シネマカリテにて5月23日より公開される。
映画は、Queenの「Don't Stop Me Now」に乗せて、40年のゲームタイトルを詰め込んだモンタージュ映像からスタートする。2Dのシンプルなゲーム画面から色彩が豊かになり、3Dになり……と「スペースインベーダー」から「ウォッチドッグス」まで、ゲームが進化していく過程が一気に見られる。
「I'm a racing car」という歌詞にはレースゲーム、「explode」という歌詞の時は爆発シーンを入れるなどしばしば歌詞と映像をシンクロさせていて思わず笑ってしまうのだが、「俺を止めるな! こんなに楽しんでいるんだ!」という曲のメッセージと疾走感が数々のゲームを楽しんできたゲーマーの興奮と重なり、ゲーム文化を誉め称える素晴らしいオープニングとなっている。
映画は、アメリカで起こったゲームに関する出来事と歴史を追ったものとなっている。「ゲームの起源はどこか?」というテーマから、ゲームハードの変遷、アタリショックによる興醒めムードの中に現われた任天堂というスーパースターの衝撃、ストーリーテリングや芸術作品としての進化、暴力表現の是非、さらにはe-Sportsやインディーゲームの隆盛など、様々な側面から「ゲーム文化」が語られる。
内容の詳細は映画に譲るとして、この映画は、ゲーム業界のキーパーソンに対する膨大なインタビューと貴重な資料の数々によって支えられている。ATARI創立者のノーラン・ブッシュネル氏をはじめ、「ポン」開発者のアラン・アルコーン氏といったレジェンドから、Blizzard、Naugty Dog、Gearbox Softwareなどバリバリ現役の開発者からも証言を得て、ゲーム文化を各視点から立体的に見ることを試みている。
インタビューはテーマに合わせて様々な証言が切り刻まれて再構成されているので、誰が何を言っているかを追いかけだすと頭がクラクラしてくるのだが、誰もが“ゲーム小僧”としての体験を誇りに思っており、その表情が実に楽しそうなのが印象的だ。
スーパースターたる任天堂もその原体験の一旦を担っていて、Blizzard CCOのロブ・パードゥ氏、「Gears of War」のクリフ・ブレジンスキー氏はファミコン(NES)やスーパーファミコン(Super NES)はすごかった! と映画の中で述べている。その張本人たる宮本茂氏のインタビューは残念ながらなかったが、伝説級の宮本氏が現役でゲームを作っていることの凄さを改めて感じさせられる。
ドキュメンタリーとして偉いのは、過去の事象を掘り返すだけでなく、現在起きつつある未来の方向にも目を向けていること。インタビュー部分で言うとRiot Games共同創立者のマーク・メリル氏やOculus VR創設者のパーマー・ラッキー氏にも話を聞いており、e-SportsやVRに関して語る彼らから「過去40年とは何かが違う」雰囲気が出ているのが印象的だった。
惜しむらくは小島秀夫氏くらいしか日本人のゲームクリエイターとしてインタビューされていないのが寂しい(カプコンの小林裕幸氏も出演しているという事前情報があったが、構成上カットとなったそうだ)が、本作を見れば「ゲームは、むしろこれからが活況の時期!」ということが理解できるだろう。e-SportsやVR、それらの新しい現象も含めて、どのようにゲーム文化が進化していくのか。その礎を改めて見直すような作品であった。
(C) 2015