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「FFXI」松井P、「もぎヴァナ」で「ヴァナ・ディール プロジェクト」について説明
「ヴァナ・ディールの星唄」ではついに“ひんがしのくに”に行けるようになる!?
(2015/3/27 00:00)
スクウェア・エニックスは3月26日、PS2/Xbox 360/Windows用MMORPG「ファイナルファンタジーXI」において、バージョンアップ恒例となっているライブ放送「もぎたてヴァナ・ディール!」を開催した。
今回は定例のバージョンアップ情報の解説に加えて、3月19日に正式発表した「ヴァナ・ディール プロジェクト」について、事前に公式フォーラムで募集した質問を松井聡彦プロデューサーが回答する時間が設けられた。松井氏は1つ1つの質問に対して個人の想いも含めて丁寧に回答を行ない、「ヴァナ・ディール プロジェクト」の質疑応答だけで、予定を大幅に上回る70分以上の時間が割かれた。本稿では「ヴァナ・ディール プロジェクト」関連の質疑応答についてまとめておきたい。なお、質疑応答のベースとなっている発表会についてはこちらのレポートで詳しくまとめているので合わせて参照いただきたい。
松井氏はオープニングトークで、「ヴァナ・ディール プロジェクト」でもっともユーザーからの反発が集中したPS2/Xbox 360版のサービス終了についてから語りはじめ、もっとも大きな要因として開発機材の問題を取り上げ、ユーザーに理解を求めた。また、他のプラットフォームへの移植についても、スクウェア・エニックスの作り方としてPS2で最高のパフォーマンスが出るように、開発ツールのものがガチガチにPS2に最適化されているため、PS4やPS Vitaへの移植も難しいということで、今回の判断に至ったことを説明。
松井氏は、今や旧世代機となったゲーム機でサービスを続けたことについて、プラットフォームの担当者が「いつまで付き合う、ビジネスを度外視して良いタイミングまで待ちますからと」と言ってくれたエピソードなどを紹介しながら、SCEと日本マイクロソフトに繰り返し感謝の言葉を述べ、「なかなか本当に例外だらけのプロジェクトでした」と感慨深そうに感想を口にした。松井氏の口ぶりからは、途中で止めて申し訳ないというよりは、やれるところまでやりきったという達成感すら感じられる口ぶりだったのが印象的だった。
松井氏の短い説明の後、長いQ&Aに突入した。以下、一気にお伝えしていきたい。なお、今回答えきれなかった部分については、今後も公式フォーラムや、次回の「もぎヴァナ」などの場で「引き続き言葉をケチらずに回答していきたい」という基本方針が松井氏の口から伝えられた。番組の最後には、次回バージョンアップは「ヴァナ・ディールの星唄」の1回目になることが報告された。また、今後はアップデートサイクルが1カ月に1回から“3カ月に2回”程度になることが伝えられた。4月には各種キャンペーンもスタートするということで、続報を待ちたいところだ。
「ヴァナ・ディール プロジェクト」全体に関する質問
Q:「ファイナルファンタジー グランドマスターズ」、ネイティブアプリ版「FFXI」は他社開発だが、データの引き継ぎ、個人情報の取り扱いはどうなるのか?
松井氏:まず個人情報については、「グランドマスターズ」は新規タイトル、別タイトルなのでデータを渡すことはない。必要になって渡すことがあったとしても、特典を得るためにやるぐらいで、情報をトランスファーして良いかというボタンを押してもらうようなイメージ。正直な所、個人情報を渡すと言うことは考えていなかった。キャラクターデータも個人情報となるが、これについてもすべてではなくピックアップしてお渡しする形になる。使い方としては事前登録時に「FFXI」のキャラクターを登録してもらうという風になるのではないか。
ネイティブアプリ版は、まだ細かい話ができるほどものが出来ていないので大前提やポリシーは話せるが、細かい話はまだ話できない。データの引き継ぎについては、「FFXI」のキャラクターを持っている人は何かしら特典があるようにというのは考えているが、キャラクターデータをそのまま持っていくわけではない。基本的には別アカウント、新規キャラクターで遊ぶゲーム。
Q:なぜPS2、Xbox 360のサービスを終了するのか?
松井氏:ハードウェアがサポート終了するタイミングというところもある。これまでメモリ軽減等の対策でクオリティを保ってきたが、だんだんスクエニとしてサービスのクオリティを維持するのが難しくなったので、このタイミングでサポートを終了するという決断をした。
Q:なぜメジャーバージョンアップまで終了するのか?
松井氏:なるべく長い間、ワールドを開けておきたかったら、支出を減らす施策として、その選択肢を選ばざるを得なかった。また、開発スタッフ達にも、ぜひ新しいこと、新しいプロジェクトに携わって欲しいというのもある。「FFXI」の運営を続けていくためには、なるべくコンパクトなチームにした上でメジャーアップデートは止めざるを得なかった。
Q:メジャーアップデート終了後はどういうことが行われるのか? バランス調整、不具合調整以外に何か行なわれるのか?
松井氏:データの調整で追加できることをやっていく。新規に何かあたらしい、たとえば「デュナミス2」をやるのは無理。開発ツールに頼らずに作れるものをやっていく。たとえば、現在、混雑対策で利用制限が掛かっているものとかを緩和、撤廃したり、それ以外はいまもやっていることだが、ユーザーからフィードバックを得ながら、不具合調整、バランス調整をやっていく。今の時点得具体的にこのコンテンツをやっていくというのはない。
望月氏:ざっくりまとめると、新規コンテンツの追加コストはかけないが、今あるコンテンツを遊びやすくとか力を割いていく。いつでも戻ってこれるようにワールドを開けておく。
「ヴァナ・ディールの星唄」に関する質問
Q:難易度はどれぐらいになるのか? キャラクターレベル99、アイテムレベル119が揃っていなくてもエンディングを迎えられるか?
松井氏:エンディングを見るにはそこまで到達する必要がある。集大成なので、最終的にはアイテムレベル117、119の装備を揃えて、キャラクターレベル99になっていると思う。基本的にはレベリングや装備集めが、ミッションのインセンティブになるようにしたい。ただし、最初からレベル99が必要なわけではない。最初は「ジラートの幻影」のジラートエリアのどこどこにいってこいという話になる。これはもう少し低いレベルでもプレイできる。“星唄”を追いかけているうちに、だんだん必要となるキャラクターレベルや、アイテムレベルも上がるイメージ。
Q:参加条件を教えて欲しい。拡張ディスク、シナリオの登録は必要か?
松井氏:私の説明がわるくて混乱を招いてしまったが、クリアするためには必要になる。結局「星唄」のストーリーの中で、「アルタナエリアのどこどこにいってこい」ということになるので対応する拡張データディスクが必要になる。ただし、「星唄」そのものはアップデートで提供されるので、「星唄」をはじめることそのものにレジストレーションコード(レジコ)はいらない。
それからPS2およびXbox 360の方で、ディスク読めないので諦めている方がいると聞いていますが、必要なデータはパッチで当ててしまおうと思っているので、レジコさえ登録しておけばすべてダウンロードできる。
あと、「最初からやりたいよ」という方や。「プロマシアでやめちゃった」、「アドゥリン持ってない」という方のために、5月のタイミングで拡張データディスクをディスカウントしようとしている。慌てて買ってしまうと、気持ちは嬉しいが割高になってしまうので、慌てないのであればそこまで待ったほうがお得だと思う。「ヴァナ・ディール大感謝祭」ティザーサイトが出来上がるので、それを見ていただければわかるようになっている。
望月氏:まとめると、「星唄」を遊ぶのにレジコはいる。「ジラートの幻影」、「プロマシアの呪縛」、「アトルガンの秘宝」、「アルタナの神兵」、「アドゥリンの魔境」は必要。三部作は不要、アビセアも不要。レジコがあれば、ディスクのインストールが不要。なぜならレジコがある人はパッチとしてデータが入手できるから。開始条件はない。レベルは10いくつでいい。レジコをお持ちでない方は5月にディスカウントを計画しているので待って下さい。
Q:「星唄」では様々なコンテンツや報酬も考えているということだがどういう内容を考えているか?
松井氏:報酬については少し盛りすぎた。報酬は、フェイスをもう1人呼べる、もう2人呼べるみたいなシステム的な部分をいじったり、稼ぎにくいキャパシティボーナスを貰えたりなど、星唄を進めていくといろんなボーナスを得られることを想定している。それが星唄の基本コンセプト。装備品以外のゲームシステム面での報酬を用意している。
また、ジョブポイントは2つ増える。ギフトも11月までに、20まであげる予定。それを最終形にしようと考えている。稼ぎやすくなるか、エミネンスレコードの特定の課題をクリアしようと考えてるので、トータルで50%超えぐらいのボーナスが付くようになっている。状況を見て、厳しいようであれば調整していきたい。星唄とは関係ないがジョブポイントは2つ増やし、ギフト20増やし、稼ぎやすくする。
Q:「星唄」ではクエストやフェイスが追加されるか?
松井氏:クエストは予定無し。フェイス追加はある。メインストーリーは別の話になるので、語られなかったストーリーが語られる。
Q:星唄の中で今まで、バスの立ち入り禁止区画やバタリア、東アドゥリンの進入禁止エリアに入れるようになるか?
松井氏:開放する計画はない。星唄とは別の話。
Q:「星唄」で“ひんがしのくに”に行けるようになるか?
松井氏:行けるかというと、そのリージョンには行けないが、「ヴァナ・ディールの星唄」のイメージイラストに薙刀を持った人が出ていたりすると臭いますよね? その想いを星唄では応えていきたい。がんばります。まだいっちゃいけないと言われているので(笑)。
ネイティブアプリ版「FFXI」について
Q:ネイティブアプリ版「FFXI」は、PS Vitaのような携帯ゲーム機でもプレイできるか?
松井氏:対象となるモバイル端末は漠然としていたが、今はiOSおよびAndroid向けに作っている。1人でも多くの方にと考えるといまはそこかなと。環境が変わって携帯ゲーム機が出たらわからないが。
Q:ネイティブアプリ版「FFXI」は、Windows版「FFXI」とは別のゲームになるのか?
松井氏:セーブデータ、アカウントという意味では違うゲームだが、基本的には「FFXI」のおもしろさを追求しているという点では同じゲーム。誤解されると困るのは、現行の「FFXI」を引き継ぐわけではない。これについてはWindows版でスクエニが運営するし、ネイティブアプリとは別。
「FFXI」のコンテンツについては、現時点で「こうです」とは言い切れないが、沢山のコンテンツをフルで揃えて配信という形にはならないのではないか。ある程度のところまで、ひょっとしたらプロマシアまでしか入れないなど、なんかしらの制限は入ると思う。ジョブとかもそう。ネイティブアプリならではの拡張もあると思う。それは運営を続ければ当然そうなりますという話。最終的にはネイティブアプリ版でも「星唄」が遊べるようになる。
Q:開発チームの皆さんは、ネイティブアプリの開発にも関わるのか?
松井氏:「FFXI」らしい部分の監修をする。企画・仕様・世界観の作成、監修。「FFXI」らしいという部分は基本的に絡んでいく。
Q:ネイティブアプリのビジネスモデルは?
松井氏:答えられる段階ではない。多くのお客様に遊んでいただきたいので、参加しやすい提供方法になるのではないか。これもやっぱりローンチのタイミングでのビジネスの環境。今では想像がつかないような課金方法が出ているかも知れないので断定はできない。
その他の質問
Q:「FFXI」を作り直して、新しいMMOとしてサービスすることはできないのか?
松井氏:「FFXI」のまま作り直すのはどうかな? というのもあれだが、MMORPGはPCで遊ぶモノだったものをコンソールでも遊べるようにというのが「FFXI」のスタートだったと思う。「FFでMMOなんて」という声もあった。沢山のお客さんに遊んでいただくため、モバイル端末、ISO、Androidに向かって挑戦するのが「FFXI」らしいと考えている。そういうところに挑戦していきたいなと。
望月氏:「FFXI」が始まった頃は、MMOというと座ってどっしりという感じだったが、テレビの前で遊ぶ時代から変わってきているのかなという感じ。多くの方に遊んでいただくことを意識して、モバイルプラットフォームで頑張っていく。
Q:オフライン版「FFXI」は?
松井氏:過去にもそういう企画は結構もらったり、あったりするんですけど、実はやっぱり、ちゃんと見積もり始めると、凄い大変だということがわかって頓挫していくというパターン。私自身も作りたいが、どうしてもある部分だけ取り上げる形になる。まるっと取り入れる形でゲーム化するのは難しい。どこかを取り出してゲーム化するしかない。具体的なプロジェクトは動いていない。動いていても言えないが。
Q:PC版はいつまで運営するのか? メジャーバージョンアップ後の予定
松井氏:いつまで続くのかは答えられないが、いまは閉じる予定はない。ヴァナ・ディールで遊んでいるユーザーがいる間は続けていきたい。バージョンアップサイクルは1カ月単位で細々としていくのか、3カ月に1回やるか、たぶんその間ぐらい1~3カ月に1回ぐらいになるのではないか。
Q:今後プレーヤーの人口が増えた場合、メジャーバージョンアップが再開されるなど、計画が変更される可能性はあるか?
松井氏:人口が増えるとビジネス面での問題は解決されるが、その一方で開発環境が厳しいという問題を解決するには至らないので、開発環境が厳しい時点で、人手が掛かるコンテンツを継続して行なうことは難しい。なるべく智恵をしぼりたいが無責任にやりますとはいえないところ。
Q:ミシックウェポンやレリックなど時間を要するものを作成する難易度を緩和する予定はあるか?
松井氏:いわゆる“レリミシエンピ”の価値が著しく下がるような修正をするつもりはない。その代わり、これまで入場制限をかけていたコンテンツに関してはその制限を緩和・撤廃していくので、結果として今よりは入手がしやすくなるのではないか。ログインキャンペーンでいきなり貰えるようになるということはない。
Q:PS2とXbox 360版のサービス終了に伴う、PCへの移行キャンペーンの予定は?
松井氏:PS2やXbox 360で遊んでいただいている方はレジコを持ってるということなので、PC版は無料でダウンロードできるので、データをダウンロードしていただくだけですぐ遊べる。そのやり方が難しい場合は、こうやったら簡単にできますよというページを作っていくかもしれない。
Q:人口が減少した場合は、サーバー統合の予定は?
松井氏:少なくとも11月まで、「星唄」が完結するまではサーバー統合はしないつもり。その後は、PT組めないよという話があったりして、むしろユーザーの方から「統合して欲しい」という話が出てくるのではないかと思っていて、それに向けて計画はしている。統合の仕方は2つを1つにするのか、それとも対象のワールドのユーザーに対して好きなワールドを選んで移転して貰う形になるのかはこれから詰めていく。
Q:月額利用料金について、今後変更される予定は?
松井氏:いまのところ、変更は予定していない。理由は長く続けていきたいから。
Q:プレイオンラインはどうなるのか?
松井氏:質問の意図がよくわからないが、Windows版のサービスが続く限りプレイオンラインは続く。PS2とXbox 360のプレイオンラインは、「FFXI」のサービス終了と共に終了となる。
Q:メジャーバージョンアップ、フォーラムの運営は?
松井氏:カテゴリの見直しはするが、今後も継続していく。基本的に変化はない。
Q:公式フォーラムは、グランドマスターズは公式アプリと一緒になるのか?
松井氏:いいえ。それぞれの運営スタイルで運営すべき話だと考えている。
Q:メジャー終了後ももぎヴァナは今後も続く?
松井氏:ニーズがあるんですかね?(笑) 調整項目が多かったり、内容がわかりにくければ、出張版とかでやるのはあり。
望月氏:「もぎヴァナ」はもともとパッチノートの朗読会。その役割が果たせるならやってもいい。伝えることがないのにやっても、おっさんの雑談になるだけ(笑)。
Q:設定資料集、全曲サントラの発売予定は?
松井氏:具体的な計画はまだないが、色々なものを出していきたいなと考えているので、こういう形でこういうのが欲しいというのがあると、企画が走る可能性があるので、要望を出していただけると嬉しい。実は色んなものが水面下で走っている。お楽しみに!
Q:「ヴァナ・ディール プロジェクト」について、3つ以外に発表されるプロジェクトはあるか?
松井氏:今回の発表は無理矢理やったわけではなくて、「FFXI」がサービス開始から14年に突入して、それまでみんながコツコツ作ってきたパワーがクルーズさんやネクソンさんとの出会いを実現したわけで、今後もそういった広がりや出会いがあると思う。もちろん自分たちでも広げることをやっていきたい。そういう意味ではご期待下さいというところ。
望月氏:ヴァナディールの未来を頑張って作ります。新しいお客様にも来ていただけるように頑張る。新しい発表もできるように頑張る。