ニュース

【特別企画】アニメ文化と玩具文化の1つの到達点「YF-29 デュランダル」

今までのバルキリーの集大成「YF-29 デュランダル」

今までのバルキリーの集大成「YF-29 デュランダル」

「DX超合金 VF-25Fメサイアバルキリー(早乙女アルト機)」
スーパーパーツを装備した「DX超合金 VF-25F スーパーメサイアバルキリー(早乙女アルト機)」

 「DX超合金 YF-29 デュランダルバルキリー(早乙女アルト機)」が生まれた背景はアニメの設定・玩具技術の進化両方で面白い点がある。「マクロスF」で大きく取り上げられた可変戦闘機は「VF-25 メサイア」で、「DX超合金 VF-25 メサイアバルキリー」として早乙女アルト機をはじめとした主要キャラクターの機体が発売された。劇中同様宇宙空間戦闘用の「スーパーパック」、そして重火器を全身に装備した「アーマードパック」も発売され、タカトクの「VF-1 バルキリー」を思わせる幅広い商品展開が行なわれた。

 ちなみに「DX超合金 VF-25 メサイアバルキリー」は、ギミックの再現や細かい造形などかなり凝ったものだったが、ファンからはいくつか不満点を指摘された。全体的なプロポーションが設定画と比べると太めで、ファイター形態の時に厚みのある形状になってしまっているところや、スーパーパックでの一部のパーツが外れやすくなっている点、そして腰ブロックの固定が緩い点などがやり玉に挙げられ、“改良して欲しい”とファン達から声が上がったのだ。

 このファンからの声にバンダイは速やかに応えた。「DX超合金:VF-27γ ルシファーバルキリー」を経て、「DX超合金 VF-25Fメサイアバルキリー (早乙女アルト機) リニューアルVer.」を発売したのだ。玩具は通常アニメ作品の放映が終わると、商品展開も打ち切りとなる。「機動戦士ガンダム」でも再商品化されるのは長い時間がかかる。ところが、VF-25は3年ほどでリニューアルバージョンが発売されたのだ。

 「DX超合金 VF-25Fメサイアバルキリー (早乙女アルト機) リニューアルVer.」の発売そのものは2011年10月で、「YF-29 デュランダルバルキリー(早乙女アルト機)」よりも“後”となるが、メカデザイナー 河森正治氏のインタビューによれば企画そのものは「リニューアルVer.」の方が早く、「YF-29 デュランダルバルキリー(早乙女アルト機)」は開発中のリニューアル技術をフィードバックして制作されたとのことだ。

 リニューアルバージョンでは機体が設定画に近いプロポーションとなり、変形はよりしっかりしたものになった。前にあった不満点を改良し、ファンから大きく評価されるバルキリーの超合金となった。先行して発売された「YF-29 デュランダルバルキリー(早乙女アルト機)」はその改良点を先行して実現させたのだ。

 そして「YF-29」はアニメの設定という点でも、“究極のバルキリー”にふさわしいものがある。YF-29はVF-25と同じ「YF-24 エボリューション」から派生した兄弟機であるが、そのコンセプトは、言ってしまえば、ラーメンでトッピングが全部乗っかっている“全部のせ”状態のバルキリーである。スマートなプロポーションながら、VF-25のスーパーパック状態以上の武装を積んでいる。足と肩にマイクロミサイルポッドを搭載し、旋回砲塔としても機能する2門のビーム砲、そして砲身が変形するビームガンポッドまでも搭載している。

 1つの機体にこれでもか、といった量の武器を全身に装備しているのだ。しかもこれらの武装は機体と一体化した形で収納が可能で、武器を収納したファイター形態はノーマル状態のVF-25とそれほど変わらない。そしてバトロイド形態で武器を展開した時は大きく異なる印象を与えるものとなっている。

 脚部となるメインエンジンに加え、翼部分にもエンジンを搭載、翼部分のエンジンはオスプレイのティルトローターのように回転し、垂直離陸や、通常の可変戦闘機以上の機動をさせることもできる。翼は前進翼となっておりここもVF-25とは大きく異なった印象を受ける。

 VF-25は多くの武装がオプションで、様々なパックにより機能強化を図るというVF-1からコンセプトを受け継いでいるのに対し、YF-29は強力な武装を全て内蔵、前進翼というところも相まってVF-19を思わせる。これまでのバルキリーの進化を受け継ぎ、この機体に凝縮したといえるだろう。

 ファイター形態は極力シンプルでスマートな戦闘機のフォルムを持っているのに対し、バトロイド形態はVF-25と比べると、スーパーパックを装備したように背中のボリュームが増している。上半身もVF-25はちょっと弱々しく感じる部分もあったが、旋回砲塔によってパワフルに見える。あえて武器を極力内蔵しなかったVF-25から、あらん限りの武器を全身につける方向にシフトしたYF-29は、VF-19との関連性を感じさせつつ、直球的に“最強”を感じさせるゴージャスなデザインとなっている。

【DX超合金 VF-25Fメサイアバルキリー(早乙女アルト機)】
アニメより力強いシルエットとなっている

【DX超合金 VF-25Fメサイアバルキリー(早乙女アルト機)リニューアルVer.】
様々な点を改良したリニューアルバージョン。「DX超合金 YF-29 デュランダルバルキリー(早乙女アルト機)」はこのリニューアルのために研究されたギミックを先行して活かしベストなプロポーションを実現した

【DX超合金 VF-25F(早乙女アルト機)用 アーマードパーツ(リニューアルVer.)】
リニューアルバージョンにアーマードパーツを取り付けた姿。これだけの武装をつけ、差し替えなしで完全変形する

(勝田哲也)