ニュース

【E3 2013】100万人のゾンビサバイバル「DayZ」新要素をチェック!

プレイアブル出展で見た「DayZ Stand Alone」の感触をレポート

6月11日~13日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

Bohemia Interactiveブースに「DayZ Standalone」が出展

 本稿でご紹介する「DayZ」は、累計170万人以上のプレーヤー数を誇るPC用の大人気ゾンビサバイバルゲームだ。今回、そのスタンドアロン版となる「DayZ Standalone」がE3 2013の会場にてプレイアブル出展。弊誌では本作についてこれまでご紹介したことがなかったが、会場で触れることができたこの機会に、この魅力あふれる作品の情報をお届けしたい。

激マゾサバイバルの魅力にとりつかれ、度重なる開発遅延にも待ち続けるファンベース

「DayZ Standalone」。リアルな空気感が漂う
街の中には危険なゾンビがうごめく
安全を求めて屋内に身を潜める

 オリジナルの「DayZ」はBohemia Interactiveによるミリタリーシム「ARMA II」のMODとして昨年春に登場するや、瞬く間に大量のファンの支持を獲得し、ベースとなった「ARMA II」の売上を数十倍に伸ばすという快挙を成し遂げた。

 その経緯から、昨年夏には脱MOD計画が浮上。「DayZ Standalone」として製品版のリリースを目指し、オリジナル版の作者Dean Hall氏を迎え入れたBohemia Interactiveによって開発が進められている。

 しかし当初は2012年冬に出るといい、次には2013年1月にβテストが始まるといい、次には4月にリリースしたいといい、ずるずると開発が遅延してようやく5月に100人規模のクローズドαテストが始まるという体たらくで、今日に至っているのが現状だ。

・「DayZ」の魅力とは

 「DayZ」をご存じない方のために説明すると、本作はミリタリーシム「ARMA II」のメインマップとなっていた黒海沿岸の仮想国家、チェルナース共和国の広大なフィールドにてゾンビ相手のサバイバルを繰り広げる作品だ。

 歩いて踏破するには広大すぎるフィールド、お腹もすけば喉も渇き、食料確保に奔走する間にもゾンビにたかられ、ヘタをすれば1発殴られただけで失血死。街や野山を駆け巡り、やっとの思いで少々の財を蓄えたと思っても、ワンミスでお陀仏、すべてを失うというシビアなゲーム性がウリだ。

 生き延び方をマスターし始めるとゾンビはほとんど問題でなくなるが、今度はプレーヤー間の弱肉強食が始まる。知らない人間にばったり出会えば強烈な疑心暗鬼タイムがスタート。どちらが先に銃を抜くか。助けるふりをして殴りかかるかも。やられる前に殺れ。死体はまるで宝箱、食料や武器がガッポリだ。そしてサーバー上は恐ろしく手間と時間をかけたデスマッチ空間と化していく。

 生き延びるには仲間と徒党を組んで食料・武器弾薬・車両を集め、動くものははすべて殺し、誰よりも強力なサバイバーになるしか道はない。ここまで来るともはやゾンビの存在は出汁にしかなっていないが、しかしこのサバイバル地獄を生み出しす切っ掛けはやはりゾンビの存在なのである。これら生存本能を刺激する数々の要素が、全世界のプレーヤーからカルトな支持を受けている所以だ。

・「DayZ Standalone」

 とはいえオリジナル版の作りはMODゆえに粗く、多くの解決できない不具合を抱えている。例えばゲームを台無しにするチート行為と対処療法のイタチごっこが延々と続いており、良心的なプレーヤーはそれを根本的に解決するとされるスタンドアロン版「DayZ Standalone」の登場を首を長くして待っているのだ。

 スタンドアロン版では新しいインベントリシステムや、アイテムのクラフトシステム、建築要素、より賢いゾンビ、新しい武器の数々、そして鉄壁のチート耐性などなど、「DayZ」プレーヤーが息を呑む新要素が満載、になるとされている。

 そんな中のプレイアブル版公開である。ごく一部のαテスト参加者以外には初めて公開されたと言ってよく、せっかくの機会なので筆者も触ってみた。その実際のフィーリングを以下まとめてみよう。

スタンドアロン版で実装される武器のショット。精巧なモデリングだ

探索要素が大幅増加。ゾンビの厄介さが増し、プレーヤーの蓄財要素も大幅拡大

これまで侵入できなかった建物も内部が作りこまれている
ゾンビの足が速く、振りきれない。しかも最後は飛びかかってくる
刷新されたインベントリ。装備品の数が大幅に増えた
少し探すだけでもズボンやヘルメットが見つかる

 スタンドアロン版の操作のフィーリングはオリジナル「DayZ」と同様で、相変わらず無力な人間である。しかし、世界の仕組みは大きく変わっている。まず気がつくのが探索要素の大幅拡大だ。

 「DayZ」では、町中を歩いて見つかる“入れる建物”は、全体の1/5程度だった。それがスタンドアロン版では、ほぼ全ての建物に侵入可能となっている。おかげでオリジナル版と同じ都市を歩いても、はるかに広く、複雑な印象となった。市街戦の様相は一変するはずである。それに、中に入れば当然食料、衣服、弾薬、その他のアイテムが転がっていて、ひとまず飢えを凌ぐだけなら簡単になりそうだ。

 そして、明らかにゾンビが強くなっている。筆者の隣でプレイしていた人がゾンビに絡まれ、街ではなく山の方に逃げていった。しかしゾンビは簡単においついて彼をボッコボコにしてしまう。「なんで俺より速いんだよ!」などと言いながら昇天。

 前作では全力で走っていれば決して追いついて来なかったゾンビの群れが、スタンドアロン版ではプレーヤーよりちょっとだけ足が速い、というバランスになっているのだ。しかもゾンビたちは3~5メートルの距離を一気に跳躍するアクションも身につけており、引きつけて確実に撃ち殺そうと待っていると、予想よりずっと速いタイミングで一撃が飛んできてピンチになる。

 その代わり、プレーヤーの装備で多少の対策をすることも可能になっているようだ。インベントリシステムが一新され、頭から帽子、メガネ、シャツ、ベスト、グローブ、ズボン、ブーツと様々な衣服を身につけられるようになった。例えば乗り物の残骸と一緒によく落ちているヘルメットを被れば多少防御力が増すようで、多少殴られてもそれほど痛くない感じとなる。

 これに合わせて建物内で見つかるものも多彩さが増しており、全身をそれなりの装備にするだけでもかなりの探索を重ねる必要がでてきそうだ。オリジナル版では最強バックパックとナイトビジョンゴーグルでも拾えば終わりだったところ、スタンドアロン版では多彩な組み合わせで見た目の個性も出せそう。

 ブース内での短いプレイでは上記の要素をひととおり見るだけで精一杯だったが、オリジナルの「DayZ」に比べて大幅な進化を果たしていることは確かだ。これに加えてクラフト要素や建築、環境改造の要素などなど、時間をかけて学ぶことになる要素も組み込まれるとなれば、おそろしく遊び出のある内容に仕上がりそうである。

 リリース時期はまだ判明していないが、開発元が本作の完成度を高めるために必要であれば、じっくり時間をかけて開発を進めることをよしとしたい。そうして出来上がったものが「DayZ」を今日も遊んでいるコアファンの期待を裏切ることはないはずだ。

(佐藤カフジ)