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稲船氏、PS Vita「SOUL SACRIFICE」マルチプレイの魅力を語る
台湾ゲームファンはダークなストーリー展開に興味津々
(2013/2/4 09:18)
PS Vita「SOUL SACRIFICE」のイベントでは、作品のコンセプトを創出、提案する“コンセプター”を務めるcomceptの稲船敬二氏と、SCE WWS JAPAN Studioの鳥山晃之氏が作品のポイントを紹介した。稲船氏がステージに登場し、来場者に手を振ると爆発的に歓声が上がった。「稲船さーん!」と日本語で呼びかけ、手を振るファンもいて稲船氏の人気の高さが感じられた。
「SOUL SACRIFICE」は「犠牲」と「代償」をテーマにしたダークな世界観のアクションゲーム。プレーヤーは謎の本に記された日記を“追体験”し、魔法使いとして様々な魔物と戦っていく。最大4人の協力プレイが可能だ。
イベントではデモプレイを稲船氏が解説した。各キャラクターの動きや魔法の紹介、人間が怪物化する本作の世界観、さらには仲間さえも犠牲にして勝利を目指す本作ならではのシステムと、様々な特徴が紹介された。
4人協力のデモプレイ。仲間さえも犠牲にして戦う「SOUL SACRIFICE」の魔法
最初に稲船氏は本作の基本的な要素を紹介し、そしてデモプレイを解説した。デモプレイは4人のプレーヤーそれぞれが映し出され、様々な行動を行っているのが確認でき本作のコンセプトがはっきりと確認できた。
「SOUL SACRIFICE」ではプレーヤーは謎の本の中の世界に赴き、魔法使いとして怪物と対峙する。怪物は実は魔法を使っていったことにより歪んでしまった人間のなれの果てである。彼等がなぜ怪物になってしまったかは、怪物がダメージを受けたとき赤い血の文字となって浮かび上がる。
本作の大きな特徴が倒したモンスターのみならず、倒れてしまった仲間も「犠牲」と「救済」という2つの選択での干渉ができるところだ。犠牲にさせることで生け贄として捧げ、それを元に強力な魔法を使うことができる。救済を選べば命を助けることができる。2つの行動を行なっていくことで、プレーヤーキャラクターは成長していく。
デモプレイでは4人それぞれの動きを見ることができた。戦うのは胴体が丸いタンクのようになった怪物「ジャック・オ・ランタン」。戦場で死んでしまった兵士の魂が怪物化してしまったものだ。プレーヤーキャラクターは多数用意されている魔法から6つを選び使用することができる。魔法を使うための魔力は自然回復していくが、敵を倒して犠牲とすることで回復量を増やせる。
今回はそれぞれのキャラクターが異なる魔法で戦っていった。近接攻撃が得意なもの、回復させる力を持つもの、遠距離攻撃が得意なものといった、それぞれの戦い方を見せてくれていた。そして生け贄と救済である。プレーヤーキャラクターが倒されてしまった場合、他のプレーヤーは彼を生け贄とするか、救済するか選択できるのだ。
生け贄にされてしまうと戦闘中の復活ができなくなる。体験プレイでは1人のキャラクターが生け贄に捧げられてしまった。彼の視点は通常のものと異なるものになり、全てがぼんやりと光るものになった。しかしそこで何もできないわけではなく、他のプレーヤーの攻撃力を増したり、敵の防御力を減らすといった干渉ができるのだ。今回の場合は1人が技と自分を犠牲にする魔法を使った。
一方、攻撃される敵はもの悲しい。斬られ、焼かれる身体から飛び出すのは悔恨の血文字である「兵士になんてならなければよかった」、「家に帰りたい」、「どうしてこんな事になってしまったのか」。怪物そのものは醜く強大であり、アクションの駆け引きもエキサイティングなのだが、攻撃を受け続けている敵がかわいそうな存在に思えてくるのだ。ダークで独特な世界観を持つ作品だと改めて感じた。
デモプレイでは最後、さらにもう1人が自らを犠牲に捧げ強力な魔法を発動させ、敵を倒した。自らを犠牲に捧げたプレーヤーも大量のHPを失いながら何とか生き残った。生き残ったプレーヤー達は怪物の倒れた体の周りに集まり、生け贄とするか、救済するかを選択した。ここでは多数決で敵の処遇が決定する。デモプレイでは彼は生け贄にされてしまった。
この後SCE WWS JAPAN Studioの鳥山晃之氏が登壇し、「SOUL SACRIFICE」の英語音声中文字幕版が2013年夏に登場することを明らかにした。日本語版は日本と同じ3月7日に発売される。また、オリジナルデザインのPS Vita同梱版も発売されることや、日本と同様セガの「サムライ&ドラゴンズ」のコラボレーションが発表された。「ソウル・サクリファイス」の魔族たちが「サムライ&ドラゴンズ」内に魔獣カードとして登場するという。
プレーヤーの体験、受け取り方で変わる、経験を積み重ねていくストーリー
インタビューでは「生け贄と救済をどちらかをずっと続けることは可能か、そうすることでゲームに変化があるか」という質問や、「仲間を電池のように使い捨て敵を倒すようなプレイも可能か」といった質問が上がった。
稲船氏はずっと片方だけをしていくのは難しいと語った。また他のプレーヤーを生け贄にしようににも、自分がされてしまうこともある。こう言ったゲームバランスは日本での体験版配布によってバランスを見ていて、効率のために偏ったプレイはやりにくいようになっている。また倒された場合は「助けてくれ」といった意思表示ができるシステムも入っているが、判断するのはあくまでもう1人のプレーヤーである。
体験版からのユーザーの反応は非常に大きく、製品版のバランスや、足りない要素を補うといった修正は行なわれたと鳥山氏は語った。間に合わなかった部分もあり、これらは何らかの方法で導入していく予定だ。具体的には「もっとたくさんのモンスターと戦いたい」という声も多く、DLCの配信によって新モンスターを追加する予定だ。
エンディングはプレーヤーのスタイルで変化するか、マルチエンディングか、という質問には稲船氏は明確なマルチエンディングではなく、プレイの進め方、受け止め方で物語は変化していくだろうと語った。かなり凝ったしっかりとしたストーリーを用意しており、台湾ユーザーにもたっぷり物語を楽しんでもらえるように中文版を用意
「生け贄と救済は、今までの物語とは違うものにしたかった要素の1つ。本を中心に置いたのもタッチスクリーンというデバイスの特性があった部分がある。色々な要素を繋げていく中で“良いキャラクターになった”といえると思います」と稲船氏は語った。
哀しさを感じさせる敵。常に代償を気にしながら振るう魔法など、「SOUL SACRIFICE」は独特で、グッと引き込まれる魅力を持つ作品だと感じた。特に展開するストーリーには興味を惹かれた。DLCによる展開なども楽しみだ。
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