スクエニ、「VANA★FEST 2012」ステージレポート

「ヒロインズタワー」は第6エリアまで出現。田中氏退社、後任は松井聡彦氏


6月23~24日 開催

会場:パシフィコ横浜



 株式会社スクウェア・エニックスは6月23日から24日にかけて、「A DECADE OF FINAL FANTASY XI VANA★FEST2012」をパシフィコ横浜にて開催した。

 初日は入場制限があるほどの混雑となったが、会期2日目にあたる24日もその勢いは衰えず、会場は多くの人で溢れかえっていた。

 会場のメインステージでは新バトルフィールド「ヒロインズタワー」を来場者が実際に体験して対戦する「ヒロインズタワー頂上決戦」や、来場者が「FFXI」に関するクイズに答える「ヴァナ・ディール横断 ヴリトラクイズ」、開発者によるトークセッションなどが開催された。

 この記事では、会期2日目のメインステージで披露された「ヒロインズタワー」の情報や「ヒロインズタワー頂上決戦」、そしてフィナーレで田中弘道プロデューサーが行なった退社報告の模様をお伝えする。なお開発者トークセッションについては別の記事を参照にしていただきたい。



■ 「ヒロインズタワー」新情報も明かされた「ヒロインズタワー頂上決戦」

チームは即席、しかも未知のエリアなので、ほぼ生贄状態
司会を務めたのは左からスクウェア・エニックスの望月一善氏と声優の小西克幸さん
ステージでは5番目のヒロインが「ミュモル」であること、さらに全員を倒すと6番目のエリアが出現することが明かされた

 「ヒロインズタワー頂上決戦」は、今回のイベントのために作られたという特別なバトルフィールド「ヒロインズタワー」を使ったステージイベント。イベントではスクウェア・エニックスの望月一善氏が「ヒロインズタワー」の全貌を明かす場面があった。

 「ヒロインズタワー」は、6人のチームで挑戦するスペシャルバトルフィールドで、「FFXI」に登場したヒロインたちと戦えるというもの。「ヒロインズタワー」で対戦できるヒロインは「ライオン」、「ブリッシュ」、「アフマウ」、「リリゼット」、そして「ミュモル」の5名。これまで5人目の「ミュモル」は公式サイトでは誰だか明かされていなかったが、望月氏がこの場で明かした。

 ヒロインにはそれぞれに1から5までの番号が振り分けられており、「ヒロインズタワー」内にある、番号に対応した「Rune of Transfer」からロビーエリアに入れる。各ロビーエリアには古今東西のNPCやモンスターたちのいるエリアがあり、それを抜けると最終的にヒロインに辿り着くという作りになっている。

 また「ヒロインズタワー」では1名のヒロインを倒すごとに制限時間が15分ずつ延長されていき、5名全員を倒すと称号を獲得できる。その状態でもう1度エリアに入ることで、6番目の「Rune of Transfer」が出現するという。ここではそれまでのヒロイン5名全員が現われ、対人型のバトルフィールド史上でも過去最多の人数が登場する熾烈な戦いが体験できるようだ。

 なお「ヒロインズタワー」へ入るためには、「Runic Seal」にアイテム「アテナオーブ」を渡さなくてはならない。この「アテナオーブ」はアップデート後に入手できるようになり、ゲームの所々で獲得できる機会を作るという。


ヒロインのいるエリアに行くまでにモンスターやNPCがいる。倒したり話しかけたりすることで「テンポラリアイテム」を入手できるので、戦闘を有利に進められる

 この「頂上決戦」では、当日来場者から参加者を募集し、即席の2チームでヒロイン1人を倒す時間を競った。望月氏は、「ヒロインズタワー」のポイントについて、ロビーエリア内にいるNPCに話しかけたり、モンスターを倒すことで手に入る「テンポラリアイテム」を挙げた。制限時間が差し迫る中ではあるが、時間をかけても「テンポラリアイテム」を得ることでヒロインとの戦いが楽になるようだ。ただし、モンスターを倒しても必ず「テンポラリアイテム」が手に入るわけではないので、注意してほしいとも話した。

 さて実際の対戦だが、本来であれば3番の「Rune of Transfer」に出現する「アフマウ」を倒す時間を競うはずだったものが、片方のチームが「リリゼット」のエリアを選んでしまい、対戦が成り立たなくなってしまった。しかしプレイはそのまま続けられ、結果的には未実装のプレイ画面を2ヒロイン分見られることになった。

 「リリゼット」は、体力が半分まで削られると、2体に分身して襲ってくるという特徴がある。しかも片方は幻影なので、ダメージが通らず、いかに本体を見極めて戦っていくかが重要となる。

 一方「アフマウ」は、2体の「マトン」と共に出現する。望月氏はチームの進行を見ながら、「『マトン』から倒した方がいいですよ」、「あ、2体の『マトン』は近づけない方がいいですね」などとアドバイスを送っていた。

 プレイの結果は、残念ながら2チームとも全滅してしまった。これらのヒロインの強さを見る限り圧倒的に強い印象だったが、望月氏は「ちゃんと倒せるようにしています」と話した。また会場では制限としてサポートジョブを受けられない状態だったが、実際のプレイ時にはサポートジョブを受けられることも付け加えた。


なお初日の対戦は「ライオン」だった。「ライオン」の後ろには堂々と腕組みをして立つ「ギルガメッシュ」(戦闘には非参加)がおり、「ライオン」に必殺技の指示を出していた
様々な方法で襲ってくるヒロインたち。なお望月氏によれば、「ミュモル」がとんでもなく長い名前の呪文を唱え出したらそれは即死魔法なので「密着するか魔法が届かない場所まで行くように」だそうだ


■ フィナーレで田中弘道氏が退社の報告。後任は松井聡彦氏

「FFXI」プロデューサーの退任、そしてスクウェア・エニックス退社の報告を行なった田中弘道氏
新たに「FFXI」プロデューサーに就任した松井聡彦氏
田中氏は、「冒険者との思い出が宝物」とプロデューサーとして最後の挨拶を行なった

 全てのイベント終えた最後、「FFXI」をプロデューサーとして引っ張ってきた田中弘道氏から「大事なお知らせ」として自身の「FFXI」プロデューサー退任と、スクウェア・エニックスの退職を報告する挨拶を行なった。田中氏は、来場者やインターネット中継を見ているユーザー、そしてスタッフ全員に感謝を述べた上で、健康上の理由、そして「もう1度身軽な立場でクリエイターとしてやってみたい」という意向があったことを会社に伝えたとし、「旧スクウェア創設から30年間関わってきたスクウェア・エニックスを来月で退職することになりました」と話した。

 田中氏の後任には、かつて「FFXI」でディレクター経験のある松井聡彦氏が就任することが発表された。松井氏は現在「FFXIV」リーダーバトルプランナーを務めており、「FFXI」プロデューサーとの兼任となる。

 壇上に呼ばれた松井氏は就任の挨拶として、「最初は私が力不足であることから断るべきではと考えたのですが、田中さんから直接声をかけていただいたのと、私の大好きな『FFXI』のことですから、覚悟を決めて引き受けさせていただきました。田中さんは巨大な方で到底敵わないとは思うのですが、幸い田中さんが優秀なスタッフを育ててくれていたので、みんなで力を合わせてやっていきたいと思います」と述べた。また「何よりも私の仕事は『FFXI』と『FFXI』のコミュニティを大事にすることだと心得ておりますので、これからも『FFXI』をよろしくお願いいたします」と今後の意向を語った。

 田中氏は「これからは彼や伊藤(泉貴)ディレクターが、拡張ディスクを含めた新しい展開を率いてくれると思います」と述べ、「私は力及ばずここで退陣しますが、この10年間、冒険者と過ごした思い出は私の宝物です。本当にありがとうございました」と最後の挨拶を行なった。



【「ヴァナ・ディール横断 ヴリトラクイズ】
クイズイベントでは、「ヴァナ・ディールにある街や都市の中でアルザビ、ナシュモ、ノークでは売られていないアイテムは何?」といったものや「この中にマンドラゴラは何匹?」と画面を表示させる問題などが出題された。なおイベントの前には望月氏が“明日使えるヴァナ知識”として、両手刀「村雨」の真の追加効果はウェポンスキルが全て無属性になること、狩人のジョブアビリティ「デコイショット」では、肩代わりさせる敵対心の上限を「カモフラージュ」と併用することでなくせること、「ヴォイドウォッチ」での「ヴォイドウォーカー」は、出現してから5分経ち、ターゲットを取っている人が 「/fume」(悔しがる)とコマンドを入れることでログが出て弱点がシャッフルされることなどを披露した

【ライブクエスト】
会場で密かな盛り上がりを見せていたのがクエストをリアルに体験できた「ライブクエスト」。会場を巡らせるスタンプラリー的なものかと高を括っていたら、チェックポイントごとに本格的な謎が仕掛けてあり、「FFXI」の知識だけでなくひらめきも必要な試練となっていた画像は仕掛けられた謎とその答え合わせの様子

【ミュージックスペシャルステージ】
水田直志氏の3人組バンド「Nanaa Mihgo's」は2日連続でライブパフォーマンスを行なった
植松伸夫氏率いる「EARTHBOUND PAPAS」のステージでは、「片翼の天使」やオペラ「マリアとドラクゥ」などがパフォーマンスされた。もはや国内では演奏がなかなか見られないほど、貴重なステージとなった

【フィナーレ】
最後はミュージックステージに出演した水田直志氏や植松氏、歴代プロデューサーも登壇し、2日間のお祭りはフィナーレを迎えた

(2012年 6月 24日)

[Reported by 安田俊亮]