Microsoft、アクションレース「Forza Horizon」プレビュー

「Forza」エンジンによる夢のオープンワールドレーシングゲーム!


6月5日~7日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center



 長らくレースゲームの分野で世界を牽引してきた英国。日本でもなじみ深い「コーリンマクレーラリー」シリーズを筆頭に、「Project Gotham Racing(PGR)」、「TOCA」、「F1」、「Burnout」、「DiRT」、「GRID」シリーズなど様々なレーシングゲームが英国から生まれ、その存在感は今なお健在だ。しかし肝心のクリエイター自身は離合集散を繰り返しており、「GT」シリーズを展開する日本のポリフォニー・デジタルや、「Forza」シリーズを展開するTurn10 Studiosのようなビッグフランチャイズを定期的に制作するスタジオはCodemastersのみといっていい。

 今年、そうした状況に変化が訪れるかも知れない。業績悪化により閉鎖したBizarre CreationsやCodemastersのメンバーを中心に設立されたPlayground Gamesに、そうした一騎当千の人材が集結しているからだ。その彼らがMicrosoftと手を組んで制作しているのが「Forza」シリーズ最新作「Forza Horizon」である。

 「Forza Horizon」は、今年の春にMicrosoftのプライベートショウで正式発表され、E3 2012では初のプレイアブルが公開され、開発者インタビューも行なわれた。さっそくレースゲームファンによるレースゲームファンのための「Forza Horizon」プレビューをお届けしよう。

【Microsoftブース「Forza Horizon」コーナー】
Microsoftブース「Forza Horizon」コーナーでは、優美なボディラインが特徴的なDodge Viper SRT GTS 2013を展示。プライズを求めて多くの来場者が列を作った

【「Forza Horizon」クリエイター】
Playground Games「Forza Horizon」デザインディレクターRalph Fulton氏「Forza」取材ではお馴染みのTurn10 Studiosシニアゲームデザイナー谷口潤氏

【Forza: Horizon E3 2012 Trailer】



■ 「Forza」エンジンを使った初のオープンワールドレーシングゲーム「Forza Horizon」

「Forza Horizon」デザインディレクターRalph Fulton氏が解説を行なってくれた
闇夜の奥に見えるネオンがHorizon Festival会場となる
木片やテントをはじき飛ばしながら疾走するDodge Viper SRT GTS 2013

 まず最初にお詫びしなければならないのは、「Forza Horizon」について、「Best of Xbox Showcase」レポートで、当初「Forza 4」のゲームエンジンを採用し、60fpsと記載していたが、実際は30fpsだったことだ。「Forza」ブランドの努力目標として60fpsというものを掲げてはいるが、「Forza Horizon」はアクションレースであり、1/100秒を競うゲーム性ではないため、現状では30fpsで開発を進めており、おそらくこのままで完成させるようだ。その一方で、フレームレートは30fpsに半減したものの、物理演算処理は「Forza 4」と同じ360fpsを維持しており、「Forza」の正確性、信頼性は損なわれていないとしている。

 「Forza Horizon」が「Forza Motorsport」シリーズと異なるのは、シリーズ初のアクションレースゲームであるところだ。日本でアクションレースというと任天堂の「マリオカート」シリーズのようなゲーム的なギミックが搭載されたレースゲームを意味するが、欧米ではストイックなレースシミュレーター以外全般を指すようだ。

 「Forza」シリーズなので、さすがに特殊スキルやターボといった機能はないが、柵などのオブジェクトを破壊しながらの走行は可能で、場合によっては飛行機とレースをすることもあるようだ。デモでは飛行機の爆音でコントローラーが振動するというギミックがあったが、そうしたアクションレースならではの“遊び”もいくつか用意されているようだ。

 基本的なゲームデザインとしては「Test Drive」、「Burnout Paradise」、「Midnight Club: Los Angeles」のようなオープンワールドスタイルを採用しており、主人公はコロラドをモチーフにした架空の地域で開催されるHorizon Festivalに参加するために街を訪れたところ、レースの枠に空きがあることがわかり急遽参戦を決めるというもの。ゲームの目的はイベントのレースでチャンピオンになるか、フェスティバルのスタートして人気の度合いを示すポピュラリティランキングを1位にするかのいずれか、あるいはその両方となる。

 Horizon Festivalは、オートショー、レース、サマーミュージックフェスティバルなどを融合させた大型の屋外イベントということで、直接のモチーフは存在しないということだが、フジロックフェスティバルなどはリサーチにいったという。オープンワールド感を演出するために、BGMはラジオ局を3局(ダンス/エレクトニック、インディーズ、ロック)収録しているという。

 ゲームのメカニズムとしては、Horizon Festival主催のレースや、オープンロード上で開催される各種レース、あるいはゲーム内でライバルとして登場する複数のドライバーアバターとのタイマンバトル等を通じて賞金を稼いだり、ポピュラリティランキングを上げ、さらなる上を目指していくというスタイルになる。レースだけでなく、新たな道を開拓したり、危険走行を繰り返すことでもランキングポイントが稼げる。

 レースは、コロラドを再現したエリア全域が対象となるという。「Forza」シリーズはもともとサーキット以外のコースも存在しているが、「Forza Horizon」が描くコロラドの山岳地帯や雪原地帯、街、河辺といった多様性の豊かさという点ではシリーズ中でも群を抜いており、なんといってもダートが初採用されているのが新しい。このため、現時点ではまだ収録メーカーや車種は公開されていないが、ダート系の車も多数収録される見込みだ。

 オープンワールドスタイルのゲームなので、レースばかりが目的ではなく、美しい風景があれば実際にそこまで走っていくことができる。こうしたことから“遠景の風景”として描いていれば良かった「Forza」シリーズとは異なり、複数のテクスチャ解像度を用意する必要があって制作が大変だという。

【Viper SRT GTS 2013】


■ オープンワールド、昼夜の概念、太陽シミュレーション、新規要素が盛りだくさん!

Kinectの音声認識で目的地を告げると、地面にアシストラインを引いてガイドしてくれる
美しい夕焼け。昼夜の変化が感じられるのは嬉しい

 シリーズ初という点では、24時間の時間の概念を取り入れ、昼夜はもちろん、太陽の動きも再現し、朝日や夕焼けも楽しめる。インゲームツーリングが楽しそうだ。また、新車の購入やチューニング、カラー変更などは、メニューからサクッと行なうというわけにはいかず、フェスティバル会場まで行く必要がある。ただし、ファストトラベル機能があるため、その都度そこまで走る必要はない。

 オープンワールドで、時間の概念を取り入れたことで、若干修正されたのは破壊の表現だという。「Forza 4」ではクラッシュするとかなり派手に壊れ、走行にも影響がでるようになっていたが、レースが終われば再び綺麗な車を乗ることができる。「Forza Horizon」はそういうわけにはいかないので、車の破壊表現はマイルドになり、走行性能にも影響がでないようになっているという。だから、クラッシュしたからといってよたよた山を下って街まで行く必要は無い。

 物理挙動についても、若干マイルドになっているようで、従来SランクにDodge Viperのようなラグジュアリーカーでも、それほどアクセルの踏み方を気にせずに楽しく走ることができた。もちろん、アシスト機能を調整することで、従来の「Forza」らしいシミュレーション重視でも走ることができるようだが、「Forza Horizon」では新規層を含むよりワイドな層の開拓を目標のひとつとして掲げているため、デフォルト設定は甘めになっているようだ。今回のデモプレイでも、非常に走りやすいゲームになっていると感じた。

 上記の紹介で、「Test Drive」、「Burnout Paradise」、「Midnight Club: Los Angeles」などの経験者なら、「Forza Horizon」のだいたいのゲーム性は想像できたはずだが、気になるのはマルチプレイだ。この部分に関してはまだ明らかにされていない点が多いが、「Forza Horizon」ではシングルとマルチは完全に分離されており、「Test Drive」のように同一ではない。

 マルチプレイに関しては、「Forza」シリーズのように単独レースのマッチングも行なえる一方で、オープンワールドを最大8人でツーリングが楽しめるようなモードも用意されているという。ただ、これはシングルプレイキャンペーンとは一切リンクせず、お気に入りの車で仲間と共に走るというシンプルなモードのようだ。競売システム、トレードシステムなどは現時点ではまだわからなかった。

 ほか、取材で判明した情報をまとめておくと、まずKinect機能は音声認識によるGPS操作のみで、「Forza 4」で搭載されていたオートビスタモードやヘッドトラッキング機能は搭載しない。トップギアとのタイアップは想定していない。バイクは登場せず、車のみとなる。ただし、競争相手は車だけではない。

 「Forza Horizon」は、「Forza」シリーズのファンにとっては評価の分かれるタイトルになるかもしれない。あくまでストイックなレースシミュレーションを体現する存在として「Forza」を希求してきたコアなレースゲームファンにとっては「Forza Horizon」はアバンギャルドすぎると感じられるかも知れない。逆に「Forza」のストイックさ、真面目さに物足りなさを感じてきた人にとっては「Forza Horizon」は理想のアクションレースゲームになるだろう。個人的には私の評価は完全に後者で、“「Forza」でオープンワールド”は、長年の念願だっただけに「Forza Horizon」の発売は楽しみで仕方が無い。「Forza Horizon」はまだメーカー、車種、レースモード、マルチプレイなど多くの謎を残している。新情報が公開され次第お伝えしていきたい。

【日産】
「Forza」ではお馴染みの日産カー。そのほかのメーカーについては今後発表予定としている

(C) 2012 Microsoft

(2012年 6月 9日)

[Reported by 中村聖司]