Nintendo of Americaブースレポート その1
任天堂公式テーマパーク「Nintendo Land」の5つを体験
試遊台が置かれたフロアはゲーム内のパークをイメージしたデザイン |
今年のNintendo of Americaブースは、年末発売予定のWii Uのタイトルで埋め尽くされた。北米で3DSが発売されてから初めてのE3にも関わらず、ブース内に3DSが置かれている姿を見ないという徹底振りだ(一応、数人のコンパニオンが3DSを持ち歩いて来場者に遊ばせてはいる)。出展タイトルはファーストパーティーからサードパーティーまで幅広いラインナップで、発売日がいまだ未発表とは思えないほど充実している。
その中でも特に多くの試遊台を用意していたのが、「Nintendo Land」だ。任天堂タイトルやキャラクターをモチーフにした12種類のアトラクションを収録した、バーチャルテーマパークとなっている。先日のプレスカンファレンスでは、Wii Uのソフトウェアプロデューサーを務める江口勝也氏が「任天堂キャラクターが登場するテーマパークは『Nintendo Land』だけ」と冗談めかして語っていたが、伊達にNintendoの名前を冠してはいない。Wii Uの持つ可能性や遊びの楽しさを示してくれる内容になっている。
今回は12種類のアトラクションのうち5つが公開され、実際にプレイできた。その内容を1つずつお伝えしていこう。スクリーンショットはこちらの記事にも掲載しているので、合わせてごらんいただきたい。
■ 4対1の対戦型ゴーストハンティング「Luigi's Ghost Mansion」
「ルイージマンション」をモチーフにした対戦型のゲーム。平面に描かれた建物の内部で、Wii U GamePadを持つプレーヤーがゴーストを操作。Wiiリモコンを持ったプレーヤーはゴーストハンターとなり、4人で協力してゴーストを捕まえる。ゴーストは、ハンターが持つ懐中電灯に照らされるとダメージを受け、一定量のダメージでつかまえられてしまう。
ゴーストは人数的に不利だが、テレビには姿が映らないため、ハンターには姿が見えない。Wii U GamePadの画面には姿が映っているので、ゴーストのプレーヤーだけが自分の位置を把握できる。そして懐中電灯に照らされることなくハンターに触れられれば、1発でハンターを気絶させられる。ハンターに捕まる前に、すべてのハンターを気絶させれば勝利となる。
見えないゴーストを相手にするハンターだが、唯一ゴーストを探す手がかりとして、ゴーストとの距離が近づくとコントローラーの振動が激しくなる。近くにいると思ったら、懐中電灯を点けて前後を確認すればいい。
ここからがゴーストとハンターの駆け引きになってくる。懐中電灯の電池には限りがあり、使いすぎると電池が減って光が弱くなり、最後には点かなくなる。こうなるとゴーストと戦えないので、時々マップ上に現われる電池を取りに行かねばならない。しかし電池が減ってきたプレーヤーは画面で確認できるのでゴーストにも情報は伝わるし、電池の近くで待ち伏せされる可能性もある。
ゴーストとしては、いち早くハンターを捕まえて数を減らしたいところではあるが、焦らず電池を使わせるのも1つの手。ハンターの近くにいながら壁や柱を挟んで動いていれば、ハンターはどうしても懐中電灯を使ってしまう。そして電池が減ったところで襲い掛かればいいわけだ。対するハンターは、「こっちにいるぞ!」と他のハンターに呼びかけて集まってもらえば、ゴーストを取り囲めるチャンスになる。
気絶したハンターは、他のハンターが懐中電灯で一定時間照らすことで回復する。しかし、その状況はゴーストの格好の餌食。仲間を助けるのに気が向いているハンターに襲い掛かって2人目の犠牲者にしてやればいい。逆にハンターは仲間を助けに行ったと見せかけて、近づいてきたゴーストを照らしてやるという作戦も取れる。
……といった具合に、持っているコントローラーによって、持っている情報と能力が異なる。任天堂はこれを「非対称のゲームプレイ」と呼んでおり、Wii Uで最も特徴的なポイントだ。
Wii U GamePadの画面にだけ、ゴーストが映っている。プレーヤーごとに情報量の違いを作る非対称ゲームプレイの一例 |
■ キャンディを持っていくどうぶつ達を捕まえろ!「Animal Crossing: Sweet Day」
「どうぶつの森」をテーマにしたアトラクション。こちらも非対称ゲームプレイの対戦型コンテンツとなっている。
Wiiリモコンを持つ4人のプレーヤーは、森のどうぶつ達となり、フィールドに落ちていたり、木にくっついているキャンディを一定量集めるのが目的となる。対するWii U GamePadを持つプレーヤーは、森の番人となって、キャンディを取ろうとしているどうぶつ達を合計3回捕まえれば勝利となる。
どうぶつ側は、とにかくキャンディを拾う。最初から地面に落ちているものもあるが、木にくっついているものは、木の下にあるパネルを一定時間踏むことで木から落ちてくる。大きな木は2人、3人でパネルを踏まないと落ちてこないので、プレーヤー同士の協力が必要になる。キャンディをある程度拾うと足が遅くなり、番人に捕まりやすくなってしまうので、自発的にキャンディを捨てることも可能になっている。
番人側は、2人のキャラクターを同時に操作する。左右のアナログスティックに1キャラクターずつ割り振られており、LZ/RZボタンで前方へ飛び掛かるような攻撃ができる。手元の画面は、2人のキャラクターが常に両方見えるよう自動的に拡大縮小される。これに対してテレビ画面は4分割され、各プレーヤーのキャラクターの周囲が一定範囲しか見えない。この特性を利用して、番人側は1人で挟み撃ちにする作戦が取れる。
非対称ゲームプレイの面白さに加えて、1人で2キャラクターを操作するという操作感が新鮮。見た目にはカジュアルだが、Wii U GamePadでの操作はゲーマーにも歯ごたえの感じられる内容になっている。
こちらも非対称ゲームプレイながら、2人を同時に動かすという操作そのものが楽しい |
■ 剣と弓で役割分担して進む協力型アクション「The Legend of Zelda: Battle Quest」
「ゼルダの伝説」をテーマにしたアトラクション。こちらも多人数プレイが可能な内容だが、対戦ではなく協力プレイのコンテンツになっている。
会場では3人プレイを体験でき、Wiiリモコンを持つ2人は剣で、Wii U GamePadを持つプレーヤーは弓で戦う。Wii U GamePadの画面には、弓のプレーヤーの視点だけが表示される。決められたルートを自動的に進んでいくライドアトラクション風のシステムで、前方から現われる敵を協力して倒しながら進んでいく。
最初は正面から歩いて近づいてくるモンスターばかりだが、高台から遠距離攻撃を仕掛けてくる敵も途中から現われる。こういう敵は剣の攻撃が届かないため、Wiiリモコンのプレーヤーは盾で飛んでくる攻撃をガードするしかない。弓のプレーヤーが対抗して倒す。
ある程度進むと、水晶玉のようなオブジェクトが3つ出てくる。これを5秒以内に3つとも全てに攻撃を当てると先に進める。ただし1つは剣が届かない位置にあり、やはり弓を当てなければならない。
ライフは全員で共有しているため、たとえ1人だけがダメージを受け続けて倒されても、そこで全員がゲームオーバーになる。途中のモンスターには、盾を構えていない方向に斬りつけなければダメージを与えられない敵も現われるなど、「ゼルダの伝説 スカイウォードソード」をカジュアルに仕立てたようなパーティーゲームになっている。
これも非対称ゲームプレイだが、対戦ではなく協力型。それぞれの役割を果たすことで仕掛けを突破し先に進める |
■ 手裏剣を投げて忍者を倒す「Takamaru's Ninja Castle」
「謎の村雨城」より、主役の鷹丸をイメージしたアトラクション。こちらは1人用となっている。
画面に次々に現われる忍者に手裏剣を投げて倒すというシンプルなゲーム。手裏剣は、Wii U GamePadを縦に持ち、画面をタッチして下から上へとスライドさせると投げられる。投げる方向は、Wii U GamePadの向きで決まる。手のひらに乗せた手裏剣をシュッと投げるイメージだ。手裏剣が飛ぶ速さは、指を滑らせた距離や速さで変わる。
手裏剣は数に制限なく投げられるが、敵に連続して当て続けることでコンボが繋がり、ヒットごとに得点が増えていく。多くの敵を、いかに連続して倒せるかでスコアが決まるゲームになっている。
敵は最初、ただ出てきて引っ込むだけのものが現われるが、途中からは手裏剣や爆弾を投げてくるものも現われるので、こちらも手裏剣を投げて迎撃する。そして最後は手裏剣が効かないボスが現われる。ボスはいきなり接近して刀で斬りつけてくるが、こちらも刀で斬り返せる。刀を振る操作は手裏剣を投げるのと同じなので特別意識する必要はない。
Wii U GamePadの画面には、手裏剣をスライドして投げるというガイドだけが表示されている。Wii U GamePadの使い方のアイデアを1つ示したゲームとなっている。
手裏剣を投げて敵を倒すだけのシンプルなゲーム。わかりやすいゲーム内容が好まれてか、5つのアトラクションの中で1番人気だった |
■ 昔懐かしいけれど新しいアクションパズル「Donkey Kong's Crash Course」
「ドンキーコング」を題材にしたアトラクション。画面には細かいパーツで組み上げられたコースが表示されており、台車のようなキャラクターをコースの奥へと進めていく。
台車は自走できず、重力に引っ張られて動く。テレビは常に平行な映像になっているが、Wii U GamePadの画面はコントローラーの傾きに合わせて傾く。つまりWii U GamePadのモーションセンサーが傾きを感知し、その傾きによって台車を転がして進めていく。
台車は上に生卵を乗せているようなイメージで、何かの拍子に台車が裏返ったり、高いところから落下したりすると壊れてしまう。慎重に移動せねばならないのだが、ある程度加速して飛び越えるような場所もあったりして、素早くWii U GamePadの傾きを戻してブレーキをかける操作を求められることもある。
さらに先に進むと、L/Rボタンやアナログスティックで動きを制御できる仕掛けが現われる。Lボタンを押すと倒れて進めるようになる壁などがあるのだが、そこを超えきらないうちにL/Rボタンを離すと壁が元のポジションに戻ってしまい、台車が跳ね上げられてミスになる。そういった仕掛けを次々と使って先に進んでいくという、集中力を必要とするアクションパズルゲームになっている。
操作の特性上、プレイ中はほぼテレビを見ることなく、Wii U GamePadだけを見てプレイすることになるので、今回の5つのアトラクションの中では唯一テレビがなくても遊べるタイプではないかと思う。ただコースの先を見たい時はテレビが欲しいし、他の人がプレイの様子をテレビで見ていれば「そこは危ない!」などと盛り上がれるゲームにはなっている。
Wii U GamePadを傾けて台車を進めていく。少し進むとすぐ新しい仕掛けが出てきて、よく考えて慎重にやらないとなかなか先に進めない。見た目に寄らずかなり難しい |
(2012年 6月 7日)