「Nintendo All-Access Presentation @ E3 2012」レポート

宮本茂氏が語るWii Uの“テレビからの自立”と「ピクミン3」


6月5日(現地時間) 開催

会場:Nokia Theatre



会場のNokia Theatre

 任天堂株式会社の米国法人Nintendo of Americaは6月5日(現地時間)、米ロサンゼルスにあるNokia Theatreにて、プレスカンファレンス「Nintendo All-Access Presentation @ E3 2012」を開催した。

 このカンファレンスでは、今回のE3で最も注目を集めているWii Uについての数々の発表が行なわれた。発売日は2012年末と言うに留まり、価格については話題すらなかったものの、対応タイトルの情報が次々と発表され、本体発売に合わせて多くのタイトルが登場することを感じさせる内容となった。

 カンファレンスの開幕を告げたのは、「マリオ」や「ゼルダ」の生みの親として海外でも絶大な人気を持つ、任天堂の宮本茂氏。ステージに現われた宮本氏は、Wii Uの開発までの経緯を語るとともに、Wii U用の新作「ピクミン3」を紹介した。




■ 宮本茂氏が語る、Wii Uによる“テレビからの自立”

Wii Uについて語る宮本茂氏

 Wii Uの開発が始まったのは、6年前のWiiの発売の翌年のこと。任天堂の社内で次のハードをどうするかが話し合われ、そこで達した結論は、「家庭のリビングの中心になれるエンターテイメントツールになるには、テレビに依存していてはいけない」というものだった。

 家庭用のコンソールゲーム機はその登場以来、ずっと変わらずテレビに接続して遊ぶものだった。そのため、「テレビより上の立場にはなれなかった」と宮本氏は言う。誰かがテレビを見ていたらゲームができないし、テレビの電源が入るまでゲーム画面が見られない。それが「テレビに依存する」ということだ。

 そこで任天堂は、「次のゲーム機は小さくてもいいから、いつでも見られる自分のモニターを持つようにしよう。そして家族がリビングに来た時、一番に見るモニターになるようにしよう」と考えた、それがWii Uという新ハードの始まりになったという。

 その結果として完成した「Wii U GamePad」は、ファミコンの登場から30年に及ぶ長いコンソール機の歴史において、初めて自分専用の画面を持つハードとなった。宮本氏は、「このテレビからの自立によって、テレビに依存してきたゲーム機の歴史が大きく変わると思う。いつでも手元にあって、素早くゲームを立ち上げられる」と述べた。

 また任天堂は、これまでにも何度か取り組んできた、携帯ゲーム機と据え置きのコンソールゲーム機とを繋ぐゲームについても、Wii Uでその成果を見せる。宮本氏は、「(Wii U GamePadは)サブモニターとして大型テレビと一緒に使えるので、家庭のテレビの使われ方も大きく変わっていくと思う」と語った。




■ グラフィックスと操作感の向上による、全く新しい「ピクミン」

ついに明かされた「ピクミン3」
ピクミンを操って効率よく目的を達成していくゲーム。ワラワラとついてくるピクミン達の動きが可愛い

 宮本氏はこのWii Uを開発している間に、次の「ピクミン」をこのハードで作りたいと考えたという。その言葉とともに、Wii U用「ピクミン3」が発表された。「ピクミン」シリーズはWiiへの移植を除けば、ニンテンドーゲームキューブ用「ピクミン2」から8年ぶりの新作となる。

 「ピクミン」は、小さな生き物のピクミンを操って目的をこなしていく、リアルタイムアクションマネージメントゲーム。ピクミンにはいくつかの種類があり、それぞれのピクミンの可愛らしさもゲームに欠かせないポイントになっている。しかしそれは同時に問題も抱えていた。「1作目ではカメラの距離に悩んだ。距離を離さないとと全体が見えないが、離れすぎるとピクミンが見えない」と宮本氏は語った。「ピクミン3」では、Wii Uにより高解像度化でき、小さなピクミンの動きも見えるようになった。また大自然の景色や光の表現、壁の壊れ方など、グラフィックス表現の面でも強化されている。


Wii U用ソフトとなり、グラフィックスはHD化。小さなピクミンたちの細かな動きもよく見える

 ゲームには新たなピクミン「ロックピクミン」が登場する。名前の通り、岩のような外見をしたピクミンで、硬いものを壊せるという特性を持つ。


岩のような見た目の「ロックピクミン」は、硬いものを壊せる。壊れ方も派手で気持ちいい

 操作はWiiリモコンとヌンチャクを使用する。Wiiモーションプラスによって小さなターゲットを狙いやすくなり戦略性が向上。さらにヌンチャクを振って突撃させたり、ピクミンを切り替えたりといった操作も快適になっているという。

 Wii U GamePadには、全体のマップが表示される。マップをタッチして全体を素早く見渡すことで、効果的にピクミンを配置できるようになっている。Wiiリモコンではなく、Wii U GamePadを持ってプレイすることも可能。

 プレーヤーキャラクターは、「ピクミン3」では主人公を含めて4人までのメンバーを切り替えて使い分けられる。1人の隊員がもう1人を別のところに投げて移動させたりもでき、それぞれの場所で隊員が働く。このプレーヤーの切り替えによって作戦を進めるのも欠かせない要素になったという。Wii U GamePadのマップには、各隊員がどこで仕事をしているかも表示される。なお、4人の中には前作までの主人公「オリマー」はいないそうで、宮本氏は「これはちょっと内緒です」とだけ語った。


Wii U GamePad(写真右のスクリーン)でマップを俯瞰して見られるプレーヤーキャラクターは4人。オリマーがいないようだが……?

 宮本氏は本作について、「じっくり遊びこんでこそわかる楽しさは、きっと多くの方にわかってもらえると思うし、そう信じて開発している。最近はライトゲームが主流だと言われるが、じっくり遊ぶゲームを作ることは本当にチャレンジだと思っている」と述べた。


プレイ内容を俯瞰視点で確認できるリプレイ機能も搭載最後にポケットからピクミンのぬいぐるみを取り出し、満面の笑みの宮本氏

(2012年 6月 6日)

[Reported by 石田賀津男]