日本一ソフトウェア、3DS「洞窟物語3D」

3D立体視となり洞窟に奥行きが広がったパワーアップ版


7月26日 発売予定

価格:5,040円

CEROレーティング:B(12歳以上対象)



上がパッケージイラスト。イラストは、ファンも多いシノノコ氏。ゲームの各種要素がちりばめられ、可愛らしい仕上がりとなっている

 株式会社日本一ソフトウェアは、ニンテンドー3DS用洞窟探索アクション「洞窟物語3D」を7月26日に発売する。価格は5,040円でCEROレーティングはB(12歳以上対象)。

 「洞窟物語3D」は、PCゲームとして大人気を博した縦横スクロールのアクションRPG「洞窟物語」をニンテンドー3DS用タイトルとして3D立体視化。グラフィックスを一新しただけでなく、新ダンジョンが追加されたり、他の有名タイトルとコラボレーションが行なわれ、数々のパワーアップを果たしている。

 同作の魅力は一言では表されない。可愛らしいキャラクター、魅力的なストーリー展開、そして気持ちよくパワーアップしていく成長要素と、多少のミスもリカバリーによってすぐに復活することができるゲームシステム、そして何よりも絶妙なアクションと、これまで多くのユーザーを魅了してきた要素を、プレイすることで感じることができる。

 洞窟の中ですべての記憶を失い目を覚ました主人公は、様々なキャラクターに出会い関係性を深めていくことで、謎めいたストーリーの核心に迫っていく。アクションの中心となるのはジャンプ。多数のトラップが仕込まれたマップの中をギリギリのジャンプアクションで敵と対峙し難局を乗り切っていく。


【ストーリー】

 主人公が目を覚ますと、そこは暗い洞窟の中。自分は何者で、ここは一体どこなのか――?

 洞窟を探索するうちに、主人公はミミガー(洞窟内で暮らしている、垂れた長い耳が特徴の種族。花を主食としている)という奇妙な種族が暮らす村にたどり付く。

 村では「ドクター」という謎の男が現われて住人を攫うという事件が起きていた。ドクターの部下によって目の前で攫われたミミガーの少女を探すため、主人公は洞窟の奥へと向かうことになる――。


【スクリーンショット】



【登場キャラクター】
【主人公】
目覚める前の記憶を失っており、名前や過去は不明。ただし武器の扱い方は覚えている
【スー】
気が強く、ミミガーの村の中では孤立している。村にやってきたのは最近のことのようだ
【トロ子】
ミミガーと呼ばれる種族の女の子。村を救った英雄アーサーの妹。よそ者のスーと仲が良い
【ドクター】
ミミガーには「ドクター」と呼ばれ、恐れられている。部下たちにミミガーを攫うように命じているが、その目的は謎に包まれている
【カーリーブレイズ】
主人公と似た外見を持つ女の子。目を覚ます前の記憶を失っている
【スクリーンショット】
スー。気が強い故、ミミガーの村の皆からは嫌われているそんなスーをかまうトロ子。温厚な性格で、多くのミミガーに好かれている
物語の鍵を握る謎の人物「ドクター」。ミミガーを利用して何かを企んでいる物語の中盤になって登場するカーリー。主人公と似たような外見だが……?

 冒険の舞台となる洞窟は「洞窟物語」では2Dで描かれていたが、プラットフォームが3DSとなったことで3D立体視で描かれ、奥行きが感じられるようになった。意外なところにギミックが仕掛けられていたり、アイテムが隠されていることもある。

 洞窟の中はミミガー村を中心に「クサムラ」や「砂区」などいくつかの地区に別れていて、そこに出かけていって冒険を繰り広げることとなる。中にはまるでシューティングゲームのようなアクションが求められる場面もある。

 また、洞窟には数多くのモンスターが生息している。モンスターはただグラフィックスが違うだけでなく、それぞれ特徴的な動きをする。特徴を上手く掴んで攻撃しなければ、苦戦を強いられることとなるだろう。


クリッターと呼ばれるモンスター。主人公が近寄ると、ポヨンポヨンとジャンプしながら近づいてくるスケルトン。骨を投げることで遠くから攻撃を仕掛けてくる
ステージの様々な場所にギミックが仕掛けられているので、丁寧に探索していくことが重要。基本的に時間制限はないので、じっくりと調べていくとよい。破壊すると壊れるブロックや、炎を消すことで進めるようになる場所など様々な仕掛けがある
激流の中での戦闘は、まるでシューティングゲーム。特徴的なステージが用意されており、飽きさせない

 アクションの基本は前述の通りジャンプ。ステージの構成が絶妙で、ただジャンプすれば先に進めるのは初めだけ。ジャンプする位置やタイミングを推し量りながら行動しなければ、トラップに引っかかったり、敵から逆襲を受けてしまうこともある。

 また、多くの武器が登場するのだが、いつでも切り替えることが可能で、場面ごとに使い分けていくことが重要となっている。この武器は、モンスターを倒すと落とすクリスタルを拾うことで最大Lv.3までパワーアップしていく。

 しかし逆にモンスターからの攻撃を受けると、主人公の体力が減るだけでなく、武器の威力も落ちてしまう。このため、敵に囲まれ攻撃を受けると、体力も減る上に攻撃力も落ちてしまい、アッという間に窮地に立たされることもある。


バブリンと呼ばれる武器。スクリーンショットにあるように使い勝手はそれぞれ。ちなみに左上にあるゲージが満タンであり、現在、Lv.3のMAXで武器としては最強となっている。武器のLv.はそれぞれ別に設定されているので、攻撃を受けてLv.が下がるのは装備している武器だけとなる
1番最初に手に入れる銃「ポーラスター」。射程は短く攻撃力も低め。シンプルだが、使い勝手は良い
ファイアボール。地面に沿って火の玉が転がっていく。起伏のある場所では絶大な威力を発揮する、場所によっては非常に便利な武器ミサイル。強力だが持てる数が決まっている。ステージの要所要所にあるパソコンのようなもので補給が可能。また、敵が落とすこともある
洞窟内のあちこちに隠されているライフカプセル。手に入れると、主人公の最大HPが増加する。取りにくいところに置かれているが、できる限り取っていきたい

 3DS版の新規要素として、一部の洞窟が拡張されている。これにより、新たな探索経路やアクションが楽しめるようになった。オリジナル版の雰囲気は活かされ、新しい洞窟に生まれ変わっていると言える。すでに遊んだ人も十分新しい冒険を楽しめるようになっている。

 このほかにも、日本ファルコム株式会社やサンソフト、株式会社ハムスターといった会社とコラボレーション企画が進んでいるという。日本ファルコムとは「ドラゴンズレイヤー」が、サンソフトとは「いっき」が、ハムスターとは「CRAZY CLIMBER」とそれぞれコラボレーションするという。なお、詳細については追って公開される予定。


【新ステージ】
【コラボレーション】





NIS Americaの二井田ジャックプロデューサー。「洞窟物語」を3DSに移植する経緯などについて語ってくれた

 「洞窟物語3D」は、2004年に天谷大輔氏の制作したPCウェアとして公開されたWindows用「洞窟物語」のリメイク版だが、移植の企画を行なったのは日本一ソフトウェア子会社で米国のパブリッシャーであるNIS Americaで、米国ではすでに発売されている。その3DS版を逆輸入の形で商品化したのが日本一ソフトウェアだ。このほど、移植を行なったNIS Americaの二井田ジャックプロデューサーにお話を伺った。

 欧米市場ではFPSなど最新のゲームが市場を牽引している。そんななか「洞窟物語」に着目したのは、最新のゲームにはない魅力を、米国市場のユーザーや10歳代から20歳代のユーザーにも知ってもらいたかったからだという。原作は2Dのドットで描かれているが、欧米の一般ゲーマーは3Dグラフィックスで育っているため、3Dグラフィックス化することを原作者の天谷大輔氏に提案したところ、トコトンやってみようと言うことになったという。

 コンシューマープラットフォームはたくさんあるが、そんな中で3DSというプラットフォームを選択した理由は、ちょうど企画がスタートしたときに3DSが発売され、それを見たとき、3D立体視で表示されるなど、すごいゲーム機と感じたためだという。3DSで3D立体視にしたときに奥行きが出ることから、“洞窟”をテーマにしたこの作品で奥行きが出る表現は合っているのではないかという発想から採用が決定した。

 こうして、北米市場において本流ではないジャンルでの、ある意味チャレンジングな商品化だったわけだが、評価は上々。二井田氏は「たとえ昔のゲームのリメイクでも、本当に面白いものは認めてもらえるものだと確信しました」と感じたのだという。

 グラフィックスの違いはあれど、PC版のステージは完全再現した上で、ステージを延長しようといった意見もあり、天谷氏と共に「ここはステージを追加していこう」と話し合って開発を進められた。天谷氏としても開発当時はできなかったことや難易度の調整など、手を加えていったという。

 移植にあたって肝となったのは、やはりジャンプアクションだ。「洞窟物語」ではステージ構成もそうだが、ジャンプし着地する瞬間に若干滑ったりする。勢いよく飛び越さなければならないが、着地も考慮したキー操作を行なわなければ、その後に設置された穴に落ちてしまうこともしばしば。この絶妙な難易度設定がゲームを面白くしているわけだが、3DSに移植するにあたってこれが1番苦労した点だったようだ。

 基本はPC版と同じ動きだが、最終的には天谷氏の意見を聞き調整が施されているという。ジャンプの時に描く軌道をはじめ、ふわっとジャンプして着地する瞬間の微調整などを行なうことで、よりコントロールしやすい調整になっているという。二井田氏は「コアなユーザーはこういった細かいところを見ていると思うので、1番気を遣いました」と話した。


二井田氏は日本語ぺらぺら。言葉を選んで丁寧に答えてくれた

 また、3Dグラフィックスに関しても奥行きをつけすぎると見づらくなってしまうため、見づらくないがきちんと立体感が出ているように見えるという点には気を遣ったという。カメラワークについても場所によっては奥行きが出なかったり、ステージの手前のオブジェクトが重なってしまったりするため、カメラアングルの変更やレンズをズームさせたりズームアウトさせたりする場面もあるという。一方で、2Dに関しては、きちんと2Dの良さ表現したいという意向もあり、雰囲気を残したものになっているという。

 キャラクターは2Dと3Dを切り替えることができるが、北米市場での感触としては「原作を知っているユーザーは2Dで表示してゲームを楽しんでいる傾向があるようです。また、新規ユーザーは3Dでプレイしているユーザーが多く、そういった意味では両方入れて良かったと思います。もし3Dのキャラクターしか選べなければ、昔からのユーザーはガッカリしていたでしょうから」と二井田氏は語る。

 「洞窟物語」は音楽的な評価も高い作品だ。原作のゲームの音楽をそのまま収録してしまうという手もあるわけだが、ゲーム自体がほぼ全面的にリメイクされていることもあり、ある程度は音楽もワールドワイドに受け入れられる音楽にアレンジした方がいいだろうと言うことになり、アレンジャーさんに発注されたのだという。

 日本への移植にあたっては、難易度の調整が加えられている。海外で制作されたゲームの方が難しいというイメージがあり、日本で発売される時は難易度が下げられることが多いが、面白いのは、「洞窟物語3D」に関していえば逆に日本版の方が難しめに調整されているのだという。二井田氏によれば「欧米ではジャンプアクションは一般的ではないため、比較的優しく調整しました。日本のユーザーはジャンプアクションに慣れているので、欧米版に比べて難しくなっています」とその理由を語った。

 最後に日本のユーザーに向けて「ちょっとした逆輸入ゲームのような感じですが、日本のコアユーザーの皆さんにも納得頂けるよう、原作の雰囲気を崩さず、爽快感、アクション性などをきちんと表現できていると思うので、ぜひプレイして頂きたいと思います」とアピールした。


【スクリーンショット】

(C)2012 Nippon Ichi Software, Inc.
(C)2012 NIS America, Inc.
(C)2012 Nicalis, Inc./Daisuke Amaya.
(C)Nihon Falcom Corporation.All rights reserved.

(2012年 5月 2日)

[Reported by 船津稔]