THQジャパン、2月29日をもって日本の事務所を閉鎖

今後はライセンスアウトによる他社パブリッシングに


2月29日閉鎖予定



THQジャパンの公式サイト
THQに決定的な打撃を与えたとされる「uDraw HD Game Tablet」。2010年にリリースしたWii版がヒットしたため、2011年にPS3版、Xbox 360版をリリースしたものの失敗。ゲームプラットフォームとしてもうまく機能しなかった

 米THQの日本法人THQジャパン株式会社は、2月29日をもって自社パブリッシング業務を終了し、事務所を閉鎖する。公式サイトや既存タイトルのユーザーサポートについては未定。今後は、国内メーカーに対してサブライセンスを出す形でのパブリッシングを模索していくことになるものと見られる。

 THQジャパン事務所閉鎖の理由は、米THQの深刻な業績不振によるもの。「セインツロウ」シリーズ、「WWE」、「UFC」シリーズ以外のヒット作に恵まれず、ヒットが出ても慢性的な高コスト体質に阻まれ、財務状況を好転させることができなかった。特にWii版のヒットを受けて、2011年のE3で大々的に展開していたタブレット型のゲームプラットフォーム「uDraw HD Game Tablet」(日本未発売)の失敗が打撃となったものとみられる。この結果、もともと同社の株価はここ数年低迷を続けていたものの、2012年初頭には株価がついに1ドルを割り込み、NASDAQからは上場廃止の警告を受け、投資家からは具体的な再建策の提示を求められていた。

 THQの再建策についてはまだ全貌が明らかになっているわけではないが、アジアパシフィックに関しては、ヘッドクォーターのあるオーストラリア法人と上海にある中国法人は規模の縮小が予想される。開発会社については今のところ閉鎖や契約解除の予定はない見込み。

 日本法人に関しては事務所は閉鎖するものの、法人登記はそのまま残すため、完全撤退ではない。ただ、以前、3年前に1度自社パブリッシングを休止した際には、日本のメーカーとライセンス交渉を行なうスタッフは残していた。今回は全員が2月末をもって一斉に退社するため、前回よりもより撤退に近い形にはなる。

 日本法人は、海外ゲームが比較的売れにくい日本市場で「セインツロウ ザ・サード」をヒットさせ、THQの海外法人としては数少ない成績の良い法人だったが、大規模な経費削減の余波を受け、黒字での閉鎖となる見込み。

 今後については、公式サイトやユーザーサポート業務は何らかの形で継続していくことが予想されるが、北米で今夏以降の発売を予定していた「Dark Siders II」以降のTHQタイトルの日本展開については一端白紙となる。もっとも、「Dark Siders II」をはじめとしたTHQの各有力タイトルについては、日本のゲームパブリッシャーがライセンスを獲得して発売していくことも予想される。


(C) 2012 THQ Inc.

(2012年 2月 16日)

[Reported by 中村聖司]