韓国NCsoft、「Guild Wars 2」をアジアで初のお披露目
「ダイナミックイベント」で変化し続ける世界で自分だけの人生を歩む


11月8日開催(現地時間)

会場:NCsoft本社



 韓国NCsoftは、韓国最大のゲームショー「G-Star 2011」の開催に合わせて、最新情報を発表する恒例のプレスカンファレンス「G-Star Premiere 2011」をソウルにある本社のホールで開催した。その会場で「リネージュ」シリーズの最新作「Lineage Eternal」の映像と、アジア圏では初めてのお披露目となる「Guild Wars 2」のプレゼンテーションが行なわれた。

 「Guild Wars 2」は米ArenaNetが開発した「Guild Wars」の後継作だ。会場にはArenaNetのCo-founderでチーフプロデューサーのMike O'Brien氏、リードシステムデザイナーのIsaiah Cartwright氏、チーフアートディレクターのDaniel Dociu氏が登壇してプレゼンテーションとデモプレイを行なった。

 韓国では「G-Star 2011」でのお披露目の様子を見て、その後のスケジュールが立てられる予定でまだ明確なサービススケジュールは発表されていない。日本でのサービスは未定だ。このレポートでは「Guild Wars 2」のプレゼンテーションで発表された内容と、その後の質疑応答からわかったことをお伝えしたい。


北米では年内の発売予定だが、アジアでは初めてのお披露目となる「G-Star Premiere 2011」の会場プレゼンテーション後には日本メディア向けの質疑応答が行なわれた
リードシステムデザイナーのIsaiah Cartwright氏ArenaNetのCo-founderでチーフプロデューサーのMike O'Brien氏チーフアートディレクターのDaniel Dociu氏



■ 名作MORPGの続編は、すべてが進化したMMORPG

プレーヤーの選択が世界に影響を与えるというコンセプトアート
仲間を裏切り自分が新しいボスになることもできるし、共闘することもできる

 前作、「Guild Wars」は対人戦にフォーカスしたMORPG。初心者でもプレーヤースキル次第で上級者と戦えるというフレキシブルさが好評で、欧米ではパッケージの売り上げが700万本を超える大ヒット作となった。日本でも、2006年からエヌ・シー・ジャパンの運営でサービスされている。

 「Guild Wars 2」は前作の250年後の世界が舞台となる。地中深くに眠っていた、巨大なエルダードラゴンが蘇りつつあり、それに伴う異変が起きている。前作の雰囲気やアートコンセプトを引き継ぎながらも、「Guild Wars 2」はキャラクターが自分自身の人生を作っていくというMMORPGに進化している。

 ビジュアル面では、前作ではコンセプトがあっても技術的に実現できなかったことが、今作では多く盛り込まれている。人の肌の質感や影、染色システム。雨、霧、雷など刻々と変化する環境。水中の冒険など、全体のディティールがよりコンセプトアートに近い形でレベルアップして非常にインパクトのある画面を作っている。

 まずは「G-Star 2011」版のトレーラーでその世界を味わって欲しい。

【「Guild Wars 2」G-Star 2011 トレーラー】




■ 「ダイナミックイベント」が生み出す動的な世界

巨大なドラゴンに襲われる村。倒すか、倒さないかでその後のプレイが変化する
プレーヤーはNPCの頼みを引き受けるか放置するかを自由に選ぶことができる

 カンファレンスでプレゼンテーションしたO'Brien氏は「この8年余り、MMORPGはクエストが中心で非常に静的だった」と語る。「助けてくれと叫んでいる『!』マークの出ているNPCに話しかけると、解毒剤をもってきてくれと頼まれる。持っていくとありがとうと感謝されるが、彼はまたすぐに『助けてくれ』と苦しみだす」と例を挙げた。自分がそのエリアでの役割を終えてもNPCの問題はその世界で再発し、次のプレーヤーを待つことになる。

 「Guild Wars 2」はそんな従来型のクエストをなくして、すべてが動的に作用する「ダイナミックイベント」を採用している。このシステムでは、プレーヤーがわかるのはどこかで助けを求めている人がいるということだけで、イベントは助けを求めるNPCがいるエリアに入ると自動的に発生する。そのイベントを引き受けるかどうかはプレーヤーの選択に任されている。

 例えばある村に行くと、その村はドラゴンに襲撃されている。村人を助けるためにドラゴンを倒してもいい。もし助けずにいたり、失敗したりすると村は破壊されて村人はみんなドラゴンに殺されてしまう。ショップなどプレーヤーが必要とする機能を持つNPCや施設もすべて破壊されてしまうので、それらを使うためには村を再建するという新たなイベントをこなす必要がある。

 「最高峰のMMORPGは、シングルプレイのRPGとしても最高峰であるべきだ」という考えに基づいて、「Guild Wars 2」は自分が主役であると感じられるようなゲームを目指している。ゲームワールド全体に数千ものイベントがちりばめられ、プレーヤーの選択による世界の変化はゲームのあちこちで常に起こり続け、自分の決定の結果が他のプレーヤーに影響を及ぼす。こうして、動的に変化し続けるリアルな世界が作り出される。



■ プロフィールをカスタマイズして、自分だけの人生を作る

選べる種族は5種類。今回は人間でプレイした

 デモプレイでは、キャラクター作成とそれに続く序盤のプレイを見ることができた。「Guild Wars 2」でプレーヤーが選べる種族は5種類、職業は7つ。今回は属性のスキルを使う「エレメンタリスト」でのプレイを見た。

 キャラクターのカスタマイズは身長、体格、顔、髪型など。顔はパーツごとにスライダを使って細かいカスタマイズが可能だ。服装は腕や上半身、下半身と部位ごとに色と素材をカスタマイズできる。

 しかし「Guild Wars 2」のキャラクター作成最大の特徴は、外見ではなくそのキャラクターの人生をプレーヤーが選択できるということだ。庶民出身なのか、貴族なのか、それとも浮浪者の出なのか。性格はカリスマ的なのかお人よしなのかなど、いくつかの項目から選択する形で自分の人生を決めると、それに合わせて15の異なるストーリーが展開する。

 デモプレイのキャラクターは街で生まれ育った盗賊で、苦難の連続だった人生を変えるために新しい村を訪れる。しかし、村はケンタウルスの襲撃にあって、多くの住人が困難な状況に置かれていた。自分を守ることはできるが、それだけではなく力のないものを助けなければいけない、というところからストーリーが始まった。

 その先もレベルアップなど様々な局面に選択のタイミングがある。レベル30以降はどういった道を選んだかで、その後に選べる選択肢が変化していく。


キャラクターカスタマイズ画面。外見を選んだ後、そのキャラクターのプロフィールをいくつかの選択肢から選んでいく
選んだプロフィールによって、プロローグ部分から自分だけのストーリーが作られる
相手に敬意を払うかどうかなど、性格設定によってNPCとの会話の内容も変化する



■ 武器によってスキルが変化。戦闘の25%は水中戦

水中でも溺れる心配なく戦える

 バトルはアクション性の高いノンターゲッティング方式を採用。使うスキルは武器に依存しており、武器を変えると攻撃方法も変化する。デモプレイでは、最初ワンドを持って遠距離から魔法攻撃を行なっていたが、途中ダガーを装備すると属性効果の付いた近接攻撃に切り替わった。

 デモプレイでは、村を襲っているケンタウルスを倒しながら、前線拠点となる砦へと向かった。砦に着くと、そこを守るイベントが発生する。最近のMMORPGではチュートリアルゾーンはインスタンスエリアになっていることが多いが、本作では最初から多数のプレーヤーが周囲にいる。砦にそういったプレーヤーが集まることでパーティーを組まなくても自然な形で集団戦闘を楽しめる。

 イベントは参加するプレーヤーの人数で難易度が上下するので、そこにいる全員が必要な戦力になる。誰かが傷ついていると、声やモーションでそれとわかる。本作では誰でも他のプレーヤーを回復できるので、お互いに回復しあいながら力を合わせて戦うことになる。

 大人数でボスを倒すと、報酬の分配が問題になることが多々あるが、本作ではそれを解消するために気前よくイベントに参加したプレーヤー全員に100%均等に報酬が出る。パーティーを組まなくては何もできないという強制からプレーヤーを解放しつつ、他のプレーヤーと協力するとより楽しくなるよう考えられている。

 「Guild Wars 2」の戦闘でもう1つ特徴的なのが、水中戦だ。ゲーム全体の戦闘エリアのうち、約25%が水中での戦闘になる。これはなるべくプレーヤーが行ける場所を増やすための方策で「水中戦を非常に高い割合で設定しました」とCartwright氏は述べた。水中では溺れることなく、高さの概念がある3D空間ならではの戦闘が楽しめる。敵を水底に向けて引っ張るアクションや、泡を作ってキャラクターに放つスキル、箱を作ってキャラクターをその中に閉じ込めるスキルなど、水中でしか使えないスキルもある。

 プレイデモの最後には、レベル65で戦える現状最強レベルのボスモンスターの中の1匹を倒しに行った。ボスは巨大なドラゴンで、自分の周囲に障壁を作ってプレーヤーを寄せ付けない。これをフィールドにある投石器を使って壊して、ボスを倒す。もし途中で倒されてしまっても、他のプレーヤーの助けを借りて復活し、再び攻撃に参加することもできる。


ワンドを持っているときには、遠距離から魔法で攻撃ダガーに持ち帰ると、同じキャラクターで近接攻撃スキルが使えるようになる序盤から多人数で戦う大型のボスが登場する
全体の25%は水中での戦闘となる水中でしか使えないスキルや水中でしか発生しないイベントがあるレベル65で戦う、最強クラスのボスモンスター
時折空中に飛び上がる。動きは非常になめらかボスが作った障壁を、投石器を操作して破壊するボスを倒すと報酬の入った大きな宝箱が出てくる



■ 2つの趣の異なる対人戦コンテンツ

 前作は対人戦とMORPGの部分が分離され対人ゲームという印象が強かったが、今作ではMMORPGの部分が大きくフォーカスされており、プレゼンテーションではPvPコンテンツについてはほとんど触れられなかった。

 その後の質疑応答によれば、「Guild Wars 2」には2つのPvPコンテンツがある。1つはレベルや装備などをすべてイーブンな状態で戦うe-Sports的な要素の強いPvP。もう1つは、3つのサーバーが1つの地域を巡って繰り広げる大規模な戦争だ。こちらは投石器のような攻城兵器も登場して、組織的な要素が重要な戦争になる。

 対人戦については「G-Star 2011」の会場でプレイできるようなので、後日そちらのレポートで詳細をお届けしたい。


広大な世界を舞台に、自分が主役の物語を楽しみつつ、大勢のプレーヤーとともにプレイするという、いいとこどりを目指している

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(2011年 11月 9日)

[Reported by 石井聡]