アップル、iPhone/iPod touch新作プレビュー

「魔界村騎士列伝II」、「とある騎士団と幻のお城」が近日登場


4月26日 収録



 アップルジャパン株式会社は4月26日、米Apple ワールドワイドプロダクトマーケティング iPod担当のショーン・エリス氏の来日に合わせ、iPhone/iPod touch用ゲームの新作プレビューを行なった。今、Appleのハードといえば、世間的にはiPadだが、残念ながら発売が5月末に延期されているため、今回はiPhone/iPod touchの話に絞られた。

 エリス氏はまずiPhoneプラットフォームの現状について説明。App Storeでは現在、約185,000本のアプリケーションがあり、そのうちゲームなどエンターテイメント関連のものが約50,000本あるという。またアプリケーションの総ダウンロード数は40億を超えている。この膨大な数の中から自分に合ったアプリケーションを探し出す機能として、インストールしてあるアプリケーションからお勧めのタイトルをリストアップするGenius機能の存在をアピールした。

 続いて新作のゲームプレビューでは、まず最近配信されたタイトルの中から、株式会社スクウェア・エニックスの「ケイオスリングス」、株式会社ケイブの「エスプガルーダII」、株式会社コナミデジタルエンタテインメントの「パワフルプロ野球TOUCH 公式ライセンス版2010」が紹介された。


【ケイオスリングス】
日本のみならず米国でもトップセールスランキング1位を獲得したゲーム。いわゆる日本的RPGをスクウェア・エニックスがiPhone/iPod touch向けに本気で作った、という感触。グラフィックスの美しさや、40時間以上のプレイを想定したボリュームなど、他に類を見ない作りこみがウリ

【エスプガルーダII】
いわゆる弾幕シューティングゲームの移植版。操作は画面下のどこかをタッチし、上下左右に滑らせるだけ。よくあるバーチャルパッドでは感覚と操作のズレがあるものだが、本作は指を滑らせたほうに動き、止めたい場所できちんと止まれる。ショットはオートで、切り替えは画面左下のボタンをタッチするだけ

【パワフルプロ野球TOUCH 公式ライセンス版2010】
タッチ操作で遊べる野球ゲーム。守備の時はピッチャーの球種とコースを選んでタッチ。攻撃の時は飛んでくるボールのコースに合わせて画面をタッチする。バッティングの際、指を前方に滑らせると強打でき、本物のバットをスイングする感覚をうまく再現している



 そして配信前の新作として、3タイトルが紹介された。1本目は、株式会社ハドソンの「とある騎士団と幻のお城」。こちらは米国でiPad版が配信されているが、iPhone/iPod touch版も6月ごろに配信予定だという。

 本作はリアルタイムストラテジー(RTS)で、複数のユニットを同時に操って戦えるのがポイント。ユニットを移動させたい時は、そのユニットをタッチして移動先へと滑らせるだけ。予め「近くの敵を攻撃する」、「攻撃してきた敵に反撃する」といった作戦を設定しておくことで、それに応じてユニットが行動する。複数のユニットを同時に操作しなくてはいけない忙しさはRTSの特徴だが、マルチタッチで快適な操作を提供しつつ、ピンチ操作で拡大縮小もできるというフォローもなされている。ユニットを一定時間タッチし続けると、特殊な技を発動できるという要素もあり、ゲームとしての戦略性も高い。


【とある騎士団と幻のお城】
複数のユニットを同時に操るRTS。ユニットをタッチして操作できるというインターフェイスはまさにRTSにうってつけ。技を使うとカットインが入る演出や、オーケストラのサウンドなど、ゲームとしても丁寧に作られている

 2本目は株式会社カプコンの「魔界村騎士列伝II」。前作「魔界村騎士列伝」に続く2本目のアクションゲームとなる。こちらは夏の終わりごろに配信予定という。

 今回はシリーズ共通の主人公「アーサー」と、剣を使う新主人公「パーシバル」の2人を選んでプレイできる。ゲームとしては「魔界村」シリーズの伝統に則った横スクロールアクションとなっている。特筆すべきはインターフェイスで、移動、攻撃、ジャンプ、特殊技の操作に必要なバーチャルパッドの位置を、ユーザーが自由に変更できる。指が画面の邪魔にならないようにしたりと、自分の使いやすい配置に変更できるのは、固定したボタンがないiPhone/iPod touchならではの特性だ。


【魔界村騎士列伝II】
iPhone/iPod touch向けには2作目となる「魔界村」シリーズの最新作。さまざまなアクションゲームで練りこんだバーチャルパッドは操作性がよく、しかも配置も自由に変更できる。3Dのグラフィックスも携帯ゲーム機としてはかなり美しい

 3本目は米Electronic Artsの「Skate it」。スケートボードのゲームで、5月配信予定となっている。

 加速度センサーを使った操作が特徴で、端末を傾けたほうに曲がっていく。画面右下にある足のマークをタッチすると加速し、そのほかの場所をタップするとジャンプする。ジャンプ台に向かって滑っていき、タイミングよくタップしながら端末を動かすことで、空中でのトリックも決められるようだ。こういった操作が直感的であるだけでなく、タイミングよく踏み切って空中でトリックを決めるという一連の動作は、現実のスケートボードに近い感覚を味わえる(といっても筆者は現実のスケートボードでトリックを決められたりはしないが)。こういった現実感もiPhone/iPod touchならではといえるだろう。


【Skate it】
気軽にスケートボードを楽しめるカジュアルなアプリ。加速度センサーによる操作は非常に直感的。華麗なトリックを決めたら、リプレイ映像として保存でき、カメラの視点を変えて鑑賞できる



3DMMORPG「Pocket Legends」

 残った時間でエリス氏に少し話を伺った。最近のiPhone/iPod touchのゲームでの流行や傾向として何か感じているものはあるかと尋ねたところ、「リッチなゲームが増えている」ということと、「オンラインゲーム」という2点を挙げた。特にオンラインゲームについては、「Pocket Legends」という3DのMMORPGを紹介しながら、「おそらく今後もこういったオンラインゲームが増えていくだろう」と語った。

 先日発表された「iPhone OS 4」について、ゲームユーザーにとってのメリットは何かという問いには、「マルチタスクによって、ホームボタンを押して中断したゲームを再開できるようになること」と、「デベロッパーβとして発表した『Game Center』で、マッチングやリーダーボードといったオンライン機能が提供され、これまで大規模なデベロッパーにしかできなかったオンラインサービスを小規模なデベロッパーでも実現できる」と答えた。なお「Game Center」についてはゲームアプリ側の機能として実装されるものであり、「iPhone OS 4」をインストールしたユーザーがすぐに使える機能ではない。

 最後にエリス氏に、日本のゲームユーザーに向けたメッセージをお願いした。「iPhone/iPod touchには、さまざまなタイプのゲームがあります。RPGからカジュアルゲームまで、あらゆるジャンルのゲームを試してみてください。ただし遊びすぎて学校で落ちこぼれないように気をつけてください(笑)」。

 ちなみにiPod touchは、2010年第1四半期の出荷台数が対前年比63%増と大幅に伸びているそうだ。ゴールデンウィーク中はiPad三昧のつもりが延期されて残念、という声はあちこちで聞こえているが、「iPhone/iPod touchでも十分楽しめますよ」というのがアップルのメッセージだろう。特に今回は日本のデベロッパーの作品が多く紹介されており、配信済みのものは海外でも高い評価を受けているという。今後配信されるゲームでも、さらなる奮闘を期待したい。


(2010年 4月 26日)

[Reported by 石田賀津男]