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ロボに乗ったウサギが遺跡を探索! 「Rusty Rabbit」試遊レポート

「まどマギ」、「サイコパス」の虚淵玄氏×NetEase Gamesタッグの横スクロールアクション

【Rusty Rabbit】

9月24日 発売予定

価格:4,510円

 NetEase Gameとニトロプラスによる、プレイステーション 5/PC向け新作アクション「Rusty Rabbit(ラスティ・ラビット)」が、9月24日にリリースされることが決定した。本作は、アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」や「PSYCHO-PASS サイコパス」などの脚本を手掛けたことでも知られる虚淵玄氏が原案と企画を担当。それを、NetEase Gameが作品として作りあげたタイトルである。

 リリースに先駆けて、日本のメディア先行で試遊会が行なわれた。今回体験できたポイントは、チュートリアル的な内容を含むゲーム序盤と第二ステージ、そしてボス戦だ。あくまでも開発中ということで、製品版ではゲームバランスなどが変更される可能性もあるが、こちらの記事では現時点でどのようにゲームに仕上がっているのかご紹介していく。

【Rusty Rabbit(ラスティ・ラビット) | CG Concept Trailer】

キュートな見た目の渋いオヤジウサギが主人公!?

 この「Rusty Rabbit」の世界観は、氷河に覆われた地球から人類が立ち去ってしまった後の話だ。そこから長い年月が経ち、この地球を支配していたのはなんとウサギであった。ウサギたちは人類を「巨人」、そこに残された巨大遺跡を「エントツ山」と呼んで神聖視していたのだが、中には聖地を荒らすものもいた。

 本作の主人公のスタンプは、「錆掘(さびほり)」と呼ばれる聖地荒らしのならずもののひとりだ。エントツ山で探索をしていたときに、スタンプはBB団と名乗る別の錆掘チームと出くわすことになる。そこから共にエントツ山の深部に挑んで行くことになっていくというのが大まかなストーリーである。

 見た目はかなりキュートだが、中身は渋いおじさんというギャップ感が面白いキャラクターのスタンプ。その声を演じるのはセガの「龍が如く」シリーズで主人公・桐生一馬の声を担当する声優の黒田崇矢さんだ。また、ひと癖もふた癖もあるBB団の面々には、ファイルーズあいさん、速水奨さん、小林ゆうさん、くじらさん、鬼頭明里さんが担当。ほかにも、杉田智和さん、徳井青空さん、安元洋貴さん、潘めぐみさん、堀内賢雄さんという豪華声優陣たちが脇を固めている。

プレーヤーは主人公のスタンプを操りエントツ山を探索していくことになる

様々なアクションを活用して巨大遺跡を探索!

 ゲームプレイとしては、スリルと謎に満ちた巨大遺跡内を掘って掘って掘り進んでいくというもの。といっても、「ミスタードリラー」(バンダイナムコエンターテインメント)のような単純に穴を掘っていくようなタイプの作品ではなく、どちらかというと「メトロイド」(任天堂)のように様々なアクションを活用して、上下左右に移動しながらマップを探索していくというイメージに近い。

 主人公のスタンプは、愛機「ポンコツ」に乗り込んだ状態で探索していくのだが、そこに装備された武器を切り替えながらギミックや敵に対応していくことができる。ゲーム序盤は、これらの操作の基本が学べるチュートリアル的な内容となっていた。

 マップ内に配置されている、鉄くずのようなブロックは破壊することが可能だ。壊していくごとに経験値が手に入るほか、たまに「レトロメタル」などの素材も手に入る。この何かを破壊していくというのも、ストレス解消に持って来いといった気持ちよさがあるのだ。

鉄くずのようなブロックの塊は壊すことが可能だ
一気にブロックを破壊すると爽快感も満載!

 プレイして少しだけ操作に戸惑ったのが、壁伝いに上方向に移動していくときのアクションだ。慣れればなんてことはないのだが、スタンプは壁に張り付いてジャンプなどをしながら移動していくことができる。些細なことではあるが、その微妙な操作がうまくいかず、時間が掛かってしまった。ちなみに移動に関しては、少しだけ隙間がある程度ならば、乗り越えていくことが可能だ。

壁に張り付いてよじ登ったり、ジャンプで反対側の壁に飛び移ったりしながら高所に移動していくことができる

 もうひとつ、遺跡内の移動に役に立つのが「グラップルワイヤー」である。こちらは、ワイヤーアクションといった感じで、電磁波のロープのようなものを伸ばして、上方向に移動していくことができる。これらと、他のアクションを組み合わせることで、移動も楽に行なえるようになるのだ。

グラップルワイヤーも移動に必須なアクションだ

 本作は、単純に巨大遺跡内を掘っていくという平和なゲームというわけではなく、ときおり敵が存在する。スタンプが乗っている愛機の「ポンコツ」には、採掘用と攻撃用の装備を設定することができる。採掘用はドリルとハンマー、攻撃用としてはショットガンとナタがあるのだが、それぞれ微妙に特性が異なっているところも本作の特徴だ。

 たとえばナタを装備しているときは、草やツルは切ることができるがブロックは壊せないといった感じである。そのため、攻略していくためにはどの装備を装着しておいた方がいいかということを常に考えながら、探索していく必要があるのだ。

ときおり出現する敵は、ショットガンをぶち当てて倒していこう
お邪魔な草はナタで切ることができる
装備は十字キーで切り替えることができる。ここでは2種類しか登録されていないが、緑が採掘用で黄色が攻撃用だ

軌道エレベーターの跡地を探索する第二ステージ

 オープニングに続き、それほど長い時間ではなかったが触りだけ体験することができたのが、第二ステージの森ビオドープと呼ばれる場所だ。最初にプレイした工場のような施設とは異なり、緑があちらこちらに生い茂っているような、不思議な雰囲気が漂っているところが特徴的である。

 それもそのはずで、ここは人類が作り出した人工的な場所で、元々は宇宙へ脱出するための軌道エレベーターとして使われていた施設だからだ。テクノロジーが進んでいたということもあり、地下なのに森林があるなど多様性に溢れた世界観となっているのである。

緑が生い茂った場所の森オーブ
鉄くずのブロックではなく、草がブロックのように重なっているところが面白い

 マップを探索していると、「ガラクタ」と呼ばれるお宝を見つけることができる。それらの中には、扉を開けるためのカードキーなど、マップを攻略していくために必要なアイテムも含まれている。それだけではなく、ガラクタを利用して、武器をクラフトしていくことも可能だ。たとえば、同じ武器などの装備品でも用途が異なるものを作っておくことで、より攻略に適した装備を持たせるといったことも可能である。

 また、スキルの解放やパーツをカスタムすることでも、スタンプやポンコツをパワーアップしていくことができる。スキルはおなじみのツリー状になっており、攻撃や防御などプレーヤーが目指したい成長の仕方が選べるようになっているところも嬉しいポイントだ。

ガラクタなのにお宝というギャップも面白い。ゲットすると、派手なアニメーションが表示される
ガラクタの中には、マップ攻略に必須なアイテムも含まれている
遺跡内には特別な施設があり、ポンコツの整備なども行えるようになっている

 もうひとつ、今回の試遊で体験できたのがボス戦だ。こちらもわずかな時間であったが、なかなか楽しめるものとなっていた。登場したのは、巨大なクレーン車のようなボスである。ときおり予備動作で攻撃範囲が指定されるので、それを避けながら戦っていくことになるのだが……これが初見ではなかなか難しく、何度も倒されてしまった。

メカメカしいボスと対決!

 そうしたこともあってか、残念ながら途中で時間切れになったが、こうした強力な敵との戦闘が待っていることがわかっただけでもさらに冒険心が煽られた気分である。今回は全体としては短めの時間であったが、マップはかなり広く感じ探索要素も山盛り。また、主人公のスタンプやポンコツなどの成長要素も用意されているため、相当遊び尽くせそうな予感をさせるものとなっていた。

敵の癖を掴んで攻撃していこう

 今回は体験することがなかったが、それ以外にもこの「Rusty Rabbit」では、車作りやボスラッシュ、自動生成ダンジョンにRTAといった要素も盛り込まれていく予定だ。これらの続報については、今後徐々に明らかになっていくということなので、楽しみに続報を待とう!

虚淵玄氏&プロデューサーの齊藤祐一郎氏にインタビュー

 ひと通り試遊が終わった後で、本作の企画原案と脚本を担当した虚淵玄氏と、プロデューサーの齊藤祐一郎氏にお話をお伺いすることができた。詳しい部分については試遊だけではわからなかったところもあるので、こちらも合わせて読んでみてほしい。

写真左から主人公のスタンプ、虚淵玄氏、プロデューサーの齋藤祐一郎氏

――タイトルはどのような意味を込めて付けられたのでしょうか?

齊藤氏:サビウサギですよね(Rustyは英語で錆びた・なまったなどの意味)。色々候補は出たんですけれども、その中で一番シンプルだったのが「Rusty Rabbit」という。あまりひねったのにしなくてもいいかなという話もありまして。

虚淵氏:キャラクターのネーミングで最初からラスティー・スタンプというのは決まっていたのでそれですね。

――今回の世界観は人類が去った未来の地球ですが、主人公をウサギにしようとおもったきっかけはございますか?

虚淵氏:結構昔ですが、造形師のmightyさんという方がいて、ぶっちゃけ「シルバニアファミリー」なんですけど、ウサギの人形とスチームパンク風のロボットとの造形物を組み合わせた作品を発表していらっしゃいました。それがものすごく気に入って、その世界観で同人的にゲームを作りたいと思い、自分でUnityをいじっていたのが始まりです。それをNetEaseさんに見せたところ、ブラッシュアップして製品化しませんか? というお誘いをいただきました。

虚淵氏のスマホの待ち受けはmighty氏の作品になっている

齊藤氏:Unityで作られていた時点で、今とそこまで大きく変わらないプロローグや拠点からいろいろ移動するといった構想がテキストとして組まれていました。これを我々の方で膨らまして、製品版として世の中に届けたいというところで、NetEaseと虚淵の方でタッグを組むという流れになりました。

虚淵氏:(Unityで制作していたものは)遊び半分で作っていたので、フリー素材のアセットで、ロボテックみたいなロボットにうさぎを乗っけてベルトスクロールゲームを作っていたんですけどね。

齊藤氏:いろんな意味でまだ世に出せなかったですね(笑)。

――今作は、スタンプという主人公のキャラクターが強力な個性を持っています。可能な範囲で印象的な決めゼリフなどがあれば教えていただけますか?

虚淵氏:基本的に愚痴っぽい老人の相手をしながらスカベンジングをゲームにするというコンセプトがあったので、とにかく言葉数が多いんですよね。ひとりごとの多いおじいちゃんというスタンスで。あとは家族関係が破綻しているという設定もありまして、その辺の過去に関する愚痴とか、若いものに対する妬みとか、そういったものがちまちま出てくる面倒くさいおじいさんという設定ですね。

 なので、ウサギたちの世界で一番忌避されている「マクレガー」という悪態を容赦なく使っていきますが、本人なりに信心深いです(笑)。

※児童書の「ピーターラビット」ではマクレガーおじさんという人間が登場するが、このマクレガーおじさんと主人公のピーターラビットたちとは対立関係にある。

齊藤氏:キャラクター的に、冒頭に話す「俺の名はスタンプ。ただのウサギ」というあたりが、端的にスタンプというキャラクターの性格を出しています。ニヒルな部分もありつつ、信心深いところやガラクタに対して愛を持って接しているところなど、本当に眼光鋭いおじいちゃんというか、中年みたいな部分が色濃く出ていると思います。

――声優陣も発表されましたが、キャスティングの狙いを教えていただけますか?

齊藤氏:虚淵さんが提案された世界観が本当にすごくて、見た目はキュートなんだけど中身はハードボイルドということで、キャラクターのビジュアルにもギャップがあります。

 キャスティングではユーザーの期待には応えつつ、予想をどのように裏切っていくかというところに注力しています。

 本質としては、ウサギのビジュアルというより中身の部分、シーンの強さという部分を考えて、僕のなかでこうしたキャラクターを演じられるのは黒田さんだと思いました。ご本人の年齢もあり、しっくりハマる形で演技していただけると思いオファーしました。

虚淵氏:方向性は悩みましたよね。女性声優に荒くれたおっさんの演技をしてもらうという「ポプテピピック」路線でいくか、かわいいキャラに渋い声でしゃべるという「キャット・シット・ワン」路線でいくのか。今回はいい感じになったと思います。

 イメージソースに、クリント・イーストウッドの映画「グラン・トリノ」があったんですよね。なので、当初のイメージは山田康雄です(笑)。

――人間に例えると、主人公のスタンプは年齢が高めということでしょうか?

虚淵氏:イメージ的には、50代半ばで自分の人生をいったん閉じたなと達観しているぐらいの世代です。僕らから見ると中年、初老ぐらいですが、10代の方から見るとおじいちゃんって見えちゃうぐらいの年齢です。

――ムービーなどでこちらに語りかけているというところが印象的でしたが、こちらは何か狙いがございますか?

虚淵氏:ブラッシュアップする前のモックの段階では、おじいちゃんのひとり仕事に愚痴を聞きながら付き合っていくというコンセプトのストーリーラインになっていました。画面のこちら側にいるプレーヤーに対して、いろいろと話しあっていくという部分はありましたね。それこそ、遊んでいる最中に余計な与太話が始まることもありました。これは、ゲームに集中できなくなるからやめましょうとなりましたが(笑)。そういう、面倒くさいおじいさんの話し相手になってあげるゲームというコンセプトは初期にありましたね。

――それが形として残っているのでしょうか?

虚淵氏:名残として残っているのが、何かとこちらに話しかけてくるというコンセプトですね。全部独り言ということなんです。

齊藤氏:アドベンチャーゲームというテキストが流れるジャンルがありますが、虚淵さんがこれらジャンルの作品を手掛けられてきたということと、シナリオを読んでいるときに画面のこちら側にいる我々に対して話しかけてくるような部分も強い印象もありました。他の2.5Dサイドスクロールタイプのゲームではあまりないかと思いますが、あえてアクションゲームにアドベンチャーゲーム風のパートを入れている点も挑戦でした。

――今作は上下に広いマップを探索していきますが、謎解き要素などは含まれていますか?

齊藤氏:今回のゲームの本質としては、スタンプという頑固気質な親父がいろいろダンジョンの中に入っていって掘って掘って進むという、マップを広げていくのがメインです。バトルで中のモンスターを全員ぶっ倒そうぜといった、「マッドマックス」的なスタートラインではありませんでした。

 マップ内にギミック的なものはありますが、謎を解いてという部分はお話の方に吸収して、世界の広がりとクラフトするという要素を軸にやっています。

――普通のアクションゲームかと思っていたら、掘っていくのが思ったより楽しいと感じました。

虚淵氏:元はスカベンジングに焦点を当てていて、戦闘はほとんどないぐらいのゲームでした。それをもうちょっと遊べるように、戦闘に舵を切りつつ当初のひたすら掘ってガラクタを集めていくというバランスに変更しました。

――物語としては、シリアスな路線というよりも楽しんでいくという形になっているのでしょうか?

虚淵氏:そうですね。メインストーリーは、ほどほどシリアスでちょっとしんみりする人情話を意識しています。ただ、人情話といってもウサギなので、つい笑ってしまうような細かいネタをいろいろと仕込んでいる感じです。

――最後に本作の発売を楽しみにしているファンに向けて、メッセージをお願いします。

虚淵氏:いわゆるテキストアドベンチャーゲームは昔作っていましたが、コントローラーでガッツリ遊ぶゲームというのは憧れでもあったものの、作るノウハウはありませんでした。ひたすら遊び半分でUnityをいじって自分で作る程度でした。そういう憧れていたジャンルのゲームを、NetEaseさんのお力添えでリリースできることを本当に嬉しく思っていますので、ぜひ虚淵玄の新境地と思ってお客さんも楽しんでいたければと思います。

齊藤氏:絵面的には皆さん見たことのあるゲームだと思われるかもしれません。今回は、鬼才・虚淵玄と我々NetEaseが組んで、新たな2.5Dのベルトスクロールタイプのゲームにチャレンジしています。実際に手に取っていただけるときには、がっつりと楽しめるようなゲームにすべく、今ギリギリまで挑戦を行なっていますので、引き続きご期待ください。

――本日はありがとうございました!