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【追悼】アニソンの帝王 水木一郎さん、まさにヒーローとして世界のファンを魅了したアニソン歌手

 歌手の水木一郎さんが12月6日に亡くなった。水木一郎さんはアニキの愛称で呼ばれ、「マジンガーZ」をはじめとしたアニメ・特撮番組の主題歌を歌ってきたことで知られる。

 水木さんが歌った主題歌は「マジンガーZ」、「バビル2世」、「超電磁ロボ コン・バトラーV」、「侍ジャイアンツ」、「宇宙海賊キャプテンハーロック」など挙げればきりがないほどの多くの作品の歌を手がけている。1990年初頭くらいまではアニメや特撮番組への世間の評価が低かったため、驚異的なレコード売り上げを記録した人物だが、認知はそれほど高くなかったところがある。

水木さんの歌の代表作と言える「マジンガーZ」。画像は2012年に発売された「DX超合金魂 マジンガーZ」

 水木さんはアニメソングを手がけ続け、リバイバルブームや、アニメ文化そのものの評価が上がっていく中、「アニメソングの帝王」としての名声を確固たるものにし、アニメソングの第一人者としてその先頭を走り続けた。

 水木さんの歌の魅力はその"熱量"にある。作品の世界観やキャラクター性は"主題歌"に補強される部分は少なくない。またアニメの主題歌はキャラクターの活躍シーンや、想いを込めたシーンなどにBGMとして使用されることも多く、視聴者にとって特に印象深くなる。

2007年の「SPECIAL FORCEオフラインイベントパーティー2007」で歌う水木さん
こちらは2006年の「スーパーロボット大戦」15周年記念アルバム収録時の写真

 やがてアニメソングの帝王である水木さんの歌声そのものが、世界を作り出していくこととなる。アニメやゲームは水木さんを起用することで、水木さんが持つバックボーンによって新しいヒーローキャラクターや世界に重みが加わるのだ。水木さんは「懐かしい歌を歌う歌手」ではなく、「ヒーローソングの歌い手」としてアニメ文化そのものに強く影響を与え、作品やファンを育てていった一面が間違いなくある。

 もちろんアニメやキャラクター、そして水木さんへのファンの熱い想いが水木さんを支え続けた。水木さんは今年の7月にガンであることを公表、リハビリを続け、11月の第49回歌謡祭にも車椅子姿で登場し、マジンガーZの主題歌を熱唱した。

 アニメーション文化の初期からその看板である主題歌を歌い続け、世界的にも多くのファンを持つ「アニメソングの帝王」の水木さんの歌声は多くの人の心に生き続ける。ご冥福をお祈りします。