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MRグラス×ツインスティックでカートを操る次世代ライド型アトラクション「FUNVE」体験レポート

「バーチャロン」みたいな操作感でパワフル挙動

【FUNVE(ファンビー)体験イベント】

実施期間:9月9日〜11月13日

実施場所:VS PARK イオンレイクタウン mori店(カートコーナー)

(埼玉県越谷市レイクタウン3丁目1番地1)

 トヨタ・コニック・プロとバンダイナムコアミューズメントは、VS PARKイオンレイクタウン mori店にてMRグラスとひとり乗りカートを融合した次世代ライド型アトラクション「FUNVE(ファンビー)」を、2022年9月9日から11月13日までの期間限定でトライアル導入する。

 サービス開始に先駆けて先行体験会が実施された。今回は、そこからわかったコンテンツの魅力をレポートする。

9月9日より「FUNVE」が体験できる、VS PARKイオンレイクタウン mori店。VR系以外にも、20種類以上のアクティビティが楽しめる施設だ。

カートを操作して動物たちをキャッチしていく「アニマルレンジャー」

 まずは簡単にコンテンツの内容をご紹介しておこう。この「FUNVE」は、独自に開発した専用カートとマイクロソフトのMRグラス「HoloLens 2」を組み合わせたアトラクションだ。ユーザーはMRグラスを装着してカートに乗り込み、画面内に現れる動物たちに当ててキャッチしていくことで得点を稼いでいくといった内容である。

 ストーリーとしては森の保護レンジャーになって、保護が必要な動物たちを捕獲して悪質なハンターから守るというものである。登場する動物は、ゾウやサル、カピバラ、ウサギ、サル、ペンギンにライオンなどだ。

 それぞれの動物たちの頭上には赤いバーが表示されており、それがなくなるといなくなってしまう。ときおり登場するハンターにぶつかるとスピンしてしまうため、それを交わしつつ、動物をどんどんキャッチしていくといった感じだ。

 ゲーム自体は最大ふたりで同時に楽しめるようになっている。ひとりは実際にカートに乗り込むプレイヤーで、もうひとりはカートには乗らずにMRグラスを掛けてサポートしていく。サポーター側のプレイヤーには、ときおりケーキが出現する。それを投げたい方向に「エアタップ」することで、ケーキが飛んでいく。ケーキを投げ込むと、そこに動物たちが群がるので、一気に得点を稼ぐチャンスになるというわけである。

 もちろん、ひとりがカートに乗ってもうひとりは乗れないというのでは不公平感があるため、順番に乗れるようにしているそうだ。

サポーターもHoloLens 2を装着するので、動物たちのいる場所もわかるようになっている。

 ちなみに、こうしたMRやARのコンテンツでは、「エアタップ」や「ジェスチャー」など、空中で指を動かすという普段あまりやらないような操作が必要な場合が多い。だが、これらは一般の人は慣れていないためかなり戸惑ってしまうことがある。そのため、この「FUNVE」では、必要なところはスタッフが調整してくれるようになっており、ユーザーはMRゴーグルを掛けてカートに乗り込んだ後、ゴーグル内に表示されている映像のボタンを指で押すだけでスタートできるようにしている。

こちらが実際に被るMRグラスの「HoloLens 2」。比較的軽量で、カートを操作しているときもさほど気にならないレベルだ。

ツインスティックとメカナムホイールならではの操作性

 「FUNVE」は専用カートになっており、なんとツインスティックで操作することになる。ゲーマー的な視点から見ると「バーチャロン」のような感じといえばわかりやすいだろうか。もちろんダッシュなどはないのだが、両方のジョイスティックを同時に前や後ろに倒すと前後に進む。同時に左右に倒すと、そのままの向きを維持したまま横に移動することができる。向きを回転させたいときは、左右のジョイスティックをどちらか前後にすればOKだ。

 8歳以上の子供も操作することが想定されており、「VS PARK」のカートコーナー自体もそれほど広いスペースとはいえないため、パンダカーのようにゆったりと動くのかと思いきや、想像以上にパワフルな挙動で驚いた。

見た目も動物っぽい専用カート。ツインスティックのみで操作が行なえる。
こちらが専用カートの操作一覧だ。ゲームなどで慣れている人なら、思うように操作することができるだろう。
足元にアクセルはなく、足を載せる台があるだけだ。

 この挙動を実現しているのが、タイヤ部分である。まるで宇宙の乗り物のようにちょっと変わった形状をしているが、これは「メカナムホイール」と呼ばれるものだ。基本的に車は舵角で曲がるのだが、このメカナムホイールは回転の速度と方向を組み合わせることで、前後左右など車体の向きを維持したまま動かすことができるのが特徴である。メカナムホイール自体は比較的メジャーな既存の技術であるため、そちらをうまく活用しているというわけだ。

このちょっと変わった形のタイヤが、「メカナムホイール」だ。

 MRグラス越しの映像は思っている以上にクリアで、動物たちの動きもよくわかる。そのため、カートの操作さえ慣れてしまえば、動物たちをキャッチしていくのはそれほど難しく感じることはないだろう。筆者の場合は、操作に関してはゲームなどでおおよそ慣れていたためほぼ思い通りに動かすことができた。あまりこうしたものに触れたことがない人は、若干戸惑ってしまうことがあるかもしれない。

「Unityってなんだ?」というレベルから3ヵ月の突貫工事で開発

 トヨタ自動車ということで、カートなどのハード面を作るのは、まさに得意中の得意だ。しかし、MRグラスで動かすソフトはまったく作ったことがなかった。それこそ「Unityってなんだ?」というレベルから開発がスタートしたそうだが、突貫工事の3ヵ月ほどでこれらのコンテンツを作り上げたという。

 この「FUNVE」は、FUN(遊び)+VEHICLE(乗り物)から生まれた言葉だ。スタッフが着ていたTシャツの背中には「Fun to Drive for Kids」という言葉がプリントされていたが、「そもそもトヨタって子供向けのコンテンツがないよね」というところからスタートしているのだという。

 「FUNVE」は、これまでトヨタの販売店で行われていたイベントのみで体験できるものだったが、今回の期間限定トライアルでようやく日の目をあびることになった。ちなみに、「FUNVE」のコンテンツは今回体験できる「アニマルレンジャー」だけではない。もうひとつ「ワールドレーサー」と呼ばれるものがあり、このふたつを合わせて「FUNVE」と呼んでいるのだ。

 今回は「ワールドレーサー」のほうは体験できなかったが、こちらは見た目もレーシングカーのようになっており、サーキットでレースを楽しめるものになっている。また、操作も普通のハンドルになっているため、まさにゴーカート感覚で操作ができるそうだ。タイヤも真横に向けることができるため、ドリフトもできるという。今回のテスト期間の評判が良ければ、もしかしたら「ワールドレーサー」が体験できる日がくるかもしれない。

 ちなみに、「アニマルレンジャー」と「ワールドレーサー」は、カートが主体であり、その上で動かすソフトウェアという扱いになっている。関係者に「アニマルレンジャー」の続編はあるのか聞いたところ、今のところ予定はないという。

今回は体験できないが、ロゴマークの左上に映っているのが「ワールドレーサー」だ。

体験時間は1回あたり5分程度

 この「FUNVE」の体験時間は、1回5分程度だ。本来は1時間あたり5~6組が体験できることを想定していたが、実際はやや時間が掛かってしまうこともあり、もう少し回数が減ると予想される。また、カートのバッテリーも持たないため、時間を空けてサービスが提供される。「FUNVE」がお休みの時間帯は、同じ場所で提供されている通常のコンテンツが遊べるようになっているそうだ。

 いずれにせよ、ツインスティックで動かす特殊なカートとMRグラスという特殊な体験は、他では味わうことのないものだ。サービス期間は2ヵ月ほどだが、機会があればぜひとも体験してもらいたい。