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マレーシア生まれのロックなアクション! 「NO STRAIGHT ROADS」

日本ゲーム文化を活かしながら、自分の目指すゲームを追求

 マレーシアのゲームメーカーMETRONOMIKがPS4での発売を目指しているのが「NO STRAIGHT ROADS(ノー・ストレート・ロード)」だ。EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)というジャンルしか認めない音楽に支配された街ビニールシティで、失われた音楽「ロック」を武器に、反抗の狼煙を上げる2人の活躍を描くアクションアドベンチャーだ。

 本作は英語と日本語版の発売を予定しており、今回日本語版PVが公開された。主人公の2人Mayday(メイデイ)とZuke(ズーク)に佐倉綾音さんと福山潤さんを起用。本作の雰囲気がしっかり伝わるPVとなっている。今回、発売に先がけてゲームをプレイすることができた。

【「NO STRAIGHT ROADS(ノー・ストレート・ロード)」日本語版予告】

 マレーシアで開発が進められている本作は、CEO・ゲームディレクターのワン・ハズメー氏とクリエイティブディレクターのダイム・ゼィアウディン氏が中心となっている。2人は日本の大きなゲーム開発に関わった経験があり、その知見を活かし新しい自分達のゲームを生み出したのだ。

CEO・ゲームディレクターのワン・ハズメー氏とクリエイティブディレクターのダイム・ゼィアウディン氏

 本作は音楽をテーマにしたアクションアドベンチャー。メイデイとズークはインディーズロックバンドBunk Bed Junction(バンク・ベッド・ジャンクション)を結成、メイディはギター、ズークはドラムで戦う。彼らが戦いを挑むのはビニールシティを牛耳るボス達。彼らの音楽を自慢のロックで粉砕するのだ。

 本作では音楽を奏でる敵との戦いとなる。彼らは様々な攻撃を音楽に乗せて加えてくる。範囲攻撃、直接攻撃、雑魚を呼び出す攻撃。2人はこれらをかわし、楽器の衝撃波で敵を攻撃する。敵の攻撃は音楽とリズムに合っており、うまくいくと自分も演奏に参加しているような気持いいゲームプレイができる。太陽系を模したステージや、観客に囲まれたステージなど、全体のデザインは非常に全巣が良くとても魅力的だ。攻撃や防御がうまくいったときもとても気持ちが良い。

主人公の2人メイデイ(右)とズーク
本作では様々な敵と戦っていく。太陽系を模したステージは彼のDJ盤なのだ

 プレイしていて感じるのは非常にこなれた感じだ。日本の先端のゲーム開発に関わった開発者達がその技術と得た知見、そして自分達の目指すモノ、好きなモノを追求して作っており、それでいながら細部まで手を抜かないという姿勢が見て取れる。

 ただ一方でゲーム性という部分ではもっと磨き込みが必要だと感じた。敵の攻撃をよけるターン、攻撃をするときのターンという、ボス戦でのお約束と言える駆け引きのメリハリがわかりにくく、自分が今どういう状況で、何をすればいいかがわからない。敵の攻撃もパッと見てルールがわかりにくい。音楽と攻撃があっているという所も、ちょっとわかりにくかった。ゲームはポリッシュ(磨き込み)が必要である。現在の本作はまさにその磨き込みを行なっているんだろうと思う。

 今回ゲームをプレイしながら本作のコンセプトを聞いたのだが、強く共感したのがハズメー氏の「本作を音ゲーにしたくない」という想いだ。音ゲーの、指定したタイミングから外れたらダメというゲーム性を何としても破壊し、音楽をテーマにしながらもプレーヤーが自由にアプローチし、回避し、攻撃することで、フリーセッションのジャズのように、プレーヤーの行動の結果が音楽になるようなゲームに本作をしたいのだという。

多彩なシチュエーション、多彩な敵が待ち受ける

 筆者はこの意見にとても強く共感できる。筆者は音ゲーがとても苦手だ。「指示したとおりにボタンを押せ、それ以外は許さん」というゲーム性は、まさに作業を強制されているようで、その理不尽さ、人の思惑と価値観に無理矢理従わされている自分の姿に、反逆への怒りで爆発しそうになる。「言われたとおりのことを、完璧にやる」という喜びがあるのは知っているが、筆者には抵抗のある感覚だ。そういう意味で、ハズメー氏が目指すゲーム性、反抗がテーマの本作のノリはとても好きだ。

 もう1つ、改めて実感するのは「声優ってスゴイ」ということ。彼らのアニメ風のノリ、キャラクター性を端的に声で表現する技術は、世界に説得力を与え、ゲームに厚みを加える。これがうまくいかないと“素人感”が出てしまいゲーム自体が安っぽく見えてしまう。そういう意味で、演出、脚本、音響監督の指示、そういった諸々のものが声優の効果を倍加させ、とても良い世界を作っていると感じた。

 マレーシアで世界や日本の市場に通用するゲームを作りたい。そういう想いを込めた「NO STRAIGHT ROADS」というゲームは今後に注目である。日本のゲーム作りを学び、自分達のゲームを追求する人達は応援したいところだ。