ニュース

「CS:GO」大会「OMEN Challenger Series」、AbsoluteがライバルのIgnisを破り優勝

ついに完全復活か? 長く暗いトンネルを抜け国際大会への切符を獲得

9月14日開催

会場:日本HPブース

 「Counter-Strike: Global Offensive」のアジア大会「OMEN Challenger Series」の日本代表決定戦が9月14日、東京ゲームショウ 日本HPブースで開催され、Absoluteが2:0でIgnisを破り本戦の出場権を勝ち取った。Absoluteは11月1日よりインドネシアジャカルタで開催される「OMEN Challenger Series」に出場し、アジア太平洋地域の11カ国と激突する。賞金総額は5万ドル(約540万円)。

【TOKYO GAME SHOW 2019 日本HPブース生放送】

 「OMEN Challenger Series」は、アジア太平洋地域を対象に、毎年競技種目を変えながらアジア1位を競うeスポーツ大会。今年は、満を持してeスポーツの代名詞的な存在である「CS:GO」が競技種目に選ばれ、アジアでは強豪のひとつである日本でも予選が行なわれることとなった。

 決勝戦は、「CS:GO」ファンなら誰しも知っている不動の王者であるAbsoluteと、Absoluteにとって国内最大のライバルであるIgnis。現在は共にアマチュアチームだが、それぞれプロ化を目前に控えており、プロチームとして弾みを付けるためにも絶対に勝っておきたい戦いだ。

【日本HPブース】
実況解説はyukishiro氏とSasrai氏

 両チームの試合をオフラインで見るのは約1年ぶりだが、共にコーチが付き、国際大会で戦う準備が整っているように見えた。Absoluteについては、「CS:GO」ファンならご存じの通り、2018年11月にSCARZ Absoluteから脱退し、その後はアマチュアチームAbsoluteとして活動しているが、2019年は国際大会で思うような結果が出せておらず、予選敗退が続いている。ただ、脱退以前までマネージャーを務めていた後藤達海氏が7月にAbsoluteのマネージャーに復帰。営業面が強化され、再度プロ化に向けて準備を進めている段階だ。

【コーチ】

 後藤氏によれば、「アマチュアで揉まれ、コーチが付いたことから以前よりも強くなっている」と語る。AbsoluteにとってはSCARZ離脱後、他のプロチームとの再契約がうまくいかなかったのが誤算で、現在も全メンバーがAbsoluteの活動を“本業”として、過去の賞金で生活している状況だという。

 一方、Ignisも2018年11月に、元SCARZ Absoluteのメンバーであるpoem選手を迎え、戦力を増強。今年に入って、国際大会の予選でAbsoluteに勝利し、EHOME(中国)やD13(モンゴル)など、国際大会出場経験のあるチームを相次いで撃破するなど、確実に実力を付けている。Ignisは、昨年GALLERIA GAMEMASTER CUPで2位になった際の副賞としてeXTREMESLANDへ現地観戦を行ない、SCARZ Absolute(当時)がアジアで戦う様子を見届けたが、この経験が大きな財産になっている様子だ。

【Absolute対Ignis】
ステージデザインで残念だったのは、PCが置かれていて選手達の顔が見えないことだ

 さて、マップはIgnisがTrain、AbsoluteがOverpassをそれぞれピック。残されたマップはInferno。TrainはIgnisが大好きなマップだが、得意としているのはむしろAbsoluteの方だ。OverpassはIgnisがあまり得意としていない。Ignisはマップピックで大きな賭に出た。

 気づけば会場は「CS:GO」ファンで埋まっていた。見知った顔がちらほらいるほか、「CS」がデビューした頃にはまだ生まれていないような若いファンもいるのが心強い。コミュニティの1人によれば、最近は「レインボーシックスシージ」から逆に流れてくるケースが増えているという。かつては「CS:GO」を諦めた人間が「レインボーシックスシージ」をやると言われていたものだが、いつのまにか循環するようになっているようだ。

 熱心なファンはややIgnisが多めで、ときおり野太い歓声が飛ぶ。Ignisとしてはこの応援を力に変えてTrainをしっかり取って優勝への足がかりにしたいところだったが、Ignisが仕掛けたTrainは、カウンターテロリスト側のAbsoluteに押しまくられ、前半だけで3:12と大差を付けられ、結局8:16で落としてしまう。ちょっと内容が悪すぎて何のためにTrainを取ったのかがわからない。作戦ミスだろうか。

 このままワンサイドゲームで終わってしまうのかと思いきや、続くOverpassは、IgnisのoitaN選手、poem選手のツートップに加えて、スナイパーのneth選手が躍動。1:1のイーブンとして第3ゲームInfernoまでもつれ込むのでは? と思わせるほどの大混戦となった。試合後にpoem選手が語ったところでは、1マップ目は、メンバーがオフライン大会に慣れておらず固くなってしまったという。2マップ目から少しずつ余裕が出て、落ち着いた試合運びが出来るようになったようだ。

 OverpassはAbsoluteが先にマッチポイントを取った後、Absolute 3人対Ignis neth選手という絶望的な状況の中で、neth選手が相手の動きを読み切ってスナイパーで3キルを決めてラウンドを取るなど、神がかり的な逆転劇もあり、久々の「CS:GO」オフライン観戦の醍醐味を存分に味わうことができたが、最終的に勝利の女神はAbsoluteに微笑んだ。

 高々と両手を上に突き上げたAbsoluteの面々に対して、負けた悔しさか、あるいは自身の不甲斐ないスコアに対してかはわからないが、IgnisインゲームリーダーのHornet選手は泣き崩れた。やはりライバル対決はおもしろいなと感じた。

【熱戦風景】

 奇しくもこの両チームは、来週9月22日、23日に実施されるGALLERIA GAMEMASTER CUPあらためGALLERIA GLOBAL CHALLENGEの準決勝で再度激突する。日本の「CS:GO」は、この2チームが突出しているのは誰しもが認めるところであり、これが事実上の決勝戦となるはずだ。このGGCで優勝すると、自動的にeXTREMESLANDへの切符が手に入る。国際大会の切符を2枠ともAbsoluteが獲得するのか、それともIgnisが一矢報いるのか。彼らにとっては緊張が続くことになるが、我々「CS:GO」ファンにとっては、まだしばらく楽しみが続きそう。来週の再戦が楽しみだ。

【表彰式】