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アケコンやゲームパッドの名門メーカー「Mad Catz」が日本で復活!

残念ながら新アケコンやプロゲーマーの姿はなし。Mad Catz Global発表会レポート

6月27日開催

会場:廣瀬無線電機5F

 Mad Catz Globalは6月27日、日本市場での再展開に向けた記者発表会を開催し、同社のビジョン、新製品などがお披露目された。

 Mad Catzは米国のゲーム関連のペリフェラルメーカー。アーケードスティックやゲームパッドに注力しており、2010年に“ウメハラ”こと梅原大悟選手とプロモーション契約を結び、日本人初のプロゲーマーを生み出した。ウメハラ選手に続いてマゴ選手、ときど選手などの日本の実力派プレーヤーとプロ契約を果たし、日本のeスポーツブームに大きく貢献したメーカーとして知られる。

 ウメハラ選手をはじめとするプロゲーマーのプロモーション効果も絶大で、Mad Catzのアーケードスティックは格ゲーマーの間では憧れのアイテムとなっていた。人気ブランドを確立したMad Catzであったが、楽器型の「Rock Band 3」専用コントローラや、自社のコンソール機「M.O.J.O.」などの失敗が打撃となり、2017年3月に倒産となった。

 しかし、2018年1月に香港でMad Catz Globalとして1年足らずで復活。そして2019年6月より、Mad Catz Globalの製品が日本でも販売開始されることが発表された。今回の発表会はそのキックオフとなった。ただ、我々ゲームファンが期待した内容だったかというと、そうでもなかったというのが正直な所だ。

【旧Mad Catz】
2015年11月に開催された「Mad Catz ファイティングストア」オープニングイベントの様子(参考記事
当時Mad Catz所属プロゲーマーだった梅原大悟選手。その左はときど選手
ウメハラ選手(右)、ときど選手(中央)、マゴ選手(左)によるサイン会も開催された

新たな方向性で動き出す、新生Mad Catz

 プレゼンにはMad Catz GlobalのゼネラルマネージャーBill Lo氏が登壇。「私たちのビジネスは主に、マウスやキーボード、コンシューマ用のデバイスなどを展開してきました。これらの商品を私たちは次のレベルに引き上げたいと考えています」とビジョンを語った。そして、2017年に倒産したことを振り返りながら、「私たちは過去の失敗から学び、新たな出発のために社員総出で以前よりも何倍も努力しています」と過去との違いについて言及した。

【Mad Catz GlobalのゼネラルマネージャーのBill Lo氏】

 日本再上陸となる第1弾の製品はゲーミングマウス。「R.A.T.4+」、「R.A.T.6+」、「R.A.T.8+」の3タイプを発表し、いずれも高精度エイムボタンを搭載した、FPSに特化した仕様となっている。この製品は2017年以前に発売された「R.A.T.4」、「R.A.T.6」、「R.A.T.8」のデザインを踏襲しつつ、最新のセンサーや技術でチューンアップしたものだという。この商品は6月28日~7月31日の間、ヨドバシカメラ全店で先行販売し、その後一般流通が予定予定されている。

【日本展開第1弾のゲーミングマウス】
ウェイトシステムにより、自分好みに重さの調整ができる

 Mad Catz Globaの製品は、品質を最優先に開発しており、製品をリリースする前に、ゲーマーやメディア関係者などに製品を使い込んでもらい、そのなかで出てくる問題などをフィードバックしてもらい、さまざまな意見を取り入れ、問題を解決してから商品化することを徹底していると説明。

【品質を最優先するMad Catz Globalの理念】

 その後、国内向けにリリース予定の製品が紹介された。ゲーミングマウス、キーボード、ヘッドセットなど、PC向けのゲーミングデバイスが中心といった内容。コンソール機の周辺機器や、過去のMad Catzの看板であったアーケードスティックについては全く触れられないままプレゼンが終了した。

【今後の商品ラインナップ】
以前のMad Catzとは違い、PC用のゲームデバイスを軸に展開される

 質疑応答に入ると、発表された商品ラインナップに違和感を感じたのはやはり筆者だけではなかったようで、すぐさまアーケードスティックのリリースについての質問が挙げられた。その質問にBill氏は「アーケードスティックのリリースの予定はあります。ですが、いつどんな形で発表できるのかはまだ決まっておりません」と返答。

 続いて、今後のプロゲーマーのサポートについて訊かれると、「それについては検討しています。ゲーミングデバイスにとってプロゲーマーは非常に重要ですので、何らかの形で日本で実施していきたいと考えています」とコメントを残し、発表会が終了した。

【アーケードスティックについて】
発売の予定はあるそうだが、具体的な発表はなかった

 今回の発表会は、「日本で再展開する」という部分がメインで、6月28日発売の「R.A.T.4+」、「R.A.T.6+」、「R.A.T.8+」以外はほとんど詳細な情報がなく、Mad Catzファンの期待に応えられる内容になっていないと感じた。

 何より1番引っかかったポイントは、アーケードスティック発売の見通しが全くついていないというところだ。以前のMad Catzにとってアケコンは、ウメハラ選手のイメージと共にまさにアイデンティティといっても過言ではないはずだが、発表会の反応からするとまだしばらくは発表される様子はなさそうだ。

【アーケードファイトスティック トーナメント エディション】
Mad Catzと言えばやはり「アーケードファイトスティック トーナメント エディション」シリーズだろう(参考記事)。ウメハラ選手をはじめ多くのプロ選手が愛用していた人気シリーズで、復活を希望するファンも多いだろう

 もっとも、アケコンは、2018年から再始動している米国のMad Catz Globalサイトでもまだ未発表である。近年のeスポーツブーム、格ゲーブームのなか、動きがないのが残念で仕方がない。

 Mad Catzのアーケードスティックは、他のメーカーには真似の出来ない、まさにプロ仕様といった高品質な製品であった。世界中で格闘ゲームの熱が高まっている今だからこそ、すぐに発売してほしいと思うユーザーも多いはずだ。

 期待のメーカーだからこそ、厳しい感想にはなってしまったが、発表会で説明されたMad Catz Globalの“徹底した品質管理”や“ユーザーの声を大事にする姿勢”はとても素晴らしく、ユーザー目線から安心と信頼を強く感じた。アーケードスティックを心待ちにする“ユーザーの声”がしっかり届くことを願っている。

【海外の公式ホームページ】
商品のカテゴリの中にはアーケードスティックやゲームパッドなどの周辺機器は見られなかった