サードウェーブ、法人向けのeスポーツビジネスの本格展開を開始

　サードウェーブは、8月30日より大阪ナレッジキャピタルコングレコンベンションセンターにて開幕したスポーツ産業のビジネス展示会「スポーツビジネスジャパン2018」に初出展し、法人向けのeスポーツソリューションを出展した。イベントは明日まで開催される。

会場の様子

小規模のブースが軒を連ねる

カンファレンスも併催され、どのセッションも満員だ

　「スポーツビジネスジャパン2018」は、日本スポーツ産業学会が主催し、スポーツ庁、そして日本プロサッカーリーグを初めとした国内の主要スポーツ団体を後援に、スポーツ産業の活性化を目的に開催されているビジネス展示会。

　ビジネス展示会ということで、個々の出展エリアはそれほど規模は大きくないものの50社以上がブース出展。大成建設や竹中工務店といったスーパーゼネコンによる次世代向けのスポーツスタジアムから、スタジアム用の人口芝やイス、照明、インフィールドの土、選手の体調管理システムに至るまで、スポーツビジネス向けの様々なビジネスソリューションが展示されていた。

　筆者が取材に訪れた目的は、もちろんそれらではない。GAME Watchが取材に訪れていることからも想像できるように、今年からは日本eスポーツ連合（JeSU）が後援に加わり、名実共にeスポーツがスポーツビジネスの仲間入りを果たした。これに合わせて、国内唯一のJeSU公認PCを販売しているサードウェーブがJeSUに協力する形でブース出展し、スポーツ関係者に対してeスポーツビジネスがお披露目されたのだ。

　スポーツビジネスとeスポーツビジネスとの未知の遭遇であり、スポーツ関係者が、eスポーツという名前は聞いたことがあるが、よくわからない存在に対して、どのような反応を示すのか、この目で確認したかったのだ。

【スポーツビジネスジャパン2018】

スポーツをビジネスという側面からのみ見た展示会。スポーツが如何に多くの関係者によって支えられて成立している存在なのかよく理解できた。eスポーツももっと規模が拡大すれば同様の展示会があっていいと思う

多くの来場者で賑わうサードウェーブブース

　今回その役目を担っていたサードウェーブは20平米ほどの広さのブースに、GALLERIA GAMEMASTERをはじめとした複数のPC、BenQのゲーミングモニターを展示し、LFS池袋のプロモーション映像を繰り返し流していた。eスポーツの出展ということで、eスポーツ担当スタッフばかりかと思いきや、意外にも法人営業のスタッフがメインだった。

　展示されていたのはゲーミングPCやゲーミングモニターというわけではなく、eスポーツビジネスそのものだった。サードウェーブでは2018年4月のLFS池袋のオープン以降、ネットカフェをはじめとした各種事業者からeスポーツビジネスに関する問い合わせが増えており、LFSの運営によりノウハウが蓄積されたきたこともあって、今回のイベントに合わせてeスポーツビジネスをパッケージとして用意することにしたのだという。

　その内容は、LFS池袋のような100台規模の本格的なeスポーツ施設から、喫茶店やショップの一部エリアを改装してゲーミングPCを時間貸しするような数台レベルの運用まで、あらゆる規模をカバーする。価格はコンサルティングも含めて100万円より。この価格は規模に応じて、ゲーミングPCやモニターだけでなく、サーバーやチェアやマウス/キーボード、ヘッドセットなども含めており、運営ノウハウも含めてトータルでサポートしていく。

【eスポーツビジネスパッケージ】

ブースではeスポーツビジネスパッケージの主役を担うGALLERIA GAMEMASTERを使った「FIFA18」のデモンストレーションが行なわれていた

　とりわけユニークな存在が、今回初出展だというデジタルサイネージ向けのソリューション「MD-12」だ。本来はデジタルサイネージ用の12画面マルチディスプレイ向けのPCだが、スイッチを必要とせず、このPC単体で12画面同時出力を可能にする。デモでは、LGのフレームレス27インチモニターを12枚並べて、LFS池袋のプロモーション映像をフルHDで流していた。

　PC単体での価格は30万円で、最大解像度は5,760×4,320ドット。従来の方法では多画面同時出力に10万円前後のPCに、50万円前後のスイッチが必要となり、60万円相当必要だったが、サードウェーブのソリューションはその半額で実現する。ちなみに、LGのモニター12台も丸々セットにした場合で70万円程度だという。

　このソリューションで、eスポーツの試合そのものは、PCの処理能力や、モニターの応答速度の関係で難しいというが、観戦用のモニターとしては十分実用圏内で、そのためeスポーツビジネスパッケージとセットで出展を決めたという。

　ビジネス展示会は、その性質上、大量の人が集まるという展開にはなりにくいが、サードウェーブのブースは、他社のブースと出展内容がまったく違っていたため、物珍しさから常に多くの人で賑わっていた。サードウェーブ取締役副社長の榎本一郎氏は、「まったく業種の異なる多くの方と名刺交換できて出展したかいがあった」と笑顔で語ってくれた。

　その榎本氏は、同日行なわれたeスポーツカンファレンスにも出席し、ブース出展社が行なうスポンサーセッションでeスポーツの潮流を紹介した同社上席執行役員松原昭博氏と共に記者会見も行ない、自身のeスポーツへの想いをたっぷり語ってくれた。その模様については別稿にて詳しくお伝えしたい。

【12画面マルチモニター用PC「MD-12」】

MD-12の背面から直接伸びる12本のケーブル。中央の12画面モニターになっている

このLGの27インチモニターはベゼルがほとんどないため、フレームを気にすることなくモニターの映像に集中できる。この12画面マルチモニターに反応示す人も多かった。意外とスポーツ分野でのダイレクトな活用もあるかもしれない