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「グランツーリスモSPORT」に登場するバーチャルカーが現実に登場!「Audi e-tron Vision Gran Turismo」の制作秘話が明らかに

8月8日 開催

会場:ベルサール秋葉原

アウディ ジャパンのマーケティング本部長、シルケ・ミクシュ氏が「ゲームの聖地である秋葉原に電気自動車のレーシングカーを持ってきました」とコメントし「Audi e-tron Vision Gran Turismo」を紹介した

 アウディ ジャパンは8月8日、プレイステーション 4用リアルドライビングシミュレーター「グランツーリスモSPORT」に登場する、アウディが制作したコンセプトカー「Audi e-tron Vision Gran Turismo」の現実のサーキットを走行することができる実車を披露するイベント「『Audi e-tron Vision Gran Turismo』NIGHT IN TOKYO」を開催した。

 「Vision Gran Turismo」は、各クルマメーカーそれぞれが理想とするコンセプトカーを「グランツーリスモSPORT」のために設計し、同タイトルに収録するコラボレーションモデル。通常はゲーム内にしか登場しないが、アウディは「Audi e-tron Vision Gran Turismo」を世界限定1台で実車を作り上げてしまった。

 そんな夢のような「Audi e-tron Vision Gran Turismo」だが、すでに8月4日に富士スピードウェイでデモランを行なっている。「Audi e-tron Vision Gran Turismo」はバッテリーだけで走行する電気自動車でありながら、815馬力というパワーを持つハイパワーなクルマだ。電気自動車だけあって、その走行音は非常に静かだが、一方で、コーナリング性能の高さと815馬力のパワフルさで非常に走りやすいのだという。

「Audi e-tron Vision Gran Turismo」
会場には「グランツーリスモSPORT」の試遊台がズラリ出展され、プレイすることができた

 今回のイベントでは、「Audi e-tron Vision Gran Turismo」を作り上げたアウディのスタッフのみならず、「グランツーリスモSPORT」を手がけたポリフォニー・デジタルの山内一典氏も登壇し、そのコンセプトを語った。

 山内氏は「グランツーリスモ」シリーズが20周年を迎えたことについて「20年間続けてこられたのはファンのみなさんのおかげです。本当にありがとうございます」と感謝の意を述べた。また、現在の「グランツーリスモSPORT」のプレーヤー数については、「550万人以上で、まだ増え続けている」とコメント。

 また「グランツーリスモSPORT」がeスポーツ性の高い作りになっており、世界的にFIAと共同でレーシング大会のプロジェクトを進めていることについて触れ、「我々がFIAとプロジェクトを始めた頃は“eスポーツ”という言葉もなかった。今後のモータースポーツの100年後を見越して5年前からこういった試みを進めているが、形になりそうだ」と競技性の高い大会を今後も進めて行きたいと語った。

 「Vision Gran Turismo」のコンセプトについては、「車が作られるきっかけはあまり知られていない」と切り出し、「素敵なクルマが作られるきっかけを作りたかった」のだという。

 同時にクルマメーカーに対し「クルマ作りを楽しんでいますか?」という問いかけでもあったのだという。結果として多数のクルマメーカーとのコラボレーションが実現し、続々とコンセプトカーが制作され、「グランツーリスモSPORT」に収録されている。山内氏は「これだけ多くのメーカーが参加してくれるとは思ってもいなかった」と言い、「ただのパートナーシップだけに留まらず、ここまでしてくれるということは『クルマのデザインを楽しんでいる!』というクルマメーカーの返答だと思っている」とその意図が果たされていると語った。

 一方で実車作りを手がけたアウディ ドライビング エクスペリエンス/モータースポーツマーケティング統括のクラウス・デメル氏は、「アウディはただ『Vision Gran Turismo』を手がけるだけではなく、もう一歩踏み込んで皆がビックリすることをしようと考えた」と動機を語ったが、アウディの考える電気自動車の完成形をアピールできる場であると考えたようだ。

 実際にテスト走行を行なった山内氏は「電気で走るパーフェクトなレーシングカー。非常に静かでそれだけレーシングに集中できる」と語り、レーシングの常識が変わったと感じたのだという。「Audi e-tron Vision Gran Turismo」の実車を作るにあたっては、山内氏側からは「デザインを変えないで欲しい」と言われたのだとか。

 完成した実車はほぼデザイン通り。しかし、デメル氏によれば、レーストラックで高速に走る技術を盛り込むことは非常に難しかったのだという。ドイツツーリングカー選手権にエントリーしているアウディ車のパーツや、日本では来年に販売される予定の車の最新のパーツを共有して使用することで、この技術的な難題をクリア。山内氏を「トルクが凄い」と唸らせた815馬力のハイパワーエンジンを搭載しながらフルタイム四輪駆動を採用することで運転のしやすさを追求している。

 デメル氏は「山内さんと完璧なコラボレーションができた。『Audi e-tron Vision Gran Turismo』でアウディの考える電気自動車像を見せることができた。乗って楽しい車です」と語り締めくくった。

ポリフォニー・デジタルの山内一典氏
アウディ ドライビング エクスペリエンス/モータースポーツマーケティング統括のクラウス・デメル氏

Audi GTドライバーの富田竜一郎選手がプロの凄みを見せつける。

 イベントでは、「Audi e-tron Vision Gran Turismo」を使用したデモ走行が行なわれた。ゲストとして登場したのはAudi GTドライバーの富田竜一郎選手。当初は富田選手のみがデモ走行を行なう予定だったが、「比較がないとわからないでしょ?」ということで、急遽MCを担当していた田中氏もプレイすることに。

 田中氏は最初のコーナーでいきなりサーキットの壁にこすってしまい大いにいじられることに。しかし、若干ふらふらしながらも、「Audi e-tron Vision Gran Turismo」のパワーを存分に活かした走りを見せる。「コーナーでGを感じる!」とコメントした田中氏に対して、一同から「どうやったらGを感じるの?」と突っ込まれるも、「それだけ『グランツーリスモSPORT』がリアル」と切り返していた。田中氏のラップは1周目が1分26秒、2周目は1分15秒となかなかの高速走行をみせた。

 そしてここで満を持して富田竜一郎選手がハンドルを握ったが、その走り出しからしてプロの走りの違いを見せつける。コース取りが完璧なことはもちろん、ぶれることなく走るその安定感は見た目にも美しい。317kmで走行したかと思えば、250kmでコーナーに入り、コースの外周をこすることなく抜けていく。1周目は1分21秒だったが、2周目は1分05秒とさらにタイムを上げてフィニッシュした。富田選手は「車のパフォーマンスが高いし、(プロドライバーが)ドライビングテクニックを活かすことができるクルマ」と褒め称えた。

安定した走りを見せた富田竜一郎選手
今回のレギュレーション
MCの田中氏の走り。写真だとわからないが、若干ふらつき気味。とはいえ十分速かった!
その美しい走り、そして安定感は段違い!

女優・篠田麻里子さんが魅力を語る。

 イベントには、さらにゲストとして女優の篠田麻里子さんが出席。篠田さんは富士スピードウェイで開催された「Audi e-tron Vision Gran Turismo」のデモランで助手席に乗り、そのすごさを体感している。イベントにはaudiカラーの真っ赤なドレスで登場した。

 免許を取ってまだ2年目という篠田さんだが、「Audi e-tron Vision Gran Turismo」について、ゲームで見てはいましたが、それが現実に存在するというのが凄いと感じました」とコメント。実際に乗った感想は、「日常的には出せないスピードじゃないですか? スピードがすごくて(車載)カメラが揺れるほどなんです」とかなり興奮した様子。

 富士スピードウェイでのデモ走行はブノワ・トレルイエ選手が行なったが、非常に紳士的な走行で「格好良くて、コロッといっちゃいそうになった」とレーサーの魅力にはまった様子。一方、富士スピードウェイで運転を担当したブノワ・トレルイエ選手は「Audi e-tron Vision Gran Turismo」の実車を運転した感想として、「815馬力とパワーもすごく、ハンドリング性能が高いため取り回しが良く、コーナーをまわりやすい。将来が楽しみなクルマ」とコメントした。

 篠田さんは「このスピード感を体験できて嬉しかった。スピードが出ると大きなエンジン音が出るのかと思いましたが、全く音がないわけではないのですが静かで、電気自動車は静かだと感じました」と、その音の静かさに感心したようだ。「クルマはまだ詳しくないですが、今回経験して、未来のクルマなんだなという気がしました。アウディの似合う女性になりたいと思います」と語り締めくくった。

篠田麻里子さん
ブノワ・トレルイエ選手