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ドワンゴのVR事業展開が明らかに。合弁会社バーチャルキャスト設立、スマホでのVTuberアプリ提供、「Vカツ」とのサービス連携

7月28日発表

 ドワンゴは7月28日、「ドワンゴのVR事業展開 記者発表会」を開催し、ドワンゴと、インフィニットループによる合弁会社 「株式会社バーチャルキャスト」を設立など様々な施策を発表した。

 実際の人間に合わせて3Dキャラクターが動き、様々な企画を可能とするVTuberは、YouTuberの新しい形、表現の新たな方法として昨今爆発的に広がっている。ドワンゴはこの業界に、より門戸を広げる方向でアプローチしていく。

バーチャルキャスト設立、VTuberに必要な要素をワンストップでユーザーに提供

 昨今のVTuberの急速な盛り上がりを受け、ドワンゴは2018年4月よりインフィニットループと「バーチャルキャスト(VTuber配信ツール)」を共同開発し、VR市場で存在感を示してきた。バーチャルキャストは、今後のVR市場の世界的な成長を見据え、さらなる事業拡大を図るべく設立された。

 バーチャルキャストでは、インフィニットループが持つ「開発力・マーケティング力」と、ドワンゴが持つ「エンタテインメント事業の総合力・UGCプラットフォームやその運営ノウハウ」、そしてドワンゴを傘下に収めるカドカワグループ全体が持つ「IP・調達力」を結集し、強みを最大限に活かすことで、先進的なプロダクトを集結させた”VR総合プラットフォーム”を創出し、あらゆるユーザー、クリエイターが自由にVR空間で活躍できる場を提供するという。また、日本国内のみならずグローバル展開も図っていく予定。

 バーチャルキャストは、3Dモデルの投稿プラットフォーム「ニコニ立体」、VR向け3Dアバターファイルフォーマット「VRM」を活用しライブ・コミュニケーションサービス「バーチャルキャスト」にて、誰でもVTuberになれる活動を支援していく。「3Dモデルの作成」→「3Dモデルの投稿・集積」→「VR空間での利用」→「生放送・動画放送」 (つくって・あつめて・あそべて・配信できる)といった、VTuberに必要な要素をワンストップでユーザーに提供していくこととなる。

配信者にバーチャルアイテムを贈ることができる「Vギフト」を開始

 「バーチャルキャスト」が8月1日にバージョンアップし、バーチャルキャスト内で配信者にバーチャルアイテムを贈ることができるギフティング機能「Vギフト」を開始する。

 「Vギフト」を使用して花束や打ち上げ花火などの3Dアイテムを生放送番組に贈ることで、視聴者も番組を直接的に盛り上げたり、配信者を支援することができる。配信者に贈られたギフトは、「クリエイター奨励プログラム(niconicoの投稿作品の人気度に応じて、プレミアム会員収入および広告収入の一部を原資として奨励金を支払う制度)」のスコアに加算され、配信者はスコアに応じて奨励金を受け取ることができる。

 「Vギフト」は同じく8月1日より開始するニコニコ生放送の「実験放送」(PCブラウザ、iOSブラウザ、Android用アプリ ※iOSアプリは後日リリース)において使用することができる。なお、ニコニコ生放送の実験放送では、バーチャルキャストを使用した番組以外でも配信者にアイテムを贈ることができる機能「ギフト」を8月上旬に開始予定。

誰でもVTuberになれるスマホアプリ「カスタムキャスト」リリース

 ドワンゴとS-courtが共同開発した、誰でも手軽にVTuberになれる無料スマートフォンアプリ「カスタムキャスト」(内部課金あり)を8月下旬にリリースする。今までVTuberになって番組配信を楽しむためには、パソコンやVR機材、トラッカーなどの購入、複数人での運営が必要となり、限られた方のみが体験できる世界だった。

 「カスタムキャスト」を使用すれば、スマートフォンさえあれば誰でも気軽にVTuberになって番組配信することができる。キャラクターカスタマイズ機能には、「ヘアスタイル」、「フェイス」、「ボディ」、「コスチューム」、「アクセサリー」など、数多くの設定項目を用意し、使いやすく直感的なインターフェースで、手軽に、そして簡単に自分好みの可愛い美少女VTuberを作ることが可能。

 また、機能のひとつである「フェイストラッキング」は、配信者の表情を読み取り、簡単に表情を付けることができる。その他にもAR機能を使うことで、背景を現実世界にして配信したり、niconicoの立体投稿共有サービス「ニコニ立体」経由でVRM形式の出力にも対応予定(料金は未定)。

VTuber支援サービス「Vカツ」と「バーチャルキャスト」がサービス連携

 ドワンゴは、IVR(株式会社シス)との共同プロジェクトとして、IVRが8月1日から提供するハイクオリティな3Dアニメキャラクターが無料作成できるVTuber支援サービス「Vカツ」と、VRライブ・コミュニケーションサービス「バーチャルキャスト」がサービス連携する。実施は、8月下旬予定。

 Vカツは、制作コストや専門知識、作業時間などの問題から、これまでVTuberなどの3Dキャラクター制作ができなかった人たちのために開発された、3Dキャラクターメイキングツール。顔、髪、体、衣装、アクセサリーなど、300を超える設定項目から制作したオリジナルのキャラクターに、アニメーションや表情付けをすることができるほか、今後は男性キャラクターの作成や設定項目の追加、無料での商用利用、スマートフォン対応なども予定している。

 これにより、300万円~400万円程度のコストが必要だった3Dキャラクター制作を無料で実施することができる。今回、Vカツとバーチャルキャストの連携によって、オリジナルキャラクターを使って手軽に生放送配信ができるようになるほか、niconicoの立体投稿共有サービス「ニコニ立体」にVRM形式のデータを投稿することで、キャラクターデータを公開することもできる。