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「Rez Infinite」水口哲也氏×音楽を手掛けたKen Ishii氏が特別パフォーマンス!
4K×4Kのスペシャルゲーム映像をドームシアターに投影。鳥肌の立つ体験
2017年11月6日 20:14
11月3日から5日までの3日間、日本科学未来館にて開催されたデジタルアート&エレクトロニックミュージック・フェスティバル「MUTEK.JP 2017」に「Rez Infinite」を使った特別パフォーマンスが出展された。
「MUTEK.JP 2017」では、日本科学未来館のドーム投影システムをフル活用し、ドームシアターGAIAに「Rez Infinite」を全天周投影し、VRヘッドセットなしで約100人が同時に「Rez Infinite」の映像を体感できる実験プロジェクトを開催。この試みは2度目となる。「Rez Infinite」をプレイするのは1人だが、その映像を100名が視界を覆うドーム投影システムで見ることで、ほかでは得られない感覚を得ることができる。
さらに今回は、水口哲也氏が「Rez Infinite」をプレイし、「Rez」の「Area 3」の音楽を担当したアーティストのKen Ishii氏がゲームの音源を使用しリアルタイムにLive mixを試みるというスペシャルビジュアルパフォーマンス「Rez Infinite Session(Tetsuya Mizuguchi x Ken Ishii)」も開催された。特に「Rez Infinite Session」は2回しか行なわれない特別なイベントとなったため、かなりの人気となった。
セッションに先駆けて行なわれたトークショーでは、Ken Ishii氏のデビューアルバム「Jelly Tones」にまで話がさかのぼり、森本晃司氏が手掛けたPV「Extra」がドーム投影システムで上映された。公開後既に20年以上経過しているが、「Extra」の中ではヘッドセットとVRシステムが描かれており、時代の先端を行っていたことがわかる。
「Rez」はその後2001年にリリースされることになるが、何度も語られているとおり、「効果音が音楽になる」というコンセプトの元、プレーヤーが最終的に音楽を完成させていくという、演奏感のあるそれまでにないインタラクティブソフトウェアとなっていた。Ken Ishii氏も「Rez」の登場には「たまげた!」と振り返っている。
「Rez」の音楽を作成するために世界中を回る中で、あのテクノアーティストのAphex Twinにも音楽を依頼していたのだという。しかし締め切りの2週間前に突如Aphex Twin側から「……できない」と連絡があり、残念ながら収録されなかったのだという。こうやって生まれた「Rez」だったが、音楽作成の当初から水口氏の中にはKen Ishii氏に音楽を頼む構想があったのだという。
今回のライブセッション「Rez Infinite Session(Tetsuya Mizuguchi x Ken Ishii)」では、水口氏が「Rez Infinite」をプレイした映像を4K×4Kの特別な高解像度映像にリアルタイムレンダリングを行ない、ドームシアターGAIAに全天周投影する。
ちなみに「Rez」作成時の音楽は、アーティストから提供された音楽を1音1音バラバラに分解してゲーム内のオブジェクトなどに配置することで、プレーヤーの行動により音楽を奏でられるようなシステムとなっている。
今回は水口氏がプレイした音源を、音の種類などを考えて6chくらいに分解。その音源をKen Ishii氏が7.1chサラウンドにリアルタイムミックスし、さらに新たな音も加え、1つの作品としてリアルタイムに仕上げていくという新しい試みだ。
ゲームの制作時に分解された音を、ゲームプレイによりリアルタイムに構築し、それを音楽の制作者がリミックスする……。さすがのKen Ishii氏も新たなる試みに「普段とは違う頭を使う……」と大変そうだった。水口氏がプレイしたのはKen Ishii氏が音楽を手掛けた「Area 3」で、10分程度のセッションとなった。
実際に体験した感覚としては、もちろんVRとは全く違う感覚なのだが、視界を覆うドームシアターGAIAに大きく映し出されるプレイ映像と音楽のシンクロに身を任せていると没入感とはまた違ったトリップ感が凄まじく、特に場面が変る瞬間やラストのボスとの戦いの瞬間などはパーティクルの渦に飲まれていき、現実には味わえない光りの渦の中に居る感覚で新鮮だった。まさに鳥肌が立つ感覚だった。
セッションが終わった時、会場からは大きな拍手が巻き起こっていた。こういったイベントはなかなか開催されることなく、非常に貴重な瞬間だ。人気も高いので体験するには一苦労だ。次回の開催の目処も立っていないが、アンテナを張り巡らし、機会があればぜひとも参加していただきたい。