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「オーバーウォッチ」ワールドカップ、準々決勝で優勝候補同士が激突

「USA!USA!」、スーパーアウェイの状況下で韓国代表は如何に戦ったか?

11月3、4日開催

会場:Anaheim Convention Center

 米国時間の11月3日、Blizzard EntertainmentのオフラインイベントBlizzConが開幕した。Blizzard主催の“新作発表のためのプライベートショウ”という印象の強いBlizzConだが、近年はeスポーツに注力しており、とりわけ「オーバーウォッチ」サービス開始以降は、新作や新情報の発表は、言わば“前座”で、メインイベントは主要タイトルによる世界大会決勝トーナメントだ。初日から丸2日間かけて、ベスト16あるいはベスト8まで勝ち抜いた強豪達が世界中から集まり、このアナハイムの地で、同時多発的に試合をこなしていく。

 特定のゲームのファンは、1日中そのタイトルのトーナメントを観戦しているだけでも十分楽しめるイベントだが、筆者のように「とにかくeスポーツを観戦するのが好き」という人間はどれを見たらいいのか本当に困ってしまう。どれもグローバルでは有力タイトル、しかも世界大会の決勝トーナメントだ。

 BlizzCon初日は、既報のように、オープニングセレモニーでの新情報の発表や、その後に行なわれた各タイトルごとのステージの記事対応、それからクリエイターインタビューに追われたため、観戦できたのは夕方以降からだった。何はともあれまずはひと試合と思い、一番盛り上がっている試合を観戦することにした。

 一番会場が離れている「ハースストーン」から順番にトーナメント会場を覗いていったところ、1タイトルだけぶっちぎりで人気を集めているタイトルがあった。今や同社のフラッグシップタイトルに成長した「オーバーウォッチ」だ。どれぐらい盛り上がっているかというと、「オーバーウォッチ」の会場は満席による入場規制で中に入れず、出待ちの行列だけで数百人に及び、メイン会場のパブリックビューイングにも数百人規模で来場者が集まり歓声を送っていたほどだ。

【「オーバーウォッチ」準々決勝 韓国対米国】
「オーバーウォッチ」ワールドカップ、準々決勝で優勝候補同士が激突 初日1番人気だったのは「オーバーウォッチ」。やはり米国チームが出場すると一段と盛り上がるようだ
「オーバーウォッチ」ワールドカップ、準々決勝で優勝候補同士が激突 初日1番人気だったのは「オーバーウォッチ」。やはり米国チームが出場すると一段と盛り上がるようだ
「オーバーウォッチ」ワールドカップ、準々決勝で優勝候補同士が激突 初日1番人気だったのは「オーバーウォッチ」。やはり米国チームが出場すると一段と盛り上がるようだ
「オーバーウォッチ」ワールドカップ、準々決勝で優勝候補同士が激突 初日1番人気だったのは「オーバーウォッチ」。やはり米国チームが出場すると一段と盛り上がるようだ
初日1番人気だったのは「オーバーウォッチ」。やはり米国チームが出場すると一段と盛り上がるようだ

 対戦カードは米国対韓国。米国は言わずと知れたBlizzardのお膝元であり、2018年1月からスタートするBlizzard公式のプロリーグOverwatch Leagueに出場する12チーム中9チームを輩出する「オーバーウォッチ」超大国。対する韓国は、「Starcraft」以降、Blizzardタイトルを“国技”としており、「Starcraft II」ワールドチャンピオンシップでは、10年以上連続で優勝選手を送り込み、「オーバーウォッチ」でも2016年大会でさっそく優勝するなど、Blizzardタイトルは軒並み強い。本来は準々決勝でぶつかるべき相手ではないが、これは盛り上がるはずだと納得してこの試合を観戦することにした。

【「Starcraft II」ワールドチャンピオンシップはすべて韓国選手が優勝】
「オーバーウォッチ」ワールドカップ、準々決勝で優勝候補同士が激突 「Starcraft II」エリアに掲げられている栄誉の殿堂。2005年から2016年まですべて韓国人選手
「オーバーウォッチ」ワールドカップ、準々決勝で優勝候補同士が激突 「Starcraft II」エリアに掲げられている栄誉の殿堂。2005年から2016年まですべて韓国人選手
「Starcraft II」エリアに掲げられている栄誉の殿堂。2005年から2016年まですべて韓国人選手

「オーバーウォッチ」ワールドカップ、準々決勝で優勝候補同士が激突 「オーバーウォッチ」のみアリーナ会場になっている
「オーバーウォッチ」のみアリーナ会場になっている
「オーバーウォッチ」ワールドカップ、準々決勝で優勝候補同士が激突 スティックバルーンを叩いて必死に応援する観客達
スティックバルーンを叩いて必死に応援する観客達
「オーバーウォッチ」ワールドカップ、準々決勝で優勝候補同士が激突 「オーバーウォッチ」はフィールドが立体的で位置を掴みにくいが、この俯瞰視点は比較的見やすい
「オーバーウォッチ」はフィールドが立体的で位置を掴みにくいが、この俯瞰視点は比較的見やすい
「オーバーウォッチ」ワールドカップ、準々決勝で優勝候補同士が激突 「オーバーウォッチ」独自のエスコートルールは、狭い空間に全選手が集まるため、必ず大乱戦が発生する
「オーバーウォッチ」独自のエスコートルールは、狭い空間に全選手が集まるため、必ず大乱戦が発生する

 筆者がプレスパスを使って会場に足を踏み入れたのは、米国が1ゲームを先取し、2ゲームが始まった直後だ。「オーバーウォッチ」の会場は、アリーナになっており、観客がぐるりと取り囲み、中央にステージがある。米国アナハイムのイベントということもあり、観客のほとんどが米国代表を応援しており、米国代表がキルを決めると、たちまち大歓声とスティックバルーンの乱打音に包まれる。ラウンドを取ると、スタンディングオベーションや「USA!」コールが始まるなど、とにかく凄まじい盛り上がりで、ディフェンディングチャンピオンの韓国チームにとっては、連覇に向けての最大の試練だ。

 空いている席に腰を落ち着けて冷静に観戦してみると、間断なく米国代表への歓声は続くものの、実際にラウンドを取るのは韓国という展開が多く、自力では韓国の方が1枚上手という印象を受けた。結局2ゲーム目は、2:3の接戦で米国が落とし、1ゲームずつのイーブンで休憩に入った。休憩の間もスタンディングオベーションは続き、応援の声は止まず、来場者全員が米国の勝利を確信している。

 ちなみに筆者は、「オーバーウォッチ」はカジュアルプレーヤーで、筆者が経験しているオンラインマルチプレイの風景と、今目の前で繰り広げられている風景がまるで別物であり、彼らが異次元のうまさなのはわかるが、残念ながらどこがどう凄いかまで解説できる知識も経験も持ち合わせていない。

 ただ、チームベースFPSの元祖である「Counter-Strike Global Offensive」同等、eスポーツとして観るだけでも楽しめるように観戦システムが非常に良くできており、ゲームの遊び方が分かる程度の知識があれば、十分に試合の流れを追うことができるし、会場を沸かせるスーパープレイは、即座にリプレイが掛かるため、一緒になって盛り上がることができた。「オーバーウォッチ」はプレイするだけでなく、観戦だけでも楽しめるゲームだ。

 さて、運命の分かれ目となったのは3ゲーム目だ。勝利するためになんとしてもここで取り返したい米国代表と、スーパーアフェイの雰囲気にも徐々に慣れて本来の実力が出せるようになってきた韓国代表。米国代表は圧倒的な応援を力に終始押しまくったが、韓国代表は幾度も凌ぎきって最後の1つを取らせず、3ゲーム目は4:4までもつれ込みまさかのドローとなった。同じシチュエーションで何度も繰り返し戦うFPSの競技は、MOBAやRTSと比較して、勢いや流れが生まれやすいが、取るべきところで取れないのが一番マズいパターンだ。

 予想通り、米国代表はこれで緊張の糸が切れてしまったのか、4ゲーム目からは精細を欠くプレイが目立つようになり、韓国代表FLOW3R選手が操るウィドウメイカーのスナイピングにいいようにやられ、まるでアニメの主人公のような活躍に会場からも「おぅ……」という諦めのため息の声が漏れまくる。それまではうまくハマっていた空中戦やラッシュを凌いでからのカウンター攻撃も決まらなくなり、4ゲーム目、5ゲーム目を1:2、0:2でそれぞれあっさり落とし、2:4(1:3)で米国代表のベスト8での敗退が決まった。

 韓国代表の勝利が確定した瞬間、それまで米国代表ばかり応援していた観客も、スーパーアウェイの状況下で大逆転勝利を納めた韓国代表に対して惜しみない拍手を送っていた。このあたりがeスポーツ大国らしいところと言えるだろうか。韓国チームも、この逆境を撥ね除けるところが素晴らしい。普通に考えれば、よっぽどのことがない限り、韓国代表の2連覇は間違いなさそうだが、果たして波乱は起こるのか起こらないのか。明日の決勝戦も引き続き楽しみだ。

【他のタイトルの会場】
「オーバーウォッチ」ワールドカップ、準々決勝で優勝候補同士が激突 最初に観に行った「ハースストーン」以外は、本日の競技はすべて終了していた。明日こそは観戦するぞ!
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