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「『ドラゴンクエストXI』の感動を共有したい!」ネタバレOKのファンイベントを開催!

「好きなキャラは?」など大いに盛り上がった2時間30分

9月29日 開催

会場:ユナイテッド・シネマ豊洲

 スクウェア・エニックスは9月29日、プレイステーション 4/ニンテンドー3DS用RPG「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」のファン感謝イベント「『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』カウントダウンカーニバル 番外編~ネタバレするとはなにごだ!~ネタバレイトショー」を開催した。

 「ネタバレイトショー」は、発売前に各地で開催されていたしていたユーザー体験ツアー「カウントダウンカーニバル」の流れを受けたユーザーイベントの番外編。クリア後の感動を共有するイベントだが、どうしてもこういったイベントではネタバレを含むため、開催することは難しかった。

 特に「ドラゴンクエスト」シリーズは、その昔に写真週刊誌にラスボスの写真を公開され問題化したこともあり、“ストーリー”が大切な要素のひとつである同シリーズはファンにとってもその楽しみをスポイルされないためにも、暗黙の了解としてネタバレを嫌う傾向がある。実際、「カウントダウンカーニバル」でもほんの少しのコメントで「ネタバレ!」と指摘され騒がれたこともあるという。

 だが、時代は変わり、SNS全盛の昨今ではユーザー間で感動を共有する手段も多く、作り手としてもユーザーとの距離を縮め色々と話をしたいという想いがある。今回のイベントはまさにその両者の思いが凝縮された伸び伸びとしたイベントとなった。

 イベントにはゲームデザイン&シナリオを担当した堀井雄二氏をはじめ、齊藤陽介プロデューサー、内川毅ディレクター、岡本北斗PS4版プロデューサー、横田賢人3DS版プロデューサー、そしてゲーム好きで知られ「ドラゴンクエストXI」もやりこんでいる椿彩菜さんをMCに迎え、ゲームプレイ後のアンケートデータの公開や、開発秘話などてんこ盛りの内容となった。

 以下、いくつかかいつまんでイベントの内容をお届けするが、ラストでエンディングが上映されるなど、重要な要素にまるごと触れているため、ネタバレがいやな方はくれぐれも自己責任で以降ご覧いただきたい。

堀井雄二氏
齊藤陽介プロデューサー
内川毅ディレクター、岡本北斗PS4版プロデューサー、横田賢人3DS版プロデューサー
MCの椿彩菜さん
最後に行なわれたフォトセッションでは、開発陣をファンが囲んで盛り上がった
「カウントダウンカーニバル」ではMCを務めていたJOYさんは、仕事の都合で今回は欠席。3DS「ドラゴンクエストVI 幻の大地」をプレイしながらコメント
【DQXI カウントダウンカーニバル番外編~ネタバレするとはなにごとだ!~ネタバレイトショー】

13,106件にも及ぶファンアンケートから見る「ドラゴンクエストXI」

 まずは同イベントの開催が決定してから短期間募集されたにもかかわらず、実に13,106件にも及ぶ返答があったというファンアンケートの結果発表が行なわれた。質問も面白いが、その結果も実に興味深い内容となっていた。

 まずは男女比は、男性が49%で女性が51%でほぼ半々。さすが国民的RPGであるだけに偏りはないようだ。

 そして使用ハードウェアは43%がPS4、36%が3DSで、両方が21%。PS4が若干多いようだが、それほど大きな違いは無い。それより両方のハードウェアでプレイしている人が21%も存在することがすごいことだろう。そしてアンケートではさらに突っ込んだ内容として、「プレイ順番」について聞いている。ここでは圧倒的にPS4から3DSへと進んでいる人が多い。これについて齊藤プロデューサーは「ヨッチが出てきて3DSをプレイする人は多いのでは?」と分析。3DS版の独自要素の1つであるすれちがい通信でヨッチ族の収集を行なうために3DSのプレイを始めるというわけだ。

 誰もが気になるのが「みんなが好きなキャラクターは?」という質問。ここでは細かく聞かれており、異変前と異変後、そしてゲームクリア後となっている。これは物語によってキャラクターへの愛着度が変わると考えるためで、実際その結果の変遷は面白い者となった。

 ゲーム開始時は、女性票を集めたカミュがトップ。ところが異変後はいろいろな苦労を背負う形となったセーニャが男性票を集めてトップに。そしてクリア後は、ゲームをプレイした人ならば誰もが涙する結果となったベロニカがトップとなった。ちなみに好きなNPCランキングはそのエキセントリックな内容がウケたのか圧倒的な女性票を集めたホメロスがトップに輝き、会場でも大きな歓声が上がった。ちなみに「あと1人仲間にするなら?」の問いでも同様にホメロスがトップとなっている。

シナリオ進行度で好きなキャラクターが変わるという面白い結果
「好きなNPCランキング」、「あと1人仲間にするなら?」の質問も面白い結果に

 好きなシナリオは、人気の高い感動のシナリオ「人魚としじまの約束」を押さえ、「新たなる旅路 セーニャとの再会/ベロニカとの別れ」がトップとなった。これには「(『ドラゴンクエストXI』の根幹をなすだけに)当然の結果」と開発陣も納得の内容となった。だが、この後の質問項目の「感動したセリフは?」については、これとは少し違う結果に。トップに輝いたのは「人魚」のシナリオの「……勇者とは! 最後までけっして……あきらめない者のことです!」となった。このセリフが心に突き刺さった人は多いようで、開発陣も「開発が大変なときにこのセリフを思い出した」と語っていた。堀井氏も「このセリフはプレーヤーにとって自分とオーバーラップするところが大きかったんだと思う」とコメントした。

【好きなシナリオ】
【好きなセリフランキング(10位から順に)】
1位は「……勇者とは! 最後までけっして……あきらめない者のことです!」に。多くのプレーヤーの心に突き刺さったようだ

 このほか、どのような選択を行なったかで性格がわかる質問結果なども明かされた。

【性格が出る選択肢】

作り込みの一端を披露したコーナーや、開発秘話を公開

 イベント後半ではいくつかゲームの作り込みに関する要素などが披露された。

 たとえば「神の石」から景色を見たとき、普通に見てると「綺麗だな」で終わるが、よく見ると遠くでスライムが円陣を組んで炭素悲壮に飛び跳ねているのだ。今回のイベントでは開発機でこの場面をアップで表示。会場からは驚きの声が上がった。ちなみに異変後はスライムもおかしくなっているため、表示されないという。

 また3DSのみの仕組みとして、カミュが記憶喪失の時にあちこち行けるところを巡ると、なんとセリフが変わるのだという。この記憶喪失時に行けるところで発生する膨大なセリフは、このとき用の特別なセリフがすべて用意されているという。この作り込みがいかにも「ドラゴンクエスト」シリーズらしいと言える。

 PS2版では1日の時間が細かく区切られているという仕様上、デルカダール下層の門番が朝のみ居眠りするという要素が仕込まれているという。こういった細かい遊びを見つけ出すのも「ドラゴンクエスト」シリーズらしい楽しみ方だと言える。

【スタッフのこだわり】
エンディングの後に勇者の本が1冊増えている……これは何を意味するのか? プレーヤーの皆さんは気付かれたのだろうか?

 イベント後半では、超弩級のネタバレとなるが、堀井氏をはじめスタッフがどのように考えて制作されたかわかる質問コーナーとなった。寄せられた質問「主人公が過去に戻った後、世界はどうなったのですか?」について、堀井氏の見解としてはパラレルワールドと言うよりは「歴史は収縮する」と語り「結果的には同じような展開となるのでは?」と語った。タイムパラドックスの問題の時には様々な議論が交わされるこの手の話題だが、堀井氏は「自分たちで考えて欲しい」と語り、最終的にはプレーヤーの考えを尊重したいということのようだ。その揺れ幅も、プレーヤーが語り合えるという点でエンターテイメント作品にとって必要なところかもしれない。

 また「ベロニカが死ぬことは最初から決まっていたのですか?」については、初期から決まっていたようだ。同作のテーマが「勇者の物語」、「世界滅亡」、「究極の選択」の3つであったため、「究極の選択」の動機付けとしては「ベロニカの死」は必要要件だったようだ。もちろん、それだけの重みがあるという点ではスタッフ陣も重要な場面と考えていると言うことだろう。

様々な質問が寄せられた。ストーリーの根幹に関わってくるので、色々と論議を呼ぶところだ

各種告知、イベントはまた開催されるのか?

 イベントはラストに「ドラゴンクエスト」関連の告知が行なわれ幕を閉じた。

 最後に岡本氏が「過去のシリーズのオマージュもあるが、プレーヤーがプレイした体験を思い出す所も含めてのゲームの体験。今回のイベントもそこに含まれていて、今日のイベントをもって(ゲームが)完成したという想いがある」と語ると、観客席からは歓声も上がっていた。

 堀井氏は「今年でシリーズ31周年になり、『ドラゴンクエストXI』はその集大成。いろいろな想いがあり、プレーヤーに愛されていると思う。今日のイベントも、新しい『ドラゴンクエスト』の伝説になると思う]と語りイベントは幕を閉じた。

 齊藤プロデューサーが「このような規模の大きなイベントは無理だが、皆さんの要望があればやりたい」と語っていたが、こういったイベントは今後も増えていくだろう。番組の配信が終了しフォトセッションが終了後に堀井氏は笑顔でファンと固い握手を交わしていた。また終了後にファンが楽しそうに語り合っている姿を見ると、ゲームの力を信じたくなる。SNSはもちろん、ファンが語り合える場がもっと増えることを願いたい。

【「ドラゴンクエスト」シリーズ関連告知】
ファンアートコンテストの開催が決定
コンテストの開催を知ったスタッフが1日で描き上げたイラスト
さらに発掘されたスタッフのイラスト。ベロニカとセーニャの幼少期の様子を描いたもので、ちょっと泣きそうになる良いイラストになっている
イベント後半に登場した俳優の新井浩文さん。「ドラゴンクエストXI」もやりこんでおり、ゲーム大会では来場者に勝った