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VRコンテンツの魅力を余すところなく伝える“MRトレーラー”の世界
2017年2月28日 15:19
GDCからVR/AR関連セッションだけを選り抜いた「VRDC」が今年もGDC初日から開催されている。今年からはVRゲームに特化したGAMEと、ノンゲーム系も含めた幅広いVRコンテンツをテーマにしたENTERTAINMENTの2つにテーマをわけ、それぞれのテーマで次世代のVR/AR像を占うセッションが行なわれている。本稿では、その中でゲーム側のセッションのひとつとして、「Creating Mixed Reality Trailers and Livestreams」を紹介したい。
セッションスピーカーを務めたのは、Kert Gartner氏とColin Northway氏の2人。それぞれKertgartner.com、Northway Gamesというメーカーのオーナーで、Kertgartner.comはインディ向けのゲームトレーラーを専門に作る会社で、Northway GamesはMRトレーラーを制作した「Fantastic Contraption」の開発会社となっている。その彼らがVRの分野で新たにやっている取り組みがセッションテーマになっている。
ちなみにここでいう「Mixed Reality」とは、Microsoftが推進するVRとARをミックスさせたMRそのものであり、両者をトレーラー内で組み合わせることで、あたかもVRヘッドセット内で見ているかのような、あるいはそれ以上の興奮をトレーラーで味わうことができる。
VRゲームの問題は、没入した世界におけるゲーム体験の魅力を第三者に効果的に伝える方法論が確立されていないことだ。2眼フィッシュアイ視点の映像を見せてもわけがわからないし、VRゲームをスクリーンショットで見せても、その真の魅力はほとんど伝えることができない。
このためゲームクリエイターは「こればかりは遊ばないと伝わらない」と正直に告白するが、マーケッターやプロモーターはそうとばかり言っているわけにはいかない。VRはそのハードウェアの構造上、プレイする機会は極端に限られており、プレイを前提としたプロモーションには限界があるからだ。そうした中で生み出された手法が「MRトレーラー」だ。
セッションでは、まずはじめに、その代表例としてPS VR向けアクションゲーム「RIGS」のトレーラーを紹介したが、ナレーションと共にこれから対戦を迎えるゲーム映像が流れ、さらにPS VRを装着した複数のプレーヤーが、顔が透過表示された状態でカットインされる。ゲーム映像だけではわからない、各プレーヤーのナーバスな表情や、興奮した表情、ワクワクしている様子などを確認することができる。戦闘中は彼らの顔がゆがみ、顔を縦横に動かしながら敵を探したり、勝利の微笑みを浮かべたりなど、実にリアルにゲームとプレーヤーを写し出すと同時に、そのゲーム性を寸分違わず伝えることに成功している極めて優れたトレーラーだ。
「Fantastic Contraption」MRトレーラーは、「RIGS」のMRトレーラーのいわば発展系で、3つのアプローチを組み合わせてMRトレーラーが生み出されている、
1つ目は、もっともポピュラーはグリーンスクリーンで収録したプレーヤーの映像をゲーム内映像にはめ込むアプローチ。これはVRゲームの没入感をアピールする上で効果的なアプローチとして、どのタイトルでも行なわれている。
2つ目は、その逆で、実際にプレイしている実写映像にゲーム映像の一部を溶け込ませるアプローチ。プレーヤーの手の動きに合わせて、ゲーム内と同様に、オブジェクトが生み出され、それが伸ばされたり、向きを変えたりして、目の前のオブジェクトに装着している様子が描かれ、何をするゲームなのかが明確に伝わる映像となっている。
3つ目は、すべてインゲームの映像で、ゲーム内で自身が操作しているアバターを第三者視点から写した映像となっている。これだけだと単なるゲーム映像と変わらないというか、ゲーム映像そのものだが、前述の2つのアプローチを交えながら差し込むことで、最終的なゲーム体験を、トレーラー内で再現することができる。
「Fantastic Contraption」は、HTC Vive向けの空間上にモノを想像できるコンストラクションゲームであり、この3つの手法が上手くマッチしており、実際にトレーラーを見てみると、ゲームをプレイしなくても、そのゲームデザインや魅力が伝わってくるはずだ。
しかし、驚きよりも笑いが出てしまったのは、このトレーラーを実現するまでのトライアンドエラーの数々だ。社内に巨大なグリーンスクリーンのスタジオを構え、プロの撮影に使うライティング設備を整えるだけでなく、カメラのストロボに、VRコントローラーを装着したり、さらに手ぶれを防ぐ機材を導入したり、より位置を高精度にするためにカメラデバイスをより高精度なものに差し替えたりなど、MRトレーラーを作るためにここまでやるのかという感動があった。
今後の取り組みについては、実際の映像で、プレーヤーがHMDを付けたままで表情が見えない問題について、GoogleのDaydream Labsが2月21日に発表した手法を参考に、事前にモーションキャプチャーした顔を合成させることで、HMDを付けた人物の顔の表情も表現できるとしている。
遊び始めるまでのハードルの高さや、必要となるコスト、コンテンツ不足などの面で、苦境が続くVRゲームだが、プロモーションの部分では確実に進化しており、画期的なAAA VRタイトルが生まれ、こうしたMRトレーラーで紹介することで、「ハードを買ってでも遊びたい」というモチベーションが生まれ、VRが大きくブレイクする可能性を秘めていると感じた。プロモーションの分野も含めてVRには引き続き注目していきたいところだ。

























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