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PS4「初音ミク ProjectDIVA Future Tone」はアーケード版の集大成

フルHDのグラフィックスと充実のカスタマイズ

配信日:2016年6月23日

価格:
無料(「初音ミク ProjectDIVA Future Tone Prelude」)
3,900円(「初音ミク ProjectDIVA Future Tone FutureSound」税抜)
3,900円(「初音ミク ProjectDIVA Future Tone ColorfulTone」税抜)
ジャンル:リズムアクション

プレイ人数:1人

開発チームのリーダー2人が自ら「初音ミク ProjectDIVA Future Tone」を解説してくれた

 セガゲームスはプレイステーション 4用リズムアクション「初音ミク ProjectDIVA Future Tone」の配信を6月23日より開始した。

 本作はアーケードで稼働中の「初音ミク ProjectDIVA Future Tone」のPS4向けのアレンジ版で、3つのコンテンツから構成される。まず無料でダウンロードができ、本体アプリケーションの「Prelude」。「Prelude」をダウンロードするだけで2曲の楽曲と複数のモジュール(衣装)など、ゲームの基本要素は遊べる。そして「Future Sound」と「Colorful Tone」という2つのパックを追加で購入することで、合計220曲以上の楽曲と340着以上のモジュールで遊べるようになる。

 今回は、AM2研が手掛ける「Project DIVA」シリーズの統括プロデューサーの大崎氏と本作のプロデューサー&ディレクターの豊田氏による実機プレイをまじえつつ、PS4向けに開発するにあたって進化したポイントについての説明を受けた。まず目が行くのは、シリーズ初となる1080pのフルHD画質と、60fpsという高いフレームレート。映像作品としての側面もある本作にとってこの恩恵は絶大で、激しいダンスも滑らかに歌い踊るミクたちの姿は、PV鑑賞だけでも何時間も見ていられるほどだった。

【PS4「Project DIVA FT」公式プロモーション映像】
統括プロデューサーをつとめるセガ・インタラクティブの大崎氏
プロデューサー兼ディレクターをつとめるセガ・インタラクティブの豊田氏

 そしてモジュール(衣装)のカスタマイズ面では、2つの追加コンテンツを購入したユーザーへの特典として、服装と髪形をそれぞれ個別に変更可能になる「髪型カスタマイズ機能」が追加された。これによりカスタマイズのバリエーションが劇的に増加し、単なる衣装変更だけでなく自分だけの組み合わせを追及する楽しみが生まれることになった。またこのカスタマイズは、アーケード版ではできなかった6キャラクター全員のカスタマイズ設定、さながら自分だけのオリジナルユニットをプロデュースする感覚が味わえる。

髪形を変えることで、同じモジュールでも印象がガラリと変わる

 リズムゲーム面では、キーコンフィグなどの豊富なオプション項目と「プラクティス」の実装が大きなトピックとなる。オプションにはノーツのアイコン表示の切り替えや、リズムゲーム内の同時押し判定をサポートする機能など、ビギナーを補助するための機能が充実。キーコンフィグでは1つのボタンに最大4ボタンの同時押しが割り当てられるようになった。さらにノーツをスライドさせる判定にはPS4コントローラーのタッチパッドやモーションセンサー機能も割り当てられ、豊田氏も実演プレイをしながら「モーションセンサー機能での操作は直観的で気持ちよく使えるので非常におすすめ」と太鼓判を押していた。

 「プラクティス」は1曲をただ通して練習するだけではなく、開始地点が秒単位で指定できる。しかもコントローラーのボタン1つで指定ポイントからのリピートが可能で、苦手なポイントを重点的に練習することができる。これについて豊田氏は「上達する楽しさは永く遊んでもらうために必要なので、ぜひ実装したかった」と述べた。

キーコンフィグは同時押しの細かい指定まで設定ができる
開始時間を指定して特定箇所の反復練習も簡単にできるプラクティス

 やりこみ派のユーザーには「オンラインランキング」と「サバイバルコース」が用意されている。オンラインランキングは楽曲毎のハイスコアや難易度別の平均達成率などかなり細かい項目のランキングが設けられ、全国のプレーヤーとハイスコアを競うことができる。サバイバルコースは1本のライフゲージで課題曲を連続クリアしていくモードで、豊田氏いわく「最高難易度はかなり難しい」とのこと。サバイバルコースは2つの追加コンテンツから楽曲が課題曲に選ばれるため、「髪型カスタマイズ機能」と同じく2つの追加コンテンツを両方とも購入した際の特典となっている。

自宅で全国のプレーヤーとスコアアタックができるオンラインランキング
サバイバルコースはハイレベルプレーヤーも歯ごたえを感じる難易度になっている

 さらに大崎氏はアーケード版のファンに「撮影勢」と呼ばれる人々がいることに注目し、PV鑑賞モードにもこだわりを詰め込んだと述べた。再生中にストレスなく一時停止から撮影までを行なえるようになっており、撮影したショットはPS4シェア機能との連動やローディング画面での表示などに活用できる。豊田氏は「撮影をすればするほど自分好みになっていく」と解説した。

PV鑑賞モードで撮影した画像はローディング画面に表示させることができる

 ゲーム内容の紹介が一段落すると、話題は本作開発のきっかけについてに移った。ベースとなったアーケード版は2010年6月23日に稼働開始した。これは奇しくもPS4版の発売日からピッタリ6年前。それ以来「Arcade」のミクのビジュアルはライブイベントでの使用などもあり、広く世間に認知されることとなった。これを踏まえた上で、大崎氏は「端的に言うとアーケード版を記録として後世に残したかった」とコメント。アーケードゲームは時間が経てば世の中から消えていってしまうもので、開発者としてそれを保存しておけるタイトルを作りたかったという開発意図を明かした。豊田氏も大崎氏が本作を形容した「初音ミクの現代版ジュークボックス」という言葉に同意していた。

 そこから話題が開発時の苦労などに及ぶと、いきなり「一見アーケードと同じように見える楽曲のセレクト画面などのインターフェイスもすべて作り直した」というヘビーなエピソードが披露された。豊田氏、大崎氏ともにアーケード版という元があるので、それを家庭用機で違和感なく再現することに心血を注いだ様子。そのためにソフト容量も約25GBとかなり巨大になり、大崎氏いわく「時代の流れも味方してくれたからこそのボリューム」が実現したという。一方豊田氏は無線コントローラー特有の遅延対策をかなり入念に行なったと語り、先のキーコンフィグとあわせて「操作感はストレスのないものを追及できた」と自信を見せた。

本作はユーザーに永く愛される永久保存版を目指した
一見アーケードと同じに見える画面も、ほぼ新規でデザインし直されている

 ここで質疑応答に両名がいくつかの疑問点に回答してくれた。まず「今後も楽曲は追加されるのか?」という、おそらく最も多くの人が気になる質問には、「アーケード版もまだまだ展開が予定されているので、家庭用版にも反映したい。リリースしてそれっきりということにならない」という心強い返答がもらえた。

 そして「「Prelude」収録の「Weekender Girl」(Music by 八王子P Lyrics by kz)と「1/6 -out of the gravity-」(ぼーかりおどP(noa))の選曲理由は?」という問いに対して、大崎氏はまず「基本的にはこういった楽曲を無料コンテンツに収録するというのは、様々な理由で難しいこと」だと前置きした上で、「それでも本作の無料という意向に賛同してくれたアーティストのおかげで実現した」と説明。重ねて大崎氏は「ライブイベントでもよく使っていて、個人的に思い入れもある」と楽曲への愛着も明かした。

さまざまな壁をクリアし「Prelude」への収録が実現した「Weekender Girl」と「1/6 -out of the gravity-」

 最後の質問は「楽曲パックを2つに分けた理由は?」というもの。これについての回答は大別して2つあった。ひとつは「パックごとのコンセプト分け」という理由。「Future Sound」はPSPからPS Vita/PS3までの「Project DIVA」シリーズ5作品の楽曲群を集めたパック、一方「Coloful Tone」には本作アーケード版と、ニンテンドー3DSの「Project mirai」シリーズ3作の計4作品からの楽曲が収録されている。もうひとつの理由が「若い世代に手にとってもらえるように価格をおさえたかった」というもの。これは本作の開発初期にアーケード版ユーザーへ意見を求めるアンケートを実施したところ、回答したユーザーの多くが若い世代だったことから打ち出された方針だという。

 最後に本作に注目しているユーザーに向けて、豊田氏は「初音ミクやProject DIVAがすでに確立した存在だという認識は我々も共有している。そのうえで、新たな試みを取り入れているが、何も心配せずに遊べるものを作ったので、まずは『Prelude』に触れてみてほしい」とコメント。大崎氏も「このタイトルが自分のPS4に入っていることが嬉しくなるようなものに仕上がった。期待を裏切らないのでぜひ楽しんでほしい」と述べ、発表会を締めくくった。