【特別企画】
タイトー技術顧問、元セガ開発副本部長が登壇! 文化庁がアーケードゲーム黎明期の歴史を残すカンファレンス「ARCADE CIRCUIT 2026」を開催
2026年2月16日 18:00
- 【ARCADE CIRCUIT 2026】
- 1月25日 開催
- 会場:国立新美術館 講堂
文化庁は、国立新美術館にて、アーケードゲームのハードウェア技術の歴史と、その開発者たちの知見を記録・保存することを目的としたカンファレンス「ARCADE CIRCUIT 2026」を1月25日に開催した。
本カンファレンスは、令和7年度文化庁メディア芸術連携基盤等整備推進事業(第二期)の一環として行なわれた。会場となった同館の講堂には、多数のゲーム開発者やエンジニア、研究者が駆け付けてほぼ満員となり、長年にわたりアーケードゲームの開発などに従事したエキスパートたちの講演に耳を傾けていた。
以下、本稿では本カンファレンスの講演内容をまとめてお伝えしよう。
ゲームの歴史を残す「ゲームアーカイブ機構」の設立も視野に入れたカンファレンス
前述したように、本カンファレンスの主催者は文化庁だが、共催者は「ゲームアーカイブ機構(仮)設立準備会」という団体だ。筆者は同庁が主催するイベントを何度も取材した経験を持つが、聞き覚えのない団体であった。
開会の挨拶をしたZEN大学の細井浩一氏によると、「ゲームアーカイブ機構」は本カンファレンスを皮切りに設立を目指す組織であるとのこと。「ゲームは半世紀近い歴史の中で技術革新がどんどん進んだが、特に初期の時代はどのような状況で開発されていたのかが、当のメーカー内でも徐々にわからなくなっている。そこで今後、現場の一次資料も含めて歴史を長期的に保存、継承していくために、各メーカーの皆さんにご理解とサポートをいただくことを目的として設立したい」という意向を持っているそうだ。
細井氏に続き登壇したスクウェア・エニックスの三宅陽一郎氏は、以前から同社でゲーム開発資料のアーカイブ活動「SAVE PROJECT」を率先して手掛けている。
「保存活動の展望」と題した発表を行なった三宅氏によれば、同プロジェクトを進めた結果、社内教育にも有用となる資料がそろったことで「過去と未来をつなぐ」、文化庁による本カンファレンスのような機会が実現することで「産業とアカデミーをつなぐ」、そしてゲーム開発時のエピソードなども公開することで「会社とユーザーをつなぐ」という3つの「つながり」が生まれたという。
これらの成果によって、企業の文化価値が上がるとともに、歴史を残す意味を見いだせた経験から、三宅氏はゲームアーカイブの重要性を説いていた。
「スピードレース」「スペースインベーダー」から最新型の「電車でGO!」まで:タイトーのビデオゲーム開発技術の変遷
「ビデオゲーム表示技術の変遷:80年代黎明期からポリゴンまで」と題した講演を行なったのは、タイトー技術顧問の三部(さんべ)幸治氏。三部氏は、かの有名な「スペースインベーダー」が発売された翌年の1979年にタイトーに入社し、アーケードゲームのハード・ソフト開発マネージャーを務めたのをはじめ、「X2000」などの通信カラオケを考案および事業化、携帯電話用コンテンツ事業の立ち上げを担当するなど、まさに同社の生き字引だ。
本講演では、ビデオゲームの表示技術を「TTLロジック」から「CPU」「スプライト」「DSPポリゴン」「GPU第1世代」「GPU第3世代」に分け、1970年代前半~2010年以降までのハードウェア(半導体)の進化が、ソフトウェア(ゲーム)の新しい文化を生んだことが説明された。エンジニアである三部氏による、それぞれの原理と導入タイトルの例を交えた説明は、筆者のようにハード技術の素人にもとてもわかりやすかった。
また三部氏は、1980年代は新人研修用の書籍などがまったく市販されていなかったため、社内で独自に作った新人研修用のマニュアルで社員教育を行なった結果、後に大きな戦力となるエンジニアが何人も育ったことを明らかにした。
「スペースインベーダー」よりも古い、タイトーの名作「スピードレース」(1974年発売)など、CPUが使われる前のTTL時代に開発されたビデオゲームの動作原理をブラウン管の仕組みも含めて学べる内容は、実に貴重かつ濃密。その後、「ダライアス」などに使われたスプライト(またはオブジェクト)の技術を経て、「電車でGO!」(1997年発売)などのように、数多くの行列の掛け算が必要となるリアル3DCG処理を実現するためにはGPUが必要となったことで、自社開発のハードやツールではなく、専業メーカーのGPUを使用する時代に移行したとのことだった。
加えて三部氏は、現在では使われなくなった技術「ベクタースキャン」の原理も解説した。「アステロイド」(※1979年にアタリが発売)などの有名タイトルに使用された「ベクタースキャン」は、なぜ消えた技術となったのか、ゲーム開発者にも研究者にも、大いに参考になるものと思われる。
「コンピュータースペース」から始まった、アーケードゲームの歴史を技術的視点と実体験から考察
OBSゲームリサーチ代表のおにたま氏は、家庭用ゲームの開発を手掛けるとともに、自身のYouTubeチャンネル「OBS GAME RESEARCH」などを通じて、精力的にゲームの歴史についての配信や情報収集を行なっている。
おにたま氏の講演内容は、ズバリ「アーケードビデオゲームの誕生と開発の源流」。開発手法がまだ確立されていなかった黎明期のゲームの歴史を知るうえでは、技術的な視点から見ることがポイントであると同氏は説く。初めに1971年にアメリカで誕生した世界初のアーケード用ビデオゲーム「コンピュータースペース」と、その翌年にアタリから発売されたアーケード用ビデオゲーム最初の大ヒット作「ポン」を例に挙げ、今ではとても貴重なプレイ動画や回路図などを交えて解説した。
「コンピュータースペース」にあまり人気が出なかったのは、UIデザインが複雑だったことが主因だったが、その一方で実は「1300~1500台が製造されたとも言われている」(おにたま氏)との指摘もされた。また「ポン」が人気を博したのは「ボールの動くスピードがとても速くて難しいが、反射神経を駆使して、アナログゲームと違って物理的な法則では動かないボールを打つ遊びが、今までにない画期的な体験だったからではないか」との見解も示した。
本講演における、もうひとつの大きなポイントは、アタリをはじめとする初期の海外製アーケードゲームに添付されていたマニュアルの存在だった。
「ポン」をはじめ、当時のマニュアルは回路図や部品名、ブラウン管の仕組みなどが懇切丁寧に書かれており、現場のスタッフが修理やメンテナンスを実施する際にはとても便利なものであった。これらのマニュアルを、いわば教科書のように利用した結果、アメリカでも日本でも多くのメーカーが、模倣品を含めてゲームを開発するようになったとの見解を示した。
さらに今後、TTL時代のゲームを保存するためには、部品の入手が年々困難となっているほか、エミュレーションや正しい動作を残すことの難しさ、同じ部品でもメーカーによって動作が異なる、基板に載ったチップの印字が消され、型番が判明しない場合があるなど、数々の重要な指摘があった。
半世紀以上も前から、独創的なゲーム開発にチャレンジしていたセガ
1970年に、当時のセガ・エンタープライゼスに入社した吉井正晴氏の講演テーマは「ゲームを裏で支えるハードウェアの開発について」で、おにたま氏との対談形式で行なわれた。吉井氏も、タイトーの三部氏と同様にTTL時代の経験者で、「サムライ」(1980年発売)などのアーケードゲーム開発を担当したほか、SG-1000(1983年発売)をはじめとする家庭用ゲームの開発を指揮していたレジェンドである。
吉井氏も「ポン」の回路図を参考にして技術を学びつつ、当時としては最新のCdS(硫化カドミウム)の光センサーを利用したガンシューティングゲーム「バルーンガン」(1974年発売)や、ボールを止めたり投げたりするロジックの設計に「特に苦労した」(吉井氏)という野球ゲーム「ラストイニング」(1975年)など、TTL時代の貴重な証言が明かされた。
吉井氏が入社した当時から、同社では開発の際にあまりコストを気にせず、高価な機材でも比較的購入しやすかったという。さらにCPUが登場した初期の時代は、実はビデオゲームよりも先に、「ロデオ」(1976年発売)などのピンボールにCPU(※インテル製の4040)が使われていた。またレースゲームの「スパークリングコーナー」(1976年発売)では、何とブラウン管のコイルを自分たちで巻き直して画面表示をリアルにする実験を行うなど、古くからセガは新しい技術やチャレンジを試みる社風であったことを裏付ける話も次々と飛び出した。
ほかにも吉井氏は、同期の佐藤秀樹氏(※後にセガの社長に就任)と開発したシューティングゲーム「スコードロン」(1976年発売)では、互いに設計したものをつなぐ際に間違えたため、基板がジャンパー線だらけになって怒られてしまったこと、できあがったゲームを製品化する前に、当時社長だったデビッド・ローゼン氏、後に社長となる中山隼雄氏からチェックを受けて修正を指示されたことがあるなど、驚愕のエピソードも披露していた。
レジェンドの中のレジェンド、タイトー西角氏も登壇! 今後の展開にも大いに期待
閉会の挨拶に登壇したのは、「スペースインベーダー」を開発したレジェンド中のレジェンドである、タイトーの西角友宏アドバイザー。
西角氏の挨拶は4分程度で、欲を言えば「スペースインベーダー」ほか数々の作品についての証言をもっとたくさん聞きたかった。だが「私も昔は苦労しながら『スペースインベーダー』を作りましたが、皆さんから『ビデオゲームの第2の原点です』と言われることもあり、たいへん光栄に思っております。歴史上の大きな転換点になった、ファミコンやプレイステーションは日本が発祥でした。これからも、皆さんにはゲームチェンジャーとなるような世界を席巻する新システムを作っていただきたい」とのエールは、次代を担う作り手の胸を熱くしたことだろう。
かつてアーケードゲームは、汎用の開発ツールやゲームエンジンの類が存在しなかった時代、必要な機器類を自前で調達してツールやハードを設計し、なおかつ当時の最先端技術を積極的に導入して作られていた。その歴史を当事者が直接語る本カンファレンスは、技術・文化の両面でとても有意義なものであると筆者は率直に思った。
なおゲームアーカイブ機構(仮)設立準備会は、今後もシリーズ化して第2回、3回の開催に意欲的とのこと。本カンファレンスを機に、「ゲームアーカイブ機構」のような組織が立ち上がり、日本のゲーム産業の黎明期を支えたレジェンドたちが築き上げた技術と伝統を、次世代に引き継ぐ仕組みができあがることを大いに期待したい。


















































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