【特別企画】

「ダージュ オブ ケルベロス -ファイナルファンタジーVII-」本日20周年!

ヴィンセントの過去と「純粋な悪」に立ち向かう、ガンアクションRPG

【ダージュ オブ ケルベロス -ファイナルファンタジーVII-】
2006年1月26日 発売
「ダージュ オブ ケルベロス -ファイナルファンタジーVII-」ロゴ ※画像提供:スクウェア・エニックス(以下、同)

 スクウェア・エニックスより2006年1月26日に発売されたPS2用ガンアクションRPG「ダージュ オブ ケルベロス -ファイナルファンタジーVII-」(以下、「DC -FFVII-」)が、本日2026年1月26日で発売20周年を迎えた。

 本作は、「ファイナルファンタジーVII」(以下、「FFVII」)の世界観を広げるプロジェクト「コンピレーション オブ FFVII」の第3弾として制作されたタイトル。「FFVII」本編から3年後(映像作品「FFVII アドベントチルドレン」から1年後)の世界を舞台に、元タークスのガンマン、ヴィンセント・ヴァレンタインを主人公に据えた物語が描かれる。

 「FF」シリーズとしては珍しいTPS形式のアクションRPGでありながら、ドラマティックなストーリー展開や、アーティスト・Gackt氏の実写出演および楽曲タイアップなど、当時大きな話題を呼んだ作品だ。

 本稿では、そんな「DC -FFVII-」の思い出を振り返っていきたい。なお、本作は「FFVII」シリーズの核心に触れる設定が多く含まれ、一部ネタバレがある。これからプレイする予定のある人は注意してほしい。

「ダージュ オブ ケルベロス -ファイナルファンタジーVII-」パッケージ

真紅のマントをなびかせるヴィンセントがとにかくカッコいい

 本作の最大の魅力は、なんといっても主人公ヴィンセントの圧倒的な「カッコよさ」にあるだろう。「FFVII」本編では隠しキャラクター的な立ち位置だった彼が、本作では堂々の主役。深紅のマントをなびかせ、愛銃「ケルベロス」を構えて戦場を駆ける姿は、まさにダークヒーローの風格が漂っている。

 特にムービーシーンのクオリティは、PS2時代の作品とは思えないほど高い。ヴィンセントのトレードマークである長いマントが、風になびいたり、アクションに合わせて動いたりする表現は非常に美しく、当時「PS2でここまでできるのか」と感動した覚えがある。

 また、ヴィンセントのクールで寡黙な性格と、内に秘めた熱い想いや後悔が、物語を通じて徐々に紐解かれていく過程も素晴らしい。「FFVII」本編では語り切れなかった彼の過去、特にルクレツィアとの悲恋や、自身の身体に宿る「カオス」の謎に迫るストーリーは、ファンならば涙なしには見られないだろう。

暗黒の物語を照らす太陽だったユフィと、データから人間へと還る無垢な器シェルクというふたりのヒロイン

 「DC -FFVII-」ではユフィとシェルクという、ふたりのヒロインの繊細かつ尊い対比について描かれている。ヴィンセントという「闇」が主人公だからこそ際立つ、ユフィという「陽」と、シェルクという「無」。この二人の魅力も語りたい。

 まず19歳になったユフィは、ただのマテリアハンターから、立派な頼れる相棒へと進化していた。「DC -FFVII-」は全体的に画面もストーリーも暗く、主人公のヴィンセントも基本的には受動的で陰鬱さを纏うキャラクターである。だからこそもしもユフィがいなければ、プレイヤーのメンタルも持たなかったかもしれない。

 ユフィが半ば強引にヴィンセントを連れ回し、茶化し、背中を叩く。変わらないウザ可愛さが、プレイヤーの救いになっていたと(特にユフィ推しの筆者は)固く信じている。特に、神羅屋敷での潜入任務で見せた忍者としての手腕と、ヴィンセントへの絶対的な信頼感。「あたしに任せな!」という言葉の説得力が、無印時代とは段違いだった。

 さらにショートパンツスタイルのWRO隊服が最高だった。活動的でありながら、少し大人びたシルエットになっており、それでいてハチマキや手裏剣といったアイデンティティは残している。キャラクターデザインとしての完成度が凄まじく高かった。

 そして、本作のキーパーソンであるシェルク。彼女の魅力は「喪失」から「再生」へという、「DC -FFVII-」の物語そのものであると言えるだろう。精神をデータ化するSND(シナプティック・ネット・ダイヴ)の実験体にされ、感情も肉体の成長も止められたシェルクは、登場初期の無機質な喋りから「FFVII」の世界観に新しい「異質感」をもたらした。姉であるシャルアとの悲劇的な別れを経て、彼女が初めて「痛み」を知るシーンは、何度見ても涙なしには語れない。

 ヴィンセントにとってシェルクは守れなかったルクレツィアの面影であり、同時に今度こそ守り抜くべき未来でもあったように思う。シェルクが少しずつ人間の感情を取り戻し、ヴィンセントにお茶を入れたり、不器用な気遣いを見せたりする過程は単なるツンデレではなく、「赤ちゃんが世界を学習していく」ような尊さがあった。

 ユフィは忍術、体術といった身体的な面でヴィンセントを助け、シェルクは精神・デジタル的な干渉でヴィンセントを導いた。物理と電脳、両側面からヴィンセントという孤独な男を支えるこのトライアングルは、物語の構造として非常に美しい。

 さらにユフィは故郷ウータイの復興という「未来」を見て走っているが、シェルクは奪われた「過去」を取り戻すために戦った。エンディング後のシェルクが、穏やかな表情でカフェに座っている姿は、彼女がようやく「ただの少女」になれたことを示唆する、「FFVII」コンピレーションの中でも屈指の名シーンだ。

 キャラクターの深掘りという点では本当に贅沢な作品で、特にGacktさんが演じたジェネシスとシェルクの関係性や、最後のエンディングで見せたシェルクの私服姿など、語りたいポイントは尽きない。特にシェルクが自分の命を削ってヴィンセントをオメガの体内へ送り出す時の、あの淡々としつつも熱い想いが乗ったナビゲーションが、筆者は今でも忘れられない。

謎の軍団「ディープグラウンド」と、カスタマイズが楽しいガンアクション

 物語の敵となるのは、神羅カンパニーの地下深くで極秘に開発されていたソルジャーたち「ディープグラウンド(DG)ソルジャー」。 その頂点に立つ「ツヴィエート」と呼ばれる幹部たち——「純白の帝王」ヴァイスや「漆黒の闇」ネロといったキャラクターたちは、非常に強烈な個性を持っている。彼らのデザインは野村哲也氏によるもので、そのスタイリッシュかつ退廃的なビジュアルは、ヴィンセントの世界観と見事にマッチしていた。

 バトルシステムに関しては、銃のパーツ(バレル、フレーム、アクセサリーなど)を自由に組み替えてカスタマイズできる点が面白かった。「遠距離からの狙撃重視」や「近距離での連射重視」、あるいは「魔法(マテリア)による攻撃重視」など、自分のプレイスタイルや戦況に合わせて銃を作り変えていく楽しさがある。

 アクションが苦手な人向けに「Easy」モードも搭載されていたり、レベルアップによる成長要素があったりと、RPGファンでも入りやすい配慮がなされていたのも嬉しいポイントだ。一方で、高難易度モード「EXTRA HARD」などは非常に歯ごたえがあり、アクションゲーマーも唸らせるバランスになっていた。

伝説のシークレットゲスト・ジェネシス

 「DC -FFVII-」本編中、ジェネシスはなかなか姿を現さなかった。ゲーム内に散らばる「Gレポート」というテキストデータを通じて、少しずつ「セフィロス以外のソルジャー・クラス1st」「プロジェクトG」という不穏な背景が語られるのみだった。

  「ヴァイスたちが崇める『再臨』の相手は誰なのか?」
  「宝条ですら扱いきれなかった存在とは?」

 プレイヤーの想像力を極限まで膨らませた状態で、シークレットエンディングにてついに本人が降臨する。あの「翼を広げてヴァイスを抱きかかえるシーン」の衝撃は、当時のゲーム業界の話題をさらった。「本当にGacktさんが来た!!」というメタ的な驚きと、物語的な興奮が完全にリンクした瞬間だった。

 ジェネシスのアイデンティティといえば、叙事詩「LOVELESS」だ。彼は会話の端々にこの「LOVELESS」の引用を挟むが、これが非常に味わい深いポイントとなっている。ジェネシスは現実の出来事を「LOVELESS」の章節になぞらえて解釈している。これは単なるナルシシズムではなく、「劣化」という自身の悲劇的な運命を芸術的な「悲劇」として昇華しようとする彼なりの抗いだったようにも見える。特に、シークレットエンディングでの意味深なセリフが印象的だった。

 キャラクターデザインの視点からも、ジェネシスは完璧なセフィロスとの「対比」として設計されている。「DC -FFVII-」の時点で、すでに「セフィロスにはなれなかったが、別のベクトルで強大な存在」という立ち位置がビジュアルだけで確立されていた。ヴィンセントの「赤」とはまた違う、血の色や情熱を連想させる「紅」を纏うデザインは、画面映えが凄まじかった。

 「DC -FFVII-」の時点では謎の男だったが、彼の登場によって「FFVIIの世界はまだ終わらない(「クライシス コア」へ続く)」という架け橋が作られた。ジェネシスは単なる新キャラではなく、「ザックス、アンジール、セフィロス、そしてクラウドたちの過去と未来を繋ぐ結び目」として、非常に重要な意味を持っていた。彼がヴァイスを連れ去ったことで、「DC -FFVII-」の戦いは、まだ何かの序章に過ぎないのでは? と思わせてくれたワクワク感は、彼にしか出せないものだった。

 もしもジェネシスがいなければ「FFVII」の世界観——特にソルジャー周りの設定はここまで広がらなかったのではないだろうか。

「FFVII リメイク」プロジェクトとの繋がり、そしてリマスターへの期待

 現在展開中の「FFVII リメイク」プロジェクト、特に「FFVII REMAKE INTERGRADE」の追加エピソードでは、なんと本作の敵役であったヴァイスやネロが登場し、往年のファンを驚かせた。それに「DC -FFVII-」の設定が、現代の技術で再構築された「リメイク」の世界にもしっかりと息づいていることに、筆者は胸が熱くなった。

 しかし、肝心の「DC -FFVII-」自体は、現在現行機でプレイする手段が乏しいのが現状だ。ヴィンセントというキャラクターの深掘り、そして「FFVII」ワールドの裏側を知る上で欠かせない本作。20周年というこの機会に、ぜひともHDリマスター、あわよくばリメイクでの復活を期待したいところだ。あの美しいマントの挙動や、ケルベロスの重厚な銃声を、ぜひ最新の環境で再び体験したいと願ってやまない。

 ちなみに現在配信中のスマートフォン向けタイトル「ファイナルファンタジーVIIエバークライシス」では1月29日11時より「DC -FFVII-」とのコラボイベントを開始予定なので、未体験の人は「FFVIIEC」での配信を待つのも良いだろう。

【ファイナルファンタジーVII エバークライシス】

iOS / Android / Windows
2023年9月7日よりサービス開始
□「ファイナルファンタジーVII エバークライシス」公式サイト

 なお「FFVII」関連といえば1月22日より「FFVIIリメイク インターグレード」(Nintendo Switch 2 / Xbox Series X|S / Windows版)も発売中だ。ぜひチェックしてみてほしい。

【ファイナルファンタジーVII リメイク インターグレード】

Nintendo Switch 2版 / Xbox Series X|S版 / Windows版
2026年1月22日 発売
□「ファイナルファンタジーVII リメイク インターグレード」公式サイト

「ファイナルファンタジーVII リメイク インターグレード」キービジュアル