【特別企画】
「iPhone 16 Plus」はゲーマー目線でどうなの? 「ゼンゼロ」「学マス」など最新ゲームで試してみた
2024年9月25日 13:45
- 【iPhone 16シリーズ】
- 9月20日 発売
- 価格:124,800円〜
Appleは同社スマートフォンの最新モデル「iPhone 16」シリーズを9月20日より発売した。
「iPhone 16」シリーズでは、6.1型ディスプレイの「iPhone 16」、6.7型ディスプレイを採用した「iPhone 16 Plus」、6.3型ディスプレイ搭載の上位モデル「iPhone 16 Pro」、6.9型ディスプレイを搭載したフラッグシップ「iPhone 16 Pro Max」の4モデルを用意。全てのモデルでAppleのAI「Apple Intelligence」に対応する。
また、全モデルで最新SoCのApple A18シリーズを採用しており、上位2モデルは高性能なA18 Pro、下位2モデルはA18を搭載する。最小ストレージ容量は「iPhone 16 Pro Max」のみ256GBで、その他3モデルは128GBから。最大ストレージ容量は下位2モデルが512GB、上位2モデルには1TBモデルも用意される。価格は最小ストレージ容量の場合で「iPhone 16」が12万4,800円から、「iPhone 16 Plus」が13万9,800円から、「iPhone 16 Pro」が159,800円から、「iPhone 16 Pro Max」が18万9,800円からとなる。
本体充電端子は全てのモデルでUSB-Cを採用。30W出力以上のACアダプターを使用することで、高速充電にも対応する。ただし、データ転送速度については、下位モデルはUSB 2(2.0)、上位モデルはUSB 3(データ転送速度の表記に10Gb/sとあったのでバージョンは3.1以降と思われる)。
iPhoneシリーズはAppleのみのブランドなので、ハードウェア、ソフトウェアともに全てAppleが管理する。そのため、ゲームの互換性や快適性においては、Androidと比べると圧倒的な安定感を誇る印象だ。ただし、ハードウェアの劣化などから安定性が低下する面もあるため、古いiPhoneだと正常に動作しなかったり、不安定な挙動を見せるゲームもある。つまりiPhone環境でゲームをする場合、最強である反面、少なくとも2~3年ごとに最新端末を購入する必要があると言えるだろう。
筆者が現在所有するiPhoneは「iPhone 12 mini」という4年前の端末だ。これでも多くのゲームは動作するのだが、たまに不安定な挙動を見せたり、ストレージ容量不足が発生する場面もあるなど、そろそろ買い替えを検討していたところだ。
今回最新の「iPhone 16 Plus」をお借りしてチェックする機会を頂けたので、こちらの使用感や動作について見ていこう。
1年前のゲーミングスマホ以上のパフォーマンスを見せる「iPhone 16 Plus」
今回筆者が借りた端末は「iPhone 16 Plus」と呼ばれる下位モデル。ディスプレイは「Super Retina XDR」と呼ばれる6.7型/解像度2,796×1,290ドットの有機ELパネルを採用しており、ディスプレイの美麗さと大型サイズが魅力の1つだ。加えてSoCは最新となるApple独自開発のA18を搭載。過去のiPhoneシリーズでは、下位モデルのみ1年前のSoCを搭載といった事があったが、今回は最新SoC採用のため、互換性やパフォーマンスにおいても安心して使う事ができそうだ。
本体の質感はマット加工で、手に持った時に馴染む感触が心地よい。テカリはなく、指紋がつきにくく、ケースなしで使っていても、安定して持ち続けられる安心感だ。ディスプレイをカバーするガラスにはセラミックシールドが使われているが、これも全モデルで最新バージョンが採用されており、従来の2倍の頑強な素材でこれまで以上に落下衝撃などに強く、かなり割れにくくなっているのだという。なお、防沫、耐水、防塵性能は最大水深6メートルで最大30分間耐えられるIEC規格60529に基づくIP68等級を取得している。
また、去年までは下位モデルに搭載していなかった左側面上部の「アクションボタン」も搭載。消音モード切替やフラッシュライト起動など、好みに合わせて設定できる。バッテリー駆動時間も伸びており、最大27時間のビデオ再生に対応するとしている。
本稿では触れる予定のないカメラ機能についてだが、右側面に「カメラコントロール」を採用。触覚センサーが内蔵されており、ボタンを押すだけですぐにカメラが起動でき、再度押し込むと撮影できるなどスムーズにカメラ機能が利用できる。ズーム操作やカメラ設定の変更なども、ボタン上のタッチ操作とスワイプ操作で行なえるようになっており、スマートフォンがメインカメラという多くの人に喜ばれそうな機能となっている。
性能面については、簡単ではあるがiOS向けに提供されている「3DMark」を使用して、ベンチマークを実行したので、そのスコアについてチェックしてみよう。実行したのはAndroidでも試したベンチマークテスト「Wild Life Extreme」で、そのスコアはなんと4,103、平均フレームレートは24.6fpsとなっており、ゲーミングスマートフォン「ROG Phone 7 Ultimate」でのスコア3,750、平均フレームレート22.5fpsと比べてかなり向上しているのがわかる。ちなみに筆者所有の「iPhone 12 mini」での結果は2,059、平均フレームレートは12.3fpsだった。
ただし、これについてはいくつか留意すべき点がある。まずプラットフォームが異なることからiOS版とAndroid版とで多少スコアのブレが発生する可能性がある。また、比較対象の「ROG Phone 7 Ultimate」が1年前のハードウェアということもあり、最新のゲーミングスマホとの比較ではない点も重要だ。しかし1年前の最新ゲーミングスマホと比べて、下位モデルの「iPhone 16 Plus」がそれ以上の高スコアを獲得できた点は驚愕だ。
なお、ディスプレイについて補足だが、最大120Hzまで画面の表示に対して動的にリフレッシュレートが変化する「アダプティブリフレッシュレート」や常時表示ディスプレイ機能については「iPhone 16」シリーズであっても下位モデルには搭載していない点には注意が必要だ。
3Dアクションゲームも快適サクサク動作! コントローラ操作も楽しい
では次にゲームのプレイフィールについてみていこう。Androidなどでも毎回チェックしていた筆者定番のゲームに加えて、「学園アイドルマスター」や「ゼンレスゾーンゼロ」などの新作ゲームの動作についても見ていこうと思う。比較対象は筆者所有の「iPhone 12 mini」とAndroid代表として「Pixel 7」だ。
なお、Android端末の場合、フレームレートを表示して動作をチェックしていたが、iPhoneはOSの都合上、フレームレートの測定が困難なため、全てのタイトルにおいて筆者のプレイフィールのみの表記となる点はご了承頂きたい。
先ずは、定番の「アズールレーン」(リリース:Yostar、開発元:Manjuu、Yongshi)と「ウマ娘 プリティーダービー」(開発元:Cygames)についてだが、これらについては全く問題なく快適なプレイが楽しめた。余談だが、筆者所有の「iPhone 12 mini」では、実は2本ともゲームが正常に動作せずに強制終了してしまったり、途中でフリーズしてしまう現象が発生する場合があった。OSは毎回最新にアップデートしているので、ハードウェアの経年劣化か、別のアプリによる問題なのかは不明だが、これら2本が快適に動くだけでも最新に買い替えたいと思ってしまった。
続いては「マブラヴ:ディメンションズ」(配信、開発:NextNinja、以下マブD)についてもチェックした。1年前にリリースされた本作は、「iPhone 12 mini」や、「Pixel 7(Android)」でもかなり動作が重かった印象だが、こちらについても比較的サクサクと動作しているように感じられた。
次に3Dビジュアルのアクションゲームを見ていこう。先ずは定番となる「原神」(開発元:miHoYo)だが、こちらも画面上で見る限りはかなり快適に動いており、ジャンプ操作や攻撃、草原を駆け巡ったりとゲームプレイでの問題はなさそうだ。ただし、画質の設定を最高に設定したり、フレームレートを最大の120に設定すると「現在デバイス負荷が非常に高いため、デバイスが非常に熱くなり、ゲームが正常にプレイできなくなる可能性があります」といったアラートが表示されるので、本体の温度などをチェックしつつ、プレイするのがいいだろう。
「iPhone 12 mini」で試してみると、インストール時に自動で設定された画質設定のままなら、あまり問題のないレベルで遊ぶことができた。当然フレームレートは30と低いため、若干もたつく感覚が気になる。画質設定も中や低など、少し残念な画質でプレイする必要があるので、美麗なグラフィックスが売りの「原神」の良さが半減してしまう印象だ。そこで画質設定を無理矢理、最高に変更してみると、これが正直ゲームにならないレベルでまともに動作しなくなってしまうのだ。まぁ無理を承知で設定しているわけなので仕方ないところか。なお、設定を変更するとこちらでもデバイス負荷のアラートが発生した。
これらに加えて、「iPhone 12 mini」はディスプレイサイズが4.7型と小さいため、画面上のバーチャルパッドを使った操作をしていると、画面が中央のエリアしか見えなくなってしまうので、正直しんどい。
続いて「Pixel 7」で試してみると、こちらもインストール時にフレームレートが30fps、画質は比較的低めに設定されており、この設定のままなら問題なくゲームがプレイできる。それでも移動中の動きはややもっさり気味になる場面もあったため、当然画質設定を全て最高に上げると、かなりカクツキも増えた。一方で全体的なもっさり感は変わらないものの、敵の数が少ない場面などでは、意外と普通に動いている印象だった。
もう1本、miHoYo開発で最近リリースされて話題のアクションRPG「ゼンレスゾーンゼロ」(開発元:miHoYo)も試した。ゲームその物は街やフィールドが3Dビジュアルのかなり本格的なアクションゲームで、敵との戦闘や街中の移動など、重くなりそうな場面はちらほら見られたが、特に遅延やカクツキもなく、ヌルサクで動作していた。
こちらはフレームレートを最大60までしか設定できないが、画質設定を最高に上げると「原神」同様に「デバイスに対する負荷の高い設定を使用しているため、デバイスの発熱により、ゲームがスムーズでなくなる可能性があります」とのアラートが表示された。
「iPhone 12 mini」で試してみると、「原神」の時と同様、デフォルトの画質設定ならあまり問題のないレベルで遊ぶことができた。ただし、画質設定を変えた途端に視点変更するのにも、画面が固まるような激重な挙動に変貌を遂げる事となった。
「Pixel 7」でも試したが、こちらも「原神」同様、デフォルトの画質設定のままならあまり気にせずにプレイできるレベルのもっさり感。画質を上げると、戦闘の挙動がかなり危なくなるので、ちょっとプレイするのが不安になる印象を受けた。
実際にプレイしている際には本体の熱さについてはあまり気にならなかったが、2タイトルで同じようなアラートが出ている事がちょっと気になった。これらゲームプレイ時の本体温度を「サーマルイメージャー」で測定してみたところ、30分くらい連続でプレイしていると本体上部、特にカメラ横の部分が最高45℃まで上がっているのが確認出来た。そのため、長時間のゲームプレイ時にはこの熱が本体全体に行き渡ることとなるので、涼しい部屋でプレイするなどして、温度を適度に調節するのがいいだろう。
一方で本体底部はあまり熱さを感じない状態だったので、横向きでゲームをプレイする際には、カメラが下に来るような持ち方をすることで、熱さをあまり感じることなく、ゲームがプレイできそうだ。
なお、こうしたアクションゲームの一部はコントローラー操作に対応しており、Bluetooth接続の無線コントローラーをiPhoneと接続すれば、対応タイトルならコントローラで簡単に操作可能だ。手順としては事前に設定からBluetoothでiOS接続に対応するコントローラーとペアリングして接続しておく。後は、対応ゲームを起動したら、操作などの設定からコントローラーを選べばOKだ。こうすることで、バーチャルパッドとは異なる、ちゃんと手応えのあるリアルなコントローラーでゲームが楽しめるようになる。
その他、今回はもう1本、業界内でも評判の「学園アイドルマスター」(共同開発元:QualiArts/バンダイナムコエンターテインメント)を軽くプレイしてみた。こちらは設定を最高画質、フレームレート60fpsに設定されており、まだサポートカードも揃っておらず、本気で育成できるようになるのには時間がかかりそうだが、育成パート、ライブパートとも、かなり軽快にプレイできたように思う。
こちらも「iPhone 12 mini」で操作していると、デフォルトの画質設定が最高ではなく高になっていたり、フレームレートが30fpsになっていることもあったが、あまり気にならずプレイできた。ただし、画面の遷移をよく見ていると、若干のカクツキが発生している場合があるなど、必ずしも良好な体験とは言えない。そのため、画質設定を最高に変更したり、フレームレートを60fpsに変更すると、メニュー操作などでもたつきやカクツキが出る印象だ。
続いて「Pixel 7」でもプレイしてみた。設定は「iPhone 12 mini」と同様だったが、ゲームその物の動きやメニューでの操作などに若干のもたつきが感じられる場合があったが、デフォルトの画質設定/フレームレートのままなら概ね破綻することなく動作した。ただ、本作は何周もプロデュース(育成)を繰り返すゲームなので、育成時の操作などにちょっとしたもたつきや、押したはずが押せていないといったレスポンスの悪さや、動作に引っかかりなどがあると、それがストレスになるため、より低画質設定にする方が快適にプレイできそうだ。
今年の「iPhone 16」シリーズは下位モデルがおススメ
以上、「iPhone 16」シリーズの中から、下位モデルの「iPhone 16 Plus」を使ってゲームプレイを一通り試してみた。いずれも快適にプレイできたので、現在のiPhoneで何かしら正常に動作しないアプリがあるなど、トラブルがある人は買い替えを検討するのにちょうどいいタイミングと言えるだろう。なお、iOS 18のデータ移行は非常に簡単で、移行前の端末と並べて操作するだけで簡単にデータ移行ができる上に、データ移行完了後はアプリによっては特に何の操作もなく、今までと同じようにアプリが起動する場合もあった。
今回あえて下位モデルの「iPhone 16 Plus」をお借りしたのには訳がある。今回の「iPhone 16」シリーズにおいては、「iPhone 16」または「iPhone 16 Plus」が最もオトクな選択肢と考えたからだ。
冒頭でも触れた通り、今回の「iPhone 16/16 Plus」では、上位モデルと比べて不足する機能が非常に少ないのだ。SoC周りで言えば最新のA18を搭載するし、カメラ周りの機能で言えばカメラコントロールも備えるなど、基本機能を見比べてみても上位モデルと遜色がない。
もちろんカメラ機能については上位モデルにのみ望遠レンズを備え、LiDARスキャナを内蔵するなど、差別化はされている。さらにゲームをプレイする上で重要になるSoCのパフォーマンスについても、上位モデルの「iPhone 16 Pro Max/iPhone 16 Pro」が備えるA18 Proの方がGPU性能は高いため、ベンチマークのスコアも更に高い数値が出ると思われる。加えて「アダプティブリフレッシュレート」も上位モデルのみの恩恵だ。
一方でゲーム中心で考えた場合、フラッグシップの「iPhone 16 Pro Max」と「iPhone 16」の価格差が75,000円もあることを考えると、価格で見るなら「iPhone 16」、ディスプレイを大きくしたければ、今回レビューした「iPhone 16 Plus」でも1万円の追加投資で済むという寸法だ。
「iPhone 16シリーズ」の新機能やモデル毎の違いを比較して見たが、これまでのiPhoneシリーズを考えると、驚くほどアップデートで追加になった機能やモデル間の差別要素が少ない。こういう時はカラバリも魅力な下位モデルを買って少しでも節約した上で、来年以降の最新iPhoneを期待するのがセオリーだ。来年こそは「iPhone」ならではの驚愕の新機能の搭載に期待したい。
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