【特別企画】

いよいよアニメ放送開始! 「姫様“拷問”の時間です」ギャップから生み出されるキャラたちの魅力

【姫様“拷問”の時間です】

2024年1月8日24時より放送開始

 集英社の「ジャンプ+」で連載中のマンガ「姫様“拷問”の時間です」が2024年1月8日よりTOKYO MX、BS11、関西テレビにてアニメ化される。

 「姫様“拷問”の時間です(以下、ひめごう)」というタイトルと、「魔王軍に捕まった王国の姫から秘密を聞き出す為に、魔王軍の拷問官が姫を拷問をする」というあらすじからどのような事が想像出来るだろうか? きっと、残酷で恐ろしいものしか想像出来ないだろう。しかし、拷問の内容は姫に美味しそうな食べ物を見せつける等といった、笑えるものなのだ。

【拷問にときめく姫様】

 普通に考える事と実際に起こる事のかけ違いが、ひめごうという作品の最大の面白さである。そしてそのギャップの象徴とも言えるキャラクターが、魔王軍のトップである魔王なのである。魔王への理解なしには、この作品の魅力は語れないと言っても過言ではない。魔王でありながら、作中で一番の善人・人格者との声もある魔王がどのようなキャラクターなのか。それを語っていきたいと思う。

魔王の正体は娘の為にがんばるパパ

 まず、魔王の外見をよく見て欲しい。

【禍々しい外見の魔王】

 藤鼠色の肌に黒と赤の三つ目。そして頭と肩からは禍々しい角が生えており、なによりこの厳めしい顔つき。いつも魔王の玉座に足を組んで座り、笑い方も「クックック……」と見た目通りの低い悪役笑い。

 こんな、誰がどう見ても「魔族の象徴」であり「悪の権化」にしか見えない魔王が、どのキャラクターよりも優しく、可愛く、可笑しく、時には情けない言葉を言う。そしてこの顔でアニメについて熱く激しく語りだす。魔王のこのギャップが、多くの人を笑わせ、惹きつけるのだ。

 魔王の一番のギャップは、なんといっても娘大好きで呆れるほどの親バカであるということだ。

 魔王にはマオマオちゃんという幼稚園生の娘がいるのだが、このマオマオちゃんの事を大変溺愛しているのだ。マオマオちゃんが望めば、己の魔王としての威厳を振り切って、肩車もおままごともなんでも喜んでしてあげる。寧ろ、マオマオちゃんがして欲しいことを遠慮なく言ってくれることを望んでいるのだ。

【魔王の愛娘・マオマオちゃん】

 この容貌で楽しそうにマオマオちゃんと一緒に遊んでいる魔王の姿は、いや、逆にこの容貌だからこそ可愛さが増している。愛娘に向ける笑顔は怖いままなのだが、それがいい。
しかし筆者がより可愛いと思う魔王の姿は、マオマオちゃんのいない所で発揮される。

 ある日、魔王は魔王城の裏の嘆きの荒野で自分の身長の50倍以上の高さのある大岩を割るという場面がある。

 それは一体なんの為かと側近が尋ねると、魔王は真顔で

「少しずつ体を動かして慣らしておかないとなぁ……」
「保護者参加競技で転んじゃうであろう?」

と答えた。

 魔界一の強さを誇る魔王が、考えていることは運動会で娘と一緒に出る競技で失敗をしたら大変!ということなのだ。魔界一の力を持ち、大岩を難なく割る魔王が、人知れず運動会の為に努力をする。その姿にマオマオちゃんへの並々ならぬ愛が伝わってくる。

次々出てくる魔王の意外な一面

 また、魔王の魅力は可愛いというだけではない。魔王軍の部下たちへの接し方の意外性もそのひとつだ。

 魔王として、並みいる魔族たちを統率する余程恐ろしい存在なのかと思いきや、全く違うのだ。魔王は、マオマオちゃんの前でとは違い表情を崩す事なく、威厳を保った恐ろしい面持ちのままで、とても思いやりのある言葉を口にするのだ。

 作中、バニラ・ぺシュッツという上級拷問官が、二度も連続して姫に対する拷問に失敗した事があった。これは上級拷問官にはあってはならないことで、当然側近は魔王に「上級拷問官が二度も拷問に失敗するとは、尊厳に関わる失態です」と直訴した。

 更に魔王の前に跪きながら、「何かしらの対処が必要かと」とバニラへの措置を要求する。すると魔王は、多数の髑髏をあしらった玉座にいつものようにどっしりと座り、頬杖をつきながら言ったのだ。

「こういう時こそ、しっかり周りがサポートしてやらねばな」

 多くの上司は、失敗が続いた部下には怒るか、そこまでいかなくともまず注意することから始めるだろう。
けれど部下が失敗してしまった時、魔王が真っ先に考えることは失敗した部下のフォローなのだ。こんなこと、中々出来ることではない。

 しかも魔王軍は完全週休二日制、月に一度の健康診断や様々な楽しい行事と、超ホワイト企業なのだ。魔王はまさに理想の上司であり、魔王軍は理想の会社と言っていい。

 また魔王にはアニメ好きという一面があるのも堪らないギャップの一つだ。

 好きな声優のコンサートやリリースイベントがあるとなれば人間界に出向きイベントに参加していたり、魔界に侵入してきた王国の騎士がアニメのグッズをつけているのを目ざとく見つけ、アニメの話で盛り上がり友達になったりする。

【アニメについて熱く語る魔王】

 そのアニメについて熱く叫ぶディープなオタクっぷりは微笑ましく、親近感がわいてくる。

 このように、色々なエピソードから魔王の様々な姿が浮かび上がってきて、読者に魔王の魅力が存分に伝わるようになっている。

 そんな風に、マンガだけでもぜひ読んでもらいたいと熱望する魔王なのだが、アニメは更に楽しみだ。

 なぜなら、公開された第1弾PVの玄田哲章さんが演じる魔王の声がまさにマンガから抜け出たように想像通りの声だったからである。

 「魔王」と呼ばれるに相応しい低く響く声で、出てきた台詞は「水曜日は塾がある」という、まさにひめごうの魔王の魅力であるギャップをより鮮明に表したものとなっている。

【TVアニメ『姫様“拷問”の時間です』第1弾PV】

他にも魅力的なキャラクターたちが勢ぞろい

 魔王の例を見てわかるように、このマンガは普通の日常に起こるほんのちょっとの出来事や、幸せだなぁと感じる瞬間を上手くエピソードに取り入れていて、そのエピソードに対するキャラクターたちの様子からキャラクターの様々な面を浮き彫りにさせる。そしてそんなキャラクターたちに読者は魅了されてしまうのだ。

 主人公である姫様は、拷問に簡単に屈してしまう情けな可愛い面がクローズアップされているが、人の心を汲み取る事の出来る人物だし、

【魔王軍の拷問に屈しまくる姫様】

 姫を拷問するトーチャーは、美味しそうな表情で姫を惑わせる姿だけではなく、優しく、ほんのちょっと弱い一面を持っており、

【最高位拷問官・トーチャー】

 姫と共に捕らえられた意志を持つ聖剣エクスは、単なる姫に対するするどいツッコミ要員というだけではなく、姫の理解者となり姫の為に泥をかぶる覚悟も持っている

【ツッコミと諦めの日々を送るエクス】

【画像9 姫様にあきれるエクス】

 これらのように、他の登場人物たちも作中に描かれる細かいエピソードにより、それぞれの持つ強さや弱さ、辛さ、優しさ、等の多岐にわたる中身が垣間見え、惹きつけられる愛すべきキャラクターとなっている。

 そんなキャラクターたちが繰り広げるひめごうという作品は、多種多様な拷問のおかしさと相まってとても素晴らしいものになっている。

【『姫様“拷問”の時間です』キャラクター紹介PV】

 また、アニメのPVで、ひめごうアニメはひめごうの世界とそれぞれのキャラクターたちの魅力をよりわかりやすく、面白く表現出来ると確信できたと言っていい。

 ひめごうアニメは8日から始まるが、原作のマンガは現在コミックス13巻まで出ており、「ジャンプ+」にて毎週火曜日更新されている(1話~3話は無料)。どちらもぜひみてもらいたいと思う。面白さは絶対に保証する!