【特別企画】

【12月マンガ新刊】「怪獣8号」や「裏バイト:逃亡禁止」など12月発売予定のオススメコミックスを紹介!

ありそうでなさそうな現実と異世界が混ざった世界を堪能できる作品が多数

 本日でついに2023年も最後の月となり、クリスマスや年越し、お正月とイベントが盛りだくさんの季節がやってきた。そんな中で今月も様々なマンガが発売される。その中でも今回は現実世界をベースとしつつ、少し異世界が混ざったような作品を4つ紹介したい。どの作品も読み応えのある展開なのでぜひとも読んでみてほしい。

怪獣8号

出版社:集英社(ジャンプ+)
著者:松本直也
最新刊:11巻(12月4日発売予定、価格:572円)

怪獣8号 11巻

 怪獣が人々の生活を破壊していく日本が舞台の本作。せん滅された怪獣死体の解体業者・モンスタースイーパーで働く32歳の「日比野カフカ」が本作の主人公だ。

 日比野カフカは幼いころに住んでいた町が怪獣によって破壊されており、幼馴染の「亜白ミナ」と「怪獣を全滅させよう」と誓う。ところが、カフカは怪獣をせん滅する組織「日本防衛隊」に入ることを諦めて怪獣死体の解体業者へと就職した。そして同じ志を持っていた幼馴染の亜白は入隊し、めきめきと頭角を現わしていった。カフカはそんな姿を見て防衛隊になれなかった後悔など複雑な表情を浮かべる。

 そんなとき新しく解体業者に入社してきた防衛隊希望の「市川レノ」に防衛隊を諦めたことを詰められ、カフカは言い返すことができない。市川に防衛隊の入隊年齢が引き上げられたことを聞いたカフカは入隊試験を受けることを決める。しかし目の前に現われた小さな怪獣がカフカの体に入り込み、カフカは怪獣化してしまう。

 自身の人格を持ったまま怪獣となったカフカは怪獣8号と分類されるも、何とか自身のもとの姿に戻り怪獣8号は行方を晦ませる。そしてカフカは正体を隠したまま日本防衛隊の試験へと挑むが隊員としては不合格となってしまう。しかし、第3部隊副隊長の保科宗四郎の目に止まり候補生として採用される。無事防衛隊の一員になったカフカは怪獣の力を使って戦う先輩隊員や同期たちとともに怪獣に立ち向かっていく。

前巻のあらすじと次巻への期待

 10巻では東京の各地に分散された防衛隊の前に強い怪獣たちがそれぞれの場所に現われ、それぞれの隊長や副隊長、それに準ずる戦闘能力を持つものたちに前に立ちはだかる。

 怪獣たちはそれぞれ対峙した隊員たちに特化する形で登場しており、各隊員たちがピンチに陥るというところまで描かれている。10巻では主人公のカフカに焦点が当たるというよりも、カフカの同僚や先輩たちにフォーカスされており、より強い敵との対峙というところから各隊員たちの成長と絶望が描かれていた。特に各隊員たちが自身の特徴を分析された上で現われた怪獣との対峙により、ここからどう成長し怪獣を倒していくのかが次巻でとても楽しみな展開となっている。

怪物事変(けものじへん)

出版社:集英社(ジャンプスクエア)
著者:藍本松
最新刊:20巻(12月4日発売予定、価格:528円)

怪物事変 20巻

 怪現象を調査する探偵「隠神(いぬがみ)」は調査依頼を受けた田舎町を訪れる。その町ではある晩になると腐乱した家畜の死体が発見されるようになった。一晩で前日まで生きていた動物が腐乱しているという怪現象を調べるために、その旅館で下働きのような扱いを受けている少年「泥田坊(どろたぼう)」に話を聞く。泥田坊は事件のあらましを事細かに覚えていて、隠神の手助けをする。そんな中、泥田坊は自身が世話になっている家の子と喧嘩をしてしまう。その時、自身が人間ではなく屍鬼(クーラー)と人間の半妖という物の怪(怪物)であることを知る。事件の犯人が自分ではないかと隠神に打ち明ける。ところが、隠神はすでに泥田坊の正体を知っており、今回の怪現象の犯人ではないことを知っていた。怪現象の犯人を突き止めた隠神は泥田坊を引き取り、事務所のある東京へと戻る。

 実は隠神が経営している探偵事務所は怪物たちで運営されていた。所長の隠神が化狸(ばけだぬき)、助手の蜘蛛(アラクネ)の半妖の織(しき)と雪男子(ユキオノコ)の半妖の晶(あきら)、エンジニアの吸血鬼(ヴァンパイア)のミハイが所属しており、泥田坊も本当の名前の夏羽(かばね)として一員に加わる。夏羽は自身の両親が残した怪物の結石の1つ「命結石」を手掛かりに両親を探すことを決意する。

 この怪物の結石は日本全国に12個あり、石によって怪物たちが込めた力が違う。この怪物の結石を巡って夏羽と隠神探偵事務所のメンバーは、日本全土を巡って怪物の結石を狙うもう1つの勢力である化狐の飯生(いなり)率いる警視庁捜査特課のメンバーと戦っていく。

前巻のあらすじと次巻への期待

 19巻まででは京都にある2つの怪物の結石を巡る戦いが繰り広げられ、戦いの末夏羽たちが勝利し、京都の化狐たちが持っていた陰結石と陽結石を手に入れたところまで描かれている。今のところ夏羽の両親に関しては大きな進捗はないものの、怪物の結石に関しては夏羽側が7つ、飯生側が5つ保持している。ただ、19巻最後に夏羽たちが手に入れた陰結石と陽結石は2つ合わせるとよくないことが起こるという言い伝えが京都の化狐たちのなかで伝えられており、19巻の最後で不慮の事故でこの2つが合わせられるような描写がある。そのため、どのような展開になるのか非常に気になるところで終わっているため、次巻の展開がとにかく待ち遠しい。

 また、今のところ怪物の結石の数や協力者など夏羽たちが優勢のように見えているが、飯生の策もまだ見えないところが怖い。

裏バイト:逃亡禁止

出版社:小学館(マンガワン/裏サンデー)
著者:田口翔太郎
最新刊:11巻(12月12日発売予定、価格:715円)

裏バイト:逃亡禁止(画像は10巻のもの)

 とある事情で大金を求める“ユメちゃん”こと「黒嶺ユメ(こくりょうゆめ)」と“ハマちゃん”こと「白浜和美(しらはまなごみ)」。2人は決められた期間の勤務や目的達成をすると大金が手に入る「裏バイト」をしている。裏バイトでは様々な禁止事項や注意事項を守りながら仕事に従事するが、基本的にどんな業務でも命の危険にさらされている。業務の中であらゆる危機に直面することになり、怪異だけでなく時には人間に命を狙われることもある。

 そんな中でユメちゃんは怪異をにおいとして嗅ぎ分けることができ、危険な状況が近づくと「クサイ」と感じる。特に命の危険度が臭いとして嗅ぎ分けられ、怪異の近くでも命の危険度が少ない場所を探り当てることができる。ユメちゃんの力で危機を回避をしながら、ハマちゃんの想像の斜め上を行く行動力で必ず裏バイトから生還している。

 物語は1つの仕事につき前編・中編・後編の3部構成になっている。1つの仕事を切り抜けるたびに2人は新しい裏バイトにいく。

前巻のあらすじと次巻への期待

 前巻までで、裏バイトを働いた報酬として、金銭とは別にいなくなった父親の情報を手に入れたハマちゃん。ユメちゃんもいなくなった養親に変わって弟妹たちの面倒を見ながら、養親の借金返済のために裏バイトをしており、養親の失踪には裏バイトが関わっているとわかっていたが、ハマちゃんの父親も裏バイト自体に関わっていたことが判明した。

 2人が毎回どうやって裏バイトから生還するかというところが本作の見どころだが、さらに家族が裏バイトに関わっているという謎も物語に加わり、2人が裏バイトを続けながら家族の真相に迫っていくのは読んでいてドキドキする。2人がお互いだけを信用して進んでいく物語は、命綱のない綱渡りや空中ブランコを見ているようなドキドキ感と不安感があるが、2人がどうやって生還するのかワクワクしてしまう。

 働く裏バイトの業種によって全く違う世界を見ることができるので、次の裏バイト先がどんなバイト先なのかも気になりつつ、次巻でも2人がとにかく無事生還できることを祈ってしまう。

裏サンデーの「裏バイト:逃亡禁止」のページ

ブラックナイトパレード

出版社:集英社(ウルトラジャンプ)
著者:中村光
最新刊:9巻(12月19日発売予定、価格:715円)

ブラックナイトパレード(※画像は8巻のもの)

 どこにも取り柄のない青年「日野三春(ひのみはる)」は大学受験に失敗し、就職活動もうまくいかず、3年間コンビニのアルバイトとして働いている。

 バイト仲間にミスの責任を押し付けられ続け、限界を迎えた三春はクリスマスの夜にバイト仲間を同じように廃棄のクリスマスケーキを盗んで帰ってしまう。アパートまで帰るとそこには見たことのないホルモン屋の屋台があり、立ち寄ると店員は見たことのない真っ黒なサンタクロースの恰好をしていた。そこで店員が本場のサンタクロースは2種類いて、良い子のところに来る赤いサンタクロースと悪い子のところに来る黒いサンタクロースがいること、加えて黒いサンタクロースは悪い子に石炭や獣の臓物、もっと悪い子には鞭打ちなどをあげることを教えてくれた。そして、もっともっと悪い子は……と説明しているところで三春は大きな袋に食べられてしまう。

 そして三春が目を覚ましたのは見たこともない屋敷の部屋。目を覚ました三春に黒いサンタクロース(クネヒト)が告げたのは、とっても悪い子は袋に詰めて攫われる、そして赤いサンタクロースと良い子たちのために働くという不可解な発言。しかし、それは三春が就職し働くという三春が1番欲しかったものだった。三春の同僚の「志乃」と「鉄平」たちとともに赤いサンタクロースと良い子たちのために働く日々がはじまる。

前巻のあらすじと次巻への期待

 前巻までで、サンタクロースハウスの創設者の1人である機械技師の「ドロッセルマイヤー」は初代サンタクロースを復活させる為に未来世界でクネヒトと手を組み黒いサンタクロースたちを殺していた。そんな未来を阻止するために、三春たちがクネヒトの手についている鎖を切ることができるアマダスの剣をドロッセルマイヤーの手に渡る前に探しに行くことになった。志乃と鉄平は志乃の実家を訪れて3つに分かれたアマダスの剣のパーツ1つ目を手に入れることができた。そして三春と同僚の「ベン」が訪れたのは、ベンが1番行きたくない場所・アメリカのプロレス会場だった。ベンが嫌がる中、強制的にリングに上げようとする主催者に適当な英語を返してしまったために一緒にリングに上がることになった三春とベンは無事にアマダスの剣の1つを手に入れることができるのか? というところまで描かれている。

 本作ではシリアスな展開でも、ボケもツッコミもありというなかで、次巻でどう三春がリング上で戦っていくか、果たして無事にアマダスの剣のパーツを手に入れることができるのか楽しみな展開となっている。

まとめ

 12月は現実世界と異世界が混ざった4つの物語について紹介した。「怪獣8号」は少し違うかもしれないが、他の3作品は見たことも体験したこともないけれど、実際にあるかもしれないような世界が描かれていると筆者は感じている。ちょっと曖昧だけど、あるかもしれないし、ないかもしれない。そんな世界を楽しめる作品なので気になった方は是非手に取ってみてほしい。他にもたくさんのコミックスが発売されるので年末年始の休暇中にていろいろ手に取ってみてはいかがだろうか。