【特別企画】

「ZENAIM KEYBOARD」、改善版のアップデートポイントを検証。スペースキーは着実に進化

RGB LEDのコイル鳴きも改善。これからの「ZENAIM」に期待

【ZENAIM KEYBOARD】

8月8日 販売再開

価格:48,180円

 5月に東海理化より発売された国産ゲーミングキーボード「ZENAIM KEYBOARD」。独自開発のロープロファイル磁気センサースイッチ「ZENAIM KEY SWITCH」を搭載し、新たなジャンルのゲーミングキーボードを切り拓くかと思いきや、初回販売分で発生したスタビライザーの動作不良によって、製品の交換と一時販売停止を発表し、ネガティブな方向で大きな話題となってしまった。

 あの大騒動から約2カ月半。スタビライザーの不具合を乗り越え、遂に「ZENAIM KEYBOARD」が完全体となった。初回販売分を購入した筆者のもとにも、改善版のキーボード本体が届いたため、本稿では改善前の製品と比較しながら、「ZENAIM KEYBOARD」のアップデートポイントを検証していく。

スペースキーやLEDのコイル鳴きなど、2カ月半で大きく進化した「ZENAIM KEYBOARD」

 まずは、改めて「ZENAIM KEYBOARD」で何が起きたかを簡単に振り返っておきたい。「ZENAIM KEYBOARD」は、初回販売分にて使用されていたスタビライザーに動作不良が発生。スペースキー、エンターキー、左シフトキーのキーの端を連打するとキーキャップが外れてしまい、入力ができなくなってしまうという不具合が報告されていた。

 筆者は幸運にも初回販売分の「ZENAIM KEYBOARD」を購入できたユーザーだったが、製品を開封してすぐに気が付いたことがスペースキーの“ぐらつき”だった。また、通電してみると今度はRGB LEDライティングのコイル鳴きのような現象にも遭遇し、ZENAIMのサポート窓口へ連絡した。この辺りの経緯は、発生時の記事に詳細があるためこちらを参照していただきたい。

 これらの不具合を受けて、東海理化は「ZENAIM KEYBOARD」の一時的な販売停止を発表。既に購入したユーザーについても、改善された製品へ交換することを約束していた。筆者の場合は、7月末に交換を希望するか否かのメールが届き、手続きを開始。8月4日に製品を返送すると、8月10日に改善版の製品が到着した。

 パッケージや内容物の変更は特になく、型番やJANコードも同一だが、製品番号から筆者の改善版は7月18日に製造されたもののようだ。販売再開まで約2カ月半あったが、7月中旬頃(不具合発表から約2カ月)には改善版が完成していたものと思われる。

改善版のパッケージ特に変更はない
内容物はキーボード本体とキーキャップを外すためのキープラー、USBケーブルと説明書を収めた箱と、こちらも変わりない
こちらは改善前の製品のバーコード部分
こちらは改善後の製品。JANコードや型番は同一となっていた

 筆者的には、パッケージにも何らかの変化があると思っていたので少し拍子抜けしたが、キーボード本体を手に取ってみるとすぐに違いがわかった。それはもちろん、スペースキーの“ぐらつき”が少なくなったことだ。改善前の製品は明らかにぐらついていて少し心配になるレベルだった。もちろん、改善後の製品も“ぐらつき0”とまではいかないが、一般的なゲーミングキーボードのスペースキーくらいにはぐらつきが抑えられている。

 また、スペースキーを押した際のキーキャップの傾きも減少。改善前の製品は、どちらか一方に重心を寄せてスイッチを押すともう一方がうまく沈み込まず、キーキャップが傾いていたが、改善後の製品は全体がうまく沈むようになっていた。このあたりの違いは、スタビライザーを搭載しているエンターキーや左シフトキーにも表れている。

 この進化はキーキャップを外してみれば明らかになるが、スタビライザーとキーキャップ両方の形状が変更されている。どちらも受け皿を増やすような形状になることで、ぐらつきをおさえ、うまく沈み込むようになっているのだ。もちろん約5万円のキーボードなので、このあたりは初期段階から設計しておいてほしいが、改善部分を特定・設計して作り直し、購入した全ユーザーに改善品を提供するスピード感は凄まじい。

【改善前のZENAIM KEYBOARD】
改善前は一方を押すと、もう一方がうまく沈み込まなかった
動作不良の原因となったスタビライザー部分
【改善後のZENAIM KEYBOARD】
改善後はキーキャップ全体がうまく沈み込むようになった
キーキャップを外してみると、改善したポイントがみえてくる
スタビライザー部分には、キーキャップが嵌る十字部分のまわりにガイドができた
キーキャップの受け皿には突起のようなものができ、スタビライザーとの接地面積が増えている
この進化はエンターキーや……
左シフトキーなどスタビライザーを使用している全キーに適用されている

 さらに、スペースキーを打つときの打鍵音も改善。初回販売分は“カチャカチャ”とした少し耳障りな音だったが、改善後の製品は“コトコト”という上品な音になっている。また音回りの進化点だと、RGB LEDのコイル鳴きのような現象も改善されている。

 正確に言うとコイル鳴き自体は存在するのだが、改善前の「キーン」という甲高い音ではなく、「ジー」という低い音が小さく鳴り響くだけで、日常生活のノイズに紛れて聴こえなくなった。筆者はコイル鳴きのような甲高い音が苦手で、改善前の製品ではライティングの光量を抑えて使用していたのだが、改善後の製品では光量MAXの状態でも使用できるようになった。

 このほかにも、キーキャップの耐久性やチルトスタンドの剛性がUP。筆者の場合、この2つは改善前の製品でも問題ないと思っていたが、短い期間で多くのユーザーの声を聴き、実際の製品に反映するというZENAIMの姿勢を評価したい。

RGB LEDライティングのコイル鳴きも改善。「ジー」という小さな音に抑えられている
チルトスタンドの剛性もUP。力をかけても倒れにくくなった

再販分も4分で完売。これからの「ZENAIM」ブランドの成長に期待!

 ここまで「ZENAIM KEYBOARD」改善版のアップデートポイントを紹介してきた。改善前の製品では、スタビライザーの動作不良やRGB LEDのコイル鳴きなどマイナスとなる評価部分が多かったが、約2カ月半でこれらを改善し、ユーザーにいち早く届ける「ZENAIM」は国産ブランドならではの安心感を感じた。一方で、リコールのような事象はあってはならないため、これからの「ZENAIM」プロダクトではこのような騒動が起こらないことを願うばかりだ。

 「ZENAIM KEYBOARD」は8月8日より販売再開となったが、初回販売分と同様に4分で完売。まだまだユーザーには行き届いていないが、約5万円のキーボードでも売り切れになるほど、やはり「ZENAIM KEYBOARD」への期待は高いものと思われる。これからの「ZENAIM」が生み出すプロダクトや「ZENAIM」ブランドの成長に期待したい。