【特別企画】

開発者に訊く「figma Galaxian Galaxip GFX-D001a / Galaga Fighter GFX-D002f」

海老川兼武氏による新解釈の機体をフィギュア向けにディテールアップして発売

9月発売予定

価格:
11,500円(税別)
DX Ver.:15,500円(税別)
※DX Ver.はGOOD SMILE ONLINE SHOPでの限定販売

 フリーイングが9月に発売を予定しているアクションフィギュア「figma Galaxian Galaxip GFX-D001a / Galaga Fighter GFX-D002f」(以下、「ギャラクシップ/ギャラガ・ファイター」)の予約が一般店頭とグッドスマイルカンパニーのオンラインショップにて受付中だ。予約は2月12日頃まで。

 本商品はバンダイナムコエンターテインメントがナムコ時代にリリースしたアーケードゲーム、「ギャラクシアン」と「ギャラガ」の2つの名作シューティングに登場する自機「ギャラクシップ」と「ギャラガ・ファイター」を、メカデザイナーの海老川兼武氏がデザインアレンジを手がけ、独自のディテールを備えた機体として発売される。

 海老川氏のセンスが映える機体でありながらも、そのシルエットにオリジナルのゲーム画面のドット絵のイメージが浮かんだ新旧のゲームファンは多いはず。今回はこのアイテムを企画したFREEingの依田智雄氏に、その企画意図やデザインにおけるこだわりなどを訊いてみた。

FREEingの依田智雄氏

デザイン元は海老川氏のアレンジイラスト。これをディテールアップして立体化

 この「ギャラクシップ/ギャラガ・ファイター」は、ゲーム黎明期にナムコがアーケードでリリースしたシューティングゲーム2作品からの出自である。「ギャラクシアン」は1979年に、「ギャラガ」は1981年にリリースされ、ともに爆発的にヒットしたタイトルだ。その後さまざまなゲーム機に移植されたタイトルなので、リアルタイムに体験していない人でも知っているタイトルかと思う。

「Galaxian Galaxip GFX-D001a」は、「ギャラクシアン」の自機。ドット絵に忠実に、カラフルな色使いが印象的

 現在、「ギャラクシアン」、「ギャラガ」は、その後に続編的に作られた「ギャラガ’88」、「ギャプラス」も含めた4つのシューティングゲームタイトルで「ギャラガ・リーグ・シリーズ」を構成している。また、これらの世界観やバックストーリーなどは、同社のSFゲームタイトルに共通する「United Galaxy Space Force(UGSF:銀河連邦宇宙軍)」が登場する一連の作品と絡めて「UGSFシリーズ」」としても世界観を共有している。興味のある人は、是非リンク先を参照して欲しい。

「ギャラガ」の自機、「Galaga Fighter GFX-D002f」。ゲーム中の「デュアル・ファイター・モード」を再現可能

 今回解説してくれた依田氏は、フリーイングでゲームに関連するアイテムを多数担当していて、過去には弊誌のインタビューにも登場している。今回の「ギャラクシップ/ギャラガ・ファイター」の企画は、2017年に弊誌でも扱った「figma シューティングゲームヒストリカ アイアンフォスル」で、海老川氏に監修の依頼をしたことが縁で立ち上がったという。

 「機体のデザインは、海老川さんが柳瀬敬之さん、島田フミカネさんと共同で作られたイラスト集の中で描かれたものをベースにしています。商品化にあたり、事前に海老川さんにご相談をしつつ、バンダイナムコゲームスさんに了承いただいてから、同人誌のイラストを立体化に向けて詳細なディテール等のリファインをお願いしました」と依田氏は解説する。

 両機体とも海老川氏によるアレンジの効いたデザインでありながら、機体を真上から見たシルエットがゲーム画面のドット絵を意識した形状だったため、バンダイナムコエンターテインメントの了承も比較的すんなり通ったそうである。

海老川兼武氏によるギャラクシップのイラスト。フィギュアはこのイラストを立体化したもの
こちらはギャラガ・ファイター。デュアル・ファイターの状態が描かれている
イラスト集のページより。量産機カラーのギャラクシップや「ギャラガ88」のファイターのスケッチも見える

 企画当初は組立キットとしての開発案もあったが、流通数や価格設定などを考慮するとクリアすべき壁が多くあり、それよりも同社が持つ完成品のノウハウの強みを生かすために、「アイアンフォスル」と同様にアクションフィギュアとして発売することが決定した。同じ「figma」ブランドで発売をするためにマックスファクトリーとも相談し、規定となるfigmaの関節をジェット噴射のエフェクトパーツの接続用に採用(ただし接続時は非可動)している。

 その後の設計に関しては、「まず海老川さんのイラストを参考に弊社でCGモデルを作り、それを海老川さんにお渡しして、立体化したときに見栄えがするようにディテールアップをしていただきました」と説明し、次の資料を見せてくれた。

海老川氏によるギャラクシップのディテールアップの指示。造形映えするように、細かなところにも手が入れられている
こちらはギャラガ・ファイター。立体後のサンプルに対しての修正依頼も

 海老川氏が施したディテールはCGモデルに反映され、その後フィギュアの原型となるCADデータに変換する作業が行なわれるが、データにはCGモデルを100%反映できるわけではなく、立体化するための整合性をとらなければならない。これは作業的にかなり大変なため、この製品ではフリーで玩具等の3DCADの設計士として活躍し、ゲームを題材としたガレージキットを制作するなどのノウハウを持つプラリーフ氏にCAD設計を依頼して、現在のような形の原型が完成した。

ギャラガ・ファイターの3DCAD

海老川氏の独自解釈の意匠が要所に盛り込まれた2つの機体

 ここで改めて完成したサンプルを見てみよう。ギャラクシップはドット絵に則ったことで、かなり個性的なデザインに仕上がっている。ある意味常識に囚われない非常にゲームらしいデザインとも言え、小さな垂直翼が備わった三角形の機首や翼の下につり下げられたエンジンなど、海老川氏独自の解釈が面白く、横や下面から見たルックスも新鮮だ。

 機首にある突起は、ゲーム画面ではビームそのものとして表現され、撃つと消えていたが、このフィギュアでは砲身に空間が設けられた武装という設定で、発射前はこの空間にエネルギーがチャージされるというイメージだと、海老川氏が自身のTwitterにて解説している。

製品版に近い状態のギャラクシップ。イラストからさらにシャープなシルエットとなった
サイドにはUGSFのマークも入った。機首の機銃は下側についている
機体後方。バーニア周辺の細かなディテールにも注目
機体のトップビュー。前後の色の違いから、2機が合体したような雰囲気もある

 一方のギャラガ・ファイターは、シューティングゲームの自機らしい正統派なシルエットを忠実に再現しているが、斜めから見るとコクピットの下にビームの発射口があるなど、意外なデザインポイントも見受けられる。そしてこの機体の最大の特徴が、ゲーム中のパワーアップ要素である「デュアル・ファイター」を再現できる点だ。

 左右の翼端には垂直翼があり、そこに付属のジョイントを取り付けることで、2機を横に並べた状態で合体ができるのである。グッドスマイルカンパニーのオンラインショップでは、このデュアル・ファイターを再現するために、ギャラガ・ファイターを2機セットにした「figma Galaxian Galaxip GFX-D001a / Galaga Fighter GFX-D002f DX Ver.」の予約も受け付けているのでチェックしてみてほしい。

ギャラガ・ファイター。ギャラクシップと比較すると、シンプルな格好良さが光る
両翼端には垂直翼があり、デュアル・ファイター時は写真のようにジョイントを接続する
2機が合体したデュアル・ファイター。付属のスタンドを2本使うことでディスプレイも可能
デュアル・ファイターのトップビュー。ゲーム画面を思い出すシルエットだ

 バンダイナムコエンターテインメントの監修は、UGSFシリーズの世界観を統括するバンダイナムコスタジオの夛湖久治氏が担当していて、両機体にはUGSFのマーキングも入り、公式感も強くなった。今後のシリーズラインナップとしてUGSF機の登場にも期待がかかるが、依田氏は「こればかりは、受注と評判次第ですね」と苦笑い。発売後のユーザーの意見なども参考に、慎重に検討していきたいと話している。

 依田氏は最後に「海老川さんならではの繊細なディテールや面構成を上手く再現できたと思いますので、ぜひ手にとっていただいて、実物でそれを確認していただければ嬉しいです」と述べた。予約はまもなく終了となるので、特にデュアル・ファイターを再現したいという人は、グッドスマイルカンパニー専売となる「DX Ver.」の購入を検討してみてほしい。

こちらは今回の取材で見せていただいた、「figma SPACE INVADERS MONSTER」の彩色試作品。「スペースインベーダー」筐体に描かれていたモンスターを、全身20カ所以上が可動するアクションフィギュアにしたもの。目は白と蓄光塗装を切り替えて楽しめる。近日予約がスタートするとのこと