インタビュー
「マビノギ」アップデート「THE DRAMA IRIA」開発/運営インタビュー
今回はルエリが主人公!? 大人数で参加できる「ドラゴンレイド」も登場!
(2013/4/26 00:00)
ネクソンは4月23日、新アップデート「THE DRAMA IRIA」を実装した。このアップデートでは新しいストーリークエストが追加され新大陸「イリア」のマップの一部がリニューアルされる。巨大なドラゴンと戦う「ドラゴンレイド」もプレイできるようになる。
4月14日に開催された「マビノギ 8周年オフラインイベント」では、この「THE DRAMA IRIA(以下、「DRAMA」)」加え、2丁拳銃を使う新職業「シューター」や魔法と錬金術のアップデートがアナウンスされた。
今回、実装前に韓国NEXONの開発スタッフと、日本運営担当者にインタビューを行なった。話を聞いたのは、韓国NEXON マビノギ室室長のファン・ソニョン氏と、マビノギ室 日本マビノギチームチーム長のシム・ギュヨン氏。ネクソン運用本部運用部ゲーム運用チームの糸井詩織氏。
「DRAMA」はどのような想いで作られたのか、どんなストーリーが展開するのだろうか。その他の要素の詳細は? また、日本運営は今後どのようなビジョンを持ち、プレーヤーに働きかけていくのだろうか。インタビューではこういった気になる点を中心に質問した。
毎週追加されていく「DRAMA」。ルエリやタルラークのその後が語られる
――まず最初に、ファンさんのことをお伺いしたいと思います。ファンさんはいつから「マビノギ」を担当していますか?
ファン・ソニョン氏: 2011年の11月くらいに室長に就任しました。室長として、「ジェネレーションリニューアル」、「吟遊詩人」、「人形師」、「シャマラ」、そして「プロローグ 悪夢」から展開する今回のコンテンツ「DRAMA」を見てきました。
――昨年は既存コンテンツのリニューアル、そして新職業の投入など、「マビノギ」にしてはストーリーコンテンツがないな、という印象がありました。今回の「DRAMA」はストーリー要素が欲しい、というファンの声が大きかったからですか?
ファン氏: まさにその通りです。しかし、ストーリーの要望は大きかったのですが、その前にシステムを整理する必要がありました。「マビノギ」は歴史が長い分、システム面で昨今のタイトルと比べて遊びにくいところが出てきていました。
昨年は昨今のオンラインゲームタイトルに見劣りがせず、それでいながら「マビノギ」らしいシステムにリニューアルを行ない、それが一段落したというところです。そして今年はストーリーを盛り込んでいきます。皆さんが待っていた、そして「マビノギ」本来の姿であるメインストリームを中心としたコンテンツ投入を行なっていきます。
――新ストーリーは「変身」から続く、シャマラとミリアの2人の新キャラクターが中心となるという印象を受けました。ファンさん達のチームならではの新しいキャラクター達による、新しい「マビノギ」のストーリーを展開していくということですか。
ファン氏: シャマラとミリアは重要なキャラクターです。ストーリー要素は「変身」でのシャマラから始まっており、韓国では昨年の冬からストーリーが盛り込まれていきました。これまでは新キャラクター重視のストーリー展開が多かったですが、「DRAMA」では新キャラクターに加え、ルエリやタルラークといった「G(Generation)1」~「G3」で活躍したキャラクターのその後が描かれます。これは「マビノギ」ファンの多くが気になっていたのではないですか。
今回は、「あのキャラクターはどうなったの?」というファンの声に応える要素が大きくなっています。今回は始まりはシャマラですが、「帰ってきた英雄達」というのも大きなテーマとなっています。新しい感じと、過去のストーリーが融合した物語が展開していきます。
――以前、“ルエリは「G8」で出てくる!”と、とファンの間で話題になりましたが、ほんの顔見せ程度でした。今回はしっかりと活躍するのですか。
ファン氏: 今回は主人公ともいえる扱いですね。開発側は彼が主人公のつもりで描きました。ルエリは“過去の英雄”です。その彼がある事件に直面したときどんなことを感じるのか、その内面を描いていきたいと思いました。「DRAMA」で特に大事なキャラクターです。
――「DRAMA」の実装形式ですが、毎週追加されていくとのことでしたが、これは毎週ストーリークエストが実装されるというイメージでいいのですか。オフラインイベントでは“放映される”という言葉を使っていたので、例えば今週のクエストは来週はもうできない、といったことはないですよね?
シム・ギュヨン氏: そうです。放映というのは「DRAMA」というタイトルに合わせての言い方で、クエスト形式になっています。もちろん実装したコンテンツはいつでも挑戦可能です。「この後どうなるんだ」と思ってしまう、ちょうどいいところで終わる展開になっていますね。次回予告など、“ドラマ”という言葉で連想される要素は、色々盛り込んでいます。カットシーンなどもたくさん用意しており、プレイするだけでなく“観る”楽しさも強調しています。
――ボリュームに関してですが、全10話と言うことですが、これまでのGenerationに比べてコンテンツ量はどうですか。
シム氏: 全体を比べれば、これまで以上のものになります。ストーリーに力を入れています。
――その上で、「DRAMA」を通じてプレーヤーに見てもらいたいところはどのようなものになりますか?
ファン氏: ルエリはかつてトリアナとの間で様々な物語を展開させていきました。トリアナに対してルエリは、後悔をはじめとした複雑な感情を抱えています。その感情をルエリはどう整理していくのか、その部分は大きな見所だと思います。
シム氏: 「マビノギ」を気に入ってくださったプレーヤーさんは、やはり「G1」~「G3」のストーリーが気に入った、という人が多いと思うんですよ。プレーヤーに聞くとそういう答えが多い。今回はその「G3」までのストーリーに思い入れのある人に特に楽しんでもらえればと思っています。
――次に新マップについて聞きたいと思います。今回、いくつも新マップとしてスクリーンショットが公開されましたが、これは全く新しい新地域ですか。それともイリアのマップのリニューアルですか。
シム氏: リニューアルですね。正直イリアは砂漠と雪の景色ばかりで、寂しい部分も感じていました。今回のストーリーの1つのテーマとして「イリニドの呪いからの解放」というものがあります。イリアに住むエルフやジャイアントは「イリニドの呪い」を受けています。この呪いの解放により、砂漠ばかりだったところにオアシスができたり、埋もれていた遺跡が姿を現わします。マップはその変化を受けてのことなのです。
「G16」までのストーリーでエリンの神々のストーリーは一端幕を閉じました。イリニドの呪いからの解放と、イリアの変化はそのストーリーを受けてのものです。「DRAMA」は世界や神々というストーリーから、もっと人間同士の関係に焦点を当てた物語になっていきます。
――エルフとジャイアントはこれまでのストーリーで激しい対立を解消するような流れになっていましたが、今でもそれぞれの本拠地に近づくと攻撃されてしまいます。今回でそういった対立構造は変化するのですか。
ファン氏: エリンは現実の私達とは異なる時間軸で動いており、「DRAMA」ではこれまでのGenerationが展開していく中で、長い時間が過ぎていることが語られます。今回のマップの変化は、イリアの時間の経過を現わしているのです。もちろん「DRAMA」に登場する過去の人物も、その時間の流れを感じさせる変化をしています。
エルフとジャイアントも、その関係性を大きく変えています。実はイリニドの呪いからの解放は両種族に恩恵をもたらしただけではなく、イリニドが封じていたドラゴンの復活という大きな災厄も生み出してしまうのです。この巨大な敵と戦うために、エルフとジャイアントの関係は変化しています。対立も残ってはいますが、大きく変わります。
マップのリニューアルは実は「DRAMA」よりずっと前から進めていたのです。他のコンテンツ開発と並行して進めていて、今回ようやく実装になります。イリアの実装は「DRAMA」の第1話と同じ、4月23日になります。