GPコアエッジ、WIN「アヴァロンの鍵オンライン」インタビュー

地盤固めに注力した半年間。新展開を携え第2ステージへ!
【アバターアイテム「瓶底眼鏡」を全員にプレゼント!】


6月29日 収録



 Windows用オンラインカードゲーム「アヴァロンの鍵オンライン」のサービスが2009年12月にスタートしてから、約半年が経過した。運営元である株式会社GPコアエッジは、半年の節目を迎える2010年6月、「4週連続アップデート」として、多数の要素を4週続けて実装した。

 当初はゲームが途中で停止するようなトラブルも発生し、順調な船出とは行かなかった。しかし今回のアップデートでは「新たなるスタート」と銘打ち、運営としても仕切り直しての再出発を意図しているのがわかる。

 弊誌ではサービス開始直前に1度インタビューを行なっているが、再出発の意気込みを聞くべく、再度お話を伺うことにした。お答えいただいたのは、「アヴァロンの鍵オンライン」でディレクターを務める浅沼拓志氏、プロデューサーの間泰樹氏、そしてサービス当初のプロデューサーで、現在は事業部長を務める坂本亘氏にお話を伺った。

 なお本文中にて、アーケード版「アヴァロンの鍵」との混同を避けるため、「アヴァロンの鍵オンライン」を“オンライン版”、アーケード版「アヴァロンの鍵」を“アーケード版”と呼称する。




■ アーケード版プレーヤーへの訴求に努めた半年

プロデューサーの間泰樹氏
ディレクターの浅沼拓志氏
現在は事業部長を務める坂本亘氏

――サービス開始から半年が経ちました。今日までの手ごたえはいかがでしょうか?

間泰樹氏: この半年は、まずはアーケード版のファンの方々を取り込もうと注力しました。当初はサーバー負荷などからくる問題があったのですが、徐々に解決して、今も遊んでくださっているアーケード版からのファンの方々が結構な数いらっしゃいます。もちろん新規のユーザーさんも多いので、今後はどちらのお客様に対しても楽しんでいただけるような運営を目指していかなければいけないと思っています。

――これまではアーケード版をプレイしていた方に向けて特に訴えていこうという方針だったのですね。

間氏: 「アーケード版にあったのにオンライン版にはない」と言われるとよくないイメージがつくので、「魔導競技会モード」や先輩NPCは急いで入れたいと思っていました。その上でオンライン版もアピールできるように、アバターなどのオンライン版オリジナルの要素にも注力してきました。アバターでは今後も「フィフティニー」や「バルキリークララ」の服など、ゲームの中のキャラクターの服をどんどん出していこうと思っています。また学園という舞台を活かして、先日実装した体操服に続いて、夏服の販売も始めます(6月30日に実装済み)。

――アーケード版の経験者とオンライン版で初めて遊ばれた方はどれくらいの比率になっているのでしょうか?

浅沼拓志氏: アンケートでデータを収集する機会がありまして、それを見るに6~7割がアーケード版ユーザーで、残り3割が初めてのユーザーという構成比ですね。

坂本亘氏: 最初はほとんどアーケード版のユーザーになると思っていたのですが、新たなお客さんも来てくれているのだなという感想を持っています。

――比率的には狙い通りか、むしろ思ったより新規の方がついているという感じですか?

坂本氏: そうですね、これくらいは狙っていきたかったですし、いい感じで新しい方も入ってきているという印象です。

浅沼氏: 「『アヴァロンの鍵』って面白い」と思っていただける方が、オンライン版から出てきているところが大きいですね。ただ内容が複雑なゲームなので、これをどうやって伝えていくかということに、この半年間注力してきたという感じです。6月の4週連続バージョンアップで初心者向けの要素を概ね入れられたと感じていて、アーケード版をやってきてくれた方や、オンライン版から遊んでいただいて面白いと思っている方に対してのアプローチを考えていく段階に、ようやく来たかなという感じですね。




■ 新カードはライトユーザー目線のわかりやすいものを提供

――オンライン版では過去3回のカード追加がありました。どういった方針でカードを追加しているのでしょうか?

浅沼氏: まずスタートはベーシックな内容にしました。その次に導入したアーケード版のバージョン1.2のカードでは、「フィフティニー」や「バルキリークララ」など、戦闘支援を使わずに選択を仕掛けるカードが増えています。これらを出す時に、ベーシックでできた即死デッキや配置デッキでどうすれば戦えるかを鑑みて、新たなカードを追加しています。

 「バルキリークララ」と「フィフティニー」の登場を後ろにずらしたのは、まだ支援の有無という読み合いは早いと思ったのと、先制と先制避けを持つ「バルキリークララ」が強化された状態で出た時に対処できないと思ったからです。昨日までは「ポイズンスパイク」に先制をつければ勝てます、という程度の読み合いしかなかったのに、1枚で詰んでしまうカードが出てくるのはまだ早いかなと思いました。その代わりに確率系の避けを用意して、「このゲームは避けられる」ということを教えるのがオンライン版の第2弾のカードです。第3弾は、配置モンスターもちゃんと意識した方がいいですよというもの。第4弾は、アーケード版のVer1.3を全て入れた、という形です。

使いにくさはあるが、わかりやすい能力を持つ「ゼベエト」

――オンライン版のオリジナルカードはどういう考えのもと追加しているのでしょうか。

浅沼氏: アーケード版のカードを作っていた方々との話の中で、「テーマデッキを作ろうにもパーツが足りない」という話が出ましたので、そういうものを上手く引き取っています。その上で個人的に最もやりたかったカードは「フランフラワ」と「タコさん」です。「フランフラワ」は手札のモンスターを好きな場所に置くという配置デッキ向けのカードです。「タコさん」は配置していると、ターンの開始に1枚捨てて、1枚デッキからドローするというもので、どうしてもマリガン(手札を引き直す)をしたいというセガさんとの話から生まれました。

 その上で方針は大きく2つあります。1つは「フランフラワ」のように、「このデッキはどのように使えばいいのか」という疑問に対して、ルートを見せられるようなカードを用意することです。もう1つは逆説的なのですが、初心者が陥りやすい状況に対して、「これを持っていればそれなりに勝てますよ」というカードを渡してあげたいと思っています。手札にあるだけで攻撃力と耐久値が上がる「ゼベエト」は、移動でも戦闘でも配置でもそこそこ使えて、もし余ってもサポートしてくれるという、初心者にとって嬉しいカードだと思います。アーケード版のカードのような、強いけれど使いにくいカードよりも、もうちょっとライトな方の目線に落としたときに使いやすそうなカードを多めに作っています。




■ Ava-pointやアバターなどオリジナル要素実装の狙い

多面的な救済策として導入されたAva-point

――システム面でも、この半年で様々なアップデートが入りました。中でも運営で力を入れたものは何でしょう?

間氏: 運営チームとして1番やりたかったことは、Ava-pointですね。もっと遊びやすいようにカードをたくさん差し上げたいのはやまやまなのですが、さすがに無料というわけにはいきませんので、頑張った対価としてカードを差し上げる方法を用意したいと思っていました。また、カードをご購入いただいているお客様に対しても、何らかのサービスができないかと思い、Ava-pointとして10%ボーナスを付与しました。せっかく有料のGoldでカードを買ったのに欲しいカードが出なかったら悲しいと思うのです。でもそんな時、Ava-pointを使って欲しいカードが手に入ったら、気持ちよく楽しめるのではないでしょうか。(※ 8月4日のアップデートで、入城するたびに手に入る「フリーカード」が実装された)

――アバターはいろいろと面白いものが追加されていますが、何か方針はあるのでしょうか。

浅沼氏: SNSなどでユーザーさんの意見を見せていただいて、こういうのが欲しいという声に敏感に反応しながら作っています。イベントのアイテムに関しては、面白いと思ってもらえるものを作ろうと考えています。「ジャンプーハット」はその現われですね。

坂本氏: 移植がベースのゲームの中で、アバターは全くのオリジナルの要素として入っているので、ユーザーさんにはアーケード版からの強いイメージはないと思っています。他のゲーム性が崩れると別のゲームになってしまいますが、アバターは我々が面白い要素を味付けできる部分なので、「これはやりすぎか?」というものも積極的にチャレンジしています。

――オリジナル要素であるということは、アーケード版からのユーザーには抵抗の生まれる部分でもあると思います。実際のユーザーの反応はいかがでしたか?

間氏: 初めは「ローザ」や「コッペリア」を使いたいという方がとても多く、受け入れがたいという声が大きかったです。最初はアバターも販売できていませんでしたし、しばらくは商品数も少なく個性を出しづらい状況でした。今は300あまりのアバターアイテムが実装されて、みなさん同じアバターを着ている人がいないくらい着飾っていらっしゃるので、それにともなって徐々にアバターに愛着を持ってくださる方が増え、不満はだんだん和らいできたという印象を持っています。

浅沼氏: アバターに対して魅力を持ってもらえるような状況になってきていると思います。ただ、アーケードのキャラクターを使えないのはおかしいとも考えています。アップデートで先輩NPCが出てきましたし、「そろそろアーケード版のキャラクターになれるのかな?」と感じている方も多いですよね。そこはご期待に沿えるようにしたいと思います。

坂本氏: アーケード版をやっていた方には違和感があったと思いますが、逆に全く知らないでオンライン版で初めて「アヴァロンの鍵」を始めた方にとっては、自分のキャラクターはオリジナルであるほうが逆にオンラインゲームのイメージとしてあるはずなので、今回はそちらを優先しています。

プレーヤー名の他に称号も表示される

――オリジナル要素としては他に、称号もありますね。

浅沼氏: 称号はどうしてもやりたくて入れました。いろんなことをやった人を、何らかの方法で褒め称えたかったのです。私も「アヴァロンの鍵」が無料になったら、攻撃値が何点までいくのか考えたかったですし、それですごい数値を出せても、誰も褒めてくれないのも嫌だなと思って。プロフィールでは自分が出した最高の攻撃値を取ってはいるのですが、それだと他人にアピールできないので、称号という形でアピールできるようにしました。「こういう称号はないの?」という声も来ていますし、そういう方向性で今後も足していくつもりです。とても重要な要素だと考えています。




■ 予想以上に難しかったオンライン版ならではの同期問題

――サービス当初からしばらく、ゲームの安定性がかなり悪い状況が続きました。このあたりのトラブルについて、どのようなカバーをして現状どうなっているのか教えていただけますか。

間氏: 1番心が痛んだ不具合は、入城した時にフリーズするという不具合でした。そこがどうにも解決しなくて、少しでも情報をくださいとユーザーさんに協力を募ったこともありました。その甲斐あって原因がつかめまして、入城によるフリーズはなくなったと思っています。

浅沼氏: 最初の頃にあったサーバーのフリーズ問題には、相当頭を悩ませました。オンライン上で“完全に”同期を取らせて、しかもいろんな能力の解決を同時に行なうということが、こんなにも困難なことなのかと痛感しました。アーケード版はLANで通信遅延がほぼ起き得ない環境下で動くものでしたが、オンライン版は人によって通信環境がまちまちで、どういう情報の齟齬があるかわからないのですが、齟齬があってもきちんと同期を取らなければ成立しないというゲーム性になっていて、それを合わせる中でいろんな障害が起こりました。現状でも、同期を取る部分が100%問題ないとは言い切れません。日々情報を集めていて、今も毎週のレベルで通信に関わる部分を直しています。ただそれでも、トラブルの頻度がスタート時を100とするなら、現在は5とかいうレベルでしか発生しないところまでは対応できていると思います。

――サーバー側の問題としては、通信環境がアーケード版より不安定であることと、サーバー側の処理が当初の想定よりもかなりヘビーだったというところが根本にあるわけですね。

浅沼氏: 「アヴァロンの鍵」の特徴であるフリーイン・フリーアウトで、誰がいつ部屋に入って、いつ出て行くのか。他の人がその部屋を訪ねてきた時にどうするのか。複合した入退室のスタック処理が相当ヘビーですね。

坂本氏: プレーヤーの入れ替わりによって、回線速度の切り替えのようなものが絶えず発生していたのが、技術的に大変でした。同期の取り方の最適化は、今でもやっています。

――その上、ゲームがアップデートして新しい仕様が入るたびに、新たなサーバーの処理が増えて一段と重くなるわけですよね。

浅沼氏: そこはアップデートのたび、みんな1番胃が痛いところだと思います。ですから同期処理の対応は、もう終わったとは思っていません。永久に続くと思っています。




■ 「新たなるスタート」を掲げた4週連続アップデート

――6月に行なわれた4週連続アップデートについてお伺いします。まず4週連続でやる、ということにした理由は何でしょうか?

間氏: このタイミングで、私達がやりたかったことが全部出揃うので、「アヴァロンの鍵」の再スタートを大々的にアピールしたかったのです。今回、「新たなるスタート」というキャッチを掲げています。心機一転というわけではないですが、大きなアップデートだというところを打ち出したかったのです。

浅沼氏: あとストーリー面ですね。6月のアップデート前までは、魔導アカデミーは鍵聖戦の後で壊れてしまって、修復するために何かやっているけれど、僕ら(プレーヤーキャラクター)は戻ってきていいと言われたので戻ってきて、とりあえずみんなで勉強しようか……という状況になっていました。6月からは、ストーリーの中核だった先輩達が戻ってきますので、この先は鍵聖戦に向けて何かが動く、新しい展開が始まるというニュアンスを出したかったのです。とはいえ、ただ先輩が出ますといってもインパクトがないので、そのときに実装できるいくつかの内容を4週連続で出すことにしました。運営と開発も、ここからは違う動きに変えていくということも打ち出しています。

――イメージ的な話ですが、この4週連続アップデートで「アヴァロンの鍵オンライン」はバージョン2になったのでしょうか。それともまだ1.9で、2になる準備が整ったという感じでしょうか?

浅沼氏: まだ1.5になった、というところです。やりたいことはまだまだ山盛りにあります。今思いだせるものだけでも、観戦機能、ギルド的要素、アバターで集まれるチャットルームと、本当にいっぱいあります。私の中では、まだ頑張っても1.5かなという印象ですね。

――4週連続アップデートの中身がこのラインナップになったのは何か理由があるのですか?

浅沼氏: SNSは、もともと使っていたSo-netさんの無料サービスが終了することになり、なくなってから新しい方に来てくださいと突然言われても移行できないと思いまして、移行期間を設けるためにこのタイミングにしました。

 新カードはゲームの根本が変わるのと同じですし、アップデートの中で最もパンチが強いのはカード追加だろうということで、最後にしました。その上で、ここから何かが始まると思わせるために、真ん中で先輩を追加しました。ストーリーラインとしては、先輩が戻ってきた時に、彼らが旅した中で手に入れたカードが新カードとなって追加されている、という形になっています。

――その流れで行くと、次また先輩が帰ってくると新しいカードが増えるということに。

坂本氏: 何ともコメントが難しいですね(笑)。

実際にゲームをプレイし、設定目標を達成することでゲームを学べるクエストモード

間氏: クエストモードをやろうと思ったのは、新規で入ってきたユーザーさんの動向を調査したところ、1回もプレイしないで止めてしまっている方がいらっしゃるとわかったからです。チュートリアルは見てくれているのですが、「アヴァロンの鍵」を全て説明する「詳しくチュートリアル」は30分かかってしまいます。その30分を皆さんに強いるのは酷だろうということで、5分で見られる「簡単チュートリアル」を用意しました。しかし今度はゲームのルールを完全には把握できないという問題がありました。結局、実際に体験してもらうほうがいいということになり、新たなチュートリアルとしてクエストモードを実装しました。

 もう1つ気になったのは、「いろんなカードを使いたいけれどお金を使わないといけない」というご要望です。スターターの30枚だけではどうしても面白さは伝えきれません。Ava-pointを実装しましたが、それで増えた10枚のカードでデッキを組み替えても、不慣れな人だとデッキが弱くなってしまうのです。そこでレンタルデッキによって、いろんなカードに触れてもらいつつ、デッキの使い方を見せてあげるという、2つの意味合いを持たせています。この2つを実装したことで、1回もプレイしないでやめてしまう人はかなり減ったと思っています。

――新カードが追加されるのに合わせて、今後はレンタルデッキも増えるのでしょうか?

浅沼氏: はい。レンタルデッキもNPCのデッキも、頃合を見ながらこまめに変えていくものだと考えています。NPCデッキは、プレイをどれくらい阻害しないにしようかと考えて修正している面もあります。ネタばらしをしてしまうと、1番弱いNPCには支援モンスターすら持たせていません。始めたばかりの方からは、「何か付けられて負けるのがよくわからない」という声があるので、スターターデッキの中に入っているものを使って、戦闘支援をつけるのだということを理解していただけるまでは、支援のないモンスターで統一しています。

公平な条件で対戦できる魔導競技会モードも実装された

――魔導競技会も入りました。やっと入ったという印象なのですが、今のタイミングで入れた理由があれば教えてください。

浅沼氏: 「アヴァロンの鍵」のポイントはフリーイン・フリーアウトにあります。自分の好きなタイミングで遊んで、そこにいる人と語らいながら戦って抜けていくというスタイルが、最も「アヴァロンの鍵」を強く伝えられると思い、あえて別のゲームになる魔導競技会は今まで入れていませんでした。

 この段階で実装したのは、このゲームは「1位を決めるゲームなんだ」という形で、初心者の方に理解してもらいたかったというのがあります。要は、わかりやすさを重視すると、魔導競技会が重要だなと。6月に新規の方がやりやすい環境ができて、そのタイミングで魔導競技会を入れれば、よりフリーイン・フリーアウトを理解してもらえるのではないかと思ったのです。1位を決めるゲームをプレイしてルールがわかり、その後に「このゲームって適当な時間にやってきて適当に始めて、NPCと遊んでいると誰かと対戦できるんだ」と思ってもらえる構図ができるのではないかと思い、魔導競技会を実装しました。

――特に上級者に向けたわけではないのですね。

浅沼氏: もちろん上級者の方々も楽しまれると思うのですが、我々としては初心者の方に向いています。もし以前から魔導競技会があったとしたら、ルールがわからない状況下で入って、タコ殴りにされるか、戦闘すらできないまま、4位ですと言われるゲームになりかねませんでした。フリーイン・フリーアウトなら、よくわからないままぐるぐる回って、何となく終わっても順位は付かないという方が、状況としてはいいだろうなと思っていました。今はルールをきちんと教えてくれるクエストが入ったので、「やり方はわかったんだけど、このゲームの何が楽しいの?」と言われた時に、カードゲームの楽しさとしては勝ち負けが欲しいので、魔導競技会を入れたという流れですね。

間氏: ただ私達にとって意外だったのは、上級者の方の中にも1日中やるほどはまったという方もいらっしゃいました。1日のトータルプレイ回数のデータを見てみたところ、魔導競技会を実装してから2倍弱にまで跳ね上がっている時もあります。上級者の方にも刺さっているようで嬉しいですね。

――4週連続のアップデートを入れ終わって、ユーザーの反応はいかがですか?

坂本氏: イメージからそれほど乖離せずに進んでいると感じています。それぞれのターゲットに対して打ち出したものは、それぞれに大きな違和感なくプレイしていただいてます。強いて言えば、魔導競技会は思ったより遊んでいただけています。

――今度のアップデートのペースはどのくらいになりますか?

間氏: さすがに次も4週連続とはいきませんが(笑)。毎月1回は大きなアップデートを打ち出していければと考えています。




■ 次回カード追加はアーケード版バージョン2! あのカードはどうなる?

――今後のアップデート計画で何か決まっているものがあれば教えてください。

間氏: まず、カードを何らかの形でもっと提供したいと思っています。

浅沼氏: 有料販売のほかに、Ava-pointを実装してみたり、学位でプレゼントしてみたりと色々やってきましたが、まだ足りないかなと。「アヴァロンの鍵」というゲームは、カードが1枚たりとも抜けてはいけないけれど、だからといって全員がSRのカードを全て手に入れているわけでもありません。この点について、もう1度抜本的に変えてみようかと考えています。まだ構想の段階なのですが、コモンカードは非常に手に入れやすくなるような施策を入れるつもりです。

間氏: 1回のプレイ時間のデータを見てみると、平均1時間くらいです。1日1回プレイして、1枚カードが手に入ったら喜んでもらえるかなと思っています。今までは、Ava-pointを貯めるのに1週間プレイしてやっと1枚だったので、もっとモチベーションが上がるようにしたいと考えています。

――アーケード版のプレイ感覚では、1回何百円と払いはするものの、必ずカードが出てくるという幸せがありますよね。カードを引くためにプレイするのは逆説的ですし、オンラインで同じようにできないのはわかりますが、そこの幸せも大切だったなと感じます。

浅沼氏: そうですね。あとはそれをどうやって実現するかが1番大きな課題だと思っています。今まではイベントなどでSRやVRが入手できるよう仕掛けていたのですが、そういうイベントに関与せず、パッと来た人たちに対してどれだけカードを入手する機会を増やせるかという視点で考えています。

間氏: イベントでSRやVRが手に入る機会は、長時間プレイできる人のためのものになっていました。もちろんプレイ時間が長い人は恩恵を受けなければいけないですが、そこに合わせてしまうと1日1時間しか遊べない人はその恩恵を享受できず、それがユーザーさんに不満感を与えてしまっているとも感じています。今後はライトユーザーさんに比重を置いて考えていきたいと思っています。

浅沼氏: あと考えているのは、アーケード版のバージョン1.0のイラストを活かす手段です。やはりイラストあってのゲームだと思いますし、せっかく素材があるのに使わない手はありませんから。

――アーケード版のプレーヤーは、バージョン2になるまでの長い期間で使い込んだカードが必ずありますから、オンライン版に入ってくると嬉しいですね。

浅沼氏: あともう1つ、これはまだ相談中ですが、より対戦しやすいよう、サーバー選択をなくそうという話をしています。サーバーを分けている理由は、プレイスタイルによって分かれることを期待しているからです。現状はそういう動きになってはいるのですが、魔導競技会を入れて、クエストも実装された今、分ける必要はないのかなと思ってきています。ただそれでサーバーが重くなってはいけないので、決断はしていません。マッチングしやすい環境を提供するのに、単純にサーバー統合でいいのかということも考えています。(※ 7月30日のアップデートで1つのサーバーに統合された)

――今後のカード追加についての方針のようなものがあれば教えてください。

浅沼氏: 目下、とても悩んでいるのは、“あのカードたち”を修正するかしないかというところです(笑)。

――次のカード追加は、アーケード版のバージョン2になるのですか?

浅沼氏: そうです。そうすると、気になるカードがあるのです。ユーザーの皆さんからも、当初から「彼らはどうなるんだろう」という声をいただいていています。

――逆に言えば、それを何とかするチャンスでもありますよね。

浅沼氏: セガさんにも話をしているところです。バージョン2のカードは全体的にとても見直されていて、「アヴァロンの鍵」というゲームが大きく飛躍していると思いますので、今の環境に何があると面白くなるのかを捉えつつ、一部をチョイスするか、それとも全部入れるかというところで考えています。

――次の実装時期はいつごろになるのでしょうか?

浅沼氏: まとめて入れるか分けて入れるかにもよりますし、直すのか直さないのかもありますので、それ次第ですね。




■ ストーリーはWEBから展開。新たなシステムの実装も?

アーケード版のプレーヤーキャラクター「ダグリス」と「ディアラ」がNPCとして復活

――アバターについては、先輩NPCのボイスやキャラクターモデルはいつごろ実装できそうですか?

間氏: 遅くとも8月か9月には、何かユーザーさんが使えるものをご提供したいと思っています。

――先輩以外にも、全く新しいボイスやキャラクターを入れる計画はありますか?

浅沼氏: あります。直近で何かがあるわけではありませんが。私が「アヴァロンの鍵」を託された時点から、全く新しいものを入れていこうというイメージがあります。田口さんにロゴを作っていただいたロゴなどにも、そういうイメージがちらほらと入っています。

――ストーリーが展開するのに、新しいキャラクターが出てこないのも確かに変ですね。そのストーリーについては、先輩が戻ってきましたが、今後どういう展開になるのでしょうか?

浅沼氏: 先輩が戻ってきたといっても、まだ2人です。ということは、次は想像できますよね。その先でやっていこうと思っていることは、先輩たちは結局どうなって、今はなぜいないのかというのを、まずは伝えていかなければいけないと思っています。アーケード版の時に出ていた小説や設定資料集を踏まえ、いろんな方向性がある中から、どう収拾をつけようかと。私の中ではある程度答えはあるので、まずはそれを語っていくという段階だと思っています。

 次の段階としては、先輩が全員出終わった後に何が待っているか、というところですね。そこに関して明確に言えるのは、鍵聖戦で何があって、この後何が起きるのかというところに関して、新しいキャラクターを交えてやっていきます。ただしアーケード版のように、プレーヤーがストーリーに関わるキャラクターを操作しているわけではないので、生徒という立場のプレーヤーがどうやってそのストーリーに絡んでいくのかというギミックを考えています。カードが増えるのか、NPCが増えるのか、具体的にどうなるかはまだわかりませんが、プレーヤーが1人の生徒としてストーリーを見ていくという流れになっていくかなと思っています。あと田口さんたちには、よく「攻めに行きましょう」と言われています。

――鍵聖戦で攻められたから今度は攻め返せ、と。以前は生徒が8人くらいしかいなかったのに、今はいっぱい増えましたから……。

浅沼氏: 数の力で(笑)。鍵の正体は小説版などで語られてしまっているので、その正体がわかった鍵がもたらした影響というのがストーリーの軸になっていくと思います。

――ストーリーの見せ方はどのようにしようと考えていますか?

浅沼氏: 直近でやろうと思っているのは、WEBサイトでストーリーページを作る方法です。今回も先輩が2人増えたのを記念して、今までのタイムラインや、どういう先輩がいたのかを紹介しましたが、カードが追加されるたびに相関図みたいなものを追加していこうと思っています。ゲーム内で何をしていくかは、色々と模索中です。たとえばボスモードみたいなものがあったらいいなとは思っていますが、今後しっかり考えていくつもりです。




■ 3Dモデル以外の演出や大会モードの実装を検討中

戦闘シーンは、アーケード版では3Dモデルのモンスターが動いていたが、オンライン版ではカードとエフェクトによるものに変更された

――毎回聞いてしまうのですが、アーケード版との1番の違いであるモンスターの3Dモデルの有無について、今はどのように考えていますか?

浅沼氏: サーバーやPCスペックの問題に付随するところだと思います。「もし3Dモデルを入れていたら、もっと大変なことになっていた」というのが正直なところです。ですので英断だったとは思いますが、それがユーザーの皆さんの気持ちに沿わないこともわかっています。これもどうやって折り合いをつけていくべきか、ずっと考えているところです。私としても正直ものすごくやりたいのですが、スタート時の状況を見るとかなり難しい話だと思っています。しかし今ものすごく嫌な状態だとも思っているので、どうやって間を取っていこうかというところです。初心者向けの部分がようやく終わったので、次は演出面などに目を向けようと考えています。

――それは3Dモデルを入れるのではなく、違う形で演出を加えるということですか?

浅沼氏: 新カードの話にも繋がるのですが、バージョン2では「鬼神」や「バルキリー燕」といったキャラクター性が立った演出のカードがいっぱいあります。それを今のまま出してしまうのはどうかと私自身も思っています。そこに関しては必ず何かしら手を入れます。

――グラフィックス面では、アーケード版の忠実な再現はできていますが、PCゲームとして考えれば高解像度対応や高画質化、ワイド対応があってもいいと思います。そういった点はいかがでしょうか?

浅沼氏: そこは若干、出遅れている感はあります。ただ先ほど申し上げたとおり、「アヴァロンの鍵」というゲームは、ルールが面白いんだということを打ち出していきたいと思っています。より綺麗に見せたいと思いはしますが、それよりも「マシンスペックを下げて、僕のマシンでも遊ばせてくれよ」という話の方が多いと感じていますし、それを入れるくらいなら3Dモデルを入れてと言われる可能性もあります。PCオンラインゲームという意味で言うと、もっと簡単に遊べるようにすることの方が先にあります。そこができて、ゲームの面白さがわかってもらえたところで、初めて高画質化やWindows 7のタッチパネル、64bit仕様化、高解像度対応といったあたりを考えたいと思っています。

――魔導競技会から1歩進んで、大会を開けるようなシステムの実装は検討していますか?

浅沼氏: もちろんしています。アーケード版ではディップスイッチでモードを切り替えていたものが、オンライン版ではマルチマッチングにはなりましたが、大会がしたいから用意したものであることには変わりありません。

間氏: 公平な条件で戦いたい、あるいはカード制限を付けて戦いたい、という方もいらっしゃるので、ゆくゆくはレア以上の枚数制限機能などもつけた上で、大会モードとしてご提供したいと思っています。

浅沼氏: ただ大会といっても、「アヴァロンの鍵」で普通に大会を開くと、何時間もかかってしまいます。そういう面も含めて、大会というのは結構大きな話だと思っています。どうやって時間の概念と戦うかが目下の課題です。

――SNSが非常に高機能になりましたし、あの辺りを絡めて時間差をつけてでも対戦できれば面白そうですね。

浅沼氏: あとはリアル大会をやれたらいいなと思っています。

――GPコアエッジさんは「アルテイル」でリアルイベントをよく開催されていますので、楽しみなところです。

浅沼氏: 我々の持ち味でもありますし、あとアーケード版で時間や場所の問題から、大会をやりたかったけれどできなかった……というセガさんのお話もあるので、うまくやれる方法を考えたいところです。

発売中のパッケージ「はじめての『アヴァロンの鍵オンライン』スターター&プレミアムキット」

――ゲームの外の展開としては、パッケージや周辺グッズの販売などは考えていますか?

間氏: 案としては上がっています。発売中のパッケージ「はじめての『アヴァロンの鍵オンライン』スターター&プレミアムキット」には、第1弾の130枚のカードのイラスト集「召喚符辞典」をお付けしました。それから既に110枚のカードが追加されましたので、そろそろかなというところです。またイラスト集単体でのお話もいただいています。「召喚符辞典」では「もうちょっと大きな絵を見たい」という声が上がっているので、できたらいいなと思っています。

――「アルテイル」では色々なグッズを出されていますし、そういう展開も期待されていると思います。

浅沼氏: ただ、今はまだそういう段階ではないと思っています。「アルテイル」でイラストの商品を始めたのは、初めてオフラインイベントを開いた時に「アルテイルの大きなイラストが欲しいです!」と直談判した方がいらしたからです。「アヴァロンの鍵」では、皆さんがまだそこまで意識が行っていないのかなと感じます。それはマイナスの意味ではなく、まだゲームに対して不満があるという意味です。それが解決されないうちからやるべきではないと思っています。

――ではユーザーさんで欲しい方は頑張って声を上げてください(笑)。あと今後のイベントやキャンペーンなどがあれば教えていただけますか。

間氏: 学園が舞台になっているので、学校にまつわることをやっていきたいと思っています。夏休みですと、昆虫採集。「アヴァロンの鍵」にもちょうど昆虫(族)がいますので、採集しましょう(笑)。キャラクターに絡めるほうがみなさん感情移入して楽しんでいただけるという印象を受けますので、そういうところを大事にしていきたいですね。

――では最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

間氏: ユーザーさんから、主にサポートメールからいただいたご意見やお問い合わせは、全て目を通させていただいています。またSNSで書かれた日記も見せていただいています。できるだけユーザーさんの意見を汲み取っていきます。戦闘の3Dモデルなど、必ずしもご期待に添えないこともありますが、できるだけ多くのユーザーさんに楽しんでもらいたいという確固とした信念を持っていきます。「アヴァロンの鍵」をこれからも大きくしいく中で、ユーザーさんの力を借りることも多いと思います。期待に背かないよう、最大限努力して取り組んでいきたいと思っています。

浅沼氏: 「アヴァロンの鍵オンライン」というゲームは、よく言ってバージョン1.5になったところです。今後もキャラクターやカードを追加して、皆さんの知っている「アヴァロンの鍵」に近づけつつ、それよりもうちょっと上向く「アヴァロンの鍵」になっていくと思います。その中で、このゲームがどれだけ面白いかということを伝えていくのが、運営に残された課題であり、我々がやっている最大の意義だと思っています。ユーザーさんからのアクションがあると我々は大変嬉しいですし、それと同時に、皆さんも「アヴァロンの鍵」に興味のある人がいたら、ぜひ広げて欲しいと思います。みんなで手を取り合って、「このゲームはいいゲームだよね」と言える環境を作れるように頑張っていきます。叱咤激励をいただきながら、進めていければと思っています。

坂本氏: 6月の4週連続アップデートで、ようやくスタート地点に立てたと感じています。これからもより魅力的な商品にしていきたいと思っていますので、ユーザーさんから色々ご意見いただけましたら、親身に対応して改善していきたいと思っています。また我々も、期待を上回るようないいものも出していきたいと常に考え、提供できるよう今後も頑張っていきます。今後ともよろしくお願いします。

――ありがとうございました。




■ 特製アバターアイテムを全員プレゼント!

アバターアイテム「瓶底眼鏡」

 今回、この記事の掲載に合わせて、ゲーム内で使用できるシリアルをご提供いただいた。コードを入力すると、アバターアイテム「瓶底眼鏡」が手に入る。間氏曰く「“Watch”で見るにかけてメガネ」だそうだが、「ぐるぐる眼鏡の奥にはすごい美人が!」という学園モノの定番を実現できるアイテムなので、ぜひともご利用いただきたい。

【「瓶底眼鏡」シリアル】
HaLA-HgDP-K4Km-7JCL

 


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(2010年 8月 5日)

[Reported by 石田賀津男]