Guerrilla GamesマネージングディレクターHermen Hulst氏インタビュー
「KILLZONE3」の3D立体視への取り組みや新要素について聞く


6月3日収録

会場:秋葉原UDXシアター


 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントは6月3日、東京・秋葉原UDXシアターにて、PS3向けFPS「KILLZONE3」のメディア向け試遊会を開催した。本稿では、当日のレポートとに続いて、「KILLZONE3」の開発元であるオランダのGuerrilla Games代表のHermen Hulst氏のショートインタビューを掲載したい。

 「KILLZONE3」は2009年9月に発売された「KILLZONE2」の続編である。シリーズの続編としては比較的早い時期にイベントを行なっている印象を受ける。また、本作の“目玉”である3D立体視の対応や、最新トレーラーでピックアップしている近接攻撃も気になるところだ。インタビューではこれらの点を質問してみた。




■ 開発直後から取り組んだ3D立体視。ステージは広大にして、たくさんの要素を盛り込む方向へ

「KILLZONE3」の開発元Guerrilla Games代表のHermen Hulst氏
3D立体視と並んで、今回の大きな目玉となったジェットパック。プレーヤーも使うことができ、氷山を連続で飛び越えたり、敵と空中戦を繰り広げたり、前作にはなかった様々なアクションが体験できた。「KILLZONE3」ではこのアイテムがどう使われるか、また、今後どんなメカが登場するか楽しみだ。Hulst氏は「残念ながら、今は明かせない」ということだったが、プレーヤーが驚くような新メカの登場を期待したい

編: まず最初に、今回プレゼンテーションを行なうことになった経緯を教えてください。前作に比べて開発期間が短くなるのかな、という印象を受けます。

Hulst氏: 発売時期はまだ未定ですが、「KILLZONE2」に比べ、「KILLZONE3」の開発期間は短くなります。開発が早くできる理由は、「KILLZONE2」をベースとして、前作の開発チームが引き続き制作を行なっているため、これからもスムーズに進めていけると思っています。

 本日プレゼンテーションを行なったのは、「KILLZONE2」の完成直後から開発を行なっている「KILLZONE3」の特に3D立体視のコンテンツの開発がここまで進んでいるんだ、というのを日本のユーザーへアピールしたかったからです。E3の前に「KILLZONE3」というタイトルをアピールすることで注目を集められる、という判断もありました。

 「KILLZONE2」はユーザーから多くの反響があり、日本のユーザーからも評価を受けました。「KILLZONE3」は多くの人から期待されているという自負があります。だからこそ日本にも開発中の今の時期から「KILLZONE3」をアピールしておこうと考えました。前作「KILLZONE2」は北米から1カ月後に日本語版が発売されたのですが、「KILLZONE3」では日米同時発売を予定しており、日本のマーケットにも期待しています。

編: 「KILLZONE3」はやはり、3D立体視に対応している点が最も注目される部分だと思います。3D立体視への対応は開発のスタート時点から盛り込まれていたものでしょうか。

Hulst氏: その通りです。最初から挑戦していくことを開発のスタートから決めていました。3D立体視が今後大きなムーブメントになることはわかっていたので、「KILLZONE3」のリリース時期は良いタイミングだと思っています。臨場感の溢れる表現方法としてとても効果的だと考えています。「KILLZONE3」はもともと3Dグラフィックスで作っていますが、3D立体視への対応はレンダリングの処理で3D立体視への効果をもたらしています。

編: 今回見せていただいたバージョンだと、通常のモニター出力に比べ3D立体視をさせる場合解像度が半分になり、フレームレートも落ちてしまっています。また、ダメージ表現などはこれからとのことですが、今後、どのように改良していくのでしょうか。

Hulst氏: 今後改良していく予定ですが、フレームレートは安定させていきます。また、ダメージ表現や文字の表示など、3D立体視の場合、通常の出力のグラフィックスと比べて演出的にうまくいかないところは今回は省略し、よりよい表現方法を検討しています。3D立体視に向けて、新しい表現を考えていきたいと思います。

 解像度に関しては、技術的にも異なるものなので通常のモニターと並べて比較する、ということはなく、3D立体視の場合は、3D立体視ならではのゲームプレイ、表現を追求したいと思っています。

編: 次にゲームの質問に移らせていただきます。今回見せていただいた、ステージ4は「KILLZONE2」の1ステージの10倍ということですが、シングルプレイのプレイ時間も10倍といったものすごく大きなボリュームになるのでしょうか。

Hulst氏: 大きなスケールというのは、ステージの表現範囲であり、それがそのままプレイ時間の拡大にはなりません。ジェットパックで広くなった視界に併せたスケール感や、イントルーダーに乗って進んでいく場所など新しい要素により、地上戦がほとんどだった「KILLZONE2」より広大な範囲のフィールドを表現しています。

編: 近接戦闘はデモムービーでは様々な技を繰り出していました。ゲーム内では接近してL1を押すだけというシンプルな操作ですが、技を繰り出すためのコマンドなど用意していくのでしょうか。

Hulst氏: 「KILLZONE3」での近接攻撃は敵と自分の状況、そして周りの状況で変化していきます。例えば、手すりの近くに敵がいれば、蹴りつけて突き落とすことができます。自分が持っている武器で、銃床で殴ったり、ナイフで刺したりします。

 まだ開発段階で判定が甘かったりパターンが少ないですが、現在でもよろけさせてから銃弾をたたき込んだり、近接で確実にナイフを突き刺したければ、直前にナイフに持ちかえることで実行できます。製品版ではプレーヤーがルールを把握した上で効率よい攻撃を模索できると思います。

編: 最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします。

Hulst氏: 「KILLZONE3」は「KILLZONE2」の完全な続編です。ユーザーの予想を裏切る要素、サプライズもたくさん用意しています。楽しめる作品になりますので、期待してください。


赤いセンサーに、ガスマスク、全身を装甲に覆ったヘルガスト兵はある意味本シリーズの「真の主役」ともいえる。様々な攻撃でプレーヤーを追いつめ、そして無惨に倒されていく。彼らに対するスタッフの思い入れは強く、ヘルガスト兵の動き、多彩な装備、戦術、投入される新兵器など様々なところで感じられる。彼らが手強く、魅力的な存在だからこそ、戦うのが楽しく、「KILLZONE」シリーズは高い評価を得ているのだろう。「KILLZONE3」では、“雪原戦闘装備”や、“ジェットパック兵”など新しい装備をまとった兵士が登場する。コンセプトアートでは、身体の線がわかるような、これまでとは違った装備も紹介されており、どんなヘルガスト兵が出てくるか、注目したいところだ

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