インタビュー
「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー吉田直樹氏インタビュー(後編)
実機によるβテスト新エリアデモンストレーション
(2013/2/23 00:00)
実機によるβテスト新エリアデモンストレーション
(リムサ・ロミンサでデモスタート)
吉田氏:ここはリムサ・ロミンサですね。
――おお、まぶしいぐらいに明るい! このリムサ・ロミンサが入るのは?
吉田氏:フェーズ3からですね。フェーズ1と2は、先ほどいったダンジョンが2つ追加される以外、基本はグリダニアだけになります。F.A.T.E.を遊んで頂ければと。
――地形はまったく新しくなってますね。
吉田氏:何一つ使いまわしているものはないです。
――これは朝という感じですが、1日は実時間で何時間になっているのですか?
吉田氏:72分です。中途半端にしているんです。要は、生活サイクルの中で決まった時間にログインすると、毎日同じ時間帯になってしまうので、毎日時間帯が変わるようにずらしてあるんです。
ここがリムサ・ロミンサの軍艦を作っている街と言う設定ですね。
――この軍艦はムービングオブジェクトなんですか?
吉田氏:これは動かないです。あくまでも建造中という設定です。ただ、設定だけじゃなくてちゃんと世界を作り込んでいるのが、見て貰えるかなと。
ちなみに落下ダメージでは死にませんが、バトル中だと死ぬようになってます。バトル中に、落下を逃げに使われるとバランスがおかしくなるので。
――抜刀中に落ちると死んでしまう?
吉田氏:抜刀かどうかは関係ないです。今回のバトルシステムは抜刀でコンバットモードを見ているわけじゃないので。モンスターのヘイトリストに名前が載っているかどうかです。
――この2匹のモンスターが光の線みたいなもので繋がったように見えますが、これはなんですか?
吉田氏:新しく入りました。リンクですね。このモンスターを釣ったらこいつもくるよということを意味しています。
――お互いが離れていても必ずリンクする?
吉田氏:そうです。プルしてみないとリンクするかどうかわからないのを止めたくて。フェアじゃないので。もちろん、表示が煩くて気になるならオプションで線を消すこともできます。
――このラインを表示させておけば、釣ってみたらワーッといっぱい来たと言うのが避けられるわけですね。
吉田氏:はい。それで初めて触った人がそれに巻き込まれて死んでしまったり、周りに迷惑かけたらストレスになっちゃうので。慣れてきたら消してもいいし、逆に戦略上の参考にして貰ってもいい。ただ、いずれにしてもインフォメーションが出てないことは避けたいし、出すシステムがないなら作っておくべきだと言って作らせました。
もう1つ、β版からは、バトルでは誰にヘイトが飛んでいるのかもラインでわかるようになりました。あとケアルも誰からケアルが来ているのかラインで見えるようになるので、ちょうど「FFXII」の表示スタイルを進化させて使っています。
――敵の索敵範囲は見えないんですね。
吉田氏:さすがに、それを見せたらもうゲームじゃなくなっちゃうと思うので(笑)。ゲームデザインってその線引きだと思っていて、ターゲットしたらどの範囲の敵まで襲ってくるかはわかる。でも、どこまで近づくかはあなた次第という。そこは冒険にならなくなる一線がやっぱりあるので。時代や世代によっても、この線引きは変わりますしね。
――索敵範囲はモンスターごとに設定されているんですか?
吉田氏:そうですね。視覚のもいれば、聴覚のもいるので、視覚のやつは後ろを通り抜ければ襲われないですし、聴覚のやつは歩けば気づかれないです。
(ウルダハに移動)
吉田氏:ここが新設されたグランドカンパニー事務局ですね。この辺の月明かりの白でもなく、黒でもなくという感じが今回のライティングシステムの特徴です。夜っぽいけど見えにくくはないじゃないですか。下手すると白けた絵になっちゃうし、かといって黒を強くすると今後はゲームしづらくてしょうがないので。
――今でも橋本(善久氏、「FFXIV」テクニカルディレクター)さんとやり取りをして、逐次チューンナップしてもらっているんですか?
吉田氏:そうです。今朝もやりましたよ。
――「FFXIV」専用のゲームエンジンに関して、完成度はいまどのくらいなんですか?
吉田氏:描画はまだ最適化をガリガリやっているので
――まだやってるんですか? でもPC版に関しては質的にもパフォーマンス的にもかなりこなれてきている感じですが。
吉田氏:上を。上をです。やっぱりハイエンドPCを持っている方々がもっと行けるだろうと言っているので、今回それこそ本当にフルオプションなわけですから、全部切ってやれば下限は動くんだから、もっときつい処理を入れてくれと言う声が多いので、例えば被写界深度を入れたり、いろんなことにチャレンジしています。
――このウルダハのフィールドに線路が引かれていますが列車が走るんですか?
吉田氏:それよく聞かれるんですけど、常に走ったりするわけではないです。
――これはβテストで実装されるフィールドと同じ内容を見ているんですか?
吉田氏:そうです。このウルダハはβテストフェーズ3で実装されるので、まだ先になりますね。
――それにしても起伏も含めて、ホントに原形を留めないほどにフィールドデザインが変わりましたね。
吉田氏:起伏に関しては意図があるんです。例えば、ザナラーンのフェスカ冒険者キャンプですが、特定の地点から見ると、麓にあるキャンプの中は見えないようになっているんです。でも、「頭上に広がるあの不思議なオブジェクトなんだろう?」って丘を越えると、ああキャンプだったんだって気づくようになっています。これは本当に荒いポリゴンのモックアップの時から、どこに立ったら何が見えると言う部分までこだわって作ってきました。
やっぱり、ただ単に荒野が広がっているより、そのほうが冒険している気持ちになれると思うんです。オアシス的な場所で水がまだあって、橋が掛かっていて、この地点でまたここで一回見えなくなるんです。先にいくとキャンプが見えてきます。次に、左上に岩の上に何かあるなと。で、近づいていくと、今度は下に何か見える。「ああ、ここは酒場なんだ」とわかるわけですね。
――なるほど、なるほど。その発想はおもしろいですね。視界に入る構成要素をしっかり考えてフィールドをデザインするなんて、まるで映画監督のようですね。
吉田氏:でも本来それは、ゲームを作る上で当たり前の事なんです。例えば、この三叉路では、こっちはウルダハが必ず見えるように作ってあるので。ウルダハが見えるからいいんですが、こっちからだとウルダハが見えないじゃないですか。だから迷わないように必ず看板を立てて、看板があったら何かあるんだなとわかるようにしています。あとは、ここに立つと必ずハレーションするとか。
――今、吉田さんゲームパッドを使ってプレイしてますが、かなり手慣れてる感じですね。
吉田氏:僕は両方やってます。皆川がパッドオンリーにしてやってくれているので。僕はまずグローバルを考えて、マウス&キーボードでどうなっているのかを見たうえで、さらにゲームパッドでもプレイしています。
――今新しいマウント(乗り物)は何か見ることができますか?
吉田氏:マウントは、今はチョコボだけですね。ただ、僕はさっき、宣伝素材用の“あいつ”の完成したモデルを見ました。チョコボにくっつくパーツですが、かっこよかったです(笑)。
――今回フリーカンパニーのイラストにもいろんなチョコボの装備が描かれていますが、これ全部実装されるんですか?
吉田氏:はい。本当に莫大にあるんですよ。ここまでやらなくてもいいだろうと、ちょっと言われてます(笑)。
――今回見せて頂いた新エリアは、フェーズ3から一気にドバッと入れる?
吉田氏:フェーズ3から2都市を加えます。僕は総なめしましたけど、全部やろうと思ったら、それだけで80時間くらいかかります。クラスも多いですし、製作だって採集だってレベル35までなので。
――フェーズ3からはこのウルダハやリムサ・ロミンサでもゲームを開始することができるわけですか?
吉田氏:もちろんです。3都市、クラスが縛られているので、剣術で始めた人はウルダハからスタートします。各ギルドがその都市に紐づいているので3都市のいずれかを選ぶか、もしくはやりたいクラスを選べば必然的にどの都市から始まるかが決まります。
――これまでのように3都市に個別にストーリーが用意されているわけですね。
吉田氏:そうです。最終的には合流することになります。