キュー、WIN/PS3「AngelLoveOnline」アップデート実施
ボスモンスターのボイスなどを吹き込んだ小原乃梨子さんにインタビュー


6月25日 アップデート実施予定


 キューエンタテインメント株式会社は6月25日、Windows/プレイステーション 3用MMORPG「AngelLoveOnline(ALO)」のNPCボイス追加アップデートを実施する。

 今回のアップデートでは、既存のボスモンスターに新たなボイスが追加される。この中で、ボスモンスター「リウェイタン」には新しい設定が加わり、ボイスが追加されるとともに、大きな変化を遂げてメインストーリー「忘却の都」クエストの最終ボスとして登場することになった。

 「ALO」はキャラクターボイスに豪華声優を起用しており、これまでにも「ONE PIECE」のモンキー・D・ルフィなどを演じる田中真弓さんや、「ドラえもん」のジャイアンを演じていたたてかべ和也さんなどが参加している。そして今回の「リウェイタン」を演じるのは、「ドラえもん」の野比のび太役として、たてかべさんとも長年共演した小原乃梨子さんだ。

 小原さんは、ボスモンスターの「リウェイタン」と、少年の姿に化けている状態の「リウェイタン」の1人2役をこなし、さらに新プロモーションムービーのナレーションも担当した。タイトルコールにこだわり何度もリテイクしたり、プロモーションムービーで天使のイメージを表現したソフトな声を聞かせたりと、色々な形で熱演していた。そのボイス収録後、小原さんに今回の役などについてインタビューした。




■ 女王気質の「リウェイタン」はコケティッシュな美女をイメージ

小原乃梨子さん
小原さんが演じたボスモンスター「リウェイタン」

――オンラインゲームの声優を担当するのは初めてですか?

小原乃梨子さん: オンラインゲームとしてはそれほどやっていないかもしれませんが、ゲームのお仕事はたくさんやっています。あまりオンラインゲームについては詳しくないのですが、双方向でプレイできるのは凄いことですよね。

――今回はボスモンスターの「リウェイタン」と、少年の姿をした「リウェイタン」の1人2役を演じられましたね。

小原さん: 過去に「超電磁マシーン ボルテスV」というアニメで、お姫様みたいな役と男の子を演じたことがあるんです。1つの画面内で2役演じることもありました。その他にもやったことがありますし、割と多いですね。

――「リウェイタン」の印象はどうでしたか?

小原さん: 実はキャラクターの顔をイメージしないで収録したんですよ。モンスターなので表情がわかりにくくて。でも意識的には美女のつもりでやっています。これだけに限らず、女性キャラクターの場合はいつも美女のつもりですよ(笑)。設定には嫉妬を司る大悪魔と書かれていましたが、色っぽいモンスターがいてもいいですよね。

――年齢不詳のキャラクターですが、どれぐらいの年齢をイメージして収録されましたか?

小原さん: ドロンジョ様(小原さんが演じている「ヤッターマン」の登場キャラクター)が24歳なので、永遠の24歳ということをイメージしました。今回の収録もそうですが、どうして私は女王様が多いんでしょうね。まあ女王役はおまかせください(笑)。

――少年の姿をした「リウェイタン」はどうでしたか?

小原さん: 10歳くらいのイメージにしました。のび太君も未来少年コナン君もだいたい10歳ぐらいで、10歳の幅も広いですよね。のび太君は最初4年生から始まって5年生になったのかな。少し難しいことを喋りますから、そういう感じも意識しました。

――セリフの内容はどうでしたか?

小原さん: 「わー」とか「ギャー」という短いセリフが多かったですね。設定は聞かされていましたので、全体的なイメージでキャラクターの設定を考えました。今回のセリフの中に、私が作り出した「スカタン」と「アンポンタン」を組み合わせた「スカポンタン!」という言葉があったのですが、それは「タイムボカン」シリーズの中のキャラクターのセリフなので、そのイメージを持ち込まないように、ポンとスカを入れ替えたようなオリジナルのセリフに変更させていただきました。「スカポンタン!」は始めはアドリブだったのですが、すぐに定着しましたね。

――プロモーションムービーも収録されましたが、声色は使い分けましたか?

小原さん: 役者の場合は、声色というものはないんですよ。声色というのは、モノマネの方が使われるもので、強いて言えば音色(おんしょく)になりますね。声色は変えずに役者としてキャラクターを作り、音色を変えてプロモーションムービーに臨みました。

――小原さん自身はゲームをされるのですか?

小原さん:アニメの「ドラえもん」の仕事が始まった頃が、ちょうどインベーダーゲームの時代でした。大山のぶ代さんはそれが好きで、隣の喫茶店なんかでよくやっていましたね。スタジオに大山さんが居ないときは、隣の喫茶店に行けば見つかるという感じでした(笑)。

 私自身はゲームをほとんどやりませんが、プレイステーションを買った頃に遊びましたね。私が参加しているゲームも山のようにあるので、それを遊んだりもしました。割と若い人のやっていることが好きで、パラパラが流行った頃も踊ったことがありますよ。それでゲームもやってみようかなとも思っています。ただ、結構はまってしまう性格なので、1度やり始めると止まらなくなると思います。

――パラパラも踊られたことがあるのですか。

小原さん: 子供の頃から踊りが好きで、ウィーンでウィンナーワルツを踊ったりしていますね。

――そういうこともお仕事に活かされたりしているのですか?

小原さん: 生き生きとした動きやダンサブルな精神は声優としても必要だと思っています。何だっていいんです。ラップでもヒップホップでもなんでも声優に活かせると思いますよ。

――ボイストレーニングなどもされているのですか?

小原さん:ボイストレーニングもしていますし、声優さん達やカルチャースクールなどでもたくさんの方に教えています。シェークスピアの朗読なども色々と教えている中で、発声も教えています。

――今回の収録や朗読などによる発声の違いはありますか?

小原さん: 基本は同じです。ただマイクの前の発声と、観客が大勢いる劇場での発声は違います。とても小さいのに通る声というのは基礎が大切で、基本は全く同じですね。

――今回の収録に関して、気をつけたことはありますか?

小原さん: 原則として、なるべく風邪をひかないようにしています。周りの人に失礼ですし、風邪をひいたら声が変わってしまいますから。だけど風邪をひいたからといって仕事に行かないわけにはいきませんし、肩身が狭くなるので「早くスタジオを出ないと!」と思ってしまいます。

 具体的にはうがいをしたり、仕事でホテルに泊まる場合には必ず加湿器を用意してもらっています。オペラ歌手の方と同じように気をつけていると思っていただけるといいと思います。私達にとって喉は楽器ですから、よく鳴る楽器を維持するためにはどんな努力も怠りません。

 楽器の手入れも重要ですが、発声も重要だと思っています。間違って発声をしてしまうと、いくら楽器がよくても無駄になってしまいますから、発声だけはかなり気をつけています。

――ちなみに小原さんはアニメを見られますか?

小原さん: 私が教えている生徒さん達がプロの声優になり始めてから、若い人が見るアニメも見るようになりました。国産のアニメーションが出てきた頃をアトム元年と呼んでいるのですが、それまでは私が吹き替えをした海外のアニメなどを見ることが多かったですね。ちなみに「チキチキマシン猛レース」のミルクちゃんは私が演じていたんですよ。尊敬してください(笑)。

――今後演じてみたいキャラクターはありますか?

小原さん:全てのキャラクターを演じ尽くしたとは思っていませんから、目標はあります。アニメの「サザエさん」でカツオ君を演じていた高橋和枝さんは、NHK放送劇団のご出身で、彼女こそ声優としての先輩だと思っています。それで高橋さんを目標として続けてきました。

 最近は男の子を演じる女性も多くなってきましたが、声を聞いている方や私自身が違和感を覚えないうちは、できる限り男の子を演じていきたいと思っています。その上で女性であることとか、誰が演じていることは関係なく、役として成立するようにしていきたいですね。私は昔よりも今のほうが声のキーも上がっていて、楽に声を出せるようになりましたので、訓練さえ続けていればもう少しいける気がします。

――教える側に専念はしないのですね。 

小原さん: 私の場合はそれはないと思います。やりたいと言っても、相手からの要求があって初めて成立する仕事ですから、向こうがお呼びにならなければ続けられませんけどね(笑)。今は朗読のイベントで全国の子供達に童話を聞かせていますので、求められているうちはいつも豊かな声をしていなければいけないと思っています。

 それと私の仕事を見たり聞いたりしながら育ってきた人達に、今の思いを伝えながら楽しんでもらって、私自身も楽しさを感じていきたいですね。アニメは再放送が何度も何度もありますので、1つの作品を通して、世代が違う方達と関わりあえることは素晴らしいことだと思います。声優は幸せな仕事だと思っています。

――最後にユーザーさんに向けて、一言お願いします。

小原さん: 私もできればゲームデビューしたいと思います。そのときは、私と一緒に遊びましょう!

(C)2006-2009 UserJoy Technology Co., Ltd.
(C)2006-2009 Q Entertainment Inc.

(2009年 6月 25日)

[Reported by 日高文典]