'77年の映画公開でいきなり絶大な人気を獲得、全世界のSFファンを魅了した「スター・ウォーズ」。宇宙船を駆り、右手にはライトセーバー、左手には美女、悪の帝国を相手に、銀河を舞台にした大冒険を繰り広げる、という典型的なスペースオペラともいえる形ではじまった「スター・ウォーズ」は、今や多くのスタッフ、多くのファンの力で、確固たる“世界と歴史”を形成した。 各惑星の気候、文化、宇宙人の生態系、政治、勢力、植物分布……百科事典が作られるほど詳細で「リアル」な設定。「スター・ウォーズ」は映画を作るジョージ・ルーカス氏の発想を大原則にしながらも、ファンがその世界での生活を夢見るほどにイマジネーションあふれるものとなった。この世界をテーマにしたMMORPG「スター・ウォーズ ギャラクシーズ」が制作されるという流れは、いわば必然といえるだろう。 「スター・ウォーズ ギャラクシーズ」の北米でのサービス開始から1年、ついに本作を日本語版で楽しめるようになった。今回は、正式サービスに先がけて、11月17日から行なわれているβサービスの体験レポートをお送りしたい。
■ 充実した内容の日本語版。待ち望まれる正式サービス
「スター・ウォーズ ギャラクシーズ」のプレーヤーキャラクタは人間の他、非常に多彩な異星人が選べる。チューバッカのウーキー族、「罠だ!」のセリフでおなじみのアクバー提督のモン・カラマリ、ジャバ宮殿のセクシーな踊り子が属していた種族トゥイレック……。他のMMORPG以上に多彩で、ちょっぴり“醜悪”な異星人達。彼らになりきってプレイすることができる。 原作では同じ種族でありながら個性がきちんとある表現がなされていたが、本作でも同様だ。顔の輪郭や体型をモーフィングで変えたり、眼の色を変化させることで自分だけのキャラクタを作ることができる。太ったキャラクタや、のっぽのキャラクタなど、高い自由度をもったキャラクタを作ることができる、こだわる価値は充分にある。 チュートリアルで学んだ後は、いよいよ広い世界に歩むことになる。筆者が少し調べたところ、最初の惑星はタトゥイーンやナブーがいいようだ。実際、惑星上にクリーチャーの数が多く、かつ弱い敵が街の外に多かった。初心者にもバランス的にちょうど良いだろう。本作はプレイを始めると、その情報量に驚かされることになる。
その時に役立ってくれるのが、欧米版をプレイした方々の情報である。ネットで調べるだけで様々な情報が入手できるが、それもまた目移りするほど多彩だ。より理想的な「スター・ウォーズ人生」を歩むためには、充分な前知識よりも、ちょっとした失敗はいとわない気持ちが一番大事だと感じた。
■ スキルを得ていくことで深まっていくキャラクタ性
本作はスキルベースのシステムを採用している。「エバークエスト」のようなレベル制ではなく、「ウルティマオンライン」のようにさまざまなスキルから自分の好みのスキルを成長させていき、思い描いたキャラクタにカスタマイズしていくのだ。
ブローラーは接近戦のテクニックを学ぶスキル。素手から片手剣、両手剣、さらにポールアームと種類がある。マークスマンは銃を使うスキル。ピストル、ライフル、カービン銃を使いこなすことができる。銃の攻撃はストームトルーパーやハン・ソロ達の攻撃を思わせるおなじみの発射音が鳴り響き雰囲気を盛り上げるし、接近戦は習熟すればエピソードIに登場したダース・モールばりの華麗な体術で戦える。銃は遠距離から攻撃できるが接近戦はイマイチ。パーティープレイでは格闘戦に長けたプレーヤーが攻撃を引き受け、まわりから銃で狙う、という戦い方が効率的なようだ。 アーティザンは生産系のスキル。本作では武器、鎧、食料、さらに乗り物まで、すべてプレーヤーの手で作り出すことができる。宇宙船の設計すら可能になるのだ。本作では道具を売っているNPCが存在しないため、より強い武器や効率のいいアイテムなど、プレーヤーからしか入手できない。アーティザンのスキルを持つ者が作り出すアイテムがこの世界を支えることになるのだ。本作の社会において最も重要な職業といえるだろう。 メディックはその名の通り医療系の技能。エンターティナーはジャバの宮殿で大活躍していた踊り子達の技能である。どちらも治療系のスキルになっていて、メディックは肉体の傷を技能と薬で癒し、エンターティナーは歌と踊り、さらに音楽の演奏でキャラクタの精神を癒してくれる。キャラクタは死んでしまったとき、クローン施設で復活することになるのだが、その時通常の治療では回復できない「ウーンズ(傷)」を負ってしまう事がある。 それらの傷はメディックかエンターティナーしか治療できない。酒場にはいつもエンターテイナーが踊り、歌い、演奏をし、派手なパフォーマンスをしている。彼ら自身はそうやってスキルを磨いているのだが、それを見ることで、傷を負ったプレーヤーはめきめきと回復していく。本作ならではのユニークな回復であり、プレーヤー間のコミュニケーションである。治療してもらったお礼にチップを渡すのは忘れないようにしたい。 スカウトは他のゲームのレンジャー的要素といえるだろう。動物から肉や皮を採取し、それを使ってトラップやテントなどのアイテムを作り出す。野外で治療系スキルを使うには、テントが必要になる。遠出をしたときにパーティーの中にこの技能を持つキャラクタがいれば非常に心強いだろう。また上級職のひとつ「バウンティーハンター」になるためには必要な技能である。ボバ・フェットに憧れるプレーヤーなら、是非とも極めたいスキルだ。 初期のスキルはこの6系統に分類されるのだが、ひとつをとったからといって他が取れなくなるわけではない。全部の初期技能をとっておくこともできるのだ。特に駆け出しの冒険者は、さまざまな技能を使っていき、今後の自分のスタイルを確立していけばいいだろう。各技能を伸ばす効率のいい方法は街にある「ミッションターミナル」から仕事を引き受ければいい。技能を伸ばすだけではなく、報酬も得られて一石二鳥だ。 経験さえ積めば次のスキルを入手できるようになるのだが、その際、他のプレーヤーから教えてもらうことが可能だ。本作ではスキルを教えた方に特別な経験値が入るシステムがあり、技能を極めるにはその経験値が必須となる。メディックやエンターティナーでもそうだが、プレーヤー同士が関係をすることで得をするシステムが随所に盛り込まれている。 さらに、チャットのチャンネルには、初心者を教え導きたいプレーヤーが常駐するものまで用意されている。本作はミッションを黙々とこなし小金を稼いだり、各惑星を巡ったりと、シングルプレイが楽しい要素も多いが、プレーヤー間で協力するための工夫も随所に仕掛けられている作品である。
■ 映画内の世界を歩き回れる楽しさ
ゲームでは10もの惑星が登場する。各惑星には独特の野生動物が闊歩し、独自の生活がある。惑星間の移動には宇宙船の定期便を使う。チケットターミナルでチケットを購入、5分に一度出発している定期便に乗り込んで、さまざまな惑星に移動できる。都市の少ない辺境の惑星の場合、料金が跳ね上がるようだ。 惑星上は主に徒歩での移動になるのだが、街すら広大で、そこからさらに荒野に出ていくとなると膨大な時間がかかる。3Dグラフィックで描かれた大地は起伏に富んでおり、高い山などは登るのも一苦労だ。地上の移動を助ける要素として「スピーダーバイク」などの乗り物が用意されている。今回の場合キャラクタ作成ターミナルで得ることができ、徒歩に比べはるかに楽に移動ができる。 仲間数人とバイクにまたがり、荒野を疾走する感覚は独特の興奮を体験できる。非常に楽しいのだが、心配なのが正式サービス時、この乗り物がいくらかかるかだ。修理費も以外に高い。一度乗り物の快適さを覚えてしまうと、もう徒歩での移動には戻れない。それほど高くない値段を期待したい。 移動には、「データパッド」の活用が必須となる。移動場所を指定して、ウェイポイントを設定することでプレーヤーは迷うことなく目的地に到達できる。ウェイポイントがアクティブになると大きな光の柱が天空にのびる。ちょっと大げさで初めて見るとびっくりするだろう。データパッドの操作はミッションにも大活躍する本作の基本ともいえる機能だ。また「/find 目的地」と入力すると道筋をそのまま指し示してくれる。街での移動にとても有効なコマンドだ。 データパッドにはあらかじめ「名所」が入力してあるのも、本作の「観光」に非常に有効だ。ジャバの宮殿やグンガンと帝国軍の戦場など、映画での名所も入力されており、訪れることを容易にしている。映画に出てきた場所が、ゲームではどう表現されているのか? さまざまな惑星を訪れて、確認したいと思った。 映画に登場する人物とは、筆者がプレイした時間では会うことができなかった。ジャバ・ザ・ハットすら長いクエストをこなさなければダメなようで、ジャバの宮殿の入り口しか入れなかった。本作にはダースベイダーやルーク、ハン・ソロといったキャラクタ達とも出会えるという。どういった場所で出会うことができるのか、楽しみである。 筆者はパーティーを募集していた方と、タスケン・レイダーたちがたむろしている場所で戦ってみた。一緒に戦ってくれた仲間は筆者よりもずっとこの作品に詳しく、筆者は後ろからおっかなびっくり銃を撃っているだけだったが、非常に楽しい体験だった。仲間が敵の攻撃を引き受けている間、後ろから援護射撃をする。アクション性が少ない戦闘だが、移動の仕方によっては敵の死角を狙ったり、建物の上から、敵が近づけない事を利用して狙撃したりと、工夫をすることで非常に有利に戦うことができた。仲間と戦う感触は、シングルプレイと明らかに違う楽しさと、戦略性があることを感じさせられた。
■宇宙空間で愛機を駆る「Jump to Lightspeed」
自分だけの宇宙船を入手するにはそれぞれの勢力のパイロットトレーナーに話しかける必要がある。どちらに所属するかは大事な選択となるので、慎重に決断したい。筆者はタトゥイーンで帝国軍パイロットとしての道を歩んでみた。最初に与えられる機体はTIE ファイターだが、ブースターも積まれていない最も簡素なバージョンだ。 最初に体験できるミッションは宇宙にいる敵軍退治か、輸送船の護衛。どちらも簡単なミッションで突然現れる敵とただひたすら撃ち合うこととなる。敵を倒すことで、経験値が上がりスキルが手にはいる。護衛ミッションでは初期からXウイングやYウイングも敵と登場し、ガンガン倒す爽快感を体験できる。 ミッションを続けることで、地位が上がり、新型機体が支給されるとのことだが、その道のりは結構厳しいようだ。今後、機体のアップグレードや、調整、さらに光子魚雷といった副武装も装備することが可能になるという。初期機体ではジャンプドライブも装備されていないため、タトゥイーン上空しか飛ぶことができない。早く強い機体を得て惑星感を飛び回り戦いたい、と切実に思ってしまった。正式サービス後には本腰を入れて取り組んでいきたいと思っている。 ミッションは数回こなすと難易度が跳ね上がる。多くの敵を鈍重な初期機体でさばくには他のパイロット達と協力してミッションを進める必要がありそうだ。宇宙船の中にはガンナーとパイロットに分かれて戦う機体もあるとのこと。役割を分担して戦う感覚などは今までの戦闘と少し違った感触をもたらしてくれるだろう。反乱軍にはあまり大きな船があるという印象はないのだが、大型船を襲うというミッションもあるのだろうか? JTLを楽しむには、やはりジョイスティックの使用が望ましい。直感的に機体を操れるし、何よりも臨場感が違う。最近は入手が難しいデバイスだが、できることならスロットルがあり、ラダー機能をフォローしているものが良いと思う。ゲームデバイスとして少し割高感もあるが、パイロット気分を満喫するためには必須とも言えるアイテムだ。 筆者はまだ対人戦は行なっていないが、機体の性能差が大きい場合は腕によるカバーが難しいという話も聞いた。操縦を楽しめる作品ではプレーヤーの腕の差が如実に出てしまい、下手なプレーヤーはただのカモになってしまう可能性も高いが、本作ではやりこむことでこの差を埋めることもできるようだ。また、ジョイスティックがないプレーヤーでも、ガンナーとしては充分活躍できる。本作はMMORPGなだけに、通常のスペースコンバットシミュレーションとは違う、新しい遊びの可能性があると思っている。今後プレーヤー間でどういった展開を見せるかは、非常に興味のあるところだ。 12月14日にキャラクタのワイプが報告されている現状、プレーヤー間での取引や、ギルドの形成など、本作の「世界」が動き出すのはもう少し先だといえる。勢力や人の動きも含めて、プレーヤー達が本作でどういった社会を形成していくのかは非常に興味がある。本作の本当の“感触”をお伝えできるのはこれからというところだろう。
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□エレクトロニック・アーツのホームページ
(2004年12月8日)
[Reported by 勝田哲也]
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