未だかつて、これだけの期待を集めたMMORPGがあっただろうか。「EverQuest」の開発・運営で知られるSony Online Entertainmentによる本作は、「スター・ウォーズ」という大ヒット映画の人気にあやかって作られた粗悪なゲームではない。本物のSF映画と本物のMMORPGクリエイターが、文字どおり心血を注いで作られたゲームである。今回はベータテストでのプレイ経験を元に、正式サービスが始まったばかりの「Star Wars Galaxies: Empire Divided(以下SWG)」の導入部分を中心にご紹介していこう。
■ 人気SF映画「スター・ウォーズ」がMMORPGに!! SWGのゲーム世界「スター・ウォーズ・ユニバース」は、'77年に劇場公開されたジョージ・ルーカス監督の「スター・ウォーズ エピソードIV:新たなる希望」から始まる人気SF映画シリーズを背景としている。 映画は、エピソードIV、V、VI(4、5、6)の順番で公開が続き(これを旧トリロジーと呼ぶ)、しばらく間を空けた後、「エピソードI:ファントムメナス」、昨年公開された「エピソードII:クローンの攻撃」と新トリロジーのシリーズが始まっている。様々なエイリアンやドロイド(ロボット)が登場し、特撮やCG合成などが駆使された娯楽作として年齢を問わずに人気がある。 あらすじとして、元老院議会による共和制によって統治されていた銀河系は、シス卿を中心とする帝国の支配を許してしまう。シス卿とは、選ばれた才能のある者だけが訓練によって使いこなすことができる能力「フォース」を持つ者だ。ダークサイドのフォースを扱うシス卿に対し、ライトサイドのフォースの使い手はジェダイと呼ばれる。 帝国の支配が強くなってくるに従って、ジェダイ達は全滅に近いほどの衰退となった。時は流れ、帝国の圧制に苦しむ民衆を救うため反乱同盟軍が誕生し、生き残った数少ないジェダイの活躍を得る。「スター・ウォーズ」は、恐怖支配をもくろむ帝国軍と共和制を取り戻そうとする反乱同盟軍による宇宙戦争の物語なのである。 SWGは、このスター・ウォーズのエピソードVとVIの中間の時代をベースにしている。ということは、皇帝やダース・ベイダー卿は健在で、未だに帝国支配は圧倒的ではあるものの、ルーク・スカイウォーカーやレイア姫の活動により、反乱同盟軍も力を蓄えつつある状況である。いきなり登場人物名がでてきて申し訳ないが、こればかりはDVDやビデオで映画を観て、知識を得てもらうしかない。
■ キャラクタ作成だけでも十分に楽しめる さて、MMORPGでのゲームを始めるためには、まずはプレーヤーの分身たるキャラクタを作成しなければならない。SWGも例外ではない。まずは、プレイするサーバーを選択するのだが、基本的にSWGではサーバーごとに1体のキャラクタしか作成できないことに注意しよう。 原稿執筆時点(6月末)では、アメリカ西海岸にAhazi、Bria、Corbanits、Flurryの4サーバー、アメリカ東海岸にBloodfin、Chilastra、Eclipse、Gorath、Kauri、Lawca、Radiant、Starsiderの8サーバーが稼働している。東海岸のサーバー数が多い理由は、ヨーロッパからのアクセスに対応するためらしい。 日本からであれば、西海岸の4サーバーのいずれかを選択することになるだろう。アジア圏のネットワークゲーマー数は少なくないはずで、これを考慮していないのは不満となる。アジア圏のプレーヤーに向けて、何らかの対策があるものと前向きに考えたい。 サーバーを選択した後は、キャラクタ種族を設定する段階となる。Human、Bothan、Mon Calamari、Rodian、Trandoshan、Twi'lek、Wookie、Zabrakの8種類から選択する。各種族には、種族ごとの特別なスキルボーナスや特技がある。後々にどんなキャラクタに成長させるつもりなのかをハッキリ決めておかないと、この種族選択の重要度が理解しにくいかもしれない。性別も同時に指定する。 種族を決定した後は、細かな容姿を「調整」できる。身長や体の太さ、鼻の高さ、幅、目の垂れ方、眉毛の色、そばかすの数……、種族によっても異なるが、異常なほど細部に至るまでキャラクタの身体的特徴を設定できる。しかも大・中・小のような大まかな設定ではなく、スライドバーによる文字通りの「調整」である。このカスタマイズは、ゲームプレイには一切影響のない部分だが、こだわりのあるプレーヤーなら何時間でも悩めるだけのボリュームとなっている。 さらに初期の職業の設定がある。初期職業には、Artisan(生産者)、Brawler(近接戦闘兵)、Marksman(射撃兵)、Entertainer(芸能家)、Medic(衛生兵)、Scout(偵察者)の6職業がある。キャラクタ作成時には、このうちひとつだけを選択できる。 この選択は、ゲーム開始時に所持する初期アイテムに影響するため、それなりの作戦を考えておいた方がよい。なぜなら、SWGにはアイテムを取引してくれるNPCベンダーが存在しないからだ。全てのアイテムは、プレーヤーキャラクタが生産するか、倒した敵からの戦利品としてしか得られない。冒険や生産に必要な道具やアイテムがなければ、最初のステップで躓いてしまう。 しかもサーバーには1体しかキャラクタを作成できないのだから、別の生産スキルを持ったキャラクタと併用することは、単一のアカウントでは不可能だ。仲間同士で協力するとか、通りがかりのプレーヤーに依頼するというのも手だが、ある程度ゲームプレイが軌道に乗るまでは、自らも基本的な道具類を生産できたほうがいい。つまりゲームプレイ序盤でのArtisanの存在価値はきわめて大きいということだ。 職業の選択が終了すれば、いよいよゲームの舞台であるスター・ウォーズ・ユニバースにキャラクタは誕生する。このときチュートリアルを受けるかどうかを指定できるようになっている(デフォルトではチュートリアル有り)。3D表示によるゲームに不慣れな人でなくとも、SWGのインターフェイスは他の3DMMORPGと異なる部分が多いため、一度はチュートリアルを受けておいた方がいい。初心者だと1時間弱は、チュートリアルだけで遊べる。
チュートリアルの最後に、出身都市を選択する装置をゲーム内で操作する。まず惑星を選択し、その惑星の都市を選択する形だ。友達と一緒に協力してプレイするつもりなら、サーバーだけでなく「どの惑星の都市で遊ぶか」まで決めておいた方がいいだろう。都市間、惑星間はシャトルで移動することになるが(惑星上なら徒歩でも移動できるが、とても危険)、旅費をまかなうだけの資金を稼がなくてはならなくなるからだ。
■ キャラクタレベルはなく、スキル制のゲームシステム SWGには、キャラクタレベルというシステムはない。「Ultima Online」のようにキャラクタの所持するスキルに応じて、キャラクタの能力が決定する。各スキルの経験値は、そのスキルの使用によって獲得していくが、蓄積した経験値量によって熟練度が得られるものではない。段階を踏んで、より上位のスキルを獲得していく方式であり、1段階目から2段階目に進むために1,000ポイントの経験値が必要であれば、それを消費してスキルを得る。 スキルの習得には、この経験値の他に費用もかかる。スキル経験値とあわせて、資金稼ぎも考えなければならない。ただ、先述したようにアイテムを売買してくれるNPCは存在しないので、プレーヤー相手に商売をするか、達成したミッションの報酬を得るかぐらいしか、まとまった資金を稼ぐ方法はない(ヒューマノイド系の敵を倒せば戦利品として現金が得られるが僅かだ)。ゲーム序盤は誰も大金をもっていないので、プレーヤー相手の商売は儲からないだろう。となると、ミッションで稼ぐしかない。 ミッションには、指定された目標(NPCまたは怪物が根拠地としている)を破壊するDestroyミッション、NPCからNPCへとアイテムやメッセージを運ぶDeliveryミッションの2種類がある。戦闘スキルの乏しい序盤は、リスクが少ないDeliveryミッションを利用するとよい。DeliveryはNPC間の距離が離れているほど高額の報酬が得られるので、シャトルを利用して短時間で効率よく稼ぐルートを見つけよう(全ての町がシャトルで接続されていない点に注意)。 さて、キャラクタ作成時に選択できる6つの初期職業の他に、上級職業/混合職業として29種類の職業が用意されている。この中にはArchitect(建築家)、Driod Engineer(ドロイド技術者)、Chef(料理人)、Squad Leader(隊長)などの、多彩な職業が含まれている。 もちろん、Jedi(ジェダイ騎士)もある。Jediだけは、キャラクタごとにランダムに定められている条件をクリアすることで、同じサーバーに2人目のキャラクタを作成することができるようになり、これがJediとして生まれる仕組みだ。 初期職業は、なんの条件もなく、15ポイントのスキルポイントと僅かな資金さえあれば、いくつでも就業できる。就業した時点で、その職業の基本的なスキルを得ることになる。ひとつの職業には(上級職業も含めて)、4通り4段階の計16個の特殊スキルがある。 たとえばMedicの場合、治療の効果、治療速度、薬物使用能力、薬物作成能力の4通りがあり、それぞれに4段階のスキル練度が設定されている。下から順番に取得していくことになるが、このスキルの獲得にも2から5のスキルポイントを消費する。これを極めていくことで、Medicの上級職業であるDoctor(医者)やCombat Medic(従軍医師)などに就業する資格を得るのだ。 スキルポイントとは、キャラクタごとに250ポイントあるスキル獲得限度のことを差す。各職業の基本能力を得るために15ポイント、3職業に就業すれば45ポイント、さらに各職業の特殊スキルを得れば数ポイントのスキルポイントを消費する。250ポイントは、複数の職業を極めるために少ない量ではないが、上級職業も含めて極められるほど多くもない。そこで、消費したスキルポイントをスキルを捨てることで取り戻せるSurrender Skillというシステムが用意されている。 つまりスキルポイントの配分を考えて、転職したり、獲得するスキルを変更したりという調整がいつでもできるということである。一般的には、ゲームの進行状況に応じて、キャラクタの育成方針を変更するために、スキル配分を調整することになるだろう。 こうして、様々なスキルの組み合わせのキャラクタが集まり、巨大なモンスターを倒すために冒険に出かけたり、巨大生産ギルドを結成して惑星の経済を牛耳ったり、などの宇宙生活を送ることになる。また、気に入った惑星には家や工場や採掘施設を建設して、家具調度をレイアウトする楽しみもある。
■ 早くSWGのプレイしたいのだけれど…… さあ、これほどまでに奥深いゲームシステムである。「EverQuest」の開発と運営でMMORPG界の横綱とも言える立場にあるSony Online Entertainmentの大作の発売は、我々MMORPGプレーヤーへの挑戦とも受け取れる。遊びごたえタップリの超巨大ゲームなのだ。 ところが、原稿執筆時点では北米のみの出荷制限がされており、ヨーロッパ/アジアのゲームファンは、まだSWGを入手できていない状況だ。家などの不動産は建築できる場所が制限されており、一刻も早くプレイを開始したいところなのだが、いきなり全世界展開してしまえば、サーバーの安定性やアクセス集中などのトラブルは避けがたい。 次の記事が掲載される頃には、出荷制限も緩和されて、我々の手元にもSWGが届き始めるだろう。どうぞ楽しみにしていてください。
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□「Star Wars Galaxies: Empire Divided」公式ホームページ http://starwarsgalaxies.station.sony.com/ (2003年7月2日)
[Reported by 安井 勉]
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