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【連載第162回】 あの、おもちゃを徹底レポート




衰え始めた脳を再生させる大人のドリル
セガトイズ「脳力トレーナー」

「脳力トレーナー」
発売 セガトイズ
価格 5,250円
電源 単4アルカリ乾電池×2(別売)
発売日 発売中



 「脳の力をアップするトイ」として開発が発表されて以来、話題を呼んでいたアイテムがついに発売になった。内容は、ベストセラー書籍「脳を鍛える大人の計算ドリル」を手がけた東北大学の川島隆太教授が監修する本格的なもの。

 しかし、このパッケージにはドキリとさせられた。「物忘れが多い。人の名前が出てこない。言いたい言葉が出てこない」と書かれているのだ。物忘れ……実は筆者が今もっとも気にしていることだ。体調がよい日はなんともないのだが、疲労が蓄積していたり、前の晩に深酒をしていたりすると、この症状が現れるようになったのだ。まだ30代半ばだというのに……。帯にはさらにこんなことが書いてある。「あなたの脳は確実に衰えています!」。ギャア~!! 「脳力トレーナー」を使うと、脳が再び活性化するのだろうか。すがるような気分で遊んでみることにする。


中年層をターゲットにした大きめの文字

パッケージは書籍や辞書風。大人でも手に取りやすい
 数々の電子玩具で知られるセガトイズだが、今回は完全に大人がターゲット。パッケージは辞書を模した重厚なデザインで、「A drill of adult」とサブタイトルが刻まれている。玩具店の店先よりも、大型書店で平積みになっている方が似つかわしい雰囲気だ。

 パッケージを開けると、中には小型の電子手帳を思わせるスタイルの本体が入っていた。ふたを開けると液晶画面とボタンがあり、ふたの裏には操作方法がくわしく書かれている。別売の単4電池をセットして、電源をオンにしてみると……大きな大きな文字が表示された。子供向けの簡易版電子手帳に使われているものと同等レベルの液晶だ。一瞬「ショボい……」と思ったが、イヤイヤ、と考えを改める。これは大人向け、しかも最近記憶力が落ちてきたな、と悩んでいる中年以上の年齢層をターゲットにしているのだ。老眼が進んでいる人も多いはずだ。だからこそ文字が大きく読みやすい、この液晶を選んだのだろう。精密なPDAのような作りにしても、むしろ逆効果だ。

 「脳力トレーナー」の原理は、基本的にはくり返しを基本とした計算ドリルだ。単調になりがちで、だからこそ飽きやすい単純計算を、ゲーム風に味付けしたというわけだ。プレイ時間は、毎日3分程度。これなら苦もなくできそうだ。

「脳力トレーナー」本体。こちらもシックなイメージ 操作方法は電卓と大きくは変わらない。誰にでも扱える ゲームボーイアドバンスとの大きさ比較。胸ポケットには入らないが、持ち運びは楽だ



脳をトレーニングして、その成果をチェックする

 内容は大きく分けると「トレーニングモード」と「チェックモード」に分かれる。「トレーニングモード」で脳のトレーニングを行ない、「チェックモード」でその成果を診断する、という流れだ。

 「トレーニングモード」は、次から次へと出題される簡単な足し算、引き算、割り算を解いていくもの。総数は100問あり、すべてを解き終えると、診断結果が表示される。

 「単純な計算問題なんて楽勝だろう」と気軽に挑んだのだが、試してみると勝手が違った。問題が矢継ぎ早に表示されるので、あせりが生じる。計算記号の「+」が「×」に見えることもあり、判断力も必要なようだ。70問、80問、90問と解いていくと、自分でも計算速度が落ちていくのがわかる……。ううう、どんな結果が出るのだろうと不安を感じる。

 結果は、1から5までの5段階のレベルで表示され、1だと花の「つぼみ」が、5だと「満開」の状態で表示されている。フジテレビの番組「トリビアの泉」を激しく想起させる演出だが、それはさておき。結果はレベル4で「7分咲き」。初めてにしては、まあまあの成績といえるだろう。少し安心する。

「トレーニングモード」。100問の計算問題を解いて、脳を活性化させる 最後に100問を解くのに要した時間と正解率が示される 結果は、花の咲き具合で表される。これはレベル4の「7分咲き」

 「チェックモード」は、いわば本番。脳の実力を測定するモードだ。テストは「カウンティングテスト」と「チャレンジテスト」、「メモリーテスト」の3種類があり、どれかを選んでトライする。

 「カウンティングテスト」は、数字の1から120までを口に出して数え、実際の時間と合っているかを試すテスト。「120!」と最後まで数えて「STOP」ボタンを押すと、実際にはどれだけの時間が経過していて、どれくらいの誤差があるかが診断され、結果がレベル1から5までの五段階で表示される。筆者の結果は、レベル2の「3分咲き」。ひどい結果だ。次はがんばらないと……。

120を読み上げる「カウンティングソフト」 120まで数え終わったら、ボタンを押して診断をあおぐ


 「チャレンジテスト」は、計算力と記憶力を試される。スタートすると3種類の数字が一瞬だけ表示され、1番目と3番目に出た数字の合計数を答える。次に2番目と4番目に出た数字の合計を、さらに3番目と5番目の合計数を答える。ひとつおきに数字を足していくのだ。簡単なようでいて、個人的にはとても難しかった。5番目の数字が表示されたら、3番目を思い出し、足さなければならないのだが、どうにも浮かんでこないのだ。結果はひどいあり様で、レベル1の「つぼみ」となった。もう一度トライしても「つぼみ」。3回目のチャレンジでも「つぼみ」……。これはいけない。「脳力トレーナー」の「トレーニングテスト」を毎日こなして、脳を鍛えなおそうと決意。

「チャレンジテスト」。計算力よりも記憶力の良し悪しが問われる 表示される数字をひとつおきに足し、その結果を入力していく


 「メモリーテスト」は、画面に表示される数字を暗記して、それを再現するというもの。数字は2分間表示されるので、その間にしっかり記憶をする必要がある。こうした単純な記憶は、えてして忘れやすいもの。記憶を強化するために、「ヨイフロ」、「ヤイ!」、「ニク」というふうに、数字をゴロ合わせして覚えることにする。結果は、30個中20個に正解し、レベル3の「5分咲き」となった。さきほどの「チャレンジテスト」に比べればましな結果といえるが、やはりショック。

 診断された結果は、自動的にセーブされ、棒グラフ形式で閲覧することが可能だ。

表示される数字を再現する「メモリーテスト」 表示される30個の数字は、その順番どおりに入力する必要がある


 「脳力トレーナー」にチャレンジしていると、脳の一部がむずがゆく、少しずつ動き出しているような感覚を覚えた。普段休みがちな部分が刺激されているのだろうか。たとえ錯覚だとしても、心地よい感覚だ。時間もかからないので、机のそばに置いておき、毎日トレーニングしてみようかと思う。川島隆太教授の著作以外にも、脳力を開発する類の書籍は多数見かけるが、まさか自分がそういった商品のお世話になるとは……。

 長期に渡って遊んでいるわけではないので個人的な成果をお伝えすることはできないが、記憶力の低下に悩んでいたらそれを具体的に診断された、という意味では有効度は高い。価格も約5,000円と決して高くはないので、興味のある方にはトライしてみよう、とお薦めしたい。

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□新世代のホームページ
http://www.segatoys.co.jp/
□製品情報
http://www.segatoys.co.jp/brain_trainer/
□関連情報
【6月15日】日本玩具協会、東京おもちゃショー2004開催
セガ トイズの「メガドライブ プレイTV」など出展
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040615/toy-s.htm


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(2004年10月21日)

[Reported by 元宮秀介]


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