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【連載第161回】 あの、おもちゃを徹底レポート




ヒットを続ける「体感ゲーム」がついに北米に進出!
新世代「XaviXPORT」

「XaviXPORT」
発売 新世代
価格 79.99ドル(XaviXPORT本体)
49.99ドル(XaviXPORTソフトウェア)
電源 ACアダプター(本体/同梱)
発売日 発売中



 今週は、北米で発売された新しいゲーム機「XaviXPORT」を紹介したい。……えっ、そんなゲーム機、まったく知らないって? それも無理はない。「XaviXPORT」は、ゲーム機とはいえプレイステーション 2やニンテンドーゲームキューブとはテイストが異なる商品。現在、玩具市場を賑わせている「体感ゲーム」の北米版だからだ。

 「体感ゲーム」とは、当連載でも定期的に紹介している、テレビにつなげて遊ぶトイのこと。エポック社から発売されている「エキサイトスタジアム」や「エキサイトピンポン」が特に知られている。テレビで遊ぶゲームという意味では家庭用ゲーム機とも似ているのだが、商品構成が大きく異なる。ハードとソフトが一体化し、ケーブルでテレビと接続すればすぐに遊べる。コントローラは野球ゲームならバット、釣りゲームならボールと形を変え、それらをスイングしたり引き上げたりして、体を動かしてプレイする。

 ゲーム機特有のコントローラではなく、バットやラケット型のコントローラを使って体を動かしながら遊ぶのがミソ。この工夫によってゲームが苦手な人でも親しめるし、スポーツ感覚で接することもできるので、小さな子供からお年寄りまで幅広い層のユーザーが楽しめるようになっている。

 開発を手がけているのは、新世代株式会社。初代ファミコンを開発したメンバーが起業した会社で、プレーヤーの動きをそのままテレビ画面に反映させる「XaviXテクノロジー」を開発。大ヒットを記録したスクウェア・エニックスの「剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣」も、この「XaviXテクノロジー」を採用しており、名実ともにこのジャンルの開拓者なのだ。


北米版はハードとソフトが別のリリースとなる

「XaviXPORT」パッケージ
 「XaviXPORT」は、新世代がこれまでに培った技術を結集させたといえる、北米向けの新商品。従来の「体感ゲーム」のノウハウを生かしているが、「XaviXPORT」だけの規格も多く、注目に値する。このたび発売されたのは、ハード「XaviXPORT」と、対応ソフト3タイトルだ。

●ハードウェア
「XaviXPORT」(79.99ドル)

●ソフトウェア
「XaviXBOWLING」(49.99ドル)
「XaviXTENNIS」(49.99ドル)
「XaviXBASEBALL」(49.99ドル)


「XaviXBOWLING」パッケージ 「XaviXTENNIS」パッケージ 「XaviXBASEBALL」パッケージ


 従来の「体感ゲーム」と最も異なるのは、ハードとソフトが一体化しておらず、それぞれ独立している点だ。ゲームプログラムはカートリッジに収録され、これをハードにセットすることで遊べるようになる。つまりファミコンと同様の形式になった、というわけだ。

 「これでは体感ゲームのよさはなくなってしまうのでは?」と思ったが、変更の理由は価格にあるようだ。日本版のようにハードとソフトが一体化されていると、複数の商品をそろえた場合、結果としてハードの部分がだぶってしまい、ユーザーは何度もお金を払うことになる。ハードとソフトを分離させれば、ハードを1台手に入れたあとは、ソフトウェアだけの料金を払えばいい。ソフトウェアは49.99ドルと低めの価格設定で、しかも専用コントローラ付きなのだから格安といえる。新世代は、この「XaviXPORT」を北米の家庭に幅広く、そして長いスパンで普及させることを狙っているのだろう。


誰でもすぐに扱える徹底した親切設計

 ハードウェアの「XaviXPORT」は、シルバーを基調にデザインされた、スタイリッシュなイメージ。国内の「体感ゲーム」は子供をターゲットにしているため、かわいらしいデザインが施されていた。「XaviXPORT」のデザインからは、年齢に関係なく幅広いユーザーに遊んでほしい、という狙いが読み取れる。

 デザインに大きな変更はあるが、「誰でもすぐに扱える」という親切志向は貫かれている。ボタンは極力シンプル化され、それぞれの機能が明記されている。上ぶたの中央にはカートリッジの差しこみ口が設けられている。見た目にもごくごくシンプルで、「難しそう」という印象は、一切排除されている。

 ハードのパッケージにはプレイのために必要なAVケーブルとACアダプターが同梱されており、他に買い足す必要はない。

 ソフトのパッケージには、カートリッジと専用のコントローラが同梱されている。コントローラは電源が必要となるが、あらかじめ電池が内蔵されており、すぐに遊べるようになっている。

 カートリッジをハードにセットしてPOWERボタンをオンにしたら、プレイ開始。プレーヤーの人数やモードを選択する場合は、ハード前方にある4個のボタンを使用する。ボタンは上や下、決定などの役割があり、ファミコンにおける十字ボタンと同様と考えてもらっていい。

 プレイをする際は、「XaviXPORT」をテレビの前の床に置く。プレーヤーは「XaviXPORT」の近くに立ち、バットやラケットの形をしたコントローラを振る、というプレイスタイルだ。

「XaviXPORT」本体には、AVケーブルとACアダプターが同梱 サイズは薄型でコンパクト。ゲームボーイアドバンスSPと比較してみた 後部にはAV OUT端子の他に、AV IN端子が用意されている。将来的に使用するのだろう
カートリッジ差込口はふたがしてあり、こんなふうにカートリッジを押し込んでセットする ケーブルやカートリッジをセットした状態。テレビの前に置いてプレイする
ゲームモードやキャラクタの選択は、「XaviXPORT」前方のボタンを使用する 「XaviX」カートリッジとゲームボーイアドバンス用カートリッジの比較



技術がさらに進化しゲームとの一体感が増している

 まず最初に遊んだのが「XaviXTENNIS」。国内の「体感ゲーム」とは異なり、デフォルメされたキャラクタなどは登場せず、ビジュアルはすべてリアルな映像になっている。キャラクタ選択画面やゲーム中の文字情報の表示も、テレビ中継を彷彿とさせる本格派。

 テレビの中のプレーヤーがサーブを打ち、ボールがこちらのコートに入ってきたのを見届けてから、テニスラケット型のコントローラを思いっきり振る。「パッコーン!」。心地よい音が鳴り響き、打ち返したボールが相手のコートに叩き込まれる。ラケット型のコントローラを振ると、ゲームは即座に反応し、鮮やかにボールを打ち返す。毎度体験していることだが、テレビの中に手が伸びたような錯覚を覚えるほどだ。

 相手プレーヤーとラリーをくり返しながら、さまざまなショットを試してみたが、「体感ゲーム」の進化を感じ取れた。ラケットを振るスピードや方向がすべて感知され、ゲーム中に反映されるのだ。これにより実際のテニスのテクニックを使うことができ、より本格的なプレイを楽しめるようになっている。

「XaviXTENNIS」の同梱内容。カートリッジにラケット型コントローラが2基用意されている 安全の対策として、プレイの際はストラップを手首にかける ボールをトスをする場合は、このボタンを押す
「XaviX」の起動画面 「XaviXTENNIS」のタイトル画面 キャラクタ選択画面。プレーヤーは大人として描かれている
個々のキャラクタの能力も厳密に設定されている ボールが目の前に来たら、コントローラを振ってリターンをする サーブの際は、ボタンを押してトスを上げる



 「XaviXBASEBALL」は、コントローラとしてバットとボールが付属している。攻守それぞれを体験できる、というわけだ。ゲームは「XaviXTENNIS」と同様に、テレビ中継を模した本格的なテイスト。登場するチームはメジャーリーグではなく、ゲーム独自のものとなっている。

 自軍が攻撃のときは、バット型のコントローラを使用する。相手のピッチャーがボールを投げてきたら、タイミングよくバットを振る。バットをスイングする動作も、スイングのスピードや方向が感知され、打ち分けが可能になっている。

 自軍が守備の際は、ピッチャーとなってボール型のコントローラを使う。ピッチングは、ボール型コントローラに設けられた4個のボタンを押して行なう。ボタンを押す組み合わせによって、ストレートやカーブ、ナックルボールなどの球種を使い分けられるようになっている。ボール型コントローラを投げる動作がなく、実際のピッチングと比べると簡略化されているが、これは仕方にないところだろう。

「XaviXBASEBALL」の同梱内容。コントローラはバット型とボール型の2種類 バット型コントローラは実際の野球同様、豪快にスイングすればオーケー ピッチングは、4種類のボタンを押すことで行なう。押し方によって、球種が変わる
「XaviXBASEBALL」のタイトル画面 モードは多様。ワールドシリーズを思わせる「Championship Series」などもある 晴れ渡ったスタジアムが舞台。メジャーリーガーの気分を味わえる
相手の捕球や走塁の結果は、ウインドウで表示される 投げられる球種は5種類。コントローラのボタンの押し方で投げ分けられる



 「XaviXBOWLING」は、ボール型のコントローラを使い、最も実際のスポーツに近い感覚で楽しめる。プレーヤーがレーンに立つ位置が感知され、ボールのスピードなどもそのまま反映される。ストライクやスペアが続き、力が入ると思わぬミスをしてしまうのもそのまま。

 この秘密は、カートリッジにある。上部に「イメージセンサー」を増設し、より細かな動きをゲーム中に反映させられるように工夫されているのだ。カートリッジにチップやセンサーを付け足し、機能を拡張する手法は、ファミコンそのもの。ゲームファンにとっては思わずニヤリとさせられる仕掛けだ。

「XaviXBOWLING」の同梱内容。コントローラはボウル型 カートリッジにはイメージセンサーが増設されており、プレーヤーの立ち位置をも測定する 「XaviXBOWLING」のタイトル画面
レーンは2種類から選ぶことができる ボールの挙動がリアルでボウリングをしている気分になれる ピンを倒す場面はウインドウで表示され、克明に描かれる



 3本のゲームを遊んでいるうちに、秋だというのに汗が吹き出してくる。はじめはシャツが汚れるなあと躊躇をしていたのだが、そのうち体を動かす気持ちよさの方が勝って、汗よどんどん出ろ! という心境になってきた。そう、この体を動かす爽快感こそが、「体感ゲーム」の真骨頂なのだ。

 熱中しているとバットやラケットを振るときに力が入って、大振りになってくる。ふと気が付いた。このシステムは、住宅事情に恵まれた北米こそよりマッチするのでは!?

 「XaviXPORT」のソフトは現状ではゲームだけだが、今後はHome(実用品)、Education(教育)、Entertainmen(エンターテインメント)のカテゴリーに分類される商品をリリースしていくとのこと。

 北米での成功とさらなる発展に期待したい。

(C)2004 SSD COMPANY LIMITED. All rights reserved.


□新世代のホームページ
http://www.shinsedai.co.jp/
□製品情報
http://www.shinsedai.co.jp/products/index.html
□関連情報
【1月11日】XaviXベースの体感ゲームがアメリカでも発売へ
カートリッジ式で複数のゲームが楽しめる
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040111/ces3.htm
【2003年11月6日】気になるe-Toy遊んでレポート
ドラクエが体感ゲームになった!
スクウェア・エニックス「剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20031106/toy130.htm


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(2004年10月14日)

[Reported by 元宮秀介]


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