新世代「XaviXPORT」
今週は、北米で発売された新しいゲーム機「XaviXPORT」を紹介したい。……えっ、そんなゲーム機、まったく知らないって? それも無理はない。「XaviXPORT」は、ゲーム機とはいえプレイステーション 2やニンテンドーゲームキューブとはテイストが異なる商品。現在、玩具市場を賑わせている「体感ゲーム」の北米版だからだ。 「体感ゲーム」とは、当連載でも定期的に紹介している、テレビにつなげて遊ぶトイのこと。エポック社から発売されている「エキサイトスタジアム」や「エキサイトピンポン」が特に知られている。テレビで遊ぶゲームという意味では家庭用ゲーム機とも似ているのだが、商品構成が大きく異なる。ハードとソフトが一体化し、ケーブルでテレビと接続すればすぐに遊べる。コントローラは野球ゲームならバット、釣りゲームならボールと形を変え、それらをスイングしたり引き上げたりして、体を動かしてプレイする。 ゲーム機特有のコントローラではなく、バットやラケット型のコントローラを使って体を動かしながら遊ぶのがミソ。この工夫によってゲームが苦手な人でも親しめるし、スポーツ感覚で接することもできるので、小さな子供からお年寄りまで幅広い層のユーザーが楽しめるようになっている。
開発を手がけているのは、新世代株式会社。初代ファミコンを開発したメンバーが起業した会社で、プレーヤーの動きをそのままテレビ画面に反映させる「XaviXテクノロジー」を開発。大ヒットを記録したスクウェア・エニックスの「剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣」も、この「XaviXテクノロジー」を採用しており、名実ともにこのジャンルの開拓者なのだ。 ■ 北米版はハードとソフトが別のリリースとなる
●ハードウェア
●ソフトウェア
従来の「体感ゲーム」と最も異なるのは、ハードとソフトが一体化しておらず、それぞれ独立している点だ。ゲームプログラムはカートリッジに収録され、これをハードにセットすることで遊べるようになる。つまりファミコンと同様の形式になった、というわけだ。
「これでは体感ゲームのよさはなくなってしまうのでは?」と思ったが、変更の理由は価格にあるようだ。日本版のようにハードとソフトが一体化されていると、複数の商品をそろえた場合、結果としてハードの部分がだぶってしまい、ユーザーは何度もお金を払うことになる。ハードとソフトを分離させれば、ハードを1台手に入れたあとは、ソフトウェアだけの料金を払えばいい。ソフトウェアは49.99ドルと低めの価格設定で、しかも専用コントローラ付きなのだから格安といえる。新世代は、この「XaviXPORT」を北米の家庭に幅広く、そして長いスパンで普及させることを狙っているのだろう。
■ 誰でもすぐに扱える徹底した親切設計 ハードウェアの「XaviXPORT」は、シルバーを基調にデザインされた、スタイリッシュなイメージ。国内の「体感ゲーム」は子供をターゲットにしているため、かわいらしいデザインが施されていた。「XaviXPORT」のデザインからは、年齢に関係なく幅広いユーザーに遊んでほしい、という狙いが読み取れる。 デザインに大きな変更はあるが、「誰でもすぐに扱える」という親切志向は貫かれている。ボタンは極力シンプル化され、それぞれの機能が明記されている。上ぶたの中央にはカートリッジの差しこみ口が設けられている。見た目にもごくごくシンプルで、「難しそう」という印象は、一切排除されている。 ハードのパッケージにはプレイのために必要なAVケーブルとACアダプターが同梱されており、他に買い足す必要はない。 ソフトのパッケージには、カートリッジと専用のコントローラが同梱されている。コントローラは電源が必要となるが、あらかじめ電池が内蔵されており、すぐに遊べるようになっている。 カートリッジをハードにセットしてPOWERボタンをオンにしたら、プレイ開始。プレーヤーの人数やモードを選択する場合は、ハード前方にある4個のボタンを使用する。ボタンは上や下、決定などの役割があり、ファミコンにおける十字ボタンと同様と考えてもらっていい。
プレイをする際は、「XaviXPORT」をテレビの前の床に置く。プレーヤーは「XaviXPORT」の近くに立ち、バットやラケットの形をしたコントローラを振る、というプレイスタイルだ。
■ 技術がさらに進化しゲームとの一体感が増している まず最初に遊んだのが「XaviXTENNIS」。国内の「体感ゲーム」とは異なり、デフォルメされたキャラクタなどは登場せず、ビジュアルはすべてリアルな映像になっている。キャラクタ選択画面やゲーム中の文字情報の表示も、テレビ中継を彷彿とさせる本格派。 テレビの中のプレーヤーがサーブを打ち、ボールがこちらのコートに入ってきたのを見届けてから、テニスラケット型のコントローラを思いっきり振る。「パッコーン!」。心地よい音が鳴り響き、打ち返したボールが相手のコートに叩き込まれる。ラケット型のコントローラを振ると、ゲームは即座に反応し、鮮やかにボールを打ち返す。毎度体験していることだが、テレビの中に手が伸びたような錯覚を覚えるほどだ。
相手プレーヤーとラリーをくり返しながら、さまざまなショットを試してみたが、「体感ゲーム」の進化を感じ取れた。ラケットを振るスピードや方向がすべて感知され、ゲーム中に反映されるのだ。これにより実際のテニスのテクニックを使うことができ、より本格的なプレイを楽しめるようになっている。
「XaviXBASEBALL」は、コントローラとしてバットとボールが付属している。攻守それぞれを体験できる、というわけだ。ゲームは「XaviXTENNIS」と同様に、テレビ中継を模した本格的なテイスト。登場するチームはメジャーリーグではなく、ゲーム独自のものとなっている。 自軍が攻撃のときは、バット型のコントローラを使用する。相手のピッチャーがボールを投げてきたら、タイミングよくバットを振る。バットをスイングする動作も、スイングのスピードや方向が感知され、打ち分けが可能になっている。
自軍が守備の際は、ピッチャーとなってボール型のコントローラを使う。ピッチングは、ボール型コントローラに設けられた4個のボタンを押して行なう。ボタンを押す組み合わせによって、ストレートやカーブ、ナックルボールなどの球種を使い分けられるようになっている。ボール型コントローラを投げる動作がなく、実際のピッチングと比べると簡略化されているが、これは仕方にないところだろう。
「XaviXBOWLING」は、ボール型のコントローラを使い、最も実際のスポーツに近い感覚で楽しめる。プレーヤーがレーンに立つ位置が感知され、ボールのスピードなどもそのまま反映される。ストライクやスペアが続き、力が入ると思わぬミスをしてしまうのもそのまま。
この秘密は、カートリッジにある。上部に「イメージセンサー」を増設し、より細かな動きをゲーム中に反映させられるように工夫されているのだ。カートリッジにチップやセンサーを付け足し、機能を拡張する手法は、ファミコンそのもの。ゲームファンにとっては思わずニヤリとさせられる仕掛けだ。
3本のゲームを遊んでいるうちに、秋だというのに汗が吹き出してくる。はじめはシャツが汚れるなあと躊躇をしていたのだが、そのうち体を動かす気持ちよさの方が勝って、汗よどんどん出ろ! という心境になってきた。そう、この体を動かす爽快感こそが、「体感ゲーム」の真骨頂なのだ。 熱中しているとバットやラケットを振るときに力が入って、大振りになってくる。ふと気が付いた。このシステムは、住宅事情に恵まれた北米こそよりマッチするのでは!? 「XaviXPORT」のソフトは現状ではゲームだけだが、今後はHome(実用品)、Education(教育)、Entertainmen(エンターテインメント)のカテゴリーに分類される商品をリリースしていくとのこと。
北米での成功とさらなる発展に期待したい。
□新世代のホームページ
毎週、電子系のおもちゃを中心にオススメのおもちゃをご紹介しています。「このおもちゃ、気になるけど面白いかなぁ」といったものを徹底的に遊び倒し、その面白さをお伝えしていきます。取り上げて欲しいおもちゃなどがありましたらドシドシと編集部までメールを送って下さい (編集部) (2004年10月14日) [Reported by 元宮秀介]
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