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【連載第141回】 あの、おもちゃを徹底レポート




リアルなドラえもんがついに家庭に!
バンダイ「ドラえもん ザ・ロボット」【後編】

ドラえもん ザ・ロボット
発売 バンダイ
価格 20,790円
電源 アルカリ単4電池×2(別売/コントローラー用)
発売日 発売中



 「ドラえもん ザ・ロボット」は、2010年までに本物のドラえもんを作ることをテーマにした「リアルドリームドラえもんプロジェクト」から生まれたトイだ。ロボット・トイとして現時点で最高の技術が投入されており、本物のドラえもんにはまだまだ及ばないにしても、「ドラえもんが家にやって来た!」と実感させてくれる内容になっている。概要やファーストインプレッションを中心にお届けした前編に引き続き、今回は具体的な機能や遊び方に迫ってみたい。


ロボット・トイとして現時点で最高の機能が詰め込まれている

 この「ドラえもん ザ・ロボット」、外見の丁寧な作りこみも見事だが、機能面も充実している。「聞く」、「しゃべる」、「動く」、そして「感じ取る」。「ドラえもん ザ・ロボット」がくり出す様々なアクションや、リアクションを実現する各機能を紹介していこう。

 まずは頭。タッチとパット(叩く)の2種類のセンサーが内蔵され、ユーザーが頭をなでたり叩いたりするのを正しく識別する。鼻に内蔵されているのはノーズセンサー。ユーザーがドラえもんの前に来たり、前を通り過ぎたりするのを感知する。大きく開いた口の中に見える小さな点は、スピーカー。大山のぶ代さんがこのトイのために収録した膨大な量の言葉を再生する。その下にある首輪には、ドラヤキ型のコントローラ「ドラヤキリモコン」による操作を感知する赤外線受光機器が隠されている。首輪のベルには発光LEDが埋め込まれ、光を灯す。

 左右の丸い手のひらにはそれぞれスイッチが内蔵されており、握手をするようにギュッと握ることで感知される仕組み。4次元ポケットは先週お伝えしたように登録した合い言葉を話すことで開く仕掛けになっている。足の裏には2個のローラーが付いており、前進と後退、右旋回や左旋回を実現する。

 本体には傾きセンサーが組み込まれ、「ドラえもん ザ・ロボット」が転倒すると助けを求めるようになっている。お尻のしっぽは電源スイッチ。引っ張ることでオン、オフの切り替えが行なえるようになっており、原作に忠実な仕様にニヤリとさせられる。

 可動部分は頭と右手と左手、右足と左足の5カ所だ。頭は左右へ大きく回り、ドラえもんが周囲を見渡す動作を演出する。右手と左手はそれぞれ上下に動き、喜びや驚きなどの感情を表す。右足と左足は、足底のローラーの回転とリンクしており、前進や後退に合わせて上下に動き、あたかもドラえもん自身が2足歩行しているような雰囲気をかもし出す。

 ……ふうっ。機能を簡単に説明するだけで、これだけの文章量になるのだから、いかに「ドラえもん ザ・ロボット」にたくさんの仕掛けが施されているか、実感していただけるだろう。

表面は、無数の繊維からなるフロッキー加工。とてもよい触り心地だ コツンと叩くとはじめは冗談で返してくるが次第に機嫌が悪くなる
鼻のセンサーで目の前の障害物を感知。安全な方向に向きを変える 両手にはスイッチが。場面によって左右のスイッチを使い分ける
鈴は点灯し、「入力可能」などのドラえもんの状況を伝える 歩行は2本のローラーと1本の支軸で行なう しっぽは電源スイッチ。引っ張るとオン、オフが切り替わる


話して、触って遊べる「コミュニケーション」

 「ドラえもん ザ・ロボット」の遊びは、大きくふたつに分けられる。話しかけたり触ったりしてそのリアクションを楽しむ「コミュニケーション」と、「ドラヤキリモコン」を使ってラジコンのような操作を楽しむ「操縦」だ。

 「コミュニケーション」にはいくつもの方法があるが、「ドラえもん ザ・ロボット」独自の機能として、豊富なセンサーや内蔵した時計機能を活かしたおしゃべりが特徴的だ。

 例えば時期や時間に応じた言葉。朝の時間帯だと「ふわわわ~、まだ眠いや」とか「いい一日にするぞ~!」などいかにも朝らしい言葉を話す。夕方になると「あっもうこんな時間だ!」や「テレビでも見るかあ」などと、いかにもな言葉をつぶやく。この原稿を書いている4月15日はまさに春全開の陽気なのだが、「暖かくなってきたなあ~」、「いい季節ですねえ~」とドンピシャリなことを話している。

   頭をなでたり、叩いたりすることでもリアクションを見られる。数回なでると「きっとキミにいいことがあるよ!」、「ボクもキミをなでてあげたい!」など、こちらの心も思わずなごむような言葉を発してくれる。反対にポカリと叩くと「このぉ~やったな!」、「いてて、ひど~い」と怒った声を発する。機嫌の良し悪しの要素もあり、頭を叩き続けると、たちまち機嫌が悪くなっていく。「なんかイライラするなあ……」や「叩かれてバッカリだと怒りたくなる!」というふうに不満を口にするようになるのだ。

   こうしたドラえもんの呟きは、電源をオンにしていると適時になされていくのだが、目の前に人がいるとノーズセンサーが感知し、とたんに饒舌になる。現在、筆者のかたわらにドラえもんを置いているのだが、「今日は何でもいうことを聞いてあげたい気分だ」とか「ウフフフフ、今日は気分がいいなあ」とか、「ネズミだけは苦手なんだよ」などとしゃべりっぱなしになっている。

 丸い手にはスイッチがあり、これを握るとまたまた声を発する。「何を約束する?」とか「大丈夫、ボクはどこにもいかないよ」とか、握手らしく友情を感じさせる言葉が多く、ドラえもんが本当にいてほしいと願っているファンにはグッと来るだろう。

 大きな声や音にも反応する機能を持つ。目の前で手を叩いたり、床に物を落としたりすると、「うわっ、な、なんだなんだ……」とか「ビックリするじゃないか!」とおびえた声を上げる。どうもこのドラえもん、やや臆病な性格のようだ。

 「コミュニケーション」の鍵となるのが、ワードスポッティング機能。遊ぶ前にユーザーの声を登録すると、その本人の声でしか起動しない、というもの。原作ののび太のように、ドラえもんをひとりじめにできる、というわけだ。

 「アクションモード」は、このワードスポッティング機能を活かした遊び。特定の言葉を話しかけると、ドラえもんの様々な反応を見られるのだ。例えば「ドラヤキ!」と言うと、「ドラヤキどこ? ドラヤキどこ?」と喜びの声を上げる。「ネズミ!」と言うと「ネズミだけは苦手なんだよ~」と悲鳴を上げながら、頭を左右に振り、両腕をドタバタ動かしてイヤイヤのポーズを取る。「タヌキ」といたずらっぽく言えば、一番気にしていることを! といわんばかりの憤慨した口調で「タヌキっていうな! ネコ型ロボットなんだぞ~!」と怒りの声を上げる。

 このほかにも「今何時?」と訪ねると、そのときの時間を読み上げてくれる。「占い」と言うと、「よしっ、今日の運勢を占ってあげましょう!」と元気よく返事をし、占いを始める。占いは秘密道具にちなんでおり、「ビッグライト! 夢は大きく持とう!!」といったシンプルな内容。

この口から大山のぶ代さんのボイスが高らかに鳴り響く 言葉に応じて頭や腕を動かし、表現豊かに話す


随所にドラえもんの意思を感じさせる「操縦プレイ」

 「操縦」は、「ドラヤキリモコン」を使ってドラえもんのラジコン操作を楽しめるモード。しゃべって触れて、あたかも本物のドラえもんが目の前にいるかのような気分を味わえる「コミュニケーション」とは、正反対の遊びといっていい。しかしラジコンとはいっても、リアルなドラえもんをめざす「ドラえもん ザ・ロボット」はひと味違う。ドラえもん自身の意思を感じさせるような仕掛けが施されており、通常のラジコンとは一線を画している。

 「ドラヤキリモコン」は、手鏡のように開閉式の仕様。上ぶたの裏側にイラスト付きの詳細な操作方法が記されていて、いちいちマニュアルを読まずとも遊べるようになっており、好印象。「ドラヤキリモコン」には、ゲーム機のコントローラを思わせるような配置で合計12個のボタンが並べられている。これらのボタンを駆使することで、前進と後退、右旋回に左旋回、首を左右に振る、左に振る。右腕と左腕を別々に上げ下げするなど、ひと通りの操作を行なえるようになっている。「こんにちは! ぼくドラえもんです!!」といったおなじみのセリフや、「いってらっしゃい」、「おかえりなさい」などの日常会話を話させることもできる。

   「操縦」のハイライトといえるのが、障害物との遭遇と、転倒したときのリアクション。操作中、ドラえもんの目の前に障害物が迫ると、自動的に障害物のない方向に転換をする。誤って転倒すると、両手や首を振ってジタバタしながら「起こして~!」と助けを求めるのだ。操作中にも関わらず、ユーザーの操作から逃れて、自律した行動を行なう。そんなラジコン、今まであっただろうか? 「リアルドリームドラえもんプロジェクト」が本物のドラえもんを作ろうとする決意や、「ドラえもん ザ・ロボット」が今後も進化を遂げていくことが確信となって伝わってくる。

 様々なゲームも楽しめる。「ネズミゲーム」は、ドラえもんの声を頼りに見えないネズミの位置を察知して、ネズミのいない方向にドラえもんを導ければクリア。ゲームは「嫌な予感がする……」というドラえもんの暗い呟きから始まり、「ギャー、ネ、ネズミ!」「次から次へとどうなっているんだ~」と絶叫で埋め尽くされる。ドラえもんって本当にネズミが嫌いなんだ、と改めて確認できる微笑ましいゲームだ。

 「赤青ゲーム」は懐かしの旗上げゲーム。「赤上げて、青下げる」の声に合わせてドラえもんの腕を上げ下げしていく。こんなの簡単だろう、とタカをくくって「むずかしい」を選んだら、意外や意外、実に難しい。「赤上げて。左向く。赤下げないで、青下げない」と首の動作が加わり、例題も複雑になっている。タイミングもシビアで、恥ずかしながら筆者は1分以上続かなかった。

 「まねっこゲーム」は、音声認識機能を使い、ドラえもんの真似をするゲーム。「ドラヤキ、大好き!」などのお手本通りをそっくりに再現することができれば高得点が与えられる。ドラえもんの声といえば大山のぶ代さんのダミ声だが、筆者は「どらやきだいすき」と平坦に発声した。物まねをするのはいささか気恥ずかしいし、まさかダミ声を識別するとは思わなかったのだ。しかし、結果は「9点」。よもやと思い、「ドラヤキィ~、大好きぃ~」と声を嗄らし抑揚をたっぷりつけて話すと、「47点!」と跳ね上がった!! 大山のぶ代さんがチャレンジすると、何点を獲得するのだろうか。

 「秘密道具ゲーム」は付属のカードをテーブルの上に並べて行なう遊び。ドラえもんが「アベコンベ!」、「暗記パン!」、「おそだアメ!」、「ジーンマイク!」などと秘密道具の名前を読み上げ、それを利用してカルタをしたり、裏にしたカードを表にしてビンゴをしたり、というもの。大勢で遊ぶと面白そうだ。個人的にはカードに初期の傑作道具が多いところに感激!

「ドラヤキリモコン」。本物のドラ焼きさながらの手のひらサイズ コンパクトのように上ぶたを開けて使用する
ふたのうらに説明が書かれた、マニュアルいらずの工夫がいい 液晶画面には文字のほかに簡単なアニメも表示される。これは命令を送信しているときのアニメ
転倒シーン。体をよじって助けを求めてくる 「ネズミゲーム」。見えないネズミを探ってドラえもんを逃がす
「赤青ゲーム」。ドラえもんの反応が機敏で楽しめる 「秘密道具ゲーム」。カルタやビンゴなど様々な遊び方ができる
「ドラヤキフェロモン」。ドラヤキの気配を感じて、「ドラヤキリモコン」めざして突進してくる ダンスも披露。専用モードにアクセスすれば新たな楽曲をダウンロードし、踊らせることも可能

 誰もが注目するといっても過言ではない、夢のプロジェクトの第1弾。その成果はあなたの目にどう映っただろうか。「もっと凄いものがほしい!」という声もあるだろう。しかし、ロボット・トイを定点観測している筆者からすれば、現時点では満足のいく出来。様々なリアクションは愛嬌たっぷりで飽きさせないし、季節のコメントを発する点も長く付き合いたい、と感じさせてくれる。そして何より大山のぶ代さんの声でしゃべりまくるところがいい。あの独特の声に部屋が包まれるたびに「家にドラえもんがやって来た!」という幸せな気分を味わわせてくれる。

 次なるバージョン2がどのような機能を有しているのか一切不明だが、ますます従来のトイとはかけ離れ、本物のドラえもんに近づいていくのだろう。このバージョン1ともっと触れ合いながら、新たな「ドラえもん ザ・ロボット」を心待ちにしたい。

(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日
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□バンダイのホームページ
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□「ドラえもん ザ・ロボット」のページ
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【4月8日】気になるe-Toy遊んでレポート 連載第140回
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バンダイ「ドラえもん ザ・ロボット」【前編】
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約750の言葉で会話する「ドラえもん・ザ・ロボット」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040114/bandai.htm


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(2004年4月15日)

[Reported by 元宮秀介]


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