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【連載第37回】 気になる海外ゲームをピックアップ


西尾ゆきの海外ゲームレポート

見ごたえのある美しい箱庭世界を舞台に
究極リゾートを目指す経営シミュレーション
「Spring Break」

 「Spring Break」とは学生たちの春の短い休暇のこと。このゲームではプレーヤーが休暇に訪れる客を満足させるようなリゾートを次々と経営していくのが目的となっている。浜辺には客がアルコール類を楽しめるようなビーチバーを、丘にはおみやげ物屋やテーマカフェをという風に各種建物を建設し、それを維持するための人々も雇わなくてはならない。船からリゾートに降り立って、あちこちを気ままに歩くミニチュアな人々を眺めながら幸せな気分になれる経営シミュレーションゲームだ。

ビーチリゾートを経営していくシミュレーション

プレーヤーは、お客たちが動きまわる美しいリゾートを経営する
 「Spring Break」は、南の島にあるリゾートに手を入れて、お客の満足いくような素晴らしいリゾートにしていくのが目的の経営シミュレーションゲームだ。ビーチリゾートにはつきものの飲食店やボートハウスのようなものを建てたり、リゾートを維持していくための掃除人やメンテナンス員を雇ったりしながら、お客たちが良いと思ってくれるようなリゾートを目指していく。

 ゲームはキャンペーンモードに用意された各地のリゾートで、それぞれに課されたクリア条件を満たしていくことで進んでいく。初めのほうは、すべての種類の建物をこれこれの期日までに全部建てなさいといった簡単な内容なのだが、徐々にクリア条件は厳しくなっていき、またその過程で、「Spring Break」内でできることをプレーヤーが徐々に学べるよう工夫されている。また、メインのキャンペーンモードでプレイしたマップは「Sandbox」モードでいちから自由にリゾートを作り上げられる。こちらは、クリア条件のない無制限プレイなので、箱庭経営の楽しさがいっそう満喫できるだろう。

 「Spring Break」はお客を満足させるためにみやげ物屋や飲食店、彼らの泊まるホテルなどを建て、それを維持するための人を雇ってリゾートを経営するという、非常にストレートな内容の箱庭経営シミュレーションである。ただし、基本にあるのは建てたり雇ったりといったシンプルなものなのだが、ゲーム内で用意されている各シナリオマップはそれぞれに歯ごたえのある難易度であり、だらだらとした経営を許さないテンポの良いプレイを楽しめる。とことんミニミニしている箱庭グラフィックに陶然としながら、色々な問題を抱えたリゾートを次々と立て直していこう。

「どうだ!」と言わんばかりの細かく美しい2Dグラフィック 作業が進むにしたがってできあがっていく建物グラフィックも可愛い 建物は飲食店や管理のためのもの、ビーチにしか設置できないものなど様々な種類がある

リゾート客たちは船やバスで訪れる。お客を喜ばせるかさめざめ泣かせるかはプレーヤーしだい ミッションクリア型のキャンペーンモードがメイン。クリア条件を満たそう それぞれに問題を抱えているリゾートを経営して、次々と生まれ変わらせていく

さまざまな建物を建ててお客を満足させる

 ゲーム内でプレーヤーが建てられるのは、大きく分けて次の3つとなる。建物を建てるには建設作業所を作って作業員を雇う必要がある。また、建物設置時には建物の向きを変えられ、狭いリゾートマップなどではすでに配置された木やベンチなどを撤去して、ぎゅうぎゅう建てていく必要があったりもする。

 どの場所にどれくらい建てるのか、儲けがきちんと出ているのかを気にしながら様々な役割を持っている建物を建てていく。また、各建物は電力を消費するため、発電所でまかなえる量の電力になるように気をつけなくてはならない。

ホテルやリゾート管理のための建物
リゾートに来る人々が宿泊できるホテルや、建物を建てるための建設作業所、発電所といったリゾート経営の根幹となる建物や、メンテナンス作業員の小屋、掃除人の小屋といったように維持のための人員を雇える建物、そしてみやげ物屋やライフガード小屋などがある
飲食店
スタイリッシュなプールバーや浜辺のバーベキューエリアなど、見ているだけでもワクワクするような飲食店が数多く用意されている。イギリスのパブ風やギラギラネオン風などのテーマバーも、いかにもリゾートといった気分を盛り上げてくれる。飲み物や食べ物を買い終わって満足したリゾート客が、大きくサムズアップのマークを出すのは気分がいい
レジャー施設
「Spring Break」に登場する建物には、浜辺にしか建てられないもの、海上にしか建てられないものもある。娯楽関連施設としてジャグジー、ビーチディスコ、ジェットスキー屋やパーティーボート用の桟橋などが用意されおり、そのどれもが細かく描き込まれていてたまらない

 また、これらの建物を建てたり維持したり客を満足させるためには、建設作業員や掃除人、ライフガードといった人々を雇うのだが、彼らには勤務時間があるため、24時間営業のドリンクバーのまわりを掃除させるようなシフトを組んだり、マップのクリア条件を達成するため、建設作業員を昼夜二交代のスケジュールにしたりと、細かな部分まで調整できる。もちろん、店で売る食べ物やみやげ物などの値段は細かく設定でき、ホテル代なども自分で変更できる。この辺の細かい数字をいじれるのは、経営シム好きには嬉しいポイントだ。

我がままな客を満足させよう

不満のあるお客はバッドマークのアイコンを出しながら、さめざめと泣いたりする
時間の流れがあり、夜はがらりと雰囲気が異なる
 リゾートにやってくるお客たちは、みんなとても我がまま。カフェやお土産屋、ビーチで遊ぶものを借りられる店などがないと、気分はどんどん落ち込み、リゾートから離島していってしまう。彼ら自身が出すゴミや人が大勢出入りするトイレなどもきれいにし、なるべく、こぎれいで素敵でアミューズメントも充実したリゾートの状態を保たなくてはならないのだ。

 リゾート客たちは、それぞれにリゾートへの感想や不満、満足などを持っていて、適宜、グッドかバッドかのアイコンを頭の上にポップアップさせて、プレーヤーを一喜一憂させる。建物を建てるにはお金がかかるし、かといってケチっていると客を満足させられない。この辺のバランスを考えながら、なおかつマップのクリア条件を満たさなくてはならないため、プレーヤーは知らず知らず、常にリゾートのあちこちに気を配る経営者になってしまうだろう。それが忙しくもありやりがいもあるポイントになっている。

 また、「Spring Break」の一番の魅力はやはりその箱庭グラフィックだ。もう秋だというのに、無性に泳ぎに行きたくなってしまうような、そんなリゾートグラフィックは本当にお見事。島を舞台にした経営シミュレーションというと「Tropico」が思い出されるが、「Spring Break」は最大拡大時のグラフィックこそ、やや「Tropico」に劣るものの、箱庭度では決してひけをとっていない。

 客のひとりひとりが自由に動き回り、それぞれが行動する様は見ていて本当に飽きないのだ。ただ、多少、不満に思ったのはどのリゾートも青い海と白いビーチで同じようなリゾートに見えることだろうか。あまりにも美しく細かな描きこみなので欲が出てしまう。贅沢を言えば、例えばアジアンリゾート風のグラフィックといったように、建物の効果は同じでもグラフィックは世界各国のリゾート風のものが見たかった。

 「Spring Break」は、久々にお目にかかる直球勝負な内容の経営シミュレーションで、いろんな種類のお店を建てて、ちょこちょこインカムがあって、というのが好きな人にはたまらないゲームである。ゲームの中にあるプールに飛び込んだり、ビーチバーで一杯やりたいと思わせるような箱庭グラフィックと、メリハリとチャレンジしがいのある各シナリオマップに夢中にさせられてしまう。箱庭経営シミュレーション好きならばマストバイな一本と言えるだろう。プレイアブルデモも発表されているので、まずはそちらでプレイしてもらいたい。

 なお、US版は「Spring Break」のタイトル名で発売されているが、UK版でのタイトルは「Beach Life」となっている。店によってはUK版を置いている可能性もあるので、「Spring Break」もしくは「Beach Life」両方のタイトルで探してみよう。

貸しボート屋などを開くと、さっそくお客がボードなどを借りて海に出る 夜になるとビーチバーが大繁盛。夜間に掃除する人を雇うのも忘れずに 船やバスから大量にお客が降りてくると、これから儲かるお金が頭に浮かんでニヤリとしてしまう

老朽化したり壊れたりした建物には修理アイコンが出るので、作業員を派遣 店や施設によって男性客、女性客へのアピール度が異なる 夜で掃除人が帰ってしまったため、散らかり放題になってしまった飲食店前

Virtual Resort: Spring Break is a trademark of Eidos Interactive, Inc. (c)2002 Eidos Interactive, Inc. Developed by Deep Red Games Ltd. Published by Eidos Interactive. Eidos, Eidos Interactive, and the Eidos Interactive logo are all registered trademarks of Eidos Interactive, Inc. Deep Red, Deep Red Games and the Deep Red logo are all registered trademarks of Deep Red Games Ltd. The ratings icon is a registered trademark of the Interactive Digital Software Association. All rights reserved.

【Spring Break】
  • ジャンル:ジャンル:リゾート経営シミュレータ
  • 開発元:Deep Red Games
  • 発売元:Eidos Interactive
  • 価格::4,880円(実売価格)
  • 対応OS:Windows 98/Me/XP
  • CPU:PentiunII 450MHz以上(Pentium II 800MHz以上を推奨)
  • メモリ:128MB以上(256MB以上を推奨)


□「Spring Break」の公式ホームページ(英語)
http://www.eidosinteractive.com/games/embed.html?gmid=119
□ズーの「Mafia」日本語版リリース情報
http://gamezone.zoo.co.jp/release_mafia.html
□関連情報
【2002年3月23日】ミスター「ゲームブック」は、英ゲーム界の良き相談役
Eidos会長イアン・リビングストン氏インタビュー
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020323/ian.htm
【2002年10月2日】「Spring Break」プレイアブルデモ
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20021002/demo1002.htm


気になる直輸入ソフト

  ゲーマーが待ち望んでいたビッグタイトル、「Unreal Tournament 2003」がとうとう店頭にも登場した。また、宇宙空間を舞台にしたMMORPG「Earth & Beyond」なども並べられており、なかなか盛りだくさんな入荷状況である。ビッグタイトル以外にも、Might&Magicシリーズ、「Heroes of Might&Magic」シリーズをまとめたパッケージ商品なども出回っているので、秋の夜長はとことん遊べる良作ゲームで過ごせそうだ。

 そのほかでは、「Heroes of Might&Magic IV」の拡張セット「Heroes of Might and Magic IV: The Gathering Storm(4,800円)」、フランスのMonte Cristo開発の恐竜たちのテーマパークを経営するシミュレーション「Dino Island(4,800円)」、EA Sportsブランドのサッカーチーム経営シミュレーション「EA Total Club Manager 2003(6,400円)」などが並んでいた。

 また、海外ゲームの入荷が早いラオックスゲーム館だが、ゲーム館ごと旧T-ZONEミナミの建物に引越しをしており、10月10日(木)からアソビットシティとして新装オープンする予定となっている。

Unreal Tournament 2003
実売価格:6,981円 ジャンル:リゾート経営SLG Demo版

 マルチプレイに主眼を置いた人気FPSシリーズの最新作。対戦に特化した内容のため、臨場感と緊迫感あふれる戦いが楽しめる。FPS初心者から上級者まで夢中になれるクオリティはさすがだ。なお、日本語マニュアルつき英語版はサイバーフロントから10月25日に発売予定だ。

Unreal (R) Tournament 2003 (C) 2002 Epic Games, Inc. Raleigh, N.C. USA. Unreal and the Unreal logo are registered trademarks of Epic Games, Inc. ALL RIGHTS RESERVED. All other trademarks and trade names are the property of their respective owners. Unreal Tournament 2003 was created by Digital Extremes. Manufactured and marketed by Infogrames, Inc., New York, New York, under license from Epic Games, Inc.

Earth & Beyond
実売価格:4,500円~6,380円 ジャンル:RTS

 Command&Conquerシリーズなどで知られるWestwood社が開発した、宇宙空間を舞台とした異色MMORPG。自分だけの宇宙船であちこちを渡りながら、兵士や商売人、探検家などとしての人生を歩むことができる。ファンタジーものに飽きた人にお勧めしたい。

(c)2002 Electronic Arts Inc. All rights reserved.

(2002年10月9日)

[Reported by 西尾ゆき]


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