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【連載第25回】 気になる海外ゲームをピックアップ


西尾ゆきの海外ゲームレポート

必殺技で悪者どもをなぎはらえ!
アメコミ調ヒーローとなって戦うタクティカルRPG
「Freedom Force」

 「Freedom Force」は正義を愛する彼らを操って、悪者達の陰謀を阻止しようというタクティカルRPGだ。「For Freedom!」などと叫びながら悪漢を殴り飛ばすムキムキのアメコミ調ヒーローたち。いかにもな風体と吹きだしによるセリフ、飛び出す擬音などで、たった今コミックから抜け出してきたような印象を受けてしまうゲームだ。正義の味方になった気分で必殺技を駆使し、宇宙の平和を守ろう!

アメコミ風なヒーローが続々登場のタクティカルRPG

 「Freedom Force」はアメコミ調ヒーローの世界に徹底的にこだわったミッションクリア型のタクティカルRPGだ。主人公はコミックから抜け出してきたようなヒーローたちばかり。力の強いヒーロー、サイキックな力が使えるヒーローなど、それぞれの得意技を駆使し、悪の帝王を目指す異星人から地球と宇宙の平和を守るために様々な敵と戦っていかねばならない。決め台詞を叫びながら悪者達をなぎはらい、市民を助け、悪者を追い詰めていく。そんなヒーロー活劇をまるごとゲーム化したのが「Freedom Force」なのだ。

 プレーヤーは、必殺技や能力が異なるヒーローたちの中から4人を選んでリアルタイムに操作し、悪者との対決を軸にストーリーが展開していく。ミッションマップを次々とクリアしていくことでゲームが進み、ミッションクリアで得たポイントで各ヒーローのステータスを好きなようにアップしていける。ヒーローを操作し、ミッションをクリアしてキャラクタを成長させ、そしてまた次のミッションに挑んでいくのである。

 タクティカルRPGと銘打たれているように、操作はリアルタイムストラテジー風で、キャラクタはワンクリックで移動・攻撃ができて遊びやすい。フィールドはクォータービューの3Dグラフィックで描かれており、360度グルグルと回せるほか、ズームイン・アウトもかなり自由自在。映画のワンシーンのようなアップから、空を飛んでいるような距離からの俯瞰も可能だ。ミッションの冒頭には動く漫画といった風情のムービーが流れるほか、文字のフォントがすべてコミック調だったり、ゲーム中は擬音の文字がびしびし飛び出したりするため、3Dグラフィックの本編までもが、まるでコミックの中の世界のように思われる。

4人のキャラクタをストラテジー風にリアルタイムで操作しながら、数々のミッションをこなしていく ヒーローの必殺技や敵の攻撃はどれもド派手なエフェクトがついていて激しい戦闘が楽しめる ヒーローなので、信号機を引き抜いて振りまわるなんてことも可能。マップ内のオブジェクトをうまく活用する

RPGというよりは、操作体系なども含めてリアルタイムストラテジー系に近いプレイ感 ズームイン・ズームアウト、回転も思いのまま。キャラクタがビルの影に入ると自動的に前面が半透明になる 悪者を次々とKOしていくヒーローたち。正義の味方なので殺したりはしない

ミッションをクリアしてヒーローを成長させろ!

 ゲームの主なクエストは、ヒーローたちを操作してミッションをクリアしていき、悪者達と対決することだ。ヒーローたちの移動は行きたい場所をクリックするだけ。敵にカーソルを合わせると自動的に攻撃マークに変化して、そのままクリックで攻撃してくれる。道に落ちているアイテムを拾ったり、通行人に話し掛けたりするときも同様だ。極端な話、すべて左クリックでリアルタイムにゲームを進めていくことができる。

 もちろん、ショートカットも用意されているので、数字キーでキャラ選択、ファンクションキーで必殺技や攻撃方法選択、そして敵をクリックという感じでなめらかに一連の攻撃アクションを行なえる。攻撃方法はいちいち選ばなくても、現在選択中の方法で攻撃してくれるので手間もない。さらに親切設計なことに、敵や自分を右クリックすれば時が止まり、アクションがメニュー表示されて、ゆっくりと行動を選択することもできる。ゲーム性はまったく異なるが、「Baldur's Gate」シリーズをもっと遊びやすくしたような操作体系だ。

 RTS風にキャラクタを動かしながら、敵を倒し、情報を得たりして、そのミッションごとのクリア条件を達成していくわけなのだが、ミッションのクリア条件はミッションごとに異なり、大筋ではそのマップ内の悪者を退治したり、新たなヒーローを仲間に加えたりするのが目標となる。また、そういったメインクエストのほかに、サブクエストも設定されている。

 メインクエストをクリアしさえすればストーリーは進んでいくのだが、サブクエストをもクリアすることでより多くのポイントが得られるのだ。たとえば、敵の怪人を見つけるのが主クエストであれば、街にいるすべてのならず者を倒すのがサブクエストになっている。きちんとクリアしたサブクエストや倒した敵の数によってポイントが増え、それによってヒーローたちも大きく成長していくわけだ。ただし、悪者に乱暴されたり、戦闘に巻き込まれたりして怪我をした市民がいる場合はポイントを減らされてしまう。単に力を振るうだけではなく、罪なき人々の安全も気にするという、正義の味方としての行動が自然に身に付く仕組みになっている。

各ミッションの山場では、顔のアップとしゃべりも挿入されたこんなムービーが流れる レベルアップで得たポイントを使ってヒーローの能力パラメーターを上げたり、新しい必殺技を覚えたりする

ミッション前にはコミック風のムービーが流れて臨場感を高めていく ミッションごとに設定されたクリア条件。サブクエストもクリアしておけばポイントアップ

強烈な個性を持ったヒーローたち

 ゲームを始めたばかりの時、プレーヤーは“MINUTEMAN”というヒーローしか操作できないのだが、ミッションが進むと新たなヒーロー仲間が登場し、最終的には大勢のヒーローの中から4人を選んでミッションを遂行していくようになる。ミッションごとのムービーやゲームフィールド内に点々と設置されたTIPSなどのおかげで、ゲームが進むにつれて、彼らがいかにヒーロー体質になったか、どんな必殺技を持っているのか、そして地球にどんな危機がせまっているのかが徐々にわかるよう工夫されている。

 そして、なんといってもポイントなのは、ヒーローたちの強烈な個性と造形だ。最初に使うMINUTEMANの南北戦争愛国心ばりばり風の出で立ちといい、スペイン語なまりの炎のラテンヒーローEL DIABLOといい、スパイダーマンならぬアントマンのTHE ANTといい、とにかく強烈なメンツが揃っている。敵役の怪人たちも毛皮の帽子をかぶったロシアなまりの男だったりするなど、ゲーム全編を覆うコテコテなまでのヒーローコミックぶりには、ついつい笑ってしまうことも多い。

 だが、かといって、滑稽なだけでもないのが「Freedom Force」のいいところで、派手なエフェクトの必殺技をきめ台詞と共に炸裂させるヒーロー達は、かっこよさも抜群。ミッションクリアによって得たポイントで贔屓のヒーローが新たな必殺技を得た時は、早く使いたくてうずうずしてしまう。

 また、ヒーローたちは、自分達の必殺技と共にマップ内にある様々なオブジェクトを戦いに利用できる。たとえば、信号機を引っこ抜いたかと思うと、それを振り回して悪者どもをなぎはらったり、路上に駐車している車を担いだかと思うと、それを道路越しに投げつけたり、見ているだけで痛快なワザが続出だ。エリア内にあるものの多くを動かしたり担いだりできるので、それらを利用して暴れるのは楽しみのひとつ。車を抱え上げて敵に投げつけるといった、正義の味方だけに許される傍若無人さは、ゲームのワクワクさ加減に一役買っている。

通常攻撃も必殺技もすべて左クリックひとつでOK。対象を右クリックすればメニューも出る ヒーローによって攻撃技や強さなどの特徴が大きく異なる。もちろん見た目も重要 ヒーローの自作も可能! 好きなキャラクタモデルを選んでパラメーターを振っていけばオリジナルヒーローのできあがり

【「Freedom Force」のヒーローたち】
MINUTEMAN
アメリカ良心の権化みたいなヒーロー。愛国の鷲の杖を片手にビルもひとっとびだ。実は74歳だったりする
MENTOR
マインドパワーで敵をハテナ状態に洗脳! しかし、そばにいた仲間のヒーローたちが混乱してしまうことも

EL DIABLO
情熱のラテンヒーロー、EL DIABLO。足から炎を吹きだして空を飛ぶほか、炎のビームで敵を焼き尽くす
MAN-BOT
人間ロボットとEL DIABLOに名づけてもらったヒーロー。MINUTEMANと同様に力持ちで車を投げ飛ばせる

タクティカルRPGってどんな感じ?

 このゲーム、プレイする前はどういう内容のゲームシステムなんだろうと謎に思っていたのだが、プレイした印象では、RPGというよりストラテジーの乗りに近い。キャラクタが成長する部分はRPGであるけれど、ミッションごとに用意されたマップをクリアしていくのと、リアルタイムストラテジー風にヒーローを操作できるのとでRPGという語感からは異なる印象だ。少数精鋭の特殊ユニットを成長させながら進むといった感じで、コンシューマでのシミュレーションRPGともまた違った、ストラテジーに近いプレイ感覚だった。

 操作面で言えば、キャラクタを全選択している時だと、キャラを右クリックしても個別メニューが出ない、ズームアウトしていると敵キャラをクリックしにくいなど、多少ひっかかる部分もあったが、操作体系が全般的にシンプルなおかげで、焦って手元が狂うことはありつつも、ヒーロー4人を同時に扱うにしてはプレイに困ったりはしない。

 もちろん、このゲームをプレイしていて一番印象が強いのはゲームの主役である個性的なヒーローたちである。アメコミに詳しくない筆者でも、そのコテコテさ加減にはかなり笑えるし、しかも戦闘ではとことんかっこいいというのにしびれた。また、ミッションの山場や合間にはさまるシーンでは、ヒーローたちのユーモラスなやり取りも堪能できる。

 グラフィックデザイン的にも非常に凝っていて、すべてコミックを連想させるような統一感持っているのも素晴らしい。

 アメコミということで日本人にはなかなかなじみづらい絵柄だが、ここまで濃いとかえって気にならないのではないだろうか? コミックがそのままゲームになってしまったようなグラフィック&ストーリーと、ヒーローたちを死なさずに敵を倒していかねばならない戦闘パートが相まって、大変楽しい作品に仕上がっている。ミリタリー系やファンタジー系のゲームに飽きてしまった時、たまにはこんな底抜けで考えなしに明るいゲームをプレイするのもいいのではないだろうか?

アクシデントで地球に落下したエナジーXというマテリアルによって一般の人々がにわかヒーローに 力持ちのMAN-BOTでパトカーを抱えて悪者に投げつける。一般人を巻き込まないように注意 ミッションの合間にはデータベースでそれまで出会った悪者やヒーローをチェック

怪人Nuclear Winter(なんという名前!)を捉えて警察に引き渡したFreedom Forceの面々 ミッションが進むにつれて新たなヒーローと出会い、彼らを助ける事で仲間にできる ポップアップする擬音もすべてアメコミ調。2Dと3Dのエフェクトがうまく使いわけられている

街灯を抜いて振り回し、複数の敵を一度にぶん殴る事もできる。けっこう乱暴なヒーロー達 一般市民を助けるミッション。ストーリーが進むにつれて正義の味方としての名声も徐々に上がっていく

(c)2002 Irrational Games LLC. All rights reserved.

【Freedom Force】
  • ジャンル:ジャンル:タクティカルRPG
  • 開発元:Irrational Games
  • 発売元:Electronic Arts
  • 価格:実売6,200円~6,630円程度
  • 対応OS:Windows 98/XP/Me/2000
  • CPU:Pentium III 600MHz以上
  • メモリ:128MB以上
  • HDD:570MB以上
  • ビデオメモリ:16MB以上(32MB以上を推奨)


□「Freedom Force」公式ホームページ
http://www.myfreedomforce.com/
□「Freedom Force」デモ版
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020410/demo0410.htm


今週の気になる直輸入ソフト

 間にゴールデンウィークをはさんで2週ぶりの直輸入ソフトチェックだが、今回は、超大作RPGの「The Elder Scrolls III: Morrowind」がついに発売された。通常パッケージ版とコレクターズエディション版があるのだが、筆者が店に行った際には、通常パッケージ版なら各店共にまだ若干数並んでいたので、ほしい人はお早めに。

 このほか、OverTopにはATARI30周年を記念して昔の作品をリバイバルした作品集「Atari Revival」(3,800円)、現実世界を舞台にしたリアルなウォーストラテジーの「Super Power」(4,800円)、ティーンエイジャーの魔法使いが活躍するアドベンチャーシリーズの最新作「Simon the Sorcerer 3D」(5,940円)、ジュール・ヴェルヌの「海底2万里」を題材にしたアドベンチャー「Mystery of the Nautilus」(3,800円)などが並んでいた。

 一方、LaOXゲーム館には「Delta Force Trilogy」(4,880円)やアーサー王伝説を舞台に、ブリテンの騎士、もしくはケルトの戦士となって世界を冒険をするアドベンチャーゲーム「Arthur's Knights Chapter 2 The Secret of Merlin(3,380円)」、宇宙を舞台にした3D RTS「Project Earth」(4,380円)、「Combat Medic」が並んでいた。

 また、両店舗共にUnreal Tournamentの人気MOD「Tactical Ops」を単体パッケージにした「Tactical Ops: Assault on Terror」(4,800~4,950円)が入荷していた。今作では新マップのほかシングルプレイモードも付け加えられている。

The Elder Scrolls III: Morrowind
実売価格:7,250円~8,200円 ジャンル:シングルRPG

 半端でなく広い世界と、こった舞台設定、とことん自由度の高いゲームシステムなどで人気のシングルRPG。クエストをこなしてキャラクタを育てていくというオーソドックスさと、ばれさえしなければ盗みや殺人もできてしまうという自由度が渾然一体となった秀作。OverTopにはコレクターズエディション(9,800円)も僅かに並んでいた。次回の海外ゲームレポート(5/29掲載分)で詳しく取り上げる予定なのでお楽しみに。

(c)2002 Bathesda Softworks Inc. A ZeniMax Media company, All rights reserved.

Trains&Trucks Tycoon
実売価格:5,780円 ジャンル:経営シム Demo版

 鉄道やトラックなどによる物流で儲ける経営シム。最近のTycoonもののテーマは何でもあり状態になっているが、このゲームは人や物の輸送で儲けるもので、往年のTransport Tycoonを思わせるテーマだ。経営ゲームでありながらバリバリの3Dを採用しており、従来の箱庭系経営シムよりダイナミックさと臨場感とが増している。

(c) 2002 VIRTUAL X-CITEMENT SOFTWARE. All rights reserved. Published by UBI SOFT Entertainment.

Factory Mogul
実売価格:4,430円 ジャンル:経営シム

 憑かれたように経営シムや箱庭系ゲームばかりを開発してるフランスの会社Monte Cristoが送る工場経営シミュレーション。ヨーロッパでCrazy Factoryとして発売されているものだ。人を雇い、工場を作り、開発にいそしみ、生産した品で儲けていくという、王道をいくような作りのゲームで、Cartoon風にデフォルメされたグラフィックもかわいらしい。生産するのは、ローラーブレードに、家事ロボット、未来風トイレなのだが、開発次第ではトイレにテレビをビルトインしたり、音声認識のウォシュレット機能をつけたりといったことができる。より機能の高い製品を低予算で生産・販売し、利益を上げていくことになる。

(c)2002 Dreamcatcher Interactive, Inc.

(2001年5月15日)

[Reported by 西尾ゆき]


ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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