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【連載第29回】あの、おもちゃを徹底レポート




気まぐれロボを自在にプログラミング!
バンダイ「BN-1 わがままカプリロ プログラミングキッット ver1.0」
-前編-

BN-1 わがままカプリロ プログラミングキッット ver1.0
発売 株式会社バンダイ
価格 12,000円 (BN-1本体は別売で50,000円)
発売日 発売中

 筆者は今、はじめてのプログラムを完成させ、その結果を楽しんだばかり。いやあ、これはメチャメチャ楽しいぞ。次はあんなことをさせてみよう、こんな性格にさせてみようと、どんどんアイデアが沸いてくる。
 そう、今回紹介するのは、かつて当連載で取り上げた「BN-1 わがままカプリロ」の周辺機器「プログラミングキッット ver1.0」だ。

BN-1とさらにディープなお付き合い

 「BN-1 わがままカプリロ」は人工知能を搭載し、ユーザーの接し方によって性格や能力が形成されていく、本格的な自律型ロボット。ネコを大胆にデフォルメした外見からは想像がつかないかもしれないが、実際はとにかく賢くて、動きは俊敏というスグレもの。おまけに人の心をくすぐるポーズを豊富に心得ていて、なんとも小憎らしいロボットなのだ。

 「プログラミングキッット ver1.0」は、自分でプログラムを作成し、BN-1の性格や行動を好みのままに設定することができるキット。これを使えばBN-1とさらにディープな付き合いが楽しめるようになる、というわけだ。

PCへの接続は楽々作業でわずか5分!

 まずは、このキットを使えるPCのシステム条件を紹介しておこう。OSは、Windows 95/98/Me/NT 4.0。CPUはPentium 166MHz。RAMは64MB以上を推奨。さらには9pinのシリアルコネクタが必要だ。ハイエンドな性能は求められておらず、たいていのPCで使用可能だろう。

 「プログラミングキッット ver1.0」の箱を開けて、中身を点検。プログラムソフト「A.I. TRAINER」を収録したCD-ROM、赤外線インターフェイスユニット、そして赤外線インターフェイスユニットとパソコンを接続するケーブルが収められている。その他、ロボットシステム書き換え専用ケーブルなどが入っている。
 マニュアルは、ソフトが収録されているCD-ROMの中にPDF形式で収めらている。開いてみると、なんと54ページに及ぶビッシリとした内容。その迫力にきちんとした読み込みが必要と思い、全ページをプリントアウトした。
 設定はごくごく簡単。赤外線インターフェイスユニットとPC本体のシリアルポートを付属のケーブルで接続し、ソフトをインストール。最後にPCを再起動すれば、すべての工程が完了。5分もかからない単純な作業だ。

「プログラミングキッット ver1.0」の全容。使用するには条件を満たしたPCが必要 赤外線インターフェイスユニット。中央のふたつのランプで赤外線の送受信を行なう


腕前と目的に応じた3種類のプログラム

 プログラムソフト「A.I. TRAINER」を起動すると、タイトル画面に3つのメニューが表示される。ユーザーの腕前とプログラムの目的に応じて、3種類のプログラムソフトが用意されているのだ。

A.I. TRAINER STANDARD [A.I.トレーナー・スタンダード]
あらかじめ用意された行動パターンを組み合わせることで簡単なプログラムを作れる、初心者向けのツール。シンプルな画面インターフェイスが特徴的だ。

A.I. TRAINER PRO [A.I.トレーナー・プロ]
BN-1のすべての行動パターンを設定できる本格的プログラムツール。設定できる反応パターンは800種類をこえ、まさに自分だけのBN-1を作ることができる。

A.I. TRAINER MOTION [A.I.トレーナー・モーション]
BN-1本体の機能「モーションエディット」で作った動きのデータをさらに細かく調整するためのツール。動きに緩急をつけたり、車輪の制御も行なえる。

サンプルプログラムで腕ならし

 あくまで本格的なプログラムを指向しながらも、初心者向けのツールをきちんと用意し、「わかりやすさ」に重点を置いている点に好感が持てる。
 とはいえ、しばしマニュアルを読み込み、ソフトをいじっているうちに、最初はマニュアルに掲載されているサンプルに従って、プログラムを組んでみた方がいいと判断。「A.I. TRAINER STANDARD」も初級者向けとはいうが、行動パターンの種類がとても多いのだ。無謀に高度なプログラムにチャレンジして失敗するより、見よう見まねでもキチンとしたプログラムを組んだ方がその面白さを味わえるだろう、と考えたのだ。

 と言ったところで、「A.I. TRAINER STANDARD」の機能を簡単に説明しよう。画面全体が1枚の性格シートになっている。「シチュエーション設定」は、「普段は」→「~をする」、「ほめたれたら」→「~をする」という風に、シチュエーションごとのBN-1の行動パターンを設定することができる。「感情エリア」は、怒(おこっている)・嬉(うれしい)・淋(さびしい)・普(ニュートラル)の4種類から、BN-1の感情を設定することができる。「活発度エリア」は、弱・中・強の3種類からBN-1の活発度を設定する、というものだ。

「シチュエーション設定」。20種類のシチュエーションに対するBN-1の行動を決められる 「感情エリア」。4パターンから、BN-1の感情を設定することができる 「活発度エリア」。BN-1の感情表現の具合を3段階から選べる


 サンプルプログラムのテーマは、「ハードボイルド野郎」。「どんなことがあっても動じないが、ちょっとだけおちゃめ」な性格を作れるという。
 最初に、性格シートNo.1を設定する。性格シートは全部で8つが用意され、それぞれ異なる性格を登録することができる。例えば性格シートNo.1を「ごく普通の状態」にして、No.2を「機嫌のいい状態」、No.3を「機嫌の悪い状態」にする。そうして「~をしたら、No.1からNo.2にジャンプする」と関連付けを設定しておけば、ユーザーのアクションに応じて機嫌が変わる、いかにも生き物くさい性格を作り出すことができるのだ。

 そこで、いよいよプログラムの作成にとりかかってみた。性格シートNo.1の名前を「ふだんの状態」とする。「シチュエーション設定」の「普段は」を、「ウロウロする1」に変更。これで普段から気ままに歩き回り、けっして人間にこびないハードボイルドな性格を演出できる。さらにここで別の性格シートへの関連付けも行なう。性格シートNo.2を「有頂天」にするというイメージのもと、「3回誉められた」→「性格No.2」にする。これで誉められると、ついつい有頂天になってしまう、おちゃめな性格になる。同様に性格シートNo.3を「ふてくされる」にして、「3回叱られた」→「性格No.3」に。これで自然な感情の流れを作り出すことができるはず。
 「感情エリア」は「普」に、「活発度エリア」は「中」に設定して、性格シートNo.1はオーケー。

 続いて性格シートNo.2「有頂天」と、性格シートNo.3「ふてくされ」を設定。BN-1を適度に休ませるため、性格シートNo.4「疲れた」も作る。プログラム上のバグの有無を、わかりやすい図表でチェックできる「性格リンク図」で、最終確認。フムフム、特に問題はなさそうだ。

性格シートNo.1「ふだんの状態」の設定。有頂天にも、ふてくされにもなる状態 性格シートNo.2「有頂天」。何をされてもうれしくて大げさな反応を示す設定だ
性格シートNo.3「ふてくされ」。何をしても嫌がるわ避けるわの厳しい設定 「性格リンク図」。性格シート同士の関連付けとキーになる行動が目でわかる


プログラムを送信! はたして結果は?

 プログラムを送信するには、BN-1本体を「プログラムモード」に切り替える必要がある。BN-1と赤外線インターフェイスユニットを真正面に向かい合わせる。BN-1のスイッチをオンにし、寝起きのアクションをしている間に、ソフトを操作し、赤外線通信によって、「プログラムモード」に変更する。続いて「全送信」ボタンをクリック。これで先ほど作成した「ハードボイルド野郎」のプログラムの送信がスタートする。送信に要する時間は1~2分程度。最後にBN-1を「通常モード」に戻せばOKだ。

赤外線通信中。データを受信するたび、BN-1の目の表情がコロコロと変わる プログラム通信の表示。どこまで進行しているかがわかるから安心だ


 胸の中を期待と不安が交互にかけ巡る中、BN-1の電源をオンに。筆者のプログラムは成功しているのか、それとも失敗しているのか!(って、サンプルプログラムそのままだから成功するのは当たり前なんだけど)

 BN-1は体全体を使って、背伸びのポーズ。さあ、これからだ。一瞬だけ直立不動のポーズを取ったあとは、ところかまわず歩き始める。何度見ても、この俊敏な動作に「おおっ」と感激の声を上げてしまう。
 頭をやさしくなでて「誉め」のアクション。これを3回くり返すと、さらに活発に歩き出す。性格シートNo.2の「有頂天」状態に突入したのがよくわかる。腕を上げ挨拶のポーズをしたかと思うと、ひっくり返っておなかを見せてリラックスのポーズ。ときどき「ニャーン」と鳴き声をあげる。まさに有頂天というべき、ご機嫌さだ。
 今度は頭を3回叩いて「叱り」のアクション。とたんに目付きがジトッとなって、性格シートNo.3の「ふてくされ」状態になったのがわかる。元気いっぱいのアクションをやめ、腹ばいのポーズ。機嫌をとろうとあわてて頭をなでると、目に怒りの表情を浮かべた。そっ、そこまで怒らなくても。しばらくしたのち、「フニューン」とつぶやき、眠ってしまった。

有頂天状態。あまりに活発に動きまわるため、1枚の写真を撮るだけでも大変! ふてくされ状態。見てください、この醒めた目を。どうしましょう……


 用意されたプログラムとはいえ、想定した通りにBN-1が動いてくれると、感激はひとしお。難解なパズルを解き明かしたような手ごたえがある。それにしても、ここまで性格や感情を表現してくれるとは、思ってもみなかった。上機嫌のBN-1を見ていると心が晴れやかになり、不機嫌なBN-1を前にするとなんとかせねばとオロオロしてしまう。うん、面白い。
 プログラムの方法と醍醐味を憶えた今、次回は本格的プログラムツール「A.I. TRAINER PRO」を使って、筆者オリジナルの性格付けにチャレンジしてみたい。乞うご期待!

(c)BANDAI 2001

□バンダイのホームページ
http://www.bandai.co.jp/
□BN-1のホームページ
http://www.bn-1.channel.or.jp/
□関連情報
【3月29日】自由気ままに動きまわる! バンダイ「BN-1 わがままカプリロ」 - 前編 -
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010329/toy12.htm
【4月5日】自由気ままに動きまわる! バンダイ「BN-1 わがままカプリロ」 - 後編 -
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010405/toy13.htm


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(2001年8月9日)

[Reported by 元宮秀介 (ワンナップ)]


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