「ガールズ&パンツァー」好きなら「World of Tanks」に来い!

第8回:目指せ重戦車キラー!「M3中戦車リー」を「WoT」で動かす

今回扱う車両:Tier4中戦車「M3 Lee」

ウサギさんチーム「M3中戦車リー」

 アニメ「ガールズ&パンツァー」(以下、ガルパン)とオンライン戦車アクションゲーム「World of Tanks」(以下、WoT)のコラボ連載。今回は大洗女子学園でウサギさんチーム(1年生チーム)が操る戦車「M3中戦車リー」をご紹介する。

 チームメンバーは6人で、大洗女子学園の戦車チームの中では最多。しかし唯一の1年生チームということもあってか、最初の練習試合ではぬかるみで履帯が空転した挙句にエンジンブローで自滅、聖グロリアーナ女学院との練習試合では戦車を放棄して逃げる(砲撃戦の最中に生身で走り去る方が勇気がいるが)など、頼りない面も見せていた。

 しかし試合を重ねる中で、先輩たちの活躍する姿に感化されて成長。指示された役割を遂行するだけでなく、自ら作戦を練って戦い、重戦車をも撃破する活躍を見せる。「ガルパン」は戦車道を通じて登場人物が成長する姿を描く作品だが、その中でもウサギさんチームの成長は著しい。視聴者も彼女らの戦いをハラハラしながら見て、意外な奮闘に驚かされて、まるで我が子の成長を見る保護者のような気分になる。

 そういう彼女らのキャラクター性と、凶悪そうなウサギのロゴの印象が強すぎるせいか、「M3中戦車リー」という戦車のイメージはあまり強くないかもしれない。しかし「WoT」の多くのプレーヤーにとっては、最も印象深い戦車の1つとなっている。どんな特徴を持つ戦車なのか、「WoT」で見ていこう。

【ウサギさんチーム】
澤梓(車長)
山郷あゆみ(主砲砲手)
丸山紗希(副砲装填手)
阪口桂利奈(操縦手)
宇津木優季(通信手/主砲装填手)
大野あや(副砲砲手)

「M3中戦車リー」こと「M3 Lee」を「WoT」で入手

「M3 Lee」はアメリカのTier4中戦車として登場する

 「M3中戦車リー」は、「WoT」ではアメリカのTier4中戦車「M3 Lee」として登場する。

 「M3 Lee」の入手ルートは1つのみ。アメリカの中戦車ルートと重戦車ルートの分岐点となる戦車で、「WoT」でアメリカ戦車に乗るならほぼ確実に通ることになる戦車だ。「ガルパン」ファンとしても、この先にはTier5中戦車「M4 Sherman(シャーマン)」、Tier8中戦車「M26 Pershing(パーシング)」があるため、必修の戦車である。

 なおコンソール版「WoT」では、アメリカのTier1には軽戦車「T1 Cunningham」と中戦車「T22 Prototype」がある。Tier2に進むだけならどちらを選んでも構わないと思われるが、Tier1戦車は無料で入手可能、かつ数戦やればTier2の戦車が揃うはずなので、両方試してみるといい。

【ルート】
[Tier1軽戦車]T1 Cunningham / [Tier1中戦車]T22 Prototype → [Tier2中戦車]T2 Medium → [Tier3中戦車]M2 Medium → [Tier4中戦車]M3 Lee

 「M3 Lee」入手までの戦車は、概ねバランスがよく扱いやすい。比較的、砲の威力が高めになっているので、味方の視界を活かしてきっちり当てる動きを意識していくのがいいだろう。ちなみにアメリカの戦車は、攻撃力、装甲、機動力のバランスがよく、良くも悪くも癖がないのが特徴と言える。

強力な砲を2門装備……でも砲塔は飾り?

「ガルパン」では2門の砲の一斉砲撃も見られたが、「WoT」では実現できない

 「M3 Lee」という戦車は、「WoT」においては不幸な事情がある。「ガルパン」の「M3中戦車リー」が搭載する砲は、主砲の「75mm M2」と、副砲の「37mm M5」という2門の戦車砲を搭載する高火力戦車だ。ところが「WoT」では、複数の砲を使い分けるシステムは持っておらず、どちらか一方のみの採用となる。

 連載第6回で紹介したカモさんチームの「B1bis」では、副砲の47mm砲が採用され、主砲の75mm砲は飾りになってしまった。そのためTier4の重戦車としてはかなり貧弱な火力となってしまっている。

 では「M3 Lee」で採用されたのはどちらかと言うと、主砲である75mm砲となっている。口径が大きいほど威力は高くなるので、75mm砲ならTier4としては相応の威力が期待できる。

 ところがここに落とし穴がある。「M3 Lee」の主砲である75mm砲は、車体部右側に取り付けられている。砲塔にあるのは副砲の37mm砲なので、こちらは使えない。つまり「WoT」における「M3 Lee」は、車体にあって旋回できない、正面にしか撃てない75mm砲のみが使用できる。旋回砲塔と37mm砲はただの飾りということになる。

 砲塔旋回が使えない車輌は、砲の向きを合わせるために車体ごと動かさねばならない。また正面にしか撃てないと、車体を斜めに向けて避弾経始を意識した位置を取るのも難しい。砲塔旋回ができる戦車に比べて、運用上の制約が出てきてしまう。

 さらに「M3 Lee」の場合はもっとタチが悪い。副砲はただの飾りではなく、命中判定のある車体だということだ。戦車戦においては、地面の凹凸を使って車体を隠しつつ、砲塔だけを出す「ハルダウン」というテクニックが有効だ。ところが「WoT」の「M3 Lee」でハルダウンを狙おうとしても、主砲が車体部分にあるため、砲塔から車体の大半を見せなければ砲撃できない。砲塔部分だけを出していても一方的に撃たれるだけになってしまう。

 いっそ砲塔がなければいいのだがそうもいかない。常に余計な弱点を晒しながら戦うことになるので、当然ながら扱いづらい。しかしアメリカ戦車ツリーで中戦車・重戦車を扱うためには、Tier5の中戦車「M4 Sherman」および重戦車「T1 Heavy」の両方を入手するため、「M3 Lee」で2台分の経験値を稼がねばならない(フリー経験値を使うという手もあるが)。

 戦車としての扱いの難しさ、そしてアメリカツリーにおいて中戦車や重戦車を使う上で避けて通れないポジションにあることから、「WoT」プレーヤーからは畏怖の念を込めて「Lee先生」と呼ばれる存在である。

左右非対称の形状が特徴的な「M3 Lee」
目立つ砲塔は弱点になるため、地形を使って隠れながら撃つのは困難だ

「M3 Lee」の性能表。大きな欠点はなくバランスがいい戦車に見える
「M3 Lee」の初期パッケージ。砲は最初からそこそこ優秀

 「M3 Lee」の装甲は、前面51mm、背面・側面38mmと、Tier4の中戦車としては標準的。足回りも最高時速38㎞と悪くない。そして砲は初期パッケージでも貫通力90mm、威力110と悪くない性能で、連射力が高く、時間単位当たりの攻撃力はかなり優秀だ。スペックだけ並べると、決して悪い戦車ではない。問題は先に述べたとおり、目立つだけで何も撃てない砲塔と、駆逐戦車と同様に旋回できない主砲だ。

 主砲が旋回できない車輌は、近距離戦において極めて危険な状況に陥りやすい。簡単に言えば、正面以外に回られたら攻撃のしようがない。車輌を旋回させて敵を照準に入れるようがんばるしかないのだが、足の速い車輌が相手だと旋回に合わせて周囲を回られてしまい、手も足も出なくなる。もっと危険なのは車輌に横付けされることで、細い通路で密着されると旋回もできなくなり、側面を撃たれ放題になってしまう。

 対抗手段としては、そういった状況に陥らないよう、敵の接近に極力注意すること。もし接近されてしまったら、後方に下がりながらの旋回が比較的有効だ。

 もう1つ、この戦車において注意が必要なのが、隠蔽率が極めて悪いこと。敵に見つかりやすいということは、敵から狙われやすいことにもつながる。加えて「M3 Lee」の特性を理解している敵なら、こちらの位置を把握したら積極的に横に回ってくるだろう。さらに味方から孤立していたりすれば、快速の軽戦車が横から突っ走ってくる可能性もある。

 ただ幸いなことに、最終パッケージまで行くと通信範囲がかなり広くなる。味方の位置を確認しながら視界を借り、やや引いた位置から敵を的確に狙っていければ活躍できることが多い。気持ちとしては駆逐戦車の運用を心掛けておけばいいが、それなりの足と装甲を活かして、状況に応じて位置を変えていきたい。あと細かいことだが、砲が車体右側にあるので、障害物に隠れながら撃つ際は右から姿を見せる方が安全だ。

中戦車とはいえ、できれば敵に肉薄せず距離を取って戦いたい
ほぼ正面にしか撃てないので、敵の死角となる位置取りが重要になる
【「World of Tanks」 「M3 Lee」プレイ映像】

重戦車キラーになれる性能はある!

砲を「75mm Gun M3 L/37」に変更すると、主砲が少々長くなる
「ガルパン劇場版」で「IS-2」と向かい合うシーン。まさに絶望的状況

 「WoT」における「M3 Lee」のパッケージを見ると、主砲に「75mm M2」を積んでいるのは初期パッケージのみ。エンジンも「Wright R-975EC2」で「ガルパン」仕様と同型になる。主砲は後のパッケージで、長砲身の「75mm Gun M3 L/37」に変更されるが、威力や貫通力はほぼ変わらず、連射力が上がる。また初期型だと通信範囲が狭いことにも注意が必要だ。逆に言うと、初期型でもそれなりには戦える性能がある。

 「ガルパン」での戦歴を「WoT」に当てはめて見ていこう。サンダース大学付属高校戦のように、6輌のTier5中戦車「M4 Sherman」に追いかけまわされた場合、10.5cm榴弾砲が1発直撃すれば終了の可能性もあるので、秒殺されると思った方がいい。追われるのではなく撃ち合いになるなら、「M4 Sherman」の装甲は「M4 Lee」の主砲でも十分貫通できるが、耐久値には差があるので、相手の残り耐久値を考えながら戦いたい。

 プラウダ高校戦では「IS-2」に1発でやられたが、「WoT」ではTier7「IS」として登場するのでマッチングはしない。仮に戦った場合、「IS」の122mm砲でほぼ確実に1撃爆散。また「M3 Lee」で「IS」の装甲を抜けるのは背面などごく僅かな場所に限られるため、撃ち合いにもできない。「ガルパン劇場版」では「IS-2」と正面で向かい合うこともあったが、「IS」は正面装甲が非常に堅いので、あの状況は最初から絶望的である。

 黒森峰女学園の「重駆逐戦車エレファント」は、「WoT」ではTier8「Ferdinand」として登場。「Ferdinand」は後に若干の改装を施し「エレファント」に改名している。よって同じ車輌と見てもいいが、いずれにせよ「M3 Lee」とはマッチングしない。「Ferdinand」は側面と背面の装甲が80mmなので、当たり所によっては「M3 Lee」でも貫通は可能だ。

 「ガルパン劇場版」では、「M24チャーフィー」と戦っている。「WoT」ではアメリカのTier5軽戦車「M24 Chaffee」として登場するのでマッチングする。装甲は25mmなので「M3 Lee」でも容易に貫通できるが、最高速度77kmと足が速く、「M3 Lee」と同等の75mm砲を持っている。砲塔が使えない「M3 Lee」で、走っている状態の「M24 Chaffee」をとらえるのは難しく、至近距離に入られれば後ろを取られる可能性が高い。死角からの出現には要注意だ。

 パーツ選びは、車体特性から考えてできるだけ火力を上げたいので、「中口径戦車砲用装填棒」が欲しい。また隠蔽率が低いなりにも隠れたいので「迷彩ネット」はあってもいい。

 アイテムは「修理キット」に加えて「救急キット」も持っておきたい。砲塔が動かない本車輌では、操縦手がやられて戦車の操縦性能が落ちると、後ろに回り込む敵に対処ができなくなる。遠距離であっても砲手がやられては攻撃力が落ちる。搭乗員のケアは他の戦車よりも重要になる。

 「M3 Lee」は「WoT」において最も中戦車らしからぬ中戦車と言えるかもしれない。2つの砲を扱えないという「WoT」のシステム的制約によるものなので、「M3中戦車リー」としての問題ではない。75mm砲の威力はそれなりにあり、重戦車相手にもダメージを当てていける力は持っている。回らない砲で敵の弱点を突くのは難しいが、中戦車なりの足も使って、頭を使った位置取りで戦うようにすれば、ウサギさんチームばりの重戦車キラーにもなれることだろう。

Tier4辺りは10.5cm榴弾を持つ車輌が時々いる。無理に撃ち合うと1発爆散もあり得る
火力は十分にあるので、味方の視線を頼りにきっちり当てていきたい
パーツは「中口径戦車砲用装填棒」で火力を上乗せ
アイテムは「救急キット」を忘れずに

 次回は「M3中戦車リー」に続くアメリカ中戦車、サンダース大学付属高校の「M4シャーマン」をご紹介する。こちらは主砲1門のベーシックなスタイルなのでご安心いただきたい。全タイプで合計約5万輌も生産されたベストセラー戦車は、「WoT」ではどう味付けされているのか。次回をお楽しみに。

(石田賀津男)